盲愛(めくらのあい)

 私の心は何時だって、薔薇の森の中に囚われていた。
芳しい香りが常に私の嗅覚を喜ばせる。空から燦々と降り注ぐ柔らかな陽の光が私の心を躍らせる。
何処に行っても薔薇があり、何処に行っても光が満ちる。私を遮る障害物も、私の行く手を阻む敵もなく。
薔薇も、香りも、地面も、光も、空も。その全てが、私の好きな人物。この、天国のような牢獄は、何時だって私の心を離さなかった。私自身も、離れる気もなかった。

 ――習さま。
私の光。私の誇り。そして、私の大事な人。
喰種の中でも尊い血筋の者でありながら、私達は勿論、下等なヒトにすら、私達に向けるような笑みを以って接する、慈悲深いお方。
何れ月山家を継ぐ者でありながら、分家筋の私にも目を掛け大恩を与えて下さった、尊敬すべきお方。
……ロゼヴァルト家再興の為、兄達の代わりとして、男として今後は振る舞おうと誓った私の中に、隠し過ぎて錆び付いた『女』を目覚めさせた人。

 私の罪は、習さまの快復を本心から望まなかった事。習さまが治らなければ、あの安寧が自分の物になり続けると少しでも思ってしまった事。
だから私は、薔薇の森の中に不自然に転がっていた、林檎の果実の匂いに堪えられなかった。林檎を齧った私は化物になり、勝手に暴走し。
そして、罰が下された。快復しなければ良いと思っていた大切な人は、Borg(豚野郎)の赫子からルナ・エクリプスの屋上から投げ捨てられ、その命を終えようとしていた。
私だけが、死ぬ訳じゃなかった。私の犯した罪に下される罰、それに、大切な人が巻き込まれようとしている。
Rose(薔薇)を枯らせる訳には行かなかった。Sonne(太陽)を冷やしてはならないと思った。Licht(光)を、決してはならないと叫んだ。
喰種とは思えぬ化物に埋め込まれた力のせいで、私のものではない何かが頭の中に住み、それが囁き掛けているように頭の中が混濁していた私の思考は、習さまをどうにかしたいと言う一心で、彼と共に屋上から飛び降りた。

 もう、私は習さまと共に終わる。今まで彼に合わせて日本語で話していた私は、思いの丈を、母国の言葉で、世界に刻んだ。
家族に、習さまに赦しを乞い、彼への愛を叫び、そして、わがままだと思いつつも、私の本当の名前を呼んでくれと。烏滸がましいと思いながらも絶叫する。
私が、どれ程醜い喰種であったのか。それを、あの人に伝える為に。私は、全てを洗いざらい、己の口から――

「――Keine Sorge.」

 私は――

「Niemand wird dich bestrafen」

 私――

「Karren」

 全ての力を振り絞り、赫子を作り、習さまを安全な所まで投げ飛ばす私。
遠くで習さまが、今まで私に見せた事もない、必死な表情で叫んでいる。私の名前を、何度も、何度も。

 頭の中で囁き続ける誰かが、習さまの言葉に殺される。私の心をとらえ続けていた薔薇の森園が消え失せ、下から上に流れて行く高層ビルの風景へと様変わりする。
何て、私は馬鹿だったのだろう。醜い独占欲など、抱き続ける必要はなかったのだ。隠し通す必要性も、なかったのだ。
ただ、素直であれば良い。それだけで、良かったのだ。そうすれば、優しい習さまは、私に何かを示してくれたかもしれないのだ。
どうしようもなく私は愚かで、その愚かさのせいで、不幸な事も多かった一生だったけれど。幸福もあったのだ。
ああ、あれだけの罪を犯したと言うのに。あれだけ醜かったと言うのに。私……、こんな幸せでいいのかしら。
こんな幸福に包まれたまま死ねるなんて、私――――――――――――――――――――。



 『カナエ=フォン・ロゼヴァルト』の一生は、こうして終わった。死因は、高層ビルからの転落死。
喰種と言う種族的特徴故に頑丈で、五体は砕け散っておらず、喰種としての形を留めている。その死に顔は、壮絶な死に方とは裏腹に、とても安らかな物だったと言う。

 ◆

 冬木大橋の高架下で、カナエは、夜の星空を見上げていた。
夜の空は、好きだった。頻度こそ稀だが、月山と共に、夜の空を窓越しに見上げながら、読書や珈琲を嗜んだり、夜空の下でバイオリンを演奏して見せた事を、
カナエは思い出していた。彼女にとって、一番幸福だった時期の事を、この冬木の街で思い出す。

