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創発トーナメント準々決勝戦 2

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hasamisan

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創発トーナメント準々決勝戦 その2


――第一試合後


倉刀「う……」

ハルト「気づいたか倉刀」

倉刀「……師匠」

ハルト「まったく、これしきの事で倒れるとは情けない」

倉刀「……すいません」

ハルト「これでは皆伝の証を与える事はまだまだ出来んな、私の下で研鑽を積め」

……にっこり

倉刀「は、はい! 是非!」

実況「肩を貸して二人が闘技場を後にします! 美しい師弟愛!
  非常にいい試合でしたーーーーーーーッッッ!!!」

パチパチパチ

係員「あ~あ、折れた刀そのままにしちゃって……片付けないとな……」

すっ

係員「………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

係員「覚えたぜ……きっちりとな……」

キュピィーンッ

係員「私は創発板の呼称を決めるために尽力してきたが、周りの者によって言論を
  封殺されてしまった……乱立殿が過去ログから私を引っ張り出してくれた……」

ス……

係員「乱立殿は余りにも強く、私では適わぬ御方……だから忠誠を誓った……
  その恩に報いる為にも、ハルト……貴様を絶対に、倒す!」

係員「背後から流れ星と同等の投擲! これはかわせまい! くらぇい、ハル―――」

サン「もう! ボクの代理なのに負けるなんて駄目ですよ倉刀さん!」

ドン!

係員「にゃにぃ~!?」

ヒューーーン

きっちり(しまったぁ! すっぽぬけたぁー!)

ハルト「おお、これはサンスーシ、怪我の具合は良いのかな?」

サン「おかげさまで何とか。負けちゃ駄目ですよ、倉刀さん!」

倉刀「面目ない……スイマセン」

ハルト「はは、謝ってばかりだな倉刀、ところでサン殿」

サン「なんです?」

ハルト「もふもふしてよろしいか」

サン「駄目です」

ヒューーーン……

きっちり(く、くそ……外れて観客席の方へ……)

ドスッ

きっちり(!?)

Mr.ハート「血、血ぃ~~~、いてえよ~~~~!!」

モヒカン「た、大変だ! ハート様が暴れだしたぞ!」

ざわざわ ざわざわ

ハルト「何だか観客席が騒がしいな」

倉刀「みたいですね」

Mr.ハート「いてえよ~! いてえよ~!」

きっちり(そ、そうだ! このままコイツの精神を乗っ取って……)

Mr.ハート「超いてえよ~~~~!!」

きっちり(ギャー! 間にあわねーーー!!!)

ドドドドドドドドドドドド

モヒカン「いいか皆、一斉に棍棒を投げてハート様を気絶させるんだ!」

モヒッカン「おう!」

ブン!

ドス! ドス! ドス!

ぐにゅぐにゅ……

モヒカン「こ、棍棒が体の中に……!?」

Mr.ハート「ふん!」

ボシュ! (体に刺さっていた武器を放出させた音)

モヒカン「ぐえ!」

モヒッカン「ぐぁっ!」

Mr.ハート「馬鹿者共がーーーッ! 俺様の体が拳法殺しと言われている事を忘れたかーーーーッ!
  ……ふぅ~、またやっちまった、あれほど血は嫌いだってのに……」

ヒューーーン クルクルクル……

きっちり(よ、よし! 何とか脱出できたぞ! 後は他の奴に拾われればOKだ!)

ぼすっ

『燃えないゴミの日 火 木 資源ゴミの日 土』

きっちり(し、しまったぁーーーー! ゴミ箱に突っ込んじまったーーーー!)

鼠「チューチュー」

きっちり(あ、鼠さん、どうか私に触ってくれないかな? 美味しいスモークチーズ
  あとで、めがっさあげるにょろ!)

プイ

きっちり(ああ、いかないで! ヒイイ、孤独だよーーーーーーッッッ!)

す……

乱立「……」

きっちり(ああ、乱立殿! 感謝いたします!)

乱立「なぁに……」

ブン! (空中へ高く放り投げた音)

きっちり(ら、乱立殿!? なにを?)

乱立「敗者に用はない、死ね」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

乱立「はぁぁぁぁぁ」

きっちり(ら、らんり―――)

ボシュ!

