D型鋼機D-40 グレリーナ・コックピット。
クーガの大声はスピーカー越しにミナの鼓膜に大打撃を与えていた。
「あー耳がキンキンする、もっと音量下げて喋ろう?」
からかいがいがあって中々に可愛いものだとミナは思う。
名誉騎士と聞いてどんな奴が来るのかと思っていたのだが、思いのほかまとも、いや、ある種抜けている奴で面白い。
それがクーガへのミナの評価であった。
「あのな―――」
クーガが言葉を続けようとしたその時、レーダーが音を鳴らす。
さきほどまでの軽い空気と違う、重たい空気が一気に流れる。
妖魔の反応だ。
「数は24、獣種の群だ、目的地についたみたいだな。」
「把握、打ち合わせ通りに落としてくれればいいよ。」
「了解、でも本当にこれでやるのか?フライトユニットもなしに・・・。」
ミナは深呼吸する。
ここからはミスが許されない。
心を冷たく細く保つ。
今から赴くのはその気構えが必要な戦場だ。
「問題ない、あたしのグレリーナに不可能は無いからね。」
ミナはそうただ強い力をこめて言い放った。
クーガの大声はスピーカー越しにミナの鼓膜に大打撃を与えていた。
「あー耳がキンキンする、もっと音量下げて喋ろう?」
からかいがいがあって中々に可愛いものだとミナは思う。
名誉騎士と聞いてどんな奴が来るのかと思っていたのだが、思いのほかまとも、いや、ある種抜けている奴で面白い。
それがクーガへのミナの評価であった。
「あのな―――」
クーガが言葉を続けようとしたその時、レーダーが音を鳴らす。
さきほどまでの軽い空気と違う、重たい空気が一気に流れる。
妖魔の反応だ。
「数は24、獣種の群だ、目的地についたみたいだな。」
「把握、打ち合わせ通りに落としてくれればいいよ。」
「了解、でも本当にこれでやるのか?フライトユニットもなしに・・・。」
ミナは深呼吸する。
ここからはミスが許されない。
心を冷たく細く保つ。
今から赴くのはその気構えが必要な戦場だ。
「問題ない、あたしのグレリーナに不可能は無いからね。」
ミナはそうただ強い力をこめて言い放った。
種別によるが大体において妖魔達は耳と鼻がいい。
2000m程度ならばその鼻と耳で敵が来たのを察知してしまう。
だが圧倒的な戦力差を覆すためには寝首をかく奇襲しか手は無かった。
ゆえにこの殲滅戦にて発案されたのは高度10000mからの鋼機の投下による奇襲。
だが、これをフライトユニットも無くパラシュートのみでこれを行うのは非常識な事であった。
当然ながら鋼機は十数tの重さを誇る。
これによる重力の加速をパラシュートだけで落としきるのはかなりの早い段階でパラシュートを散開しなければ機体を無事に地上に降ろすことは出来ない。
安全確保の為には最低でも900m、搭乗者の安全性を最大限吟味するならば1200mの時点で散開するのが望ましい。
だが、これでは妖魔に気づかれてしまい、奇襲は成功しない事になってしまう。
よって外付けのフライトユニットを使いもっと降下した所でブースターの逆噴射による減速をかけるのだが、フライトユニットは使い捨てのものであり、
シャドウミラージュでのストックも少なく今回は未使用という事になった。
この話を聞いたとき、クーガとセイムはグレイルにいくらなんでも、
無茶だミナの身を案じて抗議したのだが、ミナが自分からいけると言い出したのとカタリナも可能だといったゆえにパラシュートのみで行く事になった。
高度700mでのパラシュート散開により減速を行い、減速、着地後、即座に奇襲、20数体と予測される妖魔を倒す。
これがこの作戦の内容だった。
つまりはミナはこれから理論上は可能というレベルのウルトラCに望む事になる。
暗闇に包まれた夜であるが故に着地の難易度をさらにあげていた。
空が雲に覆われておらず月灯りがあるのが、不幸中の幸いと言った所だ。
もし常識的な考えをする人間がこれを見たならばこんな事をする人間は自殺志願者だといわれてもおかしくは無い。
高度10000mまで降下した輸送機は鋼機、後部のハッチを開く。
グレリーナ内のミナに通信が入る。
「ミナ、いけるな。」
確認するようにクーガは言った。
「誰に聞いている。」
ミナの声色が棘棘しくなっているようにクーガは感じた。
これから行う事に集中しているのだろう。
何か景気付けの文句の一つでも言っておこうと思っていたのだが、今は、その集中を乱さないよう余計な事は言わない方がいいとクーガは判断した。
「あと降下まで30秒だ。」
「了解。」
2000m程度ならばその鼻と耳で敵が来たのを察知してしまう。
だが圧倒的な戦力差を覆すためには寝首をかく奇襲しか手は無かった。
ゆえにこの殲滅戦にて発案されたのは高度10000mからの鋼機の投下による奇襲。