 空の広さは、ドイツでも日本でも平等だった。何処でも空は変わらない。星の配置も、きっと同じなのだろう。
だが、この街は断じて、カナエの元居た日本ではあり得なかった。無論それが、カナエが今わの際に手にしていた星座のカード、
それが彼女の脳裏に刻み込んだ、聖杯戦争及びそれに付随する知識によって得た情報から理解している、と言う事もある。
しかしそれ以上に、この世界には、カナエが元居た世界では常識であった者達がいないのである。そう、此処には喰種がいない。
此処はきっと、初めから人しかいない世界だったのだろう。それとも、人が喰種を全て駆逐しきった世界なのかもしれない。
どちらにしても、この世界においてカナエ=フォン・ロゼヴァルトと言う喰種は、完全なる異物である事を、彼女自身は認識していた。

「……」

 考えるカナエ。
当初は、孤独だと思った。この世界には月山は勿論、その父である観母も、松前を初めとした月山家の使用人、果ては、
自分と同じ喰種すら存在しない。真実カナエは、この世界におけるたった一人の希少種になってしまったのだ。

 ――だがこれは、逆を言えば好機なのではないかと思っていた。
喰種と人間の運動能力の差は、子供ですら即座に、喰種の方が遥かに上だと答える程には、人のそれを超えている。
人の理解を遥かに超えた喰種の力を用いれば、聖杯戦争、勝ち抜く事だって訳はない。聖杯。如何なる願いをも叶える万能の願望器だと言う。
そんな物があるのなら、自分はきっと、月山習の幸せを祈るだろうと、カナエは初めから確信していた。彼女の罪滅ぼしは、未だに続く。
最愛の人物が存在しないこの世界ですら、彼女の抱く月山習への愛は、永遠であった。その愛を叶えるべく、カナエには、聖杯が必要なのである。

 ……必要、であると言うのに。

「考えは改まったか、マスター」

 それは、カナエの背後から聞こえてくる、バリトンの効いた低い男の声だった。
その方向に顔を向けると、其処には、高架下に背を預ける、カナエの引き当てたサーヴァント――バーサーカーと言うクラスらしい――がいた。
鍛え上げられた上半身を露出させ、その上に裏地の紅い黒マントを羽織り、ボトムスにカーキ色の長ズボンを選んだ、赤い髪をした眼鏡の青年であった。
日頃の不摂生や睡眠不足のせいかはしらないが、目の下には深い隅が出来ており、男の荒んだ生活ぶりがカナエにも伝わってくる。
くすんだ碧眼が、カナエを睨めつける。ゾッとする程剣呑な輝きを宿した、鋭い瞳。射すくめられたように、カナエの身体が動かなくなる。

 ――たかがヒト如きに……――

 何故、喰種である自分が恐れを抱いているのだろうか。
クインケと呼ばれる道具すら持たない。男は完全な丸腰である。それなのに男は、カナエの遥か上を往く強さを誇るのだ。
そうと知っている理由は、単純明快。一度カナエとバーサーカーは、意見の対立を見て、交戦状態に陥ってしまった事があるからだ。
結果は、カナエの惨敗。誰が信じられようか。如何に物理的特性として脆さのある鱗赫とは言え、カナエの赫子をただの手刀で大根みたいに切断し、
本人曰く手心を加えていたと言う右拳の一撃でカナエを気絶させてしまったのだ。そう、彼女は、ただのヒトに拳で敗北してしまったのである。

「お前の罪は、到底許されるべきものではない。だが、己の罪と向き合い、付き合って行くと言うのであれば、俺もお前を裁かない。いや、我々は安易に人を裁くべきではないのだ。況してお前は我がマスター。人を喰らう怪物であったとしても、俺は、お前が贖罪を続けると言うのであれば、お前に頭を垂れよう」