乱立「へっ、キタネェ花火だぜ」

コツコツコツ……

乱立「安心しな、ファンタの奴もそこに送っておいたからよぉ……」


                        リタイヤ
きっちりさん&ファンタ幼女 ひとしれず再起不能


第二戦



係員「スミス様、そろそろお時間です」

スミス「ああ、ありがとう」

スクッ

カツカツカツ……

ピタ

係員「……? どうなされました?」

スミス「なあアンタ、今大会は武器の使用を禁じているって聞いていたが、武器を召喚するのは
  ルール違反じゃないのかい?」

係員「はぁ……それが、召喚術によって何かを呼び寄せるのは問題なし、との事です。
  少し理不尽ですが」

スミス「成る程ねぇ……強敵が相手なら俺も使わざるおえないかもな」

係員「え?」

ギィ…バタン


料理人「師匠、検分おねがいします」

加藤「ウム……」

ヌラァ―――

加藤「うむ、この粘りならよいでしょう。良い小豆だ……」

料理人「ハイ! ありがとうございます!」

料理人「師匠! 我等も応援しています!」

加藤「気負わない気負わない、料理は心。平常心こそが美食の道」

スッ

加藤「では、いってくるよ!」

料理人「御武運を!」


ワーワーワー

実況「準々決勝二戦目! こちらも実力者同士の対決!」

ワーワーワー

実況「勝利の女神は誰に微笑むのか! 目が離せません!」

霧崎「この試合、どう読む?」
学園長「わからぬ」

主催者「お主の予想はいかがかな?」
乱立「強え奴が勝つ、それだけさ」

実況「西の方角! ジョン・スミス!」

ウォォォォォォン!!!

スミス「さて、はじめますか」

ワーワーワー

実況「東の方角! 加藤キューピー!」

加藤「(●) (●)」

ウォォォォォォン!!!

実況「それでは試合開始です!」

ジョン・スミス VS 加藤キューピー


加藤「キュムキュムキュムキュムゥーーーーーー!!!」

ドドドドドドドドドドドドド

実況「おおっといきなり! 加藤の身体が硬質化!」

加藤「キュムキュム・アームドフェノメノン!」

ズガシャァァァ!!

実況「いきなり殴りかかったぁ! しかしスミス、それを両手で受け止めた!」

スミス「せいっ!」

ブォン!

実況「そのまま巴投げの容量で放り投げるーーーーー!」

加藤「キュムム!?」

ズゥン!

実況「加藤、受身が取れない! まずはスミスが先制だ!」

観客「ワァーーーーーーッッ!」

スミス「……違うねぇ」

ムクリ

実況「加藤起き上がった!」

加藤「生きのいい素材ほど、料理のしがいがある……」

スミス「そうかい、でも俺はそう簡単にまな板には乗せられないぜ?」

加藤「無論、それこそが……料理人の腕の見せ所!」

ガシッ

実況「おおっと? 加藤、両腕で自分の腹を掴んだ!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

加藤「URYYYYYYY!!!」

メキャメキャメキャッ!

ズバァッ!

スミス「ヒュウ♪」

実況「な、なんと……何と加藤選手、自分の肋骨を引き抜いたーーーーーッッ!」

ざわ……ざわ……

実況「し、しかも…それがまるで二刀の剣のように! ……反則ではありません!
  己の五体の使用は問題ありませんーーーーーー!!!」

加藤「リブス・ブレード(別名・露骨な肋骨)……その身で受けてみるか!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス「やれやれ……骨がおれる仕事だぜ」

加藤「でやぁっ!」

ブォン!

加藤「どりゃぁ!」

ブォン!

実況「もの凄い風圧! あたれば只ではすまない! スミスこの猛攻をかわし続けるーーーッッッ!」

スミス(やれやれ……おっかないねぇ……)

ブォンッ!

スッ―――

加藤「!?」

スミス「とったぁーーーッ!」

実況「上手い! 大振りの隙をついて懐にもぐりこんだーーーーーーッッッ!

コォォォォォォォォ

スミス「撃壁背水掌!」

ブッシャァァァァァッッッ!

加藤「む……うぐぅ!」

実況「加藤選手出血ーーーーーー! ワンインチパンチとでもいうのでしょうか!
  身をすり合わせた瞬間! 加藤の身体から血煙が舞い上がったーーーーーッッ!!」

観客「ワァーーーーーーッッッ!」

ブォンッ!

