「どうしたぁ!? もっと来いよぉ!」
グライドアは何度も剣を振るうがバイラムはそれを寸で避けていった。
紙一重、間一髪。最小限の動きでグライドアとの距離を詰めていく。
そして、身体を密着させると顔を目掛け拳を振るわれた。
「ぐぉぁぅ!?」
凄まじい振動がコックピットを襲うがアジャムもまた、お返しとばかりに殴り返そうとする。
だが、拳はバイラムの顔に当たる前に手首を掴まれていた。
「ちぃ、この野郎!」
操縦桿を引いて体勢を立て直そうとする。だがバイラムはグライドアの手を放そうとはしない。
手に力を入れて腕を潰そうとしてくる。地上ならばミシミシという音が響いただろうがここは宇宙、危険を
知らせる物は自己判断装置のランプだけだ。
「参ったねぇ、これはよぉ!」
脚部にしまってある特殊弾頭を空いている方の手で掴むとバイラムの腹部に叩きつけた。
黄色のラベル、硫酸弾を腹部に喰らうがバイラムがそれを無視している。手を放すこともしなければ硫酸を
振り払うこともしない。そして腹部に受けたはずの硫酸が水を弾いたかのように球体になって宙を漂っている。
「対策はバッチリって訳か?」
すかさず別の特殊弾頭を手に取る。今度は茶色のラベルが貼ってある。
「攻撃だけが戦いじゃねぇんだよ!」
そう言って今度はバイラムの腕にたたきつけた。特殊弾頭の正体は潤滑油だった。
摩擦が少なくなった為、掴んでいた手がするりと離れるとすかさず腰の後ろに付いているショットガンを手に取る。
「燃えちまいな!」
ショットガンのトリガーを引く。高速で飛んでいく弾丸がバイラムの身体を擦り付けたと同時に火花を散らした。
その火花が先ほどの潤滑油に火をつけ、バイラムを丸い火の玉にする。
だが、あっという間に火は消え、黒の装甲が現れた。
「あーあ、宇宙に空気がねえっていうのは本当だったか」
そう言いながらも操縦桿を動かし、別の手を打っていた。プロの傭兵は手を抜く事はないのだ。
「今度はこれなんかいかがですかぁ?」
振り向き様にハンドグレネードを投げつけた。バイラムは難なくそれを切り捨てる。
だが、切り捨てたのは宇宙用のスタン・グレネード。センサー類を乱すICチップを組み込んだ特性の品である。
光とともに小さな金属片が辺りに広がった。バイラムのほうは突然の光に対し対処が出来なかったらしく、
顔を伏せていた。そして光が治まると辺りをゆっくりと見渡し始めた。先ほど戦っていた相手が居ないことに対し、
戸惑っているようだった。
「さてと、接近戦も良いけど遠距離戦はどうですかな?」
アジャムは余裕のあるスタンスを崩さずにバイラムを観察している。彼が今いる場所は先ほど倒したと戦艦
やPMの破片が漂う暗礁空間だ。そこから特注のスナイパースコープでバイラムの様子を見つめていた。取り
付けられているスナイパーライフルはかなり大型でよほどの腕でなければ当てることは不可能だった。
「これはどうだ?」
こちらを向いた瞬間すかさずトリガーを引くとバイラムの左肩に当たった。が当たっただけであり追加装甲
の部分は一向に亀裂も何もなかった。
「ちぃ、どんだけ固いんだよ」
バイラムはライフルが飛んできた方向へと向かっていく。暗礁空間に着くと辺りを見渡した。キラリと光っ
た何かを見つけるとそこに向かって飛んでいく。しかし、そこにあったのはスナイパーライフルのみ。再び辺
りを見渡そうとした瞬間――。
「あばよ!」
アジャムがスイッチを押すとバイラムがいる一体に大規模な爆発が巻き起こる。それを見ながらグライドア
はそのまま帰還しようとした。だが、炎の中からバイラムが現れた。装甲には何の傷もなく、武器も全て健在
だ。そしてグライドアを見つけると今までの速度とが違い、フルスロットルと言わんばかりの勢いで急接近してきた。
「なんだとぉ!」
気が付けば背後から思い切り体当たりを喰らった。すかさず反転をしてバイラムを正面に捉える。
「なら接近戦しかねぇな!」
グライドアは備え付けのロングソードを引き抜く。バイラムも同じように大剣を振るってきた。
剣と剣がぶつかり合った。大型剣がまるで疾風のように幾つも飛んでくる。しかし、それをアジャムは丁寧
に捌いて行く。たった数秒の差を見極め、力が一番かかる場所を見極め、いなして行く。
そしてバイラムが見せた小さな隙を見流さなかった。
「そらよ!」
思い切り胸を蹴りつけて距離を開くとすかさずショットガンをバイラムに向けた。
だが――。
「うっ……ぐぅ!」
突然、グライドアの動きが止まった。コックピットの中では激しい咳とともに赤い液体、血が出ていた。
「こんな時によ、ついてねぇぜ」
ヘルメットのバイザーを開き、口元を抑えた。被爆症状の一つであった。
そして、それを見逃すバイラムではない。一気に接近をしてグライドアを切り捨てようとする。
「おっと!」
バイザーを閉めると再び操縦桿を握り直す。素早く横に避けようとするがタイミングがずれ、振るった剣は
グライドアの肩に当たった。そしてそのまま縦に振り下ろし腕を切り捨てる。
「ちぃ!」
残った腕で対処しようとすかさず別の武器を取り出そうとする。しかし今度はグライドアの顔を思い切り殴
りつけた。センサー類が火花を散らして小さな爆発を引き起こした。
「くそ、ここまでかよ!」
アジャムはシートの近くにある脱出装置のレバーを引くとそのまま宇宙へと放り出された。
そしてステルス機能を起動させた。チャフグレネードなどは効果がある事は立証済みである。これでバイラ
ムの目からは逃れられる。
「あーあ、もう少し楽しみたかったんだがな……」
グライドアの爆発を確認すると再び視線を別の方向へと向ける。
辺りにはPMや戦艦の姿がどこにも見えなかった。
バイラムは剣を脚部に取り付けるとまたどこともなく敵を捜し求めた。
グライドアは何度も剣を振るうがバイラムはそれを寸で避けていった。
紙一重、間一髪。最小限の動きでグライドアとの距離を詰めていく。
そして、身体を密着させると顔を目掛け拳を振るわれた。
「ぐぉぁぅ!?」
凄まじい振動がコックピットを襲うがアジャムもまた、お返しとばかりに殴り返そうとする。
だが、拳はバイラムの顔に当たる前に手首を掴まれていた。
「ちぃ、この野郎!」
操縦桿を引いて体勢を立て直そうとする。だがバイラムはグライドアの手を放そうとはしない。
手に力を入れて腕を潰そうとしてくる。地上ならばミシミシという音が響いただろうがここは宇宙、危険を
知らせる物は自己判断装置のランプだけだ。
「参ったねぇ、これはよぉ!」
脚部にしまってある特殊弾頭を空いている方の手で掴むとバイラムの腹部に叩きつけた。
黄色のラベル、硫酸弾を腹部に喰らうがバイラムがそれを無視している。手を放すこともしなければ硫酸を
振り払うこともしない。そして腹部に受けたはずの硫酸が水を弾いたかのように球体になって宙を漂っている。
「対策はバッチリって訳か?」
