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F-2-059

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匿名ユーザー

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「真夜中の祝祭」


59 :真夜中の祝祭:2010/09/20(月) 01:54:57 ID:a7pspTL9

現代もの、サイキックファンタジー風味で、これから投下します


60 :真夜中の祝祭:2010/09/20(月) 01:57:42 ID:a7pspTL9

見上げた空には、雲ひとつ無く、いつもよりも明るい光を放つ月が浮かぶだけだ。
こんな風に晴れた秋の夜長は、空を飛ぶのには、絶好の夜だ。

もう、あの場所には、そろそろ皆が集まっているだろうか?
僕は、そう思いながら、あの場所 -横浜のみなとみらい地区へと想いを馳せる。

あの場所は、世間一般の人々には、全く知られてはいないが、魔道力を秘めた強力な磁場を持ち合せた、
少々特殊な場所なのだ。
こんな場所は、この日本においては、数える程しか無い。


だから、僕等、サイキックと呼ばれる魔道能力者達は、こんな風に月のきれいな夜の真夜中には、横浜み
なとみらい地区へと集うのだ。
普段の生活においては、全く使う事の無い、自らの魔道力を数十倍にも高めた上で、一気に解放してやる
ために。

僕はその場所へと、想いを馳せると、自らの力を一気に解放し、自分が一人で住んでいるこの狭い、賃貸
マンションの一室から、みなとみらい地区へと、自らの身体を瞬時に移動させる。
いわゆる、瞬間移動ってやつだ。


そして、僕が再び目を開けると - 其処には、テレビでお馴染みのランドマークタワーが創りだす、天空に
向けてそびえ立つ大きな光の柱と、大観覧車の華やかなイルミネーションに彩られた、横浜の代名詞とも
言うべき景色が広がっている。

その景色に、唯一つ、違和感を覚えるとしたら、その華やかな景色には、いつも夜遅くまで満ち溢れてい
る、観光客などの大勢の道行く人々が全く見当たらないことだ。
その代わりに、今、この場所には、僕と同じ、サイキックとしての能力を持つものが、数十人程、集まってい
た。

そうなのだ - ここは、サイキック達の力が、数十倍にも高まる不思議な場所で、実在する横浜みなとみら
い地区と同じ場所に位置する別の空間なのだ。


だから僕等サイキックが、この場所で、いくら本気で魔道力を振るおうとも、実在の空間には影響はしない。
とはいえ、万一のことを考えて、この集会が行われる度に、仲間の誰かが、強固な結界を作り、現実空間
への影響が及ぶ事の無いよう、万全の策を取ってはいるのだが。

「やあ、ユウキ、遅かったじゃないか」

瞬間移動を終えて、この空間に辿り着いたばかりの僕に向かって、サイキック能力者の一人がいつものよ
うに声をかけてきた。
彼は、僕より1つ年上の17歳の少年で、仲間うちでは、ミカと呼ばれている。
この辺りのインターナショナルスクールに通っているらしいのだが、それ以上のことは、良くは知らない。
ここに集う、サイキック達は、皆、それぞれの事情を慮ってか、この場所では、偽名で通すことになっていた
し、各個人についての余計な詮索はしないことが、習わしになっていたからだ。


僕は改めてミカと、大観覧車のイルミネーションが映り込む、彼の後ろの景色へと視線を移した。
ミカは、金髪碧眼の美少年と言うに合い相応しい姿の少年で、その姿が、ランドマークの灯りを受けた月夜
に良く映える。
僕はミカに向かって、この月夜の集会では、その祝祭が始まる前に、確認するのが当たり前になっている話
題を続ける。

「ああ、ミカ、悪かったね、もう、そろそろ、シルエッタが始まるのかい?」
「うん、ウインザーが、強固な結界を張り終えたからね。そろそろスタートだよ」
「ユウキ、君、今回も、単独エントリーするの?」
「もちろん!」

ミカとそんな会話を交わしながら、僕は軽快にそう答えた。


「ユウキ、今夜も君と戦えるのか、今から楽しみだよ」
「うん、俺もだよ、ミカ」

そう言って、僕とミカは微笑み合うと、互いの拳を軽く合せるようにして、これから始まるシルエッタでの健闘
を祈り合った。その後で、それぞれの持ち場へと、空を軽々と飛びながら移動していく。

ミカは、帆船日本丸のマストの上にふわりと先に降り立つと、更にその先に位置する大観覧車の方へと向
かった僕を見据えていた。
そして、僕の眼下の水面には、大観覧車のイルミネーションの灯りと - その大観覧車の時刻を刻む、電
光掲示版の上へと降り立った、銀色の髪の16、7歳の少年の姿 - そう、僕の姿が映り込んでいた。
僕は何故だが、この魔道力を使う度に、髪の色が、こんな色になるのだ。

その水面に映る自らの姿を確認してから、僕は、このシルエッタにおいて、いつも、最大のライバルとなる、
ミカの方へと再び視線を移した。


ミカの手元には、もう既に、彼自身の魔道力で創り出された、金色の光の剣が握られている。
僕もそのミカの様子を見据えながら、大きく息を吸い込むと、自らの手元に、白銀の光を帯びた剣を呼びだ
した。
それと、ほぼ、同時に、真夜中の12時を告げる汽笛が鳴り響く。

その汽笛の音と共に、僕は自らの身体を眼下の水面の方へと乗り出し、そのまま滑り落ちるように降下して
いく。
そして、その下の水面に着水する前に、タイミングを見計らって、自らの手元に在る剣に、周りの空気を大
きく切り裂くような、桁違いに強い魔道力を乗せて、ミカのいる方角に向けて、勢い良く、真横に一気に振
り払った。

ミカの方も、僕のその攻撃の軌道を既に読んでいて、あっという間にその攻撃を交わしていく。
その後で、ミカは僕との間合いを詰めるために、水面へと降り立ち、そこから、わざと大きな水飛沫が上がる
ようにして、僕に向かって、大きな威力を込めた剣撃を放つ。


僕の方もわざと、ミカの剣撃を受け止め、自らの手元で、ミカが放った魔道力を一気に無力化してみせる。
だが、その次の瞬間には、互いに間合いを限界にまで近付けて、ほんの一瞬だけ、鋭い音と火花を散らし
ながら、剣を交えると、二人で向かい合って、再び笑みを交わしていた。
それから、互いに、その場を素早く飛び去るようにして、再び間合いを開ける。

さあ、真夜中の祝祭はまだ始まったばかりだ。
今夜もこれから、楽しくなりそうだな……などと思いながら、僕はミカに向かって、再び攻撃を繰り出した。

〈END〉

たまには、現代モノも良いかな-と思い、
即興で書いてみたら、ちょっと短かいお話になってしまいました。
しかし、一人称って、難しいなぁ……

※続きは、2-073



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