スミス「!」

サッ

加藤「こそばゆいわ!」

スミス「あぶないあぶない、タフだねー」

実況「スミス、加藤の反撃をかわし、一旦間合いを取ります!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

加藤キューピーは……この時、ニオイを嗅いでいた

自分の血臭を、そしてスミスの匂いを―――

自分の双眸がジョン・スミスの姿を毛穴まで鮮明にとらえている

そして己の耳は! 鼻は! 舌は! 肌は! 腕は! 脚は!

目前にいる敵の気配、ニオイを感じ取っていた!

自らの力を奮い立たせる強者のニオイ、それを感じたとき……

加藤の身体はアドレナリンを分泌し、五体を変化させた―――


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

実況「おおっとーーー! さらに禍々しく加藤選手の身体が変化していくーーーーッッ!」

観客「ウォォォォォォンッッ!」


キュムキュム・アームドフェノメノン……

それは、みずからの昂ぶりを抑える、死への陰形なのか……


スゥ……

実況「加藤、己の骨剣を上段に構えた!」

カツ…

コツ…

実況「そのまま悠然と歩を進める! 先ほどの攻撃などまるで意に介さぬ風体だーーーー!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


   ./ ̄ ̄ ̄\    カツ…
   |        ..|  
   | (●) (●) .|       コツ…
   ヽ.....:: -....:: ノ


スミス(おいおい……ボディががら空きだぜ……)

じり……

スミス「打って来い、て事か?」


   ./ ̄ ̄ ̄\
   |        ..|
   | (●) (●) .|      ……ニヤ
   ヽ.....:: ∀....:: ノ



実況「笑っている! 加藤選手、悠然と歩をすすめ笑っている!」

ス……

実況「剣を担ぎ上げたーーーーーッッ! 打ってこい、突いてこいと言わんばかり!
  あきらかに加藤選手、スミス選手を挑発しているーーーーーーッッ!」

観客「ワァーーーーーーッッッ!」

スミス「しゃあねぇなぁ……」

じり……

スミス「乗ってやるぜ、その誘い」

ダッ

実況「スミス踏み込んだァ!」

スミス「ブーメランフック!」

カキィン!

スミス「ブーメランスクェアー!」

カキィィィィン!

スミス(硬―――)

ブォン! ブォン!

スミス「しまっ―――」

ドグァッシャァァァァァァァァァン!!!

スミス「ぐっはぁぁぁ!!!」

実況「ダウン! スミス選手ダウーーーーン! 懐に潜り込んでのワンツーパンチ!
  しかぁーーーしッ! 逆に返り討ちにされたーーーーーーーッッ!」

観客「ワァーーーーーーッッッ!」

スミス「マ、マジですかい……まるで金剛石の塊だな……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


   ./ ̄ ̄ ̄\    カツ…
   |        ..|
   | (●) (●) .|       コツ…
   ヽ.....:: ∀....:: ノ



スミス「やれやれ……タフな御仁だぜ……」

実況「スミス、起き上がって間合いをはかっている!」

加藤「鍋を振るったりするのは体力を必要とするからね」

実況「加藤、再び剣を振り上げ歩み寄るーーーーッ!」

スミス「まいったねぇ……」

にやり

スミス「武器に素手は少々キツイな」

す……

スミス「俺も、武器を使わせてもらおうかな」

ピカッ!

ズガッシャァァァァーーーーンッッッ!

モクモクモクモク……

ざわ……ざわ……

加藤「キュム!?」

実況「おおーーーっと! 闘技場に雷が落ちたと思ったら! 一振りの剣が突き刺さっている!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス「真魔剛竜剣……」

スゥラ―――

スミス「普通の武器じゃ俺の力に耐え切れなくてね……特注の武器ってわけさ」

カッ

スミス「ドラゴン・インストゥール!」

ドドドドドドドドドドドドドド

実況「スミス、剣を取り上げ咆哮! 闘技場が揺れるーーッッ!」

よし子「ア、アタシを倒した時の!」

メリー「きゃーお姉様怖いー」

だきっ

よし子「くっつくな! うっおとしいぞ!!」

スミス「たいしたもんだぜ、まさか準々決勝でこの技を使う事になるとはね」

ピカッ!

ズガッシャァァァァーーーーンッッッ!

実況「またも落雷! スミスに直撃だーーーーーーッッッ!!!

加藤(違う……)

……スチャ

実況「加藤、剣を十字に構え、様子を伺う!」

ドドドドドドドドドドドドドド

バッ

加藤「!」

実況「黒煙の中から雷光のように! スミスが飛び出してきたーーーーー!」

スミス「ギガブレイク!」

ズバッシャァァァァーーーーンッッッ!

