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チェンジ・ザ・ワールド☆
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私を酔わせて

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streetpoint

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私を酔わせて







 毎週同じ曜日の決まった時間。

 20時丁度にやってくる一人の男。

 すごく背の高い綺麗な顔のその男は、スーツをさらりと着こなした切れ長の目に銀縁の眼鏡が知的さを際立たせていて、一人でグラスを傾けるその姿に見蕩れる女性客は少なくない。

 カウンターで酒を作りながら、私はチラリとその男性客の様子を伺う。

 今日もいつもと同じ「スティンガー」に口をつけるその人。

 初めて来店した時、メニューも見ずに私の目を見て言った一言、


「スティンガーを」


 その言葉に私はどきりとした。

 このカクテルはごまかしが効かないシンプルなカクテル。

 バーテンダーの腕を見るにはもってこいのカクテルでもある。

 ブランデーにペパーミントリキュール。

 私はブランデーはクルボアジュを使う。ペパーミントは王道のジェットのホワイトペパーミント。

 分量をシェーカーに入れシェイク。

 しっかりとシェイクされたらグラスに注ぐ。

 出されたスティンガーを一口飲んだその男性客は、ほんの一瞬口元を上げた。

 本当に、ほんの微かに。

 それを見て、私は彼の基準に合格したのだと理解した。

 それから毎週同じ曜日の決まった時間。

 20時丁度に彼はやってくる。

 今日もまた一人で。


 彼がカウンターの私の斜め前の席に座ると、私は黙ってコースターとおしぼりを出す。

 次に小さなガラスの器に入ったチーズを出す。

 そしてスティンガーを作る。

 彼は差し出されたグラスを黙って手に取り飲む。

 グラスを握る長い指。

 それを見ただけで私の胸が騒ぎ立つ。

 静かに店内に流れるジャズのBGMと、他の席の客達の会話。

 だが、私とその男性との周囲には見えない幕があって、そこでは無言の会話が行なわれている。


 1杯、2杯……


 その男性客は必ず2杯スティンガーを飲み、3杯目にはブランデーをストレートで飲む。

 私は今日はいつもと違うブランデーを出す事にした。


 特に理由はない。


 なんとなく飲んで欲しいと思ったアプリコット・ブランデーを出す。

 一瞬男性はピクリと眉を動かしたが、何も言わずに出されたブランデーを飲んだ。

 一口飲むと、男性客は一瞬目を見張り、それでも黙ってもう一口飲んだ。

 何か言われるかと思ったが結局一言も言わず、ゆっくり時間を掛けて飲み干すと、男性は立ち上がった。

 カウンターの上に置かれた勘定を受け取り、最初のスティンガー2杯分の料金とチャージ料だけを引いておつりを渡す。


「おつりが多いようだが?」


 初めて店に来た時以来聞いた事のなかったその声に、私はゾクリとする。


 低い、甘い声。


「最後のブランデーは私の奢りです」

「何故?」

「いつも来て頂いているお礼です」


 男性客の目をじっと見つめて私が言うと、恥ずかしそうに目を逸らして呟いた。


「ーーーありがとう」

「……いいえ。またのご来店、お待ちしています」


 その姿で、仕草で、声で、あなたは私を酔わせてくれる。

 名前も知らないあなたは、来週のまた同じ曜日の決まった時間、20時丁度に来るだろう。







                          END





あとがき

どうも。最後まで読んでくださってありがとうございました。
氷室が通うバーのバーテンが女の人で、その人視点で文学小説っぽく書いたつもりです。(どこが?w)
普通にときメモのヒロインとか関係なく書いてみました。
恋に発展するかどうかは分かりませんが、こんな話もたまにはいいかな?
と、ちょっと違う雰囲気を出したくて書いてみたものの……完全に失敗してますね(笑)
お題は「ブランデー」だったんですけど、もうなんか分かんねー。
氷室好きなんで、きっとまた書くと思います。今度は大人の恋を書いてみたいですね☆




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