すかさず別の特殊弾頭を手に取る。今度は茶色のラベルが貼ってある。
「攻撃だけが戦いじゃねぇんだよ!」
そう言って今度はバイラムの腕にたたきつけた。特殊弾頭の正体は潤滑油だった。
摩擦が少なくなった為、掴んでいた手がするりと離れるとすかさず腰の後ろに付いているショットガンを手に取る。
「燃えちまいな!」
ショットガンのトリガーを引く。高速で飛んでいく弾丸がバイラムの身体を擦り付けたと同時に火花を散らした。
その火花が先ほどの潤滑油に火をつけ、バイラムを丸い火の玉にする。
だが、あっという間に火は消え、黒の装甲が現れた。
「あーあ、宇宙に空気がねえっていうのは本当だったか」
そう言いながらも操縦桿を動かし、別の手を打っていた。プロの傭兵は手を抜く事はないのだ。
「今度はこれなんかいかがですかぁ?」
振り向き様にハンドグレネードを投げつけた。バイラムは難なくそれを切り捨てる。
だが、切り捨てたのは宇宙用のスタン・グレネード。センサー類を乱すICチップを組み込んだ特性の品である。
光とともに小さな金属片が辺りに広がった。バイラムのほうは突然の光に対し対処が出来なかったらしく、
顔を伏せていた。そして光が治まると辺りをゆっくりと見渡し始めた。先ほど戦っていた相手が居ないことに対し、
戸惑っているようだった。
「さてと、接近戦も良いけど遠距離戦はどうですかな?」
アジャムは余裕のあるスタンスを崩さずにバイラムを観察している。彼が今いる場所は先ほど倒したと戦艦
やPMの破片が漂う暗礁空間だ。そこから特注のスナイパースコープでバイラムの様子を見つめていた。取り
付けられているスナイパーライフルはかなり大型でよほどの腕でなければ当てることは不可能だった。
「これはどうだ?」
こちらを向いた瞬間すかさずトリガーを引くとバイラムの左肩に当たった。が当たっただけであり追加装甲
の部分は一向に亀裂も何もなかった。
「ちぃ、どんだけ固いんだよ」
バイラムはライフルが飛んできた方向へと向かっていく。暗礁空間に着くと辺りを見渡した。キラリと光っ
た何かを見つけるとそこに向かって飛んでいく。しかし、そこにあったのはスナイパーライフルのみ。再び辺
りを見渡そうとした瞬間――。
「あばよ!」
アジャムがスイッチを押すとバイラムがいる一体に大規模な爆発が巻き起こる。それを見ながらグライドア
はそのまま帰還しようとした。だが、炎の中からバイラムが現れた。装甲には何の傷もなく、武器も全て健在
だ。そしてグライドアを見つけると今までの速度とが違い、フルスロットルと言わんばかりの勢いで急接近してきた。
「なんだとぉ!」
気が付けば背後から思い切り体当たりを喰らった。すかさず反転をしてバイラムを正面に捉える。
「なら接近戦しかねぇな!」
グライドアは備え付けのロングソードを引き抜く。バイラムも同じように大剣を振るってきた。
剣と剣がぶつかり合った。大型剣がまるで疾風のように幾つも飛んでくる。しかし、それをアジャムは丁寧
に捌いて行く。たった数秒の差を見極め、力が一番かかる場所を見極め、いなして行く。
そしてバイラムが見せた小さな隙を見流さなかった。
「そらよ!」
思い切り胸を蹴りつけて距離を開くとすかさずショットガンをバイラムに向けた。
だが――。
「うっ……ぐぅ!」
突然、グライドアの動きが止まった。コックピットの中では激しい咳とともに赤い液体、血が出ていた。
「こんな時によ、ついてねぇぜ」
ヘルメットのバイザーを開き、口元を抑えた。被爆症状の一つであった。
そして、それを見逃すバイラムではない。一気に接近をしてグライドアを切り捨てようとする。
「おっと!」
バイザーを閉めると再び操縦桿を握り直す。素早く横に避けようとするがタイミングがずれ、振るった剣は
グライドアの肩に当たった。そしてそのまま縦に振り下ろし腕を切り捨てる。
「ちぃ!」
残った腕で対処しようとすかさず別の武器を取り出そうとする。しかし今度はグライドアの顔を思い切り殴
りつけた。センサー類が火花を散らして小さな爆発を引き起こした。
「くそ、ここまでかよ!」
アジャムはシートの近くにある脱出装置のレバーを引くとそのまま宇宙へと放り出された。
そしてステルス機能を起動させた。チャフグレネードなどは効果がある事は立証済みである。これでバイラ
ムの目からは逃れられる。
「あーあ、もう少し楽しみたかったんだがな……」
グライドアの爆発を確認すると再び視線を別の方向へと向ける。
辺りにはPMや戦艦の姿がどこにも見えなかった。
バイラムは剣を脚部に取り付けるとまたどこともなく敵を捜し求めた。
索敵をしている最中に、突然バイラムの顔に光が当たった。光のほうへ顔を向けるとそこには黄龍が居た。
肩のライトは真っ直ぐバイラムを捉えていた。
「すみません、リーシェン少尉。こんな事をお願いしてしまって……」
奈央は出撃前のリーシェンに一つのお願いをした。
もしも森宮一明ならば分かる物があるので試して欲しい、と。
「いや、構わん。だが、攻撃を仕掛けてきたら……」
「はい、その時はお願いします」
リーシェンはバイラムに向かって光信号を送った。キラキラと輝く光線が顔に向かって照射されるとバイラ
ムはその動きを止めた。
「もしも、あなたが”バイラム”ではなく”一明さん”ならこれがなんなのか理解できるはずです」
奈央はじっと黄龍から放たれた光を見つめた。ただひたすら祈るように……。
肩のライトは真っ直ぐバイラムを捉えていた。
「すみません、リーシェン少尉。こんな事をお願いしてしまって……」
奈央は出撃前のリーシェンに一つのお願いをした。
もしも森宮一明ならば分かる物があるので試して欲しい、と。
「いや、構わん。だが、攻撃を仕掛けてきたら……」
「はい、その時はお願いします」
リーシェンはバイラムに向かって光信号を送った。キラキラと輝く光線が顔に向かって照射されるとバイラ
ムはその動きを止めた。
「もしも、あなたが”バイラム”ではなく”一明さん”ならこれがなんなのか理解できるはずです」
奈央はじっと黄龍から放たれた光を見つめた。ただひたすら祈るように……。
今から数年前。一明と中学生の奈央は夜の公園に来ていた。
「さて、今日は宇宙で遭難した時の事を教えよう」
「はい、一明さん」
奈央は敬礼のポーズを取る。別に軍人ではないのだが宇宙飛行士は危険な職業である以上、消防団や警察の
ような敬礼を覚えさせられることが多かった。敬礼は規律行動の第一歩であると奈央は教わった。
「さて、宇宙では距離感がつかめないし、声は届かない。空気が無いから煙なんて出ないし大きな音は聞こえないんだ」
「じゃあ、どうすれば良いんですか?」
「光信号を使うんだ」
そう言って奈央に懐中電灯を渡した。奈央はカチカチとスイッチを押したり消したりするして点くのを確か
めると一明の方へと視線を向けた。
「光信号? モールス信号とは違うんですか?」