加藤「うぐわぁ!」

……ゴトン

ブシュゥゥゥーーーーーー

実況「こ、これは酷い! 受けにまわった腕ごと切り裂いた! 闘技場に紅い花が咲くーーーッッ!」

観客「ウォォォォン!」

スミス「フゥ……大したもんだぜ、あの体勢からとっさに防いで腕だけ犠牲にするとはね」

スチャ

スミス「だが、右腕を吹っ飛ばされては防ぎきれまい。悪いけど決めさせてもらうぜ」

加藤「右腕~~~~?」

にやぁ―――

加藤「僕の右腕はここにある」

加藤「うおおおおおお!」


ズズ……

ズシャァッ!

スミス「ヒュウ♪」

実況「こ、これはーーーーーッッ! なんと! 傷口から新しい腕が再生したーーーーッッ!」

観客「ワァーーーーーーッッ!!」

霧崎「あ、あ奴……人でござるか?」
学園長「……わからぬ」

加藤「少々ちいさめだが、じきに馴染むだろう」

スミス「たは……まいったね、振り出しにもどったか」

加藤「いいのかい? 油断して」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス「……なに?」

加藤「……ミート・インベイド(憎き肉片)」

ガシッ

スミス「な!」

ざわっ!

実況「こ、これはーーーー! これは、これは何と! 切り落とされた腕が意思があるかのように!
  スミスの足首を掴んだーーーーーーーーーッッッ!」

加藤「またの名をファラオ・スフィンクス秘儀、カルトゥーシュの使徒! 我に武器など不要!
  おのが五体こそ真の武器!」

にやり

加藤「こちらも武器を使わしてもらうとしますか」

実況「またも加藤、不敵にほほえむ!」

料理人「ほう……先生、あれをつかいますか」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


   ./ ̄ ̄ ̄\
   |        ..|
   | (○) (○) .|
   ヽ.....:: ∀....:: ノ


実況「武、武器をつかう……どういった意味でしょうか……!?」

じり……じり……

実況「加藤、悠然とスミスへと近づくーーーーーッッッ!」

スミス(何だ、一体……!?)

加藤「天心飯、オメェの技を借りるぜ!」

ピカァッ!

加藤「太陽拳!」

スミス「何ッ!?」

実況「わッ!」

観客「キャッ!」

料理人「太陽拳……己の気を瞬間的に昇華し発光させる、攻撃力はないが相手は数秒間
  無防備となり、つまり次の攻撃をまともに食らう事になる」

スミス「く、くそっ油断し―――」

ドゴァッ!

スミス「グハッ!」

料理人「足先蹴り、つま先での足技だが先生の鍛えられた脚は鋭利な刃物のような物……
  当たったところ全てが急所と化す……」

パカァッ!

スミス「ムグッ!?」

料理人「風魔殺……顎の骨が外れたな……」

コォォォォォォォォッ!

加藤(我等料理人は手首から先が他の職種とは―――)

料理人(一線を画す―――!)

ピッ パキャッ!

料理人「六波返し…・・・頭の骨が砕けたな……」

ズッバシャァーーーーー

……ズゥ……ン

ざわ…

実況「こ、これはーーーー!? 視界が回復した闘技場ではジョン・スミス、ダウーーーンッ!」

加藤「我が身鍛えてこそ、真の武器……」

くるっ

コツコツコツ

料理人「……」

加藤「待たせちゃったね」

料理人「先生……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

料理人「まだ終わっちゃいません!」

ブォンッ!

バッ!

実況「スミス後方からのなぎ払い! 間一髪で加藤かわしたーーーーーッッ!」

観客「ワァーーーーーッッッ!」

スミス「チッ」

加藤「キュムッ!」

バッ ババッ

実況「双方、ステップで距離を取り間合いを図る!」

加藤「大した人だ……さすがは何でも屋といったところか」

スミス「アンタもな、回復魔法の心得がなかったらやばかったぜ……今度から、
  飲食店で揉め事は起こさないようにするわ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス「ハッ!」

実況「睨み合いの中、先に動いたのはスミス!」

加藤(上段か? それとも下段か?)

サッ

ヒュッ

加藤「……え?」

実況「スミス、もっていた剣を加藤へと放り投げた!」

加藤(……パス?)