 落ち着いた声音で、バーサーカーは喋り続ける。
本来的には言語による意思疎通すら難しいと言うバーサーカークラスであるのに、男の口調は驚く程闊達であった。

「だが――聖杯を獲得して願いを叶えようとする事だけは許せん。あれは、あの人の威光を汚す、汚物で満たされた唾棄すべき魔杯。あれは、俺の手で砕かれねばならない」

 そう、カナエが己のバーサーカーと決別しかけた最大の理由は、此処に在った。
カナエは聖杯を使って叶えたい願いのヴィジョンがあると言うのに、この男はよりにもよって、聖杯の破壊を視野に入れて動こうとしている。
バーサーカーのそんな態度が許せなかったからこそ、カナエは令呪を切ろうとした。それを見てバーサーカーは動き出し、其処から交戦が起ってしまった。
結果は先程の言う通り、カナエの敗北。簡単に倒されてしまったのだ。今の実力では到底、バーサーカーを出しぬけないと判断したカナエは、
表面上はバーサーカーの意見を尊重するフリをし、後で如何にか処理しようと誓った。そしてそんな屈辱的な日から、一日が経過。
未だ聖杯戦争が本開催されたと言う情報は聞かないが、こうして夜に冬木を見回り、何処かにサーヴァントがいないかと捜索。
結果としていなかったが為に、こうして冬木大橋の高架下で、小休止を挟んでいた。これが、今の状況に至るまでのあらすじであった。

「Plauderer(おしゃべり)が。同じ事を何度も私に説教しなければ気が済まないのか? 貴様は」

「それもそうか。解っているのならば良い。愛に殉じたマスターよ。俺も、お前の気持ちはよく解る。愛の重さ、尊さを、俺も理解してるが故に」

 ……愛か、と。カナエは考える。
勿論バーサーカーの言う通り、自分が最期の最期まで、月山習への愛で動いていた事。それは否定しないし、と言うより、この世界でも彼への愛こそが、
カナエ=フォン・ロゼヴァルトの行動原理、彼女を聖杯へと突き動かすガソリンである。この点で、バーサーカーは間違っていない。
だが、カナエにとって疑問なのは、この男が本当に、愛とその尊さを理解しているのか、と言う事であった。
彼の真名は、カナエも良く知っている。月山家の使用人の一人として生活して行くのなら、当然、ある程度の教養と言うものが叩き込まれる。
この男の真名は、その教養の範囲内であった。喰種の中ですら、この男は有名人であった。遥か二千年以上前、銀貨三十枚と引きかえに、
神の子を裏切ったとされる、歴史上最も有名な、裏切り者の代名詞。『イスカリオテのユダ』の名は、当然、カナエの耳にも届いていた。

「お前が、愛だと? 笑わせるな。お前はこの世界でどう扱われているのか知っているのか? Verrat(裏切り)の代名詞らしいぞ、貴様」

「知っている」

 ユダは、平然と答えた。

「勿論、お前達の目からすれば、俺は裏切り者にしか見えるまい。俺もそんな事、重々承知だ。確かに俺は、一度はあの人を裏切った」

 「だが――」

「俺は、あの人が嫌いだったから、憎悪していたから裏切ったのではない。俺は――あの人を愛していたから。好きだったから、裏切ったのだ。今でも、俺は胸を張って言えるぞ、マスター」

 胸に手を当て、笑みを浮かべてユダは口を開く。
爛々とした狂気が渦巻く碧眼は、見ているだけで、その狂気がカナエに感染しそうな程の凄味で満ち溢れていた。

「俺は、他の使徒達に出来ない方法で、あの人に愛を示したのだと。俺こそが、十二使徒の中で、最もあの人への愛に溢れていた男なのだと」

 一切の迷いも淀みもなく、ユダはカナエに思いの丈をぶつけて来た。
こんな男の宣う愛が、自分が嘗て月山にぶつけた愛が同一のもので括られるのかと思うと、カナエにはゾッとしない話であった。
そして、無言の時間が過ぎて行く。満点の星々だけが、この、喰種と人間が織りなすズレて狂ったやり取りの、観客なのであった。

 ◆

 俺の人生は、退屈で平凡のまま終わるかと思っていた。
カリオテの村の豪農の下で働く会計係。それが、あの人に出会うまでの俺の仕事。
変化もなく、退屈で、それでいて、主であった豪農の気分次第で何時でも首を切られる立場。それが、今までの俺の仕事。

 あの人が、俺のいたカリオテを訪れた時から、全てが始まった。
あの人は俺の目を見て行って下さった。「お前の瞳には、誠実の煌めきがある。私と共に、巡礼の旅に出ないか」、と。
俺は、帳簿と会計以外に取り立てた才能を持たぬ無能だと思っていた。そんな俺を、彼は求めてくれた。それが嬉しかったから、俺は、
十一人の兄弟子達と共に巡礼する道を選び、生まれ育ったカリオテの村を去った。