「モールス信号は一文字一文字打つから時間がかかったりする。そのせいで時間制限がある宇宙ではあまり使
われないんだ。助けて!なんていう前に空気が無くなったなんて言ったらシャレにならないからね」
光信号はライトを振る、点滅させる、回すなどを組み合わせて行う物なのだがこの公園でそんな事をすれば
近所迷惑になってしまう。その為、かなり簡略化された光信号を使って交信をすることにしたのだ。
「そうなんですか、なるほど」
したり顔で奈央は頷くが全く理解をしていなかった。
夏の風が吹き抜ける中、二人は懐中電灯のスイッチを入れた。光を空に向かって放つと一直線に空へと昇っていく。
「では実習をしてみよう。あの高台から懐中電灯を使って光信号をやってみてくれないか? やり方はこの紙に書いてある」
「はい、一明さん」
奈央は一明から紙を手渡されると一目散に指定された高台へと走っていった。
「さて、今日は宇宙で遭難した時の事を教えよう」
「はい、一明さん」
奈央は敬礼のポーズを取る。別に軍人ではないのだが宇宙飛行士は危険な職業である以上、消防団や警察の
ような敬礼を覚えさせられることが多かった。敬礼は規律行動の第一歩であると奈央は教わった。
「さて、宇宙では距離感がつかめないし、声は届かない。空気が無いから煙なんて出ないし大きな音は聞こえないんだ」
「じゃあ、どうすれば良いんですか?」
「光信号を使うんだ」
そう言って奈央に懐中電灯を渡した。奈央はカチカチとスイッチを押したり消したりするして点くのを確か
めると一明の方へと視線を向けた。
「光信号? モールス信号とは違うんですか?」
「モールス信号は一文字一文字打つから時間がかかったりする。そのせいで時間制限がある宇宙ではあまり使
われないんだ。助けて!なんていう前に空気が無くなったなんて言ったらシャレにならないからね」
光信号はライトを振る、点滅させる、回すなどを組み合わせて行う物なのだがこの公園でそんな事をすれば
近所迷惑になってしまう。その為、かなり簡略化された光信号を使って交信をすることにしたのだ。
「そうなんですか、なるほど」
したり顔で奈央は頷くが全く理解をしていなかった。
夏の風が吹き抜ける中、二人は懐中電灯のスイッチを入れた。光を空に向かって放つと一直線に空へと昇っていく。
「では実習をしてみよう。あの高台から懐中電灯を使って光信号をやってみてくれないか? やり方はこの紙に書いてある」
「はい、一明さん」
奈央は一明から紙を手渡されると一目散に指定された高台へと走っていった。
数十分後、奈央はライト片手に一明のところへと戻ってきた。
「どうですか? 光信号、上手くいきましたか?」
「うぅぅぅん」
期待に目を輝かせて聞いてくるが一明は腕を組んで眉をひそめた。
「だ、ダメでしたか?」
「駄目っていうわけじゃないけど最後のがちょっとねぇ」
「最後の方?」
最後の方と言われ、奈央は首をかしげる。一通り伝え終わったら……最後は……。
「あっ!」
「そう、終わったらライトを消すんじゃなくて相手に向け続けること。灯りが切れてないことを相手に知らせ
ないと何があったかわからないからね。それに距離感を掴む為に光を照らし続けるんだ」
「そうだったんだ! あーあー!」
思わず頭を抱えてしまう。そんな奈央を見ながら思わず笑い出す一明。
「はっはっはっ、もっと頑張りたまえ。未来の宇宙飛行士くん」
「はーい」
「どうですか? 光信号、上手くいきましたか?」
「うぅぅぅん」
期待に目を輝かせて聞いてくるが一明は腕を組んで眉をひそめた。
「だ、ダメでしたか?」
「駄目っていうわけじゃないけど最後のがちょっとねぇ」
「最後の方?」
最後の方と言われ、奈央は首をかしげる。一通り伝え終わったら……最後は……。
「あっ!」
「そう、終わったらライトを消すんじゃなくて相手に向け続けること。灯りが切れてないことを相手に知らせ
ないと何があったかわからないからね。それに距離感を掴む為に光を照らし続けるんだ」
「そうだったんだ! あーあー!」
思わず頭を抱えてしまう。そんな奈央を見ながら思わず笑い出す一明。
「はっはっはっ、もっと頑張りたまえ。未来の宇宙飛行士くん」
「はーい」
黄龍の光信号が終わるとそのまま光を消さず、向けている。
「一明さん……この光信号、あなたが初めて教えてくれたことなんですよ」
バイラムは光に向かって手を伸ばす、だが……。
「!?」
まるで狂ったかのように黄龍に向かって急接近してきた。
「何!?」
あまりの事にリーシェンは急旋回をする。だが、バイラムはそのまま黄龍の目の前を素通りをして横に回転
をしていた。 動きが明らかにおかしかった。
普段のバイラムとは違い剣を振り回すような戦いではなく非効率的に拳を振るってきたのだ。それだけじゃ
ない、飛び方もおかしく、まるで道化師のような動作を繰り返してきた。手足を回転させ、首が縦横無尽に振
られ、近くに浮んでいる戦艦の破片に対して何度もパンチをした。
「水原、こいつは……」
「とにかく応戦してください」
焦りを含んだリーシェンの言葉になおも少し戸惑いながら迎撃を指示する。
背面のバーニアを光らせ一気に接近するとバイラムもこちらに気づき、向かってくる。
「はぁぁぁ!」
バイラムに向けて拳を叩き込もうとする、だがバイラムはそれをかわした。まるでコントのバレリーナのよ
うに両手を挙げてくるくるを回りながらあらぬ方向へと飛んでいった。
「一体なんだ?」
そして近くの隕石に近付くと大剣をふるって石を砕き始めた。
「馬鹿にしているのか!?」
最も普段のバイラムとは違った戦い方に戸惑いながらもリーシェンは再び構えを取り直し、向かっていった。
リーシェンの方に意識を向けたバイラムは同じようにそれにあわせたかのように拳を突きたてた。
「見切った!」
飛んでくる拳をかわし、逆に黄龍の拳が顔を捉える。金属のぶつかるが怯んだ様子は見えなかった。再び黄
龍に向かってくるが素早く下に避けると腕に付いている手錠をバイラムに取り付けた。
「悪いが紐決闘で負けた事は一度も無いぞ!」
紐決闘とはお互いの腕と腕を紐で結び殴りあうシンプルな決闘方法である。軍事訓練の一巻としてやらされ
るのだがリーシェンは一度も膝を付くことなく相手を倒し続けた経歴があった。
「来い!」
叫びと同時にバイラムが向かってくる。お互いの拳が顔を捉えたものの退く事は無かった。
「やるな!」
今度は顔に蹴りを叩き込もうとするが素早く下へ飛んでいく。
「くっ!」
くっ付いた紐のせいで黄龍も下に引っ張られる。そしてそのまま左に急旋回をするとまるで渦を作るかのよ
うに回り始めた。
「くぅぅ!」
慣性の法則でコックピットに重力がかかる。しかし、やられるばかりのリーシェンではない。脚部に収納さ
れている小型機関銃を手に取りバイラムに向けて撃ち出した。だがバイラムには当然のように効果は無く、振
り回されるばかりであった。
ここまでバイラムとの差があるとは!