ぱしん

スミス「残念でしたぁ!」

ふわさっ

加藤「キュム!?」

実況「スミス、自分のコートを加藤に覆いかぶせたぁ!」

スミス「そいつは囮! 俺のコートは耐火性でな!」

バッ

スミス「炎の攻撃は逃げ場を失い中で暴れるって訳さ! くれてやる!」

ボゴアァァァッ!

スミス「タイランレイブ!」

加藤「…! !……!!」

実況「コートの中で炎が渦巻く! 加藤キューピーくの字に身体が歪むーーーーーッッ!」

スミス「おっと、返してもらうぜ」

ぱしっ

実況「スミス、剣を取り返し上段に構える!」

ゴオオォォォォッッ!

実況「スミスの身体も炎を纏ったーーーーーーッッッ!」

スミス「超魔爆炎覇!」

ズガッシャァァァァーーーーンッッッ!

実況「またもや炎撃ィ! 加藤、炎の渦となって吹っ飛ぶーーーーーッッッ!!!
  ダウン! 加藤選手ダウーーーーーンッッッ!!!」

観客「ワァーーーーーーーッッッ!」

料理人「先生!」

実況「コートの隙間から炎がくすぶっているのが見えます! 加藤選手調理されてしまったのかぁ!?」

スミス「チッチッ」

ピッ

スミス「センスが違うんだな……センスが」

実況「観客席へと吹っ飛んだ加藤選手、ピクリともせずーーーーーッ! 勝負あったか、
  これはーーーーーーッッッ!?」

審判「……」

ス―――

実況「審判、腕をあげて勝負あ―――」

ピクリ……

審判「―――!」

バッ!

実況「……! 続行! 審判の判定は続行! まだまだこの試合は終わらないーーーーーッッ!」

観客「ウォォォォォォンッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

……むくり

実況「加藤、起き上がったーーーーーッッッ!」

…ざし …ざし

スミス「つくづく……タフだねぇ」

ズン!

実況「再び闘技場へと舞い戻るーーーーーッッッ!


   ./ ̄ ̄ ̄\
   |        ..|     「………」
   | (○) (○) .|
   ヽ.....:: ∀....:: ノ

―――このとき、スミスの攻撃を受け加藤の意識はすでになかった

躯をうごかしているのは筋肉、敵を察知し己を変化させる異形の身体

キュムキュム・アームドフェノメノン(武装現象)であった

ものを思うのは脳ばかりではない、臓器にも記憶は宿る

筋肉とて人を恨むのだ―――

ざしっ

実況「加藤、膝をついたーーーーーッッッ! やはりダメージは深刻かーーーーッッッ!」

ゲボッ

ゲボゲボォッ!

実況「と、吐血! 加藤選手吐血ーーーーーッ! すでに体力はあとわずかーーーーッ!」

―――否

断じて否!

料理人としてのプライドとそれを支える筋肉が、加藤の身体に、最適の行動を促した―――

がしっ

ぐちっぶちっ

実況「こ、これは……加藤選手、己の体から肋骨を引き抜いたーーーーーッッ!」

ざわ……ざわ……

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

実況「そ、そして……それらを万力のような力で繋いでいくーーーーーッッッ!!
  こ、これはまるで、まるで大きな包丁のようだーーーーーーッッッ!!」

スミス「ヒュウ♪」

―――それは包丁と呼ぶにはあまりに大きすぎた

大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた、それはまさに骨塊だった―――

ズンッ!

実況「加藤、作り上げた包丁を地面に突き刺したーーーーッッ!」

ぐぐぐぐぐぐ……

実況「満身創痍の自分を支えるかのように、杖のようにさしたーーーーーッッ!」

スミス「……杖じゃあ、ねえな……」

ぐらり……

実況「加藤、体がだんだんと崩れ落ちる! それをささえるのは両手でもつ剣のみ!
  今にも倒れそうだーーーーーーーッッッ!」

ス……

実況「スミス構えた! 瀕死の加藤に止めを放つ気だーーーーーッ!」

観客「ワーーーーーーーーッッ!」

スミス「へっ、気楽な事を……わっかんねえかな、目の前の殺気に……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス(あれは自分を支えてるんじゃねえ、構えてるんだ……両の手で刀を地面に刺して構える
  俺が今までに見た事も聞いた事もない、およそ一切の流派にない奇怪な構え……)