 巡礼と救済の旅は、俺にとっては新鮮で、神聖で、善きものだった。
時にあの人と十二使徒どうしで語り合い、助け合い、そして、互いに互いを高め合っていたあの瞬間は、俺にとってこれ以上となく尊い時間だった。
そして、そんな時間が終わる時が訪れた。あの人は、自分は死なねばならぬと語った。パンとワインの供されたあの晩餐の場で、あの人が語った重い内容。
それを、十二使徒達は受け入れられなかった。敬愛し敬服する、あの人を自ら裏切り、磔刑に処させる。そんな事、出来る筈がないと誰もが言った。
「何かほかに出来る事がある筈」、そう言ったのはペトロだ。「我々が一丸となれば」、と嘆願したのはヨハネだったか。
だが、どう足掻いてもあの人は死なねばならなかった。師(ラビ)であり、愛する男であった彼を裏切り殺したと言う汚名を、誰もが被りたくないと思ったのは、当然の心理であったろう。

 だからこそ、俺は、あの人を裏切る立場を買って出た。誰しもが、驚いた目で俺の事を見ていた。
俺は、使徒の中でも劣っていた。あの人が教えた術を、他の使徒が習得するのに必要とした時間の二倍、俺は習得に必要とした。
俺は、使徒の中でも一番最後に入っていた。だから、あの人の教えを学び取る事にいつも必死で、物覚えが悪かったせいで他の兄弟子にも迷惑をかけていた。
そんな、愚図で、鈍間の俺に出来る、最大最後の献身だと、俺は思っていた。俺よりも優れた兄弟子が、あの人を殺した罪を被る必要性などない。
俺だけが、その咎を負えば良い。嘗て、カリオテの村でひっそりとその生を終える筈だった俺に、素晴らしい世界を見せてくれた彼。
そんな彼に俺が見せられる、最後の献身。それは、今この瞬間を於いて他にないと俺は思った。だからこそ、俺は、あの人の提案を呑んだのだ。

「■■■よ。俺は、貴方を裏切り、貴方の思う理想を叶えます」

「……迷いはないのか。ユダよ」

 優しげな声で。あの時、カリオテの村で俺を誘った時のような優しげな声音で、彼は問いかけて来た。

「貴方は俺に、考え得る最大の幸福を与えて下さった。ならば俺も、貴方が理想とした幸福の世界の成就の手助けをせねば、その釣り合いはとれますまい」

 自信満面に、俺は、あの人に対して言って退けた。
……喜ぶような表情を、俺は期待していた。よくぞ言ってくれたと、褒めてくれると信じて疑わなかった。

 ――なのに、どうして。
■■■よ。貴方は……酷く憐れむような、哀しげな表情で、俺の事を見つめて来るのだ?
何故、他の兄弟子達も、■■■と同じ様な顔で、俺の事を眺めて来るのだ? 俺には、その顔の意味が、今も解らない。
なんで? どうして? 俺は、ただ……貴方に喜んで貰おうと思っていただけなのに。■■■よ。その答えを、俺に、教えて欲しい。それさえしてくれれば、私は……。




【クラス】バーサーカー
【真名】イスカリオテのユダ
【出典】新約聖書、及び関連書籍
【性別】男性
【身長・体重】176cm、66kg
【属性】秩序・悪
【ステータス】筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:B 幸運:D 宝具:A+

【クラス別スキル】

狂化:EX
バーサーカーは理性と正気を保てている。その上、言語能力にも全く異常はない。
しかしバーサーカーは、基督教における神の子である『あの男』への尊敬と敬愛、敬服などと言った感情を隠しもせず、
バーサーカーの行動原理は、その男が喜んでくれるか、認めてくれるか。そして、自分を愛してくれるか、と言う事だけである。
『彼』の敵になる、不利になる事があった場合、バーサーカーはボイコットを起こすどころか、マスターにすら反旗を翻す事がある。

【固有スキル】

奇蹟:-
時に不可能を可能とする奇蹟。星の開拓者スキルに似た部分があるものの、本質的に異なるものである。適用される物事についても異なっている。
しかし、神の子を裏切った……『と言う事になっている』バーサーカーは、このスキルの発揮は出来ない。彼は当世の人間から見捨てられている。

十二使徒:-
神の子直々の高弟として生きた者達だけが有するスキル。聖人スキルの上位互換。
聖霊の加護、聖人、殉教者の魂の効果を兼ね備える特殊スキルであり、所有するだけでAランク相当の精神耐性を保証し、
洗礼詠唱よりも上位の奇跡である洗礼礼賛の使用をも可能とする強力なスキルだが、バーサーカーはこれを失っている。

無辜の怪物:EX
神の子である男を銀貨30枚で裏切った、世界で最も有名な裏切り者の代名詞として、人々に抱かれ続けた幻想。
バーサーカーは裏切りと不和の具現としてこの世界に現出している……筈だった。
本来なら、並のサーヴァントでは口調・性格どころか存在すら変貌する程の想念を一身に背負って尚、バーサーカーは己の性格や在り方が失う事がなかった。
バーサーカーの場合は己の宝具が変質してしまっている。このスキル(装備)は、未来永劫外せない。

信仰の加護:A+++
一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。
あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。……高すぎると、人格に異変をきたす。

洗礼詠唱:A+
キリスト教における“神の教え”を基盤とする魔術。その特性上、霊的・魔的なモノに対しては絶大な威力を持つ。
洗礼礼賛を使えぬバーサーカーは、嘗て『あの男』から教えて貰った洗礼詠唱を代用として使う。

ヤコブの手足:B+
ヤコブ、モーセ、そして様々な聖人へと脈々と受け継がれてきた古き格闘法。
極まれば大天使にさえ勝利する。伝説によれば、これを修めたであろう聖者が、一万二千の天使を率いる『破壊の天使』を撲殺している。
神性・悪魔・死霊の属性を宿す存在に対して常に特攻効果を得、この格闘法に則った型で動き、技を放っていると、
常時全ステータスに『+』が二つ追加されているものとして扱う。十二使徒の必修科目。当然バーサーカーもこれを扱う事が出来る。

【宝具】

『絆を知らぬ哀しき獣よ(イーシュ・カリッヨート)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
世界で最も著名な、裏切り者の代名詞たるバーサーカーが内在している性質と、彼の生前で最も有名なエピソードが宝具となったもの。
バーサーカーの霊基はそれ自体が、裏切りの代名詞であり、『裏切り』の属性を宿している。
彼の攻撃の一つ一つにはその属性がマスクデータとして付与されており、この攻撃に直撃し続けると、その裏切りが発動する。
対象となるのは『英霊と宝具の関係』、『サーヴァントとマスターの関係』、『発動させた神秘とそれによって本来起こる筈の結果』である。
バーサーカーの攻撃を受け続けると、英霊にとって半身とも言うべき宝具と、所有者である英霊との間に亀裂が生じ、所有者を裏切らせる。
裏切りが完全に発動してしまうと、当該英霊の宝具所有権を宝具自らが『放棄』、真名を唱えても発動せず、召喚にも応じない『裏切り』を再現させる。
また、サーヴァントとマスターの間にも、余りにも唐突かつ理不尽な不和が発動するだけでなく、宝具に拠らない、英霊やマスターが本来有している筈の、
様々な異能や魔術、スキルが、メリットとなるその結果が全く得られないと言う事すらも起ってしまう。この宝具を防ぐには対魔力等の防御スキルでは不可能。この宝具のランク以上の結界宝具及び、神性スキル、そして、裏切りが絶対に起こらない程の強い関係か、強固な精神耐性を保証するスキルが求められる。

【weapon】


【解説】

銀貨30枚で神の子であるイエスを裏切り、その応報を受けた(或いは自殺した)とされる、世界で最も有名な裏切り者。それが、イスカリオテのユダである。
今日ではユダと言えばそれだけで、自動的に裏切り者として認知される程影響力が大きく、後世の芸術・文学に与えた影響は計り知れない。
一方で彼の裏切りには謎が多い。その中でも最も有名な謎が、『全知』であった筈のイエスが何故、よりにもよって十二使徒の一人であったユダの裏切りを、
見抜く事が出来なかったのか、と言う物である。今日に至るまで様々な神学・哲学者がこの謎に取り組んで来たが、結局解釈は多岐に解れるがまま。