苦い顔をしながら照準を少しずらした。
「仕方が無い!」
再び銃器を構えるとバイラムと繋いだ紐を断ち切る。切られた衝撃で勢い良く飛んでいくがすぐさま体勢を
立て直すとすぐさま急接近をする。
「貰った!」
黄龍の拳がバイラムの顔面を捉えた。が、少し仰け反らせただけであり、返って冷静さを取り戻してしまった。
その証拠に先ほどのような奇行はなりを潜め、再び足に取り付けてある剣を手に取った。構えも正常で先ほど
と同じだった。
「大型剣は隙が多いぞ!」
叫びを聞いていたのか分からないが大きく振りかざし黄龍を裁とうとする。がリーシェンが言った通り隙が大
きい為、一向に当たらなかった。ひたすら乱暴に振るい、黄龍のを切り裂こうとしてきた。
「ふん!」
飛んできた斬撃をギリギリのところでかわし、ローリングソバットの要領で回し蹴りをバイラムの左甲に叩き
こむとバイラムから剣が放れた。その隙を見逃さず、今度は腕を掴み一気に締め上げた。
「今度は前回のようには行くまい!」
そう、黄龍の力はおおよそ玄武の倍。コウシュンのを振りほどく為に前回は力を入れて無理矢理外そうとす
るが今回はほぼ同じだ、力で壊すことは出来ない。
だが、今回のバイラムも以前のバイラムとは違った。
「なっ!?」
締め上げていた腕を外すと素早く上に移動する。バイラムの背面から鋭い刃が飛び出していた。もしあのま
ま締め上げていたら槍で串刺しになっていただろう。
「味な真似をしてくれる!」
口調からは苛立ちは無かった。むしろこの状況でバイラムの焦りという物が見えてきたようだ。
「悪いがこのまま!」
黄龍を一気に接近させ、さらに攻撃を加えようとする。が、バイラムは既に剣を手に取っていた。
「上等だ!」
黄龍の腰にある槍を組み立てるとバイラムの胸を目掛け一直線に突く。だが、バイラムには剣を使わず別の
武器で応対をした。どこからともなく光が一直線に向かって来た。
「なっ!?」
思わず螺旋状に飛んでかわした。バイラムの小脇に小さなビームカノンが在った。まるで針のように小さい
経口だったがもし受けていれば黄龍の装甲を軽く撃ち抜くだろう。その証拠に先ほど、避けるタイミングが遅
かったせいで黄龍の顔の脇に小さな穴が開いていた。
「流石、バイラムと言ったところか……」
三度目の手合わせでバイラムの力を再認識する。リーシェンには森宮一明と言う人物がどういう人物か分か
らないが少なくとも目の前にいるPMを軽々扱える技量に恐怖と敬意を覚えた。
「だがこれまでだ!」
黄龍は槍を組み立てバイラムに接近すると何度も突いた。胸、腹、顔。しかしバイラムはそれを丁寧にかわ
す。最小限の動きでギリギリの所で通り抜けさせる姿は芸術的とも言えた。そして大きく横に振ってバイラム
を吹き飛ばそうとするがバイラムはそれを剣で受け止めた。剣と槍がぶつかり合うと火花が散り、重苦しい衝
撃がコックピットに伝わってきた。
「まだまだ!」
リーシェンは余裕の表情でバイラムへ攻撃を続ける。一方のバイラムは何度も攻撃を受けたせいなのかどこ
と無く疲労が見え隠れしていた。もしもパイロットがいるなら、の話だが。
黄龍が一気に接近するとバイラムは大剣を構えたがすかさずフェイントをかけ、横につくと肩に向かって思
い切り蹴りを叩き込む。その衝撃で再びバイラムの剣が手から離れた。
「もらった!」
バイラム目掛け槍の一撃を浴びせようとする。しかし、逆に懐に入り込み黄龍の顔に頭突きを叩き込んできた。
その際、手から離れた剣を掴み、そのまま大きく切り伏せようとする。
「なにぃ!?」
コックピットに衝撃が走る。が、黄龍は倒れなかった。仰け反りながらも身体を掴むとわき腹を目掛け、膝蹴
りを叩き込む。そしてそのまま拳を叩き込んだ。
これに驚いたのか、黄龍の胸を思い切り蹴り付けて無理矢理身体を解放するとまるで逃げるかのように去っていた。
「リーシェン少尉、大丈夫ですか?」
通信機から奈央の声が聞こえてくる。リーシェンはヘルメットを外すと口元を軽く拭った。指先に赤いもの
が見える。軽く口の中を切ってしまったらしい。
「問題ない! このまま奴を追撃する!」
「待ってください! コウシュン隊長たちと合流してください」」
「隊長が?」
そういうとコウシュンの乗る玄武がやってきた。地上戦の装備とはまったく違い後ろにはかなり大型なブー
スターが付いている。これは朱雀のエンジンを二つ付けた特注品であった。それだけではない、後ろには第八
空陸大隊の面々がいた。
「すまん、遅れたな」
「いえ! それよりもバイラムの追撃を!」
リーシェンの進言に頷くとすぐさま奈央へと通信を送った。
「そうだな、これよりバイラム追撃に移る! 水原、奴はどこへ?」
「ポイント六八七です」
「了解、これより第八空陸大隊はバイラムを追撃する!」
号令高らかにバイラムが逃げ去ったポイントに向けて飛んでいく。
「一明さん……この光信号、あなたが初めて教えてくれたことなんですよ」
バイラムは光に向かって手を伸ばす、だが……。
「!?」
まるで狂ったかのように黄龍に向かって急接近してきた。
「何!?」
あまりの事にリーシェンは急旋回をする。だが、バイラムはそのまま黄龍の目の前を素通りをして横に回転
をしていた。 動きが明らかにおかしかった。
普段のバイラムとは違い剣を振り回すような戦いではなく非効率的に拳を振るってきたのだ。それだけじゃ
ない、飛び方もおかしく、まるで道化師のような動作を繰り返してきた。手足を回転させ、首が縦横無尽に振
られ、近くに浮んでいる戦艦の破片に対して何度もパンチをした。
「水原、こいつは……」
「とにかく応戦してください」
焦りを含んだリーシェンの言葉になおも少し戸惑いながら迎撃を指示する。
背面のバーニアを光らせ一気に接近するとバイラムもこちらに気づき、向かってくる。
「はぁぁぁ!」
バイラムに向けて拳を叩き込もうとする、だがバイラムはそれをかわした。まるでコントのバレリーナのよ
うに両手を挙げてくるくるを回りながらあらぬ方向へと飛んでいった。
「一体なんだ?」
そして近くの隕石に近付くと大剣をふるって石を砕き始めた。
「馬鹿にしているのか!?」
最も普段のバイラムとは違った戦い方に戸惑いながらもリーシェンは再び構えを取り直し、向かっていった。
リーシェンの方に意識を向けたバイラムは同じようにそれにあわせたかのように拳を突きたてた。
「見切った!」
飛んでくる拳をかわし、逆に黄龍の拳が顔を捉える。金属のぶつかるが怯んだ様子は見えなかった。再び黄
龍に向かってくるが素早く下に避けると腕に付いている手錠をバイラムに取り付けた。
「悪いが紐決闘で負けた事は一度も無いぞ!」
紐決闘とはお互いの腕と腕を紐で結び殴りあうシンプルな決闘方法である。軍事訓練の一巻としてやらされ
るのだがリーシェンは一度も膝を付くことなく相手を倒し続けた経歴があった。
「来い!」
叫びと同時にバイラムが向かってくる。お互いの拳が顔を捉えたものの退く事は無かった。
「やるな!」
今度は顔に蹴りを叩き込もうとするが素早く下へ飛んでいく。
「くっ!」
くっ付いた紐のせいで黄龍も下に引っ張られる。そしてそのまま左に急旋回をするとまるで渦を作るかのよ
うに回り始めた。
「くぅぅ!」
慣性の法則でコックピットに重力がかかる。しかし、やられるばかりのリーシェンではない。脚部に収納さ
れている小型機関銃を手に取りバイラムに向けて撃ち出した。だがバイラムには当然のように効果は無く、振
り回されるばかりであった。
ここまでバイラムとの差があるとは!