だが、これをフライトユニットも無くパラシュートのみでこれを行うのは非常識な事であった。
当然ながら鋼機は十数tの重さを誇る。
これによる重力の加速をパラシュートだけで落としきるのはかなりの早い段階でパラシュートを散開しなければ機体を無事に地上に降ろすことは出来ない。
安全確保の為には最低でも900m、搭乗者の安全性を最大限吟味するならば1200mの時点で散開するのが望ましい。
だが、これでは妖魔に気づかれてしまい、奇襲は成功しない事になってしまう。
よって外付けのフライトユニットを使いもっと降下した所でブースターの逆噴射による減速をかけるのだが、フライトユニットは使い捨てのものであり、
シャドウミラージュでのストックも少なく今回は未使用という事になった。
この話を聞いたとき、クーガとセイムはグレイルにいくらなんでも、
無茶だミナの身を案じて抗議したのだが、ミナが自分からいけると言い出したのとカタリナも可能だといったゆえにパラシュートのみで行く事になった。
高度700mでのパラシュート散開により減速を行い、減速、着地後、即座に奇襲、20数体と予測される妖魔を倒す。
これがこの作戦の内容だった。
つまりはミナはこれから理論上は可能というレベルのウルトラCに望む事になる。
暗闇に包まれた夜であるが故に着地の難易度をさらにあげていた。
空が雲に覆われておらず月灯りがあるのが、不幸中の幸いと言った所だ。
もし常識的な考えをする人間がこれを見たならばこんな事をする人間は自殺志願者だといわれてもおかしくは無い。
高度10000mまで降下した輸送機は鋼機、後部のハッチを開く。
グレリーナ内のミナに通信が入る。
「ミナ、いけるな。」
確認するようにクーガは言った。
「誰に聞いている。」
ミナの声色が棘棘しくなっているようにクーガは感じた。
これから行う事に集中しているのだろう。
何か景気付けの文句の一つでも言っておこうと思っていたのだが、今は、その集中を乱さないよう余計な事は言わない方がいいとクーガは判断した。
「あと降下まで30秒だ。」
「了解。」
深呼吸をする音。
先ほどまで話していた、人をおちょくったような気質が今の彼女からは感じられない。
いや、むしろこれが本来、ミナの姿なのかもしれないなとクーガは思った。
「カウント、10・・・・・・9・・・・・8・・・・・・7・・・・・・6・・・・・・」
クーガは静かにカウントを読む。
「5・・・・・・4・・・・・・3・・・・・・2・・・・・・1。」
「じゃあ、行って来る。」
ミナの乗った真紅の鋼機グレリーナはハッチから飛び出した。
機体にはその真紅を覆うように紺色の摩擦軽減用のコートが被せられている。
全長13mの機影は大地に向けて重力による加速を始める。
先ほどまで話していた、人をおちょくったような気質が今の彼女からは感じられない。
いや、むしろこれが本来、ミナの姿なのかもしれないなとクーガは思った。
「カウント、10・・・・・・9・・・・・8・・・・・・7・・・・・・6・・・・・・」
クーガは静かにカウントを読む。
「5・・・・・・4・・・・・・3・・・・・・2・・・・・・1。」
「じゃあ、行って来る。」
ミナの乗った真紅の鋼機グレリーナはハッチから飛び出した。
機体にはその真紅を覆うように紺色の摩擦軽減用のコートが被せられている。
全長13mの機影は大地に向けて重力による加速を始める。
高度…8000…5000…4000…3000
機体は順調に加速していき、鋼機としては軽量とはいえ12tほどの重量を誇るそれはすぐさま最高速度まで達する。
真紅の機体を覆う紺色のコートは暗闇に溶け込みすぐに暗闇の中に溶けて言った。
クーガは機器から送られてくる情報だけでグレリーナの降下状況を追う。
真紅の機体を覆う紺色のコートは暗闇に溶け込みすぐに暗闇の中に溶けて言った。
クーガは機器から送られてくる情報だけでグレリーナの降下状況を追う。
高度…2000…1700…1500…1200…1000
残り1000を切った。
クーガは息を呑む。
ここからがグレリーナに乗るミナの真価が問われる所である。
失敗すれば機体ごとその反動で破壊され死亡するのは免れないだろう。
たった1度のチャンス。
クーガは息を呑む。
ここからがグレリーナに乗るミナの真価が問われる所である。
失敗すれば機体ごとその反動で破壊され死亡するのは免れないだろう。
たった1度のチャンス。
高度…900…800…700…650…
「おい!!」
クーガが大声で叫んだ。
予定では安全性を鑑みて高度700の時点でパラシュートを展開する予定だったからだ。
だが、なんのグレリーナは何の挙動も起こさない。
クーガの背筋に嫌な悪寒が走る。
