チェンジ・ザ・ワールド☆
追いかけて.3
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追いかけて
認めて欲しい。
敵わないなんて思いたくない。
不釣り合いだと思われたくない。
必要とされたい。
走りながら、比奈は今までの自分を振り返る。
氷上に少しでも追いつきたくて勉強に力を入れた。
たいして良いとも言えなかった成績は、いつの間にか上位になっていた。
生徒会の仕事も、雑用でも何でも、嫌だと思う事なくすべてやってきた。
帰りが一緒になりそうな時は勇気を振り絞って声をかけたし、休日に出かける約束を取り付ける電話も何度もした。
会話の中の受け答え全てが彼の気に入るものかは分からないし、自分を取り繕う事が苦手だから嫌われないよう慎重に言葉を選んで会話をしていたつもりだ。
可愛らしく振る舞うのも苦手だから、どうすれば氷上の目から見て良いものに映るか、馬鹿みたい考えた。
好きだ。
氷上が、好きなのだ。
学校に戻り、急いで生徒会室へと向かう。
ドアの前で乱れた呼吸を必死に立て直し、大きく大きく息を吸い込んでドアに手をかけた。
「氷上君!」
突然開かれたドアに、氷上は作業の手を止めた。
切れ長の目は真ん丸に見開かれて比奈を見ている。
「ど、どうしたんだい、海野君。帰ったんじゃ……」
千代美の姿はなかった。
比奈はなかなか静まらない鼓動を悟られないよう、命一杯の笑顔で言った。
「仕事手伝うよ。まだ残ってるんでしょ?」
氷上はふとパソコンの画面に視線を送り、再び比奈を見て微笑んだ。
その顔はもう驚いていなかった。
「ありがとう、助かるよ」
「ううん、いいの。私が氷上君のお手伝いをしたいだけなの」
そう言って氷上の隣りに立ち、書類を手に取る。
「これ、パソコンで作り直せばいい?」
「ああ」
自分の机に座りパソコンを立ち上げる。
その間じっと比奈は氷上の横顔を見つづけた。
「ーーーど、どうしたんだい、そんなにじっと僕の顔を見て……何かおかしいかい?」
比奈の視線に気付いていた氷上は、視線はそのままに照れたようにそう言った。
ううんと比奈は首を横に振る。
「ねえ、氷上君……私、少しは氷上君の役に立ててるかな?」
緊張して鼓膜が破れそうなくらい、自分の脈動が聞こえる。
比奈の質問に、氷上は不思議そうな顔でこちらを向いて答えた。
「何を言っているんだい。海野君がいなければ、僕は生徒会長にはなれなかった……いつも、感謝しているよ」
耳に飛び込んで来たその台詞に、比奈は驚いて言葉を失った。
そんな比奈の様子に、氷上は一瞬悲しそうな顔をした。
「……あ、すまない。感謝の言葉が足りなかったかな。僕は、その、どうもこういった感情を伴う言葉を上手く言えなくてーーー」
特に気に入っている女性には。と、語尾に小声でそう付け足すと、氷上は赤い顔で比奈から顔をそらした。
比奈の心臓は、今度は信じられないという嬉しさで速く鳴り出した。
氷上は自分を認めてくれていた。
これは、自分が努力しているということの裏付けとなる。
おまけに最も嬉しい言葉までをも聞く事が出来た。
氷上は自分の事を気に入ってくれていたのだ。
「私も……」
無意識のうちに言葉が口をついていた。
「私も、氷上君の事、好きだよ」
真っ赤な顔の二人は、その後無言で仕事を続けた。
追いつけないと思っていた相手に、しっかりと追いつく事が出来た。
まだ納得のできる追いつき方ではないけれど、いつかきっと本当に追いつきたい。
だからもう二度と、敵わないなんて思わない。
END
=あとがき=
どうもー。最後までお付き合いくださりありがとうございますー。
氷上君で、お題は「追いかけて」でした。
最後だけめっさ短かったですね…
しかもどっちかっていったら若王子の方が全面的に出てる(笑)
若王子は友好って所ですかね。
なんだか氷上は頑張り屋さんなんで、ヒロインが卑屈になっちゃうんじゃないかな。
と思って書いてみました。
それでは、またお会いしましょう~!
氷上君で、お題は「追いかけて」でした。
最後だけめっさ短かったですね…
しかもどっちかっていったら若王子の方が全面的に出てる(笑)
若王子は友好って所ですかね。
なんだか氷上は頑張り屋さんなんで、ヒロインが卑屈になっちゃうんじゃないかな。
と思って書いてみました。
それでは、またお会いしましょう~!
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