苦い顔をしながら照準を少しずらした。
「仕方が無い!」
再び銃器を構えるとバイラムと繋いだ紐を断ち切る。切られた衝撃で勢い良く飛んでいくがすぐさま体勢を
立て直すとすぐさま急接近をする。
「貰った!」
黄龍の拳がバイラムの顔面を捉えた。が、少し仰け反らせただけであり、返って冷静さを取り戻してしまった。
その証拠に先ほどのような奇行はなりを潜め、再び足に取り付けてある剣を手に取った。構えも正常で先ほど
と同じだった。
「大型剣は隙が多いぞ!」
叫びを聞いていたのか分からないが大きく振りかざし黄龍を裁とうとする。がリーシェンが言った通り隙が大
きい為、一向に当たらなかった。ひたすら乱暴に振るい、黄龍のを切り裂こうとしてきた。
「ふん!」
飛んできた斬撃をギリギリのところでかわし、ローリングソバットの要領で回し蹴りをバイラムの左甲に叩き
こむとバイラムから剣が放れた。その隙を見逃さず、今度は腕を掴み一気に締め上げた。
「今度は前回のようには行くまい!」
そう、黄龍の力はおおよそ玄武の倍。コウシュンのを振りほどく為に前回は力を入れて無理矢理外そうとす
るが今回はほぼ同じだ、力で壊すことは出来ない。
だが、今回のバイラムも以前のバイラムとは違った。
「なっ!?」
締め上げていた腕を外すと素早く上に移動する。バイラムの背面から鋭い刃が飛び出していた。もしあのま
ま締め上げていたら槍で串刺しになっていただろう。
「味な真似をしてくれる!」
口調からは苛立ちは無かった。むしろこの状況でバイラムの焦りという物が見えてきたようだ。
「悪いがこのまま!」
黄龍を一気に接近させ、さらに攻撃を加えようとする。が、バイラムは既に剣を手に取っていた。
「上等だ!」
黄龍の腰にある槍を組み立てるとバイラムの胸を目掛け一直線に突く。だが、バイラムには剣を使わず別の
武器で応対をした。どこからともなく光が一直線に向かって来た。
「なっ!?」
思わず螺旋状に飛んでかわした。バイラムの小脇に小さなビームカノンが在った。まるで針のように小さい
経口だったがもし受けていれば黄龍の装甲を軽く撃ち抜くだろう。その証拠に先ほど、避けるタイミングが遅
かったせいで黄龍の顔の脇に小さな穴が開いていた。
「流石、バイラムと言ったところか……」
三度目の手合わせでバイラムの力を再認識する。リーシェンには森宮一明と言う人物がどういう人物か分か
らないが少なくとも目の前にいるPMを軽々扱える技量に恐怖と敬意を覚えた。
「だがこれまでだ!」
黄龍は槍を組み立てバイラムに接近すると何度も突いた。胸、腹、顔。しかしバイラムはそれを丁寧にかわ
す。最小限の動きでギリギリの所で通り抜けさせる姿は芸術的とも言えた。そして大きく横に振ってバイラム
を吹き飛ばそうとするがバイラムはそれを剣で受け止めた。剣と槍がぶつかり合うと火花が散り、重苦しい衝
撃がコックピットに伝わってきた。
「まだまだ!」
リーシェンは余裕の表情でバイラムへ攻撃を続ける。一方のバイラムは何度も攻撃を受けたせいなのかどこ
と無く疲労が見え隠れしていた。もしもパイロットがいるなら、の話だが。
黄龍が一気に接近するとバイラムは大剣を構えたがすかさずフェイントをかけ、横につくと肩に向かって思
い切り蹴りを叩き込む。その衝撃で再びバイラムの剣が手から離れた。
「もらった!」
バイラム目掛け槍の一撃を浴びせようとする。しかし、逆に懐に入り込み黄龍の顔に頭突きを叩き込んできた。
その際、手から離れた剣を掴み、そのまま大きく切り伏せようとする。
「なにぃ!?」
コックピットに衝撃が走る。が、黄龍は倒れなかった。仰け反りながらも身体を掴むとわき腹を目掛け、膝蹴
りを叩き込む。そしてそのまま拳を叩き込んだ。
これに驚いたのか、黄龍の胸を思い切り蹴り付けて無理矢理身体を解放するとまるで逃げるかのように去っていた。
「リーシェン少尉、大丈夫ですか?」
通信機から奈央の声が聞こえてくる。リーシェンはヘルメットを外すと口元を軽く拭った。指先に赤いもの
が見える。軽く口の中を切ってしまったらしい。
「問題ない! このまま奴を追撃する!」
「待ってください! コウシュン隊長たちと合流してください」」
「隊長が?」
そういうとコウシュンの乗る玄武がやってきた。地上戦の装備とはまったく違い後ろにはかなり大型なブー
スターが付いている。これは朱雀のエンジンを二つ付けた特注品であった。それだけではない、後ろには第八
空陸大隊の面々がいた。
「すまん、遅れたな」
「いえ! それよりもバイラムの追撃を!」
リーシェンの進言に頷くとすぐさま奈央へと通信を送った。
「そうだな、これよりバイラム追撃に移る! 水原、奴はどこへ?」
「ポイント六八七です」
「了解、これより第八空陸大隊はバイラムを追撃する!」
号令高らかにバイラムが逃げ去ったポイントに向けて飛んでいく。
黄龍を振り切るとまた新たな刺客がやってきた。
その名はビスマルク。黒の宇宙に浮んでいる黄色の集団はバイラムに対し銃口を向けている。
「バイラムを発見!」
「悪いけど、警告は無し! みんな、一斉攻撃開始!」
「了解!」
ビスマルクたちは散開をするとバイラムを取り囲んだ。Xパーツを装備した初の実戦だ。自分の性格がモロ
に出る装備であり、負けて言い訳が出来ない装備でもある。
「さてっと……」
コンソールパネルに装備してあるパーツを調べる。Fパーツのミラージュドライブ、Sパーツのブリュー
ナク。Hパーツのハードクラッシャー。Mパーツのオートミサイル。
ファルは軽く深呼吸をする。自分で選んだ物だ、負けるはずがないと自分に言い聞かせる。
そして目の前にいるバイラムを睨みつけるとペダルを踏み込んだ。
「悪いけど、墜させて貰うわ!」
一気に接近をすると小脇に備え付けてあるダガーでバイラムの首元を狙う。
しかし、それを首を振って避ける。がこれはフェイク。
「本物はこっち!」
素早くハードクラッシャー、腰に備え付けてある鉄の杭打ち機を叩き込もうとする。
だが、それを横に蹴り飛ばし今度はお返しとばかりに”針”が飛んでくる。
「くぅ!?」
素早く後退して針を避ける。だが、こちらが怯んだ隙をバイラムは見逃さなかった。
手際良く折りたたみ式のキャノン砲を展開すると素早く番号を入力する。
周りにいる数機のビスマルクに向けるとトリガーを引いた。ビームの雨がビスマルクに向かって飛んできた。
「拡散砲!?」
全員素早く散開する。当たった物はいなかったがキャノン砲の危険性を実感していた。再びバイラムはキャ
ノン砲を構え発砲し、ビスマルクたちをけん制している。
「クソ、あんなのがあったら近づけないぞ!」
「なら、距離を保って一斉掃射!」
「了解」
ファルの言葉に従い距離を保ったまま射撃を開始する。マシンガン、ミサイル、ビームガンなどが一斉に向
かっていく。しかし、バイラムはキャノン砲を背負うとそれらを全て素早い動きで回避していく。
「キャノン砲をしまうのはまだ早い!」
ペダルを踏んで一気に接近するとブリューナクをバイラムに突きを繰り出そうとするが、それを紙一重で行き違う。
「速い!?」
そのままの速度でUターンするががバイラムの方が数倍速かった。
あれだけ重い装備を担いでこのスピード、一体どれだけの推力があるの?