   ./ ̄ ̄ ̄\
   |        ..|
   | (○) (○) .|
   ヽ.....:: ∀....:: ノ


スミス「……わらってるぜ旦那、勝利を確信したのか、ビビッている俺を笑ってるのか……」

スチャ……

スミス「どちらにせよ、ヘビィな展開だぜ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

実況「一転、激しい攻防から一転して睨み合い! 両者動かず!」

……ゴクリ

スミス「…………」

加藤「…………」

実況「この膠着状態を破るのは、はたして誰なのかーーーーッッッ!」

料理人「先生……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス(ちっ……)

―――スミスは迂闊に動く事が出来なかった

ただ見れば盲人が杖をついているが如くだが、殺気刀身に満ち微塵の隙もないのだ―――

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス「しゃあねえなぁ……」

スウラァ―――

―――ジョン・スミスは超魔爆炎覇の構えをとった

同じ相手に二度も用いようとするのはこれが始めてである―――

みしり……

―――加藤の筋肉繊維は空気が軋むのを感じた

すでに双方死の間合いの中に位置し、瞬時に首を刎ねられる運命にあった―――


   ./ ̄ ̄ ̄\
   |        ..|     にやり……
   | (○) (○) .|
   ヽ.....:: ∀....:: ノ

―――加藤の面に笑みが浮かんでいる、笑うという行為は本来攻撃的なものであり、

獣が牙をむく行為が原点である―――

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


……

…………

パシュ―――――――――

……どう

観客「…………」

実況「…………」

―――闘技場に居る者達は、何が起こったのか理解できなかった

ただ加藤が地に倒れたのを確認出来たのみである―――

ブ……

ブブ……

ブッシャァァッッッ!!!

……ドゥ

―――続けて、ジョン・スミスも倒れた、正中線から一直線に血を噴き出して―――

ざわ……ざわ……

実況「あ……相打ち……?」

―――控え室で休息をとっているハルトシュラーがここにいれば驚愕した事であろう

速度、間合い、己の秘剣を越える斬撃が繰り出されたのである

加藤は、自らの剣を大地に刺し極限まで力を溜め、弓を射るが如く解放したのであった!

前方に倒れこみ相手の正中線を一刀両断!

異な構えから繰り出される太刀筋は、ジョン・スミスが振り下ろす剣より早く

スミスの身体を切り裂いた!―――

スミス「む……ぐ……」

ざわ……ざわ……

実況「おおっと! ジョン・スミス起き上がろうとしている!」

ドドドドドドドドドドド


   ./ ̄ ̄ ̄\
   |        ..|
   | (○) (○) .|
   ヽ.....:: ∀....:: ノ


実況「加藤も立ち上がったーーーーーッッッ! スミス、まだ起き上がれないーーーーッッ!」

観客「ワーーーーーーーーッッ!」

ゆらぁ~~~~~

実況「剣を大きく振りかぶったーーーーッッッ! その先にあるのはスミスの頭!」

スミス「ヘヘ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

スミス「ギブアップ、俺の負けだ。加藤さんよ、アンタの勝ち、だ」

加藤「………」

ズゥゥゥンッッ!

実況「スミス選手、ギブアップ! ギブアーーーーーップ!!! 宣言を聞いて
  加藤選手、武器を落とした! 準決勝に駒を進めたのは加藤、炎の料理人、
  加藤キューピー選手だーーーーーーーーーッッ!」

観客「ウォォォォォンッッ!!!!」

料理人「先生!」

ワーワーワー


   ./ ̄ ̄ ̄\    
   |        ..|   「いい、試合でした……」
   | (●) (●) .|  
   ヽ.....:: ∀....:: ノ


スミス「ああ、アンタ俺の代わりに何でも屋になれるぜ。……ひとつ聞いていいかい?」

加藤「なんでしょう?」

スミス「俺のタイランレイブと超魔爆炎覇は完全にクリーンヒットしたはずだ……
  なんで起き上がれたのかが知りてえ」

加藤「簡単な事です」

す……

加藤「懐に忍ばせていた料理レシピ、料理に対する私の愛情が身を護ってくれたのです」

スミス「……へっ、そういう事かい。負けたよアンタには」

ワーワーワー

よし子「思いっきり貫いてるじゃねーか……」

メリー「つまり、本人が怖ろしく頑丈ってわけね」


トーナメント準々決勝
ニ回戦 ジョン・スミス VS 加藤キューピー

無明逆流れにより 加藤キューピー勝利


   to be continued……


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