チェンジ・ザ・ワールド☆
雨の日に見る幻は紅い刃.1章−1
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雨の日に見る幻は紅い刃
赤い、あかいーーーー
遥か遠く、地平線まで見渡せる辺り一帯には、建物はおろか草木の一本すら生えていない一面の砂漠だった。
ただ、その砂漠の不気味なことに、砂の一粒から空から雲、果ては太陽までもが赤い色をしている。
男はその赤い砂漠の真ん中で、唯一色を持った存在だった。
男は言い知れぬ不安と安堵を感じながら、何を見るともなく地平線の先に視線を送っていた。
男の瞳からは、砂漠の砂より、太陽よりも紅い色の涙がこぼれていた。
第一章
ぬるりーーー
体中から滴る鮮やかな赤色は、とても生暖かかった。
「はあ、はあっ……」
荒い呼吸と、足下で人形の様に裸で肢体を投げ出す女が、その狭い空間を圧倒的な存在感で占領していた。
カシャンッーーー
右手からこぼれ落ちたナイフも赤く染まり、女と床と馴染んで見える。
深紅に染まった世界はどこまでも甘美で、さわさわとそよ風が揺らいできそうな、そんな草原の様な爽やかささえ感じる。
鼻孔を突く、何とも言えない饐えた匂いすらも身の内を震わす花の香の様だ。
時間が止まったその中で、ただ一人、生を司るものの息づかいは今にもちぎれ落ちそうだった。
その日は朝から降り続いた雨の所為で、川の水は溢れんばかりにごうごうと音を立てながら下流へと流れていた。
濁った川の水を教室の窓にもたれかかって眺めていた岡部進一は、突然の落雷に驚き、手に持っていた理科のテキストを落としてしまった。
「わーい、岡部先生雷にびっくりしてやんの」
岡部の目の前の机に座っていた少年の言葉に、教室にいた少年少女たちは一斉に笑い出す。
岡部は恥ずかしそうに頭を掻きながら、落としたテキストを拾い子供たちと一緒に笑った。
岡部は国立大学を卒業後、地元の学習塾に就職した。
元々子供が好きだった岡部は、塾講師という職業が自分の性に合っていると思っていた。一応教職員免許は持っていたが、どうしても学校という閉鎖的で独特な空間に入る事を良しと思わず、同じ先生でも塾というまだ一般の社会と隔たりのない職場を選んだ。
事実、子供たちにも非常に人気で、岡部の担当する教室はいつも生徒たちで溢れていた。
授業が終わり、子供たちはバラバラと帰り始めた。
「先生、さようならぁ!」
皆きちんと挨拶をして出て行く。
すっかり誰もいなくなった教室で、岡部はまだ窓の外を眺めていた。
無意識のうちに小さいため息を吐く。
「岡部先生、まだいらしたんですか?」
背後から急に掛けられた声に驚いた岡部は、またテキストを床へ落としてしまった。
振り返ると、淡いサーモンピンクのワンピースを来た、色白の若い女性が教室の入り口に立っていた。
「坂井先生ーーー」
ぽかんとした表情の岡部に微笑むと、坂井春香は岡部が落としたテキストを拾い上げ、静かに手渡した。
岡部はこの同じ塾講師で、自分より八歳も年下の坂井に密かな恋心を抱いていた。
決して美人ではないが、明るく上品な立ち居振る舞いの坂井は、同世代の若い女性達とは違い三十路を少し過ぎた岡部とも会話が成立する。
そして彼女も、岡部と同じ様に生徒達に人気だった。
「どうなさったんです、ぼうっと外を眺めて」
坂井の笑顔に一瞬見とれていた岡部は、恥ずかしそうに頭を掻くと……どうやら岡部は照れ隠しに頭を掻くクセがあるようだ。
「いいえ、よく降る雨だなあ、と思って見てたんですよ。さ、行きましょうか」
そう言いながら坂井を促し、教室を後にした。
坂井は不思議そうに岡部を見上げたが、その顔はいつもの優しい顔に戻っていた。
先程窓の外を眺めていた岡部の顔は、坂井が声を掛けるのを躊躇わせる程悲しそうで、今にも泣き出しそうだったのである。
電気を消された薄暗い教室を振り返る。
相変わらず雨は降っていたが、いくらか小降りになり雷も遠くに行ってしまった様だ。
ぶるっと小さな体を震わせ、坂井は岡部の後を追って教室を出た。
続く…
いやあ、消去しちゃったと思ってたんですけど、ありました。この話久しぶりに見たな。懐かしいw
ファンタジーは本当に消してしまったみたいです(笑)あっちの方がまだギャグっぽい感じだったんですけどねー。
ということで、のんびりアップして行きますので、のんびりお付き合い下さいませ〜
ファンタジーは本当に消してしまったみたいです(笑)あっちの方がまだギャグっぽい感じだったんですけどねー。
ということで、のんびりアップして行きますので、のんびりお付き合い下さいませ〜
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