その疑問を確かめようとさらにミサイルで攻撃をする。しかし、それを大剣で真っ二つにしていく。
「ちょっと、おかしくない!?」
そう言いながら再び接近をする。ブリューナクを構えるとバイラムに狙いをつける。
「でぇぇぇぇぇい!」
そして間合いに入ると思い切り振った。刃はバイラムの真正面を捉えていた。だがそれを大剣が阻んだ。
「相変わらず酷い奴ね!」
力を緩めて今度は縦に斬ろうとするがそれも遮られる。距離を取りたいのか一旦後退するバイラムをすぐさま追った。
踏み込みの速度は完全にバイラムの方が上だという事をファルは十分理解していた。
ミラージュドライブを起動させて一気に決着をつけようとする。
だがそれに知っていたかのようにバイラムも剣を振るってきた。
激しい火花が飛び散り、一進一退のつばぜり合いが続く。
斬ろうとすれば避けられ、突こうとすればかわされ、何度も何度もつばぜり合いが行われた。
だが、それは早くも終わりを告げた。
「少尉、下がってください」
通信が入ると一旦後退する。それと同時にミサイルが飛んできた。
「当たれぇぇぇ!」
ファル以外のビスマルクから攻撃を受けた。横から飛んでくるミサイルを避けると上からマインをぶつけら
れた。横に向かって退避しようとすると大きなハンマーで後ろから殴られた。前へ向かおうとすればマシンガ
ンとアサルトライフルが一斉に火を吹き、大剣でそれを防ごうとすれば今度はビームがやってきた。
徐々に、確実にバイラムの装甲は削れていないが身動きが取れないという状況を作り出した。
郷を煮やして背面に背負ったキャノン砲を敵が密集している方へと向ける。
「各機散開!」
その言葉に弾かれたかのよう一斉に散っていく。それを見たバイラムはキャノン砲を動かせなくなってしまった。
接近戦を行えば一斉攻撃を受け、キャノン砲を使おうとすれば効果が薄い。
どっちも着かずになったバイラムはただ戸惑う素振りを見せていた。
「これで決める!」
ブリューナクがバイラムに向けて渾身の突きを繰り出した。すかさず受け止めようとする。
しかしそれを呼んでいたのかファルは素早く転進し別のものを目標にした。
「これでどうよ!」
ビスマルクのブリューナクがバイラムのキャノン砲に突き刺さった。そして素早く引き抜き離脱をするとキ
ャノン砲は眩い光とともに鉄くずになった。
「キャノン砲、破壊! 次は……その追加装甲を剥ぎ取る!」
そのままターンをし、一気に接近するがバイラムにはまだ武器があった。
「大剣!」
バイラムは大剣を掴むと思い切り振った。素早く身をかがめて避けるが頭部の一部が切り裂かれた。
「くぅっ!」
すかさず体勢を立て直しながら脚部につけてあったマシンガンを手に掃射する。ダメージはないが牽制にはなった。
そして止めとばかりに大剣を縦に振るおうとするがビスマルクの前を通り過ぎていった。
「このままじゃ!」
避け続けてるだけじゃ事態は好転しない!
すかさずブリューナクで応戦をする。二対の剣が火花を散らして、再び激しい鍔迫り合いの模様を示している。
だが――。
「エネルギー切れ!?」
ビスマルクの動きがやや鈍くなり、コックピットの明かりが消えた。コントロールは出来るものの先ほどの
ような切れはなくなっていた。軽く舌打ちをすると後退しながら素早くミサイルを叩き込む。
そして素早く離脱をするとバイラムは大剣を担ぎながらいずこもなく去っていった。
「逃げられったってこと?」
若干、安堵しつつも仕留めそこなったことと見逃されたことに苛立ちが隠せなかった。
「大丈夫ですか? 少尉」
後ろから部下のビスマルクが声をかけてきた。
「平気……って言いたい所だけどちょっとエネルギーがそこを尽きたみたい」
「それならエネルギーパックをありますよ」
そう言って腰についている小さなコンテナを展開した。中には袋のような小さな液体が詰まれていた。
これがビスマルクのエネルギー媒体である。これを外のチューブに接続することでエネルギーを補給するのだ。
と言ってもこのパックで回復できるのはせいぜい三十パーセントぐらいなのだが……。
「ありがとう、チャージが終わったら追撃に移るわ。持ってない人に分けてあげなさい」
「了解」
そう言って別のビスマルクのところへと向かった。
その名はビスマルク。黒の宇宙に浮んでいる黄色の集団はバイラムに対し銃口を向けている。
「バイラムを発見!」
「悪いけど、警告は無し! みんな、一斉攻撃開始!」
「了解!」
ビスマルクたちは散開をするとバイラムを取り囲んだ。Xパーツを装備した初の実戦だ。自分の性格がモロ
に出る装備であり、負けて言い訳が出来ない装備でもある。
「さてっと……」
コンソールパネルに装備してあるパーツを調べる。Fパーツのミラージュドライブ、Sパーツのブリュー
ナク。Hパーツのハードクラッシャー。Mパーツのオートミサイル。
ファルは軽く深呼吸をする。自分で選んだ物だ、負けるはずがないと自分に言い聞かせる。
そして目の前にいるバイラムを睨みつけるとペダルを踏み込んだ。
「悪いけど、墜させて貰うわ!」
一気に接近をすると小脇に備え付けてあるダガーでバイラムの首元を狙う。
しかし、それを首を振って避ける。がこれはフェイク。
「本物はこっち!」
素早くハードクラッシャー、腰に備え付けてある鉄の杭打ち機を叩き込もうとする。
だが、それを横に蹴り飛ばし今度はお返しとばかりに”針”が飛んでくる。
「くぅ!?」
素早く後退して針を避ける。だが、こちらが怯んだ隙をバイラムは見逃さなかった。
手際良く折りたたみ式のキャノン砲を展開すると素早く番号を入力する。
周りにいる数機のビスマルクに向けるとトリガーを引いた。ビームの雨がビスマルクに向かって飛んできた。
「拡散砲!?」
全員素早く散開する。当たった物はいなかったがキャノン砲の危険性を実感していた。再びバイラムはキャ
ノン砲を構え発砲し、ビスマルクたちをけん制している。
「クソ、あんなのがあったら近づけないぞ!」
「なら、距離を保って一斉掃射!」
「了解」
ファルの言葉に従い距離を保ったまま射撃を開始する。マシンガン、ミサイル、ビームガンなどが一斉に向
かっていく。しかし、バイラムはキャノン砲を背負うとそれらを全て素早い動きで回避していく。
「キャノン砲をしまうのはまだ早い!」
ペダルを踏んで一気に接近するとブリューナクをバイラムに突きを繰り出そうとするが、それを紙一重で行き違う。
「速い!?」
そのままの速度でUターンするががバイラムの方が数倍速かった。
あれだけ重い装備を担いでこのスピード、一体どれだけの推力があるの?