確かに、可能性としては700mでの散開では着地までに妖魔に気づかれる可能性がある理想を言うならば、もっと低い地点での着地が望ましい。
だが、それはあまりにも危険、否、命を投げ出すような行為だ。
地上まで残り500mを切ったがグレリーナは何の挙動も起こさず降下していく。
クーガが大声で叫んだ。
予定では安全性を鑑みて高度700の時点でパラシュートを展開する予定だったからだ。
だが、なんのグレリーナは何の挙動も起こさない。
クーガの背筋に嫌な悪寒が走る。
確かに、可能性としては700mでの散開では着地までに妖魔に気づかれる可能性がある理想を言うならば、もっと低い地点での着地が望ましい。
だが、それはあまりにも危険、否、命を投げ出すような行為だ。
地上まで残り500mを切ったがグレリーナは何の挙動も起こさず降下していく。
・・・480・・・450・・・400・・・380・・・
この瞬間、グレリーナは背部のパラシュートユニットを展開した。
グレリーナは大地に向けて減速を始める。
だが最高速度に達したその機体には減速しきるまでの時間が足りないのは明白だった。
グレリーナは大地に向けて減速を始める。
だが最高速度に達したその機体には減速しきるまでの時間が足りないのは明白だった。
・・・300・・・250・・・200・・・
クーガはモニターでグレリーナの降下速度を確認する…。
減速しきれてない・・・。
速度の安全領域に達するにはやはり距離が足りないのだ。
この速度のまま大地に着地すれば機体はその反動で破壊されるだろう。
減速しきれてない・・・。
速度の安全領域に達するにはやはり距離が足りないのだ。
この速度のまま大地に着地すれば機体はその反動で破壊されるだろう。
・・・150・・・100・・・50・・・20・・・10・・・
そしてグレリーナは大地に衝突した・・・。
それと同時に大きな土煙を起こす。
その場で眠っていた妖魔達はその音で覚醒した。
妖魔の群たちの前に大きな音が鳴り響くと同時に砂煙が上がった。
眠っていた妖魔達は目を覚まし、何事かとその音の聞こえた方を向いた。
獣種と呼ばれる妖魔は鼻が利く、ゆえに何が近くに来たのかを即座に理解した。
金属が熱を帯びた独特の匂い。
妖魔達もよく知る匂いだ。
そう妖魔達が目的としていたものがそこにいるのだ。
自分たちに歯向かう為に下等生物が作り上げた忌々しい兵器。
砂埃が消え、その姿が妖魔達の眼前に現れはじめる。
そこには紅蓮のように紅い一の鋼が月夜の光を浴びて立っている。
その姿はあまりに妖しげでかつ美しかった。
それと同時に大きな土煙を起こす。
その場で眠っていた妖魔達はその音で覚醒した。
妖魔の群たちの前に大きな音が鳴り響くと同時に砂煙が上がった。
眠っていた妖魔達は目を覚まし、何事かとその音の聞こえた方を向いた。
獣種と呼ばれる妖魔は鼻が利く、ゆえに何が近くに来たのかを即座に理解した。
金属が熱を帯びた独特の匂い。
妖魔達もよく知る匂いだ。
そう妖魔達が目的としていたものがそこにいるのだ。
自分たちに歯向かう為に下等生物が作り上げた忌々しい兵器。
砂埃が消え、その姿が妖魔達の眼前に現れはじめる。
そこには紅蓮のように紅い一の鋼が月夜の光を浴びて立っている。
その姿はあまりに妖しげでかつ美しかった。
その戦場から東方の崖の上に一人の男がいた。
男は黒いフードと道化のような仮面を被っている。
その男はこれから起こる事を観察するように見ていた。
砂埃の中から現れた紅蓮のシルエットを見て黒いフードの男はそう呟く。
「なるほど、この戦場にシャドウミラージュが切ってきたカードは彼女でしたか・・・。出来れば閃刃の方を拝みたかったのですが、これはこれで興味深い。ミナ・ザ・マリオネッター、噂に名高きその妙技とくと拝見させて頂こう・・・。」
男は黒いフードと道化のような仮面を被っている。
その男はこれから起こる事を観察するように見ていた。
砂埃の中から現れた紅蓮のシルエットを見て黒いフードの男はそう呟く。
「なるほど、この戦場にシャドウミラージュが切ってきたカードは彼女でしたか・・・。出来れば閃刃の方を拝みたかったのですが、これはこれで興味深い。ミナ・ザ・マリオネッター、噂に名高きその妙技とくと拝見させて頂こう・・・。」
その光景にクーガ・ラグナグは心底、驚嘆する。
グレリーナの特性も勿論だが、それ以上にミナの操縦技術にだ。
本来ならば大破しているグレリーナがそこにいる筈だった。
だが、ミナはグレリーナが大地に着地する瞬間に足、膝、腰、肩、肘、手と次々と衝撃を受けるポイント変え、着地時に受ける衝撃を受け流したのだ。
これを人間がやるのならばまだ理解はできるのだが、鋼機でやったという事は脅威的な事であった。
無論、これは通常の鋼機には不可能な事だろう。
それを可能にするには度を超えた柔軟性が必要だ、そして、それこそがあのグレリーナの機体特性なのだろう。
真紅の機体を視認した妖魔達は威嚇するように大きく吼える。
彼らに油断は無い。
おそらくはかの妖魔グラスを倒したほどの実力を持つのだから・・・。
ゆえに全力で殺しにかかる。
24の妖魔、48の瞳が真紅の機体に襲いかかろうとしたその時、その真紅は右手を空にかざした。
その瞬間だった、妖魔達の内の二体が全身から血しぶきをあげて倒れたのだ。
妖魔達は血しぶきをあげて倒れた同胞を見る。
それは輪切りにされ数多の肉片に変えられていた。
妖魔達には何が起こったか理解できていない。
目の前の敵は攻撃するような素振りすら見せなかったのだ。
たかだか手を上にあげただけ。
それだけだった。
妖魔達は即座に理解する、それが目の前の敵の攻撃なのだと・・・。
だが、何故・・・。
いや、考えるな。
この数、この量、戦況は圧倒的に有利ではないか。
妖魔達は己を激する。
グレリーナは今度は左腕を横になぎ払うように動かす。
それと同時にまた同胞たちが2、3と体から血飛沫をあげて倒れていく。
だが、その攻撃で妖魔達は確信した。
眼前の敵は一度の攻撃で己ら全てを倒すような攻撃を使う事はないと・・・。
グレリーナの特性も勿論だが、それ以上にミナの操縦技術にだ。
本来ならば大破しているグレリーナがそこにいる筈だった。
だが、ミナはグレリーナが大地に着地する瞬間に足、膝、腰、肩、肘、手と次々と衝撃を受けるポイント変え、着地時に受ける衝撃を受け流したのだ。
これを人間がやるのならばまだ理解はできるのだが、鋼機でやったという事は脅威的な事であった。
無論、これは通常の鋼機には不可能な事だろう。
それを可能にするには度を超えた柔軟性が必要だ、そして、それこそがあのグレリーナの機体特性なのだろう。
真紅の機体を視認した妖魔達は威嚇するように大きく吼える。
彼らに油断は無い。
おそらくはかの妖魔グラスを倒したほどの実力を持つのだから・・・。
ゆえに全力で殺しにかかる。
24の妖魔、48の瞳が真紅の機体に襲いかかろうとしたその時、その真紅は右手を空にかざした。
その瞬間だった、妖魔達の内の二体が全身から血しぶきをあげて倒れたのだ。
妖魔達は血しぶきをあげて倒れた同胞を見る。
それは輪切りにされ数多の肉片に変えられていた。
妖魔達には何が起こったか理解できていない。
目の前の敵は攻撃するような素振りすら見せなかったのだ。
たかだか手を上にあげただけ。
それだけだった。
妖魔達は即座に理解する、それが目の前の敵の攻撃なのだと・・・。
だが、何故・・・。
いや、考えるな。
この数、この量、戦況は圧倒的に有利ではないか。
妖魔達は己を激する。
グレリーナは今度は左腕を横になぎ払うように動かす。
それと同時にまた同胞たちが2、3と体から血飛沫をあげて倒れていく。
だが、その攻撃で妖魔達は確信した。
眼前の敵は一度の攻撃で己ら全てを倒すような攻撃を使う事はないと・・・。
ならば問題ない。
24の我々の内、たかだか4の同胞がやられただけだ、ならば我々の量がモノを言う。
そして殺された同胞の分まで奴をえぐり殺してやればいい。
そうして妖魔達はいっせいに襲いかかる。
それを感知してグレリーナは両腕妖魔の方に向けた。
また、何かをするつもりなのだろう。
だが、構うな敵は恐らくはかのグラス公を殺したモノ。
元より、被害を受けず倒せる等と思ってはいない。
残りの距離約30歩。
我々がそれだけの距離を走破し奴に我らの中の1個体が牙が突き刺させばいい。
だから、どのような攻撃を仕掛けてこようと―――
残り20歩。
この戦いは我らの勝利だ!
残り10歩。
その間合いに入り込んだ瞬間、グレリーナーは前に突き出した両腕を後ろに引き上げた。
妖魔達はその瞬間、自らの体に何かがまとわりつく感覚を覚える。
だが、構わない。
今何かされようとも攻めきれば――
残り5歩。
そしてグレリーナは手を握り締めるように閉じた。
その瞬間、15の妖魔達は次々と、血飛沫を上げて倒れていった。
24の我々の内、たかだか4の同胞がやられただけだ、ならば我々の量がモノを言う。
そして殺された同胞の分まで奴をえぐり殺してやればいい。
そうして妖魔達はいっせいに襲いかかる。
それを感知してグレリーナは両腕妖魔の方に向けた。
また、何かをするつもりなのだろう。
だが、構うな敵は恐らくはかのグラス公を殺したモノ。
元より、被害を受けず倒せる等と思ってはいない。
残りの距離約30歩。
我々がそれだけの距離を走破し奴に我らの中の1個体が牙が突き刺させばいい。
だから、どのような攻撃を仕掛けてこようと―――
残り20歩。
この戦いは我らの勝利だ!
残り10歩。
その間合いに入り込んだ瞬間、グレリーナーは前に突き出した両腕を後ろに引き上げた。
妖魔達はその瞬間、自らの体に何かがまとわりつく感覚を覚える。
だが、構わない。
今何かされようとも攻めきれば――
残り5歩。
そしてグレリーナは手を握り締めるように閉じた。
その瞬間、15の妖魔達は次々と、血飛沫を上げて倒れていった。
生き残った妖魔達はその一瞬で自らの同胞が一斉に倒れていくのにパニックを起こした。
そう何が起こったのかわからない。
何故あれだけの動作で我々の仲間たちが死ぬ、殺される、蹂躙される。
いくら人間達のあの鋼の鎧を用いたところで、1:1で闘っても我々のが分がいいのがほとんどなのだ。
どれほど強くてもこれだけの数でたった一人の人間などに敗れる事などはありえない。
これは人間側のみならず妖魔側としても周知の事実であった。
ならば目の前にいるのは何だ。
体が震える。
刃を体につき立てられたわけでもない、矢で射たれたわけでもない、火器で体を貫かれたわけでもない。
ならばこの震えはなんだ?
ただあの腕を振り上げるだけで仲間たちは次々と息絶えていく。
何故だという疑問が妖魔達を支配する。
そしてその疑問が恐怖と化している。
また、その真紅がその腕を振り上げた時に2の同胞が倒れる。
そしてその敵はまだその場所に降り立ってから一歩たりとも動いていない。
次々と転がり落ちる同胞の肉片。
辺り中に妖魔の血の匂いが充満し、それと同時に肉が焼け焦げた匂いがする。
それと同時に妖魔達の目は一つの事に気づく。
さきほどは暗闇に隠れて見えていなかったが匂いを得る事で気づいた、血にぬれた赤いラインが宙を舞っているのだ。
血の付いたラインはその身に付いた血を焼き蒸発させている。
その妖魔はその眼と鼻で無数のライン出所を追う。
グレリーナはまた腕を振り上げる。
ゆるやかにしなやかに妖艶に・・・。
妖魔達の視線がそこに集まる。
そして妖魔達がそのラインの全てがグレリーナの指先から出ていることに気づいた時。
既にその妖魔の体には複数のラインが絡みついており。
そのラインはグレリーナが手を握り締めた腕を後ろに引くと同時に妖魔の体を切り落とした。
この間、グレリーナが大地に降り立ってから2分32秒の出来事であった。
そう何が起こったのかわからない。
何故あれだけの動作で我々の仲間たちが死ぬ、殺される、蹂躙される。
いくら人間達のあの鋼の鎧を用いたところで、1:1で闘っても我々のが分がいいのがほとんどなのだ。
どれほど強くてもこれだけの数でたった一人の人間などに敗れる事などはありえない。
これは人間側のみならず妖魔側としても周知の事実であった。
ならば目の前にいるのは何だ。
体が震える。
刃を体につき立てられたわけでもない、矢で射たれたわけでもない、火器で体を貫かれたわけでもない。
ならばこの震えはなんだ?
ただあの腕を振り上げるだけで仲間たちは次々と息絶えていく。
何故だという疑問が妖魔達を支配する。
そしてその疑問が恐怖と化している。
また、その真紅がその腕を振り上げた時に2の同胞が倒れる。
そしてその敵はまだその場所に降り立ってから一歩たりとも動いていない。
次々と転がり落ちる同胞の肉片。
辺り中に妖魔の血の匂いが充満し、それと同時に肉が焼け焦げた匂いがする。
それと同時に妖魔達の目は一つの事に気づく。
さきほどは暗闇に隠れて見えていなかったが匂いを得る事で気づいた、血にぬれた赤いラインが宙を舞っているのだ。
血の付いたラインはその身に付いた血を焼き蒸発させている。
その妖魔はその眼と鼻で無数のライン出所を追う。
グレリーナはまた腕を振り上げる。
ゆるやかにしなやかに妖艶に・・・。
妖魔達の視線がそこに集まる。
そして妖魔達がそのラインの全てがグレリーナの指先から出ていることに気づいた時。
既にその妖魔の体には複数のラインが絡みついており。
そのラインはグレリーナが手を握り締めた腕を後ろに引くと同時に妖魔の体を切り落とした。
この間、グレリーナが大地に降り立ってから2分32秒の出来事であった。
それは圧倒的な光景だった。
たった一機の鋼機の前に24の妖魔の妖魔が数多の肉片と化して転がっている。
もはやこれは驚異的な戦果というようなレベルすら超越してしまっているような光景だった。
輸送機で空からその一様を見ていたクーガはその結末に固唾で息を呑む。
恐らくはあの赤いライン、言い換えるならば鋼線のようなものを扱いグレリーナは闘ったのだろう。
グレリーナが行ったのは自分が先の戦いにてスラッシュゲイルで行ったワイヤークローを使った戦闘法の応用のようなものだ。
応用といえば楽だが、その実やった事のレベルがまったく違う。
ワイヤーギミックは通常鋼機の両腕に搭載されるものであるが、この機体は違う。
グレリーナは両手の五指から出る鋼線を自在に操ったのだ。
そもそもワイヤークローは攻撃用の中距離武器であり、クロー部分を対象に射出し突き刺すといったような兵装だ。
だが、グレリーナのワイヤーは根本から違うのだろう。
妖魔の体毛は硬く、並大抵の火器では貫けないようになっている。
つまりはワイヤーを妖魔の体に巻きつけて引いた所で、妖魔の体を、ああも簡単に切断する事はできない。
カメラ越しに測定される膨大な熱量から察するに、ワイヤー部分に高熱を持たせる事によってその熱で切断するという仕組みになっていたのだろう。
理屈はわかるが、それを操るという事は生半可な事では無い。
そしてそれを扱うために徹底的な軽量化と柔軟性への追及、それを行われた機体があのグレリーナだろう。
そして何よりも驚異的なのはあれを操縦したミナだった。
一見、ミナは圧倒的な機体性能と操縦技術で妖魔達を倒したように見えるが、実際の所それだけでは無い。
むしろそれだけならば今頃彼女は妖魔達にその体に牙をつきたてられていただろう。
だが、そうなる事は無かった。
これは何故か?
言うだけならば簡単だ。
彼女は戦場を操作し、妖魔達をもまるでマリオネットのように操ったのだ。
全てはその戦いにおける演出とでもいうべきか。
グレリーナが大地に着地してからその地点から動いていない。
そう、自分から妖魔達の方へと向かい攻撃したということは無いのだ。
つまるところ、こういう事だ。
まず、射程内の妖魔数体を高熱ワイヤーにて斬殺し、注意を己に引きつけた。
そして、自分に突撃してくるように仕向ける。
ここで重要なのが一見怒涛の攻めを行っていたように見えた彼女は実際は守りの布陣をしいたという事だ。
そう、つまりは彼女は自身を囮とし、鋼線による結界とでもいうべき網に妖魔達を誘いこんだのだ。
おそらくは紅という目立つカラーリングを採用しているのも機体自身を囮として注目を引きつけ、その武器であるワイヤーの存在から注意、逸らす為のものなのだろう。
そうして、あとは網に引っかかってしまえばあとは容易いものだった。
引っかかった鋼線を巧みに操り妖魔達の肉体を切断、解体。
あとはその光景に戦意を失った妖魔達を倒すだけでいい。
これがこの戦いの全貌だった。
「おーい、聞こえてる?クーガっち。」
その一声でクーガはミナから通信が入っていたのに気づく。
「なんだ?ミナ。」
「なんだもこうだも無いよ、早くあたしを迎えに来い。」
「了解した。」
クーガは輸送機の機体を地上に向ける。
「あと、3分以内のノルマをやったからね、約束守れよなー。」
「えーと、今か?」
少し困ったようにクーガは告げた。
「んー、疲れたから、帰り道でいいよー。」
「わかったよ。」
何を聞かれるのか、それを考えるだけでクーガはお先真っ暗な状況を思い描き、これから待ち受ける未来に向けてため息をついた。
たった一機の鋼機の前に24の妖魔の妖魔が数多の肉片と化して転がっている。
もはやこれは驚異的な戦果というようなレベルすら超越してしまっているような光景だった。
輸送機で空からその一様を見ていたクーガはその結末に固唾で息を呑む。
恐らくはあの赤いライン、言い換えるならば鋼線のようなものを扱いグレリーナは闘ったのだろう。
グレリーナが行ったのは自分が先の戦いにてスラッシュゲイルで行ったワイヤークローを使った戦闘法の応用のようなものだ。
応用といえば楽だが、その実やった事のレベルがまったく違う。
ワイヤーギミックは通常鋼機の両腕に搭載されるものであるが、この機体は違う。
グレリーナは両手の五指から出る鋼線を自在に操ったのだ。
そもそもワイヤークローは攻撃用の中距離武器であり、クロー部分を対象に射出し突き刺すといったような兵装だ。
だが、グレリーナのワイヤーは根本から違うのだろう。
妖魔の体毛は硬く、並大抵の火器では貫けないようになっている。
つまりはワイヤーを妖魔の体に巻きつけて引いた所で、妖魔の体を、ああも簡単に切断する事はできない。
カメラ越しに測定される膨大な熱量から察するに、ワイヤー部分に高熱を持たせる事によってその熱で切断するという仕組みになっていたのだろう。
理屈はわかるが、それを操るという事は生半可な事では無い。
そしてそれを扱うために徹底的な軽量化と柔軟性への追及、それを行われた機体があのグレリーナだろう。
そして何よりも驚異的なのはあれを操縦したミナだった。
一見、ミナは圧倒的な機体性能と操縦技術で妖魔達を倒したように見えるが、実際の所それだけでは無い。
むしろそれだけならば今頃彼女は妖魔達にその体に牙をつきたてられていただろう。
だが、そうなる事は無かった。
これは何故か?
言うだけならば簡単だ。
彼女は戦場を操作し、妖魔達をもまるでマリオネットのように操ったのだ。
全てはその戦いにおける演出とでもいうべきか。
グレリーナが大地に着地してからその地点から動いていない。
そう、自分から妖魔達の方へと向かい攻撃したということは無いのだ。
つまるところ、こういう事だ。
まず、射程内の妖魔数体を高熱ワイヤーにて斬殺し、注意を己に引きつけた。
そして、自分に突撃してくるように仕向ける。
ここで重要なのが一見怒涛の攻めを行っていたように見えた彼女は実際は守りの布陣をしいたという事だ。
そう、つまりは彼女は自身を囮とし、鋼線による結界とでもいうべき網に妖魔達を誘いこんだのだ。
おそらくは紅という目立つカラーリングを採用しているのも機体自身を囮として注目を引きつけ、その武器であるワイヤーの存在から注意、逸らす為のものなのだろう。
そうして、あとは網に引っかかってしまえばあとは容易いものだった。
引っかかった鋼線を巧みに操り妖魔達の肉体を切断、解体。
あとはその光景に戦意を失った妖魔達を倒すだけでいい。
これがこの戦いの全貌だった。
「おーい、聞こえてる?クーガっち。」
その一声でクーガはミナから通信が入っていたのに気づく。
「なんだ?ミナ。」
「なんだもこうだも無いよ、早くあたしを迎えに来い。」
「了解した。」
クーガは輸送機の機体を地上に向ける。
「あと、3分以内のノルマをやったからね、約束守れよなー。」
「えーと、今か?」
少し困ったようにクーガは告げた。
「んー、疲れたから、帰り道でいいよー。」
「わかったよ。」
何を聞かれるのか、それを考えるだけでクーガはお先真っ暗な状況を思い描き、これから待ち受ける未来に向けてため息をついた。
戦場から東方の崖の上。
黒いフードを被った髑髏仮面(スカルマスク)の男はその始終を見て考察する。
目の前で広がっているのはたった一機の鋼機にその体を切断された妖魔たちの群れの残骸。
これは、そう普通ならばありえない光景、ありえない勝利、ありえない偉業。
だが、それを可能にするモノを髑髏仮面は知っていた。
「つまらんものを使う。」
髑髏仮面はそう、ため息をつく。
つまらない。
こんなものを見たかったのでは無い。
その声には期待を裏切られたとでもいうような響きがあった。
黒いフードを被った髑髏仮面(スカルマスク)の男はその始終を見て考察する。
目の前で広がっているのはたった一機の鋼機にその体を切断された妖魔たちの群れの残骸。
これは、そう普通ならばありえない光景、ありえない勝利、ありえない偉業。
だが、それを可能にするモノを髑髏仮面は知っていた。
「つまらんものを使う。」
髑髏仮面はそう、ため息をつく。
つまらない。
こんなものを見たかったのでは無い。
その声には期待を裏切られたとでもいうような響きがあった。
「――そうかな?」
そういって後ろから髑髏仮面に語りかける男がいた。
風貌は黒髪の長髪に黒眼、細身で白いシャツの上に茶色の皮製のジャンパーを羽織っている。
髑髏仮面はその男を見て驚いた後、即座に身構え、腰にある刀剣に手をかけた。
一触即発とでもいったような空気が回りに流れる。
「あれは覚悟があるから使っているんだ、そしてそれが何を意味するかも知っている。つまらんものと吐き捨てる程、安いものでは無いんだよ、まったく。」
「神出鬼没とは聞いていたが、まさか、こんな所で会うことになるとは思ってはいなかったよ、グレイル・レイスター。」
「人を驚かせるのが好きでね―――というのは冗談で実のところあいつらがちょっと心配になって見に来たんだが、お前を見つけた時は驚いたよ。しかし、その仮面は何だ?道化傀儡の真似事か?柄でもない。」
グレリーナが輸送機に収容されるのを見送りつつグレイルは言った。
「答える義務は無いですね。それよりも王国鋼騎士の最高位『天聖騎士』に名を連ねる男がなんのようですか?」
「そうだな……お前を捕らえに来たというとどうする?」
グレイルが静かに、それでいて威圧するように言った。
「これは、これは怖い、王国最強を自他ともに認められるあなたにかかれば、私など、あなたに相打ちをしかけるのが精一杯でしょう。」
「ほう、相打ちね…ガキが言うじゃないか…。」
その時、髑髏仮面の腰にあった通信機の音が鳴った。
《――今どこにいる?》
無線から声が聞こえてくる。
その声はボイスチェンジャーで変換された機械的な声になっていた。
「呼んでるみたいだな、出なくていいのか?」
髑髏仮面は嘲笑するような声をあげた後――
「そうですね、それではおさらばです、また会いましょう。」
刀剣の帯を引っ張っりあげ、深々とお辞儀し、崖から飛び降りた。
「何を!!」
グレイルは追う。
当然ながら200mはあるだろう高さから飛び降りれば普通の人間ならば死んでしまう。
だが、髑髏仮面は違った大地に向かって降下したかと思うとその途中で静止したのだ。
地面に落ちるのでもなく、崖に何かを引っ掛けてぶらさがっているのでもなく、そう文字通り空中に浮いていた。
それと同時に大きな何かのエンジンが駆動する音が鳴り響くのをグレイルは聞いた。
「さあ、さあ、さあ、おいで、おいで、我が死神よ。」
今まで何も無かった筈の空間に少しずつ黒く着色がされていく…それは少しずつ大きな人型を模りだし――鋼機と化す。
それはまるで最初からそこにいたかのように存在していた。
全長は14mぐらいだろうか…全身を覆う黒色の重装甲が特徴で威圧感を放つ、武装は見える限りには両腰にある大型の刀のみに見えた。
それはかつてグレイルが古代史の物語で読んだムシャといわれる存在を連想させる。
そして、その黒い鋼機の右の手のひらには髑髏仮面が立っていた。
「これは………まさか…ステルスシステムか!!」
グレイルは驚きの声をあげる。
最近、王国の鋼機技術局で新考案されたリアルタイムで光学処理を鋼機に施すステルスシステムだが多くのディールダインの使用が必要とされまだ研究があまり進んでいなかった。
そう、だからおかしいのだ。
そのようなシステムを搭載している鋼機がD型以外にある事自体が…。
だが、心当たりがある。
そう、それはつまりはあの組織の―――
「覚えておくといい、グレイル・レイスター!これがDシリーズを超える究極の鋼機DD(ダブルディー)シリーズだ!!」
髑髏仮面はグレイルに指差しそう言い放ち、黒い機体と共に去っていく。
その姿を眺め、もの哀しい感傷に浸った後、グレイルは静かに呟いた。
「まだ続けるつもりなのか…あの日の復讐を…。」
風貌は黒髪の長髪に黒眼、細身で白いシャツの上に茶色の皮製のジャンパーを羽織っている。
髑髏仮面はその男を見て驚いた後、即座に身構え、腰にある刀剣に手をかけた。
一触即発とでもいったような空気が回りに流れる。
「あれは覚悟があるから使っているんだ、そしてそれが何を意味するかも知っている。つまらんものと吐き捨てる程、安いものでは無いんだよ、まったく。」
「神出鬼没とは聞いていたが、まさか、こんな所で会うことになるとは思ってはいなかったよ、グレイル・レイスター。」
「人を驚かせるのが好きでね―――というのは冗談で実のところあいつらがちょっと心配になって見に来たんだが、お前を見つけた時は驚いたよ。しかし、その仮面は何だ?道化傀儡の真似事か?柄でもない。」
グレリーナが輸送機に収容されるのを見送りつつグレイルは言った。
「答える義務は無いですね。それよりも王国鋼騎士の最高位『天聖騎士』に名を連ねる男がなんのようですか?」
「そうだな……お前を捕らえに来たというとどうする?」
グレイルが静かに、それでいて威圧するように言った。
「これは、これは怖い、王国最強を自他ともに認められるあなたにかかれば、私など、あなたに相打ちをしかけるのが精一杯でしょう。」
「ほう、相打ちね…ガキが言うじゃないか…。」
その時、髑髏仮面の腰にあった通信機の音が鳴った。
《――今どこにいる?》
無線から声が聞こえてくる。
その声はボイスチェンジャーで変換された機械的な声になっていた。
「呼んでるみたいだな、出なくていいのか?」
髑髏仮面は嘲笑するような声をあげた後――
「そうですね、それではおさらばです、また会いましょう。」
刀剣の帯を引っ張っりあげ、深々とお辞儀し、崖から飛び降りた。
「何を!!」
グレイルは追う。
当然ながら200mはあるだろう高さから飛び降りれば普通の人間ならば死んでしまう。
だが、髑髏仮面は違った大地に向かって降下したかと思うとその途中で静止したのだ。
地面に落ちるのでもなく、崖に何かを引っ掛けてぶらさがっているのでもなく、そう文字通り空中に浮いていた。
それと同時に大きな何かのエンジンが駆動する音が鳴り響くのをグレイルは聞いた。
「さあ、さあ、さあ、おいで、おいで、我が死神よ。」
今まで何も無かった筈の空間に少しずつ黒く着色がされていく…それは少しずつ大きな人型を模りだし――鋼機と化す。
それはまるで最初からそこにいたかのように存在していた。
全長は14mぐらいだろうか…全身を覆う黒色の重装甲が特徴で威圧感を放つ、武装は見える限りには両腰にある大型の刀のみに見えた。
それはかつてグレイルが古代史の物語で読んだムシャといわれる存在を連想させる。
そして、その黒い鋼機の右の手のひらには髑髏仮面が立っていた。
「これは………まさか…ステルスシステムか!!」
グレイルは驚きの声をあげる。
最近、王国の鋼機技術局で新考案されたリアルタイムで光学処理を鋼機に施すステルスシステムだが多くのディールダインの使用が必要とされまだ研究があまり進んでいなかった。
そう、だからおかしいのだ。
そのようなシステムを搭載している鋼機がD型以外にある事自体が…。
だが、心当たりがある。
そう、それはつまりはあの組織の―――
「覚えておくといい、グレイル・レイスター!これがDシリーズを超える究極の鋼機DD(ダブルディー)シリーズだ!!」
髑髏仮面はグレイルに指差しそう言い放ち、黒い機体と共に去っていく。
その姿を眺め、もの哀しい感傷に浸った後、グレイルは静かに呟いた。
「まだ続けるつもりなのか…あの日の復讐を…。」
【3話 エピローグに続く。】
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