イエス及び、自分以外の十二使徒とユダの関係は、実際の所かなり良好な物で、十二使徒は互いに互いを尊敬しあい、そして助け合って生活していた。
だがある時イエスはついに、夕食の席で、自身が十二使徒の誰かの裏切りによって処刑されねば、この世から原罪と試練、悪魔を消滅させられない事を伝える。
敬愛するイエスを自らの手で、磔に処させる。そんな事を喜んで引き受けてくれる者など、誰もいなかった。
「他に手立てはないのですか」、「私達が力を合せれば」、と侃侃諤諤の議論に発展するも、遂にその貧乏くじを自ら引き受けてくれる者がいた。
それこそが、イスカリオテ出身のユダであった。彼は十二使徒の中でも一番最後に使徒になり、しかも実力もやや低めだった為、それがコンプレックスになっていた。
今まで自分が、イエスの為になった事はなかったと身の上を恥じていたユダは遂に、己自身の手でイエスの幕を引き、十二使徒の汚れ役となる事で、
他の面々の面子を保つ決意をする。それが、嘗てはカリオテで帳簿役として一生を終える筈だった自分を、
巡礼と救済の旅に誘ってくれ、素晴らしい体験をさせてくれたイエスに出来る最大の献身だと思っていたからである。
十二使徒達も、ユダの決意と思いをよく知っており、当初は彼の事を讃えていたのだが、使徒の死後になるにつれて、伝聞の行き違いか、
ユダが私利私欲で裏切ってしまったと言うエピソードに書き換えられてしまう。そちらの方がストーリー的に、盛り上がると教会や聖職者、語り部が考えたからである。
これが、世界で一番有名なユダの裏切りのエピソードの真相である。銀貨に纏わるエピソードなど嘘っぱち。イスカリオテのユダとは、己の捨て身の献身を後世の人間によって徹底的に歪められた末に生まれた怪物であった。

バーサーカーとしての召喚、そして、無辜の怪物による属性付与の中にあっても、イエスへの敬愛をユダは失っていない。
裏切りに関しては、己の身の上を全く恥じておらず、イエスを神の座へと祀り上げさせ、他の使徒に出来なかった事をして見せたと思っており、寧ろ誇っている程。
だが、己の人生に彩りを与えてくれたイエスに対してはある種の狂愛を抱いており、彼の事を馬鹿にし、けなす者に対しては容赦の欠片もない。
そしてユダにとって聖杯戦争の景品たる聖杯は、イエスの聖性を汚す汚物にしか映っておらず、これを破壊する為ならば彼は一切の容赦もしない。
従って、この男には聖杯に掛ける願いなどない。あるのはただ、嘗て愛した男の名誉に傷を付けん聖杯を、完璧に解体せんとする願望である。

【特徴】

鍛え上げられた上半身を露出させ、その上に裏地の紅い黒マントを羽織った、赤い髪をした眼鏡の青年。ボトムスには、カーキの長ズボンを選んでいる。
目の下には不健康そうな隅が出来ており、平素の不摂生、或いは、無辜の怪物によるストレスと変性を窺わせる。

【聖杯にかける願い】

聖杯に掛ける願いはない。彼の願いは、聖杯の解体である。




【マスター】

カナエ=フォン・ロゼヴァルト@東京喰種トーキョーグール:re

【マスターとしての願い】

詳細不明。ただ、月山習が絡む事は確か

【weapon】

【能力・技能】

喰種:
食性が人肉のみに限定された肉食の亜人種。通常時は人間との外見的な差異が無く、条件付きで交配も可能であるなど、限りなく人間に近い。
極めて高い身体能力を持ち、数mを跳躍する脚力や素手で人体を貫く膂力を有する。程度の軽い擦過傷や切傷であれば一瞬、骨折でも一晩程度で治癒する回復能力を有し、
また銃弾や刃物などの一般武器では傷一つ付かないほど耐久性にも優れている。感覚器官も非常に鋭く、遠方から近づく人物の体臭を嗅ぎ分けられ、
雑踏の中から足音を聞き分けることも出来る。カナエの場合は、先の部分がが蕾のような形状をしている赫子(鱗赫)を持つ。
しかし、芳村エトの手によって何らかの処置を施され、本来のカナエが持っていた喰種としての運動能力や身体能力が爆発的に向上。首を斬り落とされても復活する程の、異常なまでの再生能力を有するに至る。

【人物背景】

月山家の使用人。登場時18歳。4月23日生まれのおうし座。血液型B型。
10年前、和修政も属していたCCGドイツ支部の捜査官達による屋敷の襲撃で父や母、そして逃亡中に兄達が死亡し、自力で総本家である月山家に辿りつく。
日本語が堪能であるがドイツ語を織り交ぜた発言をする事が多い。月山に心酔しており、彼の心を乱したハイセ(金木研)に対しては強い憎悪を抱いていた。
本名、カレン=フォン・ロゼヴァルト。実は男装の麗人とも言うべき女性であり、月山に対して抱いていた感情は、心酔ではなく愛情だった。

東京喰種:reの第06巻の時間軸から参戦

【方針】

聖杯狙い。己のバーサーカーはいつか出し抜く。彼女自身が人喰いの怪物である為、人を食する事も辞さない

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最終更新:2017年06月21日 12:33