その疑問を確かめようとさらにミサイルで攻撃をする。しかし、それを大剣で真っ二つにしていく。
「ちょっと、おかしくない!?」
そう言いながら再び接近をする。ブリューナクを構えるとバイラムに狙いをつける。
「でぇぇぇぇぇい!」
そして間合いに入ると思い切り振った。刃はバイラムの真正面を捉えていた。だがそれを大剣が阻んだ。
「相変わらず酷い奴ね!」
力を緩めて今度は縦に斬ろうとするがそれも遮られる。距離を取りたいのか一旦後退するバイラムをすぐさま追った。
踏み込みの速度は完全にバイラムの方が上だという事をファルは十分理解していた。
ミラージュドライブを起動させて一気に決着をつけようとする。
だがそれに知っていたかのようにバイラムも剣を振るってきた。
激しい火花が飛び散り、一進一退のつばぜり合いが続く。
斬ろうとすれば避けられ、突こうとすればかわされ、何度も何度もつばぜり合いが行われた。
だが、それは早くも終わりを告げた。
「少尉、下がってください」
通信が入ると一旦後退する。それと同時にミサイルが飛んできた。
「当たれぇぇぇ!」
ファル以外のビスマルクから攻撃を受けた。横から飛んでくるミサイルを避けると上からマインをぶつけら
れた。横に向かって退避しようとすると大きなハンマーで後ろから殴られた。前へ向かおうとすればマシンガ
ンとアサルトライフルが一斉に火を吹き、大剣でそれを防ごうとすれば今度はビームがやってきた。
徐々に、確実にバイラムの装甲は削れていないが身動きが取れないという状況を作り出した。
郷を煮やして背面に背負ったキャノン砲を敵が密集している方へと向ける。
「各機散開!」
その言葉に弾かれたかのよう一斉に散っていく。それを見たバイラムはキャノン砲を動かせなくなってしまった。
接近戦を行えば一斉攻撃を受け、キャノン砲を使おうとすれば効果が薄い。
どっちも着かずになったバイラムはただ戸惑う素振りを見せていた。
「これで決める!」
ブリューナクがバイラムに向けて渾身の突きを繰り出した。すかさず受け止めようとする。
しかしそれを呼んでいたのかファルは素早く転進し別のものを目標にした。
「これでどうよ!」
ビスマルクのブリューナクがバイラムのキャノン砲に突き刺さった。そして素早く引き抜き離脱をするとキ
ャノン砲は眩い光とともに鉄くずになった。
「キャノン砲、破壊! 次は……その追加装甲を剥ぎ取る!」
そのままターンをし、一気に接近するがバイラムにはまだ武器があった。
「大剣!」
バイラムは大剣を掴むと思い切り振った。素早く身をかがめて避けるが頭部の一部が切り裂かれた。
「くぅっ!」
すかさず体勢を立て直しながら脚部につけてあったマシンガンを手に掃射する。ダメージはないが牽制にはなった。
そして止めとばかりに大剣を縦に振るおうとするがビスマルクの前を通り過ぎていった。
「このままじゃ!」
避け続けてるだけじゃ事態は好転しない!
すかさずブリューナクで応戦をする。二対の剣が火花を散らして、再び激しい鍔迫り合いの模様を示している。
だが――。
「エネルギー切れ!?」
ビスマルクの動きがやや鈍くなり、コックピットの明かりが消えた。コントロールは出来るものの先ほどの
ような切れはなくなっていた。軽く舌打ちをすると後退しながら素早くミサイルを叩き込む。
そして素早く離脱をするとバイラムは大剣を担ぎながらいずこもなく去っていった。
「逃げられったってこと?」
若干、安堵しつつも仕留めそこなったことと見逃されたことに苛立ちが隠せなかった。
「大丈夫ですか? 少尉」
後ろから部下のビスマルクが声をかけてきた。
「平気……って言いたい所だけどちょっとエネルギーがそこを尽きたみたい」
「それならエネルギーパックをありますよ」
そう言って腰についている小さなコンテナを展開した。中には袋のような小さな液体が詰まれていた。
これがビスマルクのエネルギー媒体である。これを外のチューブに接続することでエネルギーを補給するのだ。
と言ってもこのパックで回復できるのはせいぜい三十パーセントぐらいなのだが……。
「ありがとう、チャージが終わったら追撃に移るわ。持ってない人に分けてあげなさい」
「了解」
そう言って別のビスマルクのところへと向かった。
そしてキャノンを失ったバイラムは辺りを見渡す。敵がいない事を確認すると動きを止めた。
内部チェックをしているのか、やたらと各部位が激しく点滅をしていた。
「見つけたぞ、バイラム!」
そんな状態だろうと敵がやってくる。今度は三機の騎士団が現れた。
「二人とも、準備は良いか?」
「こちらアルフレッド、各部異常なし!」
「こちらレイア、問題ありません!」
送られて来る声にボルスは不敵な笑みを浮かべた。声の感じから戦意を感じ取ったようだ。
「まずは私が囮となる。二人は好機と思ったらすぐに攻撃をしろ!」
「了解」
パラディンが先頭を切ってバイラムに接近する。
それに答えるかのようにバイラムもパラディン目掛け向かっていく。
「くらえぇ!」
パラディンの槍がバイラムの顔を狙うがそれをかわすと大剣を横に振るってきた。
「あまい!」
素早く下に避けると今度は足を払おうとするが飛んでくる槍を場にして大きく前転した。そしてそのまま踵
落しを叩き込もうとする。だが、素早く後ろに後退すると一気に接近して再びバイラムを突くが向こうもそれ
を軽く避けた。
「さすが、と言ったところか!」
お互いに間合いを取り直すとボルスはバイラムの手並みに感心した。
「だが、そちらは一機。こちらには……仲間がいる!」
そう言ってトリガーを引いた。追加装備のミサイルがバイラムに向かって飛んでいく。
それを難なく大剣で切り捨てる。だが、斬ったミサイルからピンク色のバルーンが飛び出した。
再び切り捨てようとするがバルーンはまるでガムのように張り付いた。
「今だ!」
「バイラム、覚悟!」
背面から槍を構えた二機のナイツがバイラムの胸を目掛け飛んでいく。
存在に気がつき、素早く避けようとするが。バルーンのせいか思ったより動けない。下手に動けば身動きが
取れないのを考えているようだった。
「うおおおおお!」
「くらええええ!」
アルとレイのナイツがバルーンを切り裂きながら突っ込んでくる。バイラムは焦る様子もなく最小限の
動きでかわそうとする。だが、一瞬判断が遅れたらしく槍はバイラムの両肩を貫いた。
ケントの理論が正しいことを証明した瞬間であったが、辺りが浅かったのかそのまま追加装甲を外しただけであった。
その証拠にアルとレイが槍を引き抜くと普段のバイラムの肩が見えた。槍の先には先ほどの追加装甲が付いている。
「しまった!」
すぐさま距離を取り、間合いを計る。バイラムの機動性ならここからすぐに追撃をするのだが今回に限って
そのような事は何一つなかった。
「す、すみません」
アルが申し訳なさそうな声をあげるがボルスは上機嫌な声で言った。
「気にする必要はない! このまま確実にバイラムにダメージを与えていくぞ!」
「了解!」
「了解です!」
追加装甲を失ったとしてもバイラムの獰猛さは健在であった。
接近をすれば大剣が振るわれる。距離を置けば装甲を貫く針が飛んでくる。大剣を裁いたとしても小脇のビー
ムガンが確実に仕留めようとする。だが、確実に距離を縮め、隙を見せれば槍で攻撃をする。
単調な行動だが一歩間違えれば死を招く。
「好敵手と認めてくれるのは嬉しいが貴様はあまりにも兵を殺しすぎた!」
飛んでくる剣を槍で裁きながらバイラムの隙をうかがう。そして槍が鋭い閃光のように突き上げた。
針の発射装置と思われる、胸の装甲が剥がれ落ちたのだった。
「まだまだ!」
アルとレイがビームガンを潰し、背面の追加装甲を剥ぎ取った。だが、これでバイラムが倒れたわけではない。
すかさず手に持っている大剣でパラディンを縦に両断しようとする。だがそれを呼んでいたボルスは素早く横に避けた。
「でぇぇぇぇい!」
そして槍で剣の峰を叩くと重い手応えとともに折れた。破片が宙を舞い、折れた刃はナイツが素早く回収をした。
「これで貴様の負けは確定したぞ!」
槍を突きつけながらボルスは吼えた。
それと同時に、まるで嗅ぎつけたかのようにリーシェンたちAUAの面々がやってきた。
ファル達、ビスマルク隊もバイラムの周りを囲んでいた。
ついにバイラムがその姿を現した。そしていつもの様に剣と携えて、PM達を睨みつけてきた。
「ついに本体が出てきたな……」
「これで、決着を付ける!」
「あの時の借り、返させて貰うわ!」
全員がバイラムに対し視線を送る。が、バイラムのほうもなにやら雰囲気が違った。
自分の身体をわなわなと震えてさせている。大きく深呼吸をするかのように肩が動いていた。
そして身体に何かが浮かび上がる。まるで血管が浮き出たかのように赤い線が手に、足に、身体中に浮かび
上がった。そして、ディスプレイに文字が浮かび上がった。玄武にも、黄龍にも、ビスマルクにも、パラディ
ン、ナイツにも全く同じ文字が映し出された。その文字とは――。
内部チェックをしているのか、やたらと各部位が激しく点滅をしていた。
「見つけたぞ、バイラム!」
そんな状態だろうと敵がやってくる。今度は三機の騎士団が現れた。
「二人とも、準備は良いか?」
「こちらアルフレッド、各部異常なし!」
「こちらレイア、問題ありません!」
送られて来る声にボルスは不敵な笑みを浮かべた。声の感じから戦意を感じ取ったようだ。
「まずは私が囮となる。二人は好機と思ったらすぐに攻撃をしろ!」
「了解」
パラディンが先頭を切ってバイラムに接近する。
それに答えるかのようにバイラムもパラディン目掛け向かっていく。
「くらえぇ!」
パラディンの槍がバイラムの顔を狙うがそれをかわすと大剣を横に振るってきた。
「あまい!」
素早く下に避けると今度は足を払おうとするが飛んでくる槍を場にして大きく前転した。そしてそのまま踵
落しを叩き込もうとする。だが、素早く後ろに後退すると一気に接近して再びバイラムを突くが向こうもそれ
を軽く避けた。
「さすが、と言ったところか!」
お互いに間合いを取り直すとボルスはバイラムの手並みに感心した。
「だが、そちらは一機。こちらには……仲間がいる!」
そう言ってトリガーを引いた。追加装備のミサイルがバイラムに向かって飛んでいく。
それを難なく大剣で切り捨てる。だが、斬ったミサイルからピンク色のバルーンが飛び出した。
再び切り捨てようとするがバルーンはまるでガムのように張り付いた。
「今だ!」
「バイラム、覚悟!」
背面から槍を構えた二機のナイツがバイラムの胸を目掛け飛んでいく。
存在に気がつき、素早く避けようとするが。バルーンのせいか思ったより動けない。下手に動けば身動きが
取れないのを考えているようだった。
「うおおおおお!」
「くらええええ!」
アルとレイのナイツがバルーンを切り裂きながら突っ込んでくる。バイラムは焦る様子もなく最小限の
動きでかわそうとする。だが、一瞬判断が遅れたらしく槍はバイラムの両肩を貫いた。
ケントの理論が正しいことを証明した瞬間であったが、辺りが浅かったのかそのまま追加装甲を外しただけであった。
その証拠にアルとレイが槍を引き抜くと普段のバイラムの肩が見えた。槍の先には先ほどの追加装甲が付いている。
「しまった!」
すぐさま距離を取り、間合いを計る。バイラムの機動性ならここからすぐに追撃をするのだが今回に限って
そのような事は何一つなかった。
「す、すみません」
アルが申し訳なさそうな声をあげるがボルスは上機嫌な声で言った。
「気にする必要はない! このまま確実にバイラムにダメージを与えていくぞ!」
「了解!」
「了解です!」
追加装甲を失ったとしてもバイラムの獰猛さは健在であった。
接近をすれば大剣が振るわれる。距離を置けば装甲を貫く針が飛んでくる。大剣を裁いたとしても小脇のビー
ムガンが確実に仕留めようとする。だが、確実に距離を縮め、隙を見せれば槍で攻撃をする。
単調な行動だが一歩間違えれば死を招く。
「好敵手と認めてくれるのは嬉しいが貴様はあまりにも兵を殺しすぎた!」
飛んでくる剣を槍で裁きながらバイラムの隙をうかがう。そして槍が鋭い閃光のように突き上げた。
針の発射装置と思われる、胸の装甲が剥がれ落ちたのだった。
「まだまだ!」
アルとレイがビームガンを潰し、背面の追加装甲を剥ぎ取った。だが、これでバイラムが倒れたわけではない。
すかさず手に持っている大剣でパラディンを縦に両断しようとする。だがそれを呼んでいたボルスは素早く横に避けた。
「でぇぇぇぇい!」
そして槍で剣の峰を叩くと重い手応えとともに折れた。破片が宙を舞い、折れた刃はナイツが素早く回収をした。
「これで貴様の負けは確定したぞ!」
槍を突きつけながらボルスは吼えた。
それと同時に、まるで嗅ぎつけたかのようにリーシェンたちAUAの面々がやってきた。
ファル達、ビスマルク隊もバイラムの周りを囲んでいた。
ついにバイラムがその姿を現した。そしていつもの様に剣と携えて、PM達を睨みつけてきた。
「ついに本体が出てきたな……」
「これで、決着を付ける!」
「あの時の借り、返させて貰うわ!」
全員がバイラムに対し視線を送る。が、バイラムのほうもなにやら雰囲気が違った。
自分の身体をわなわなと震えてさせている。大きく深呼吸をするかのように肩が動いていた。
そして身体に何かが浮かび上がる。まるで血管が浮き出たかのように赤い線が手に、足に、身体中に浮かび
上がった。そして、ディスプレイに文字が浮かび上がった。玄武にも、黄龍にも、ビスマルクにも、パラディ
ン、ナイツにも全く同じ文字が映し出された。その文字とは――。
KILL YOU