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チェンジ・ザ・ワールド☆
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歯車.7

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歯車










 「俺、来年大学受験する」


 と言った時の家族全員の顔は、面白い位に驚いていた。特に兄である琥一はこれでもかと目を見開き、琉夏の頭をコンコン叩いて、


「大丈夫か? やっぱお前変人だわ」


 そう呆れたように笑った。

 変人でも構わない。琉夏は大学に行くと決めたのだ。

 そんな気持ちにさせてくれたのは、自分と良く似た存在のおかげ。

 夕方家を出てバイクで大学へ向かう。そろそろ今日の講義が全部終わって出て来る頃だ。


「来た来た」


 人の波の中、ぽっかりと小さな穴が出来たその中心に、海野はいた。

 道路で待っていた琉夏に気が付くと、小さく微笑んで近寄って来る。


「どうしたの? もう講義終わっちゃったよ?」

「うん。はい、乗って」

「わ、すごい。お迎えだ」

「ははっ、お姫様、どうぞ」


 恭しく手を出すと、海野は笑って琉夏の手を取りバイクの後ろに乗る。

 海野の体温を感じながら、琉夏は久しぶりに生きている感じを覚えた。人の体温の心地よさに、ギシギシと軋んでいた歯車が、とうとうゆっくりと回りはじめた。

 しばらくバイクで街を流し、そのまま海野の家のある海沿いへ向かう。

 途中の路肩にバイクを止め、海野と一緒に砂浜へ降りた。


「俺さ、来年一流大学受験しようと思うんだ」

「え? 本当? じゃあ、一コ後輩だ」

「まだ受かるか分かんないじゃん」

「受かるよ」

「何でわかんの?」

「私が家庭教師してあげる」

「まじで?」

「うん。お礼だよ」

「お礼? 俺、何かしたっけ?」

「私と仲良くしてくれてるお礼」


 海風を受けてなびく海野の髪がキラキラと夕日に反射して、琉夏はその光に吸い込まれそうになった。


 ああ、自分が誰かを笑顔にしたいって思ったの、あいつ以外で初めてだ……


 そう、琉夏は海野に恋をした。

 好きだった少女の事を大好きな兄の為に諦め、自分の心に封印をし、何でもない振りをして過ごそうとしていた。そんな時に出会った、自分と良く似た不器用な女の子。

 幸せは、誰かを笑顔にしたいと思う気持ち。そして、自分も笑顔になりたいと思う気持ち。

 本当に海野を好きになってもいいのだろうか?

 疑問はあるが、回りはじめた歯車を止める術を、琉夏はもう用意出来そうにない。


「ーーーじゃあ、ずっと仲良くして? 俺と」


 そう言うと、海野は一瞬驚いたような顔をした。

 そしてすぐに困ったように目を伏せる。


「私なんかで、いいの?」

「あんたがいい」

「どうして……?」


 どうして? そんなの決まってる。


「俺達は同じなんだ。自分が幸せになる事をずっと怖がって、キラキラした眩しいものを見ないようにしてた。欲しいなんて思わなければ、欲望は膨らまない。だから、欲しくないって自分に言い聞かせて……。でもさ、俺、あんたと一緒に笑いたい」

「桜井君ーーー」

「琉夏」

「え?」

「琉夏って呼んで?」

「ーーー琉夏君」

「うん。なに? 比奈?」

「ーーーふふっ、ありがとう」

「どういたしまして。それじゃあさ、早速比奈の家で勉強開始! っと、その前に、腹減ったから飯作って?」


 琉夏は海野の手を握って歩き出した。


「いいよ。琉夏君はおねだり上手だね」

「ほんと? じゃあ、いっぱいおねだりしちゃお」

「ーーー幸せになっても、いいのかな……」


 ボソリと呟いた海野の言葉に、琉夏はドキリとした。

 やはり同じ事を考えていた。


「いいよ。なろう? 幸せに」

「私の事を色々知ったら、嫌いになるかもしれないよ?」

「またそれ? ていうか、それって俺が比奈の事を好きなの前提じゃん」

「えっ!?」


 顔を真っ赤にさせて慌てる海野に、琉夏は思わず笑った。


「あはははっ! ごめん。好きだよ、俺、あんたの事」


 琉夏の告白に、今度はとうとう目を丸くさせて海野は言葉を失ってしