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明 翔

 『闇の洞窟』の内部は名の通り、一寸先も闇だった。
 明かりを灯す魔法を封じ込めた術符を持ってきてはいたが、枚数に制限があるため心もとない…。こういう時魔法が使えたら苦労しねえのになあ、なんて出来もしないことを望む自分がいる。

 「・・・・・・・」

 その時焦げ落ちた音を立てながら術符から光が消えた。どこまでも広がる真っ暗闇。自分に深いため息をつきながら、仕方なしに少しずつ底をついていく術符を切った。今日は妙にツイてない。早いところ『白夜樹』の在り処を見つけなければならないっていうのに…。
 ハアと一回大きくため息をついて、その分息を吸い込んだ。落ち込んでる暇はない。帰ったら俺には当面の生活ができる金が待っている…!
 ――と、意気込んで顔をあげた先に待っていたのは王道の別れ道だった。



 「………あーーーッ!」

 さすがに挫けた。うなだれた。これほど未知数なダンジョンに入り込んだのは久々だ。
 大抵はギルドの資料にダンジョンの所在地・危険度・マップ・特産品の在り処が載っているのに、マップは載っていたが、『白夜樹』の情報は手に入らなかった。
 「樹自体が眉つばもんか?、違約金目当ての詐欺だったら薬草学者の野郎、血祭りだな…」

 しかし『樹』というからにはそれなりの酸素と日光を必要として生きてるんじゃないか?なんて普段あんまり使わない脳細胞で考え、俺は冒険の心得として、指を口に含み左右の道からの風を確かめた。
 ――――差はあまり分からない。

 今日は正直厄日かもしれない。戻りてえーー…なんて後ろ向きな事を考えていたとき、ふと洞窟の地面に妙な窪みを見つけた。それは光源の強さで妙に強調されている―――なんだ?と、よくよく顔を近づけてみると、どうみても人の足跡だった。
 そういえば…洞窟へ向かう途中の道で、黒髪の男がマルーンの方に歩いてたな…。奴の痕跡か?いや…待て、妙に足跡の数が多い…一人二人のもんじゃなさそうだ。


 「先行してる連中がいんのかよ……面倒なことになりそうだな…」

 先行者の影を感じながら、俺は分かれ道を自分の直感が導くほうへと進んだ。

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最終更新:2011年08月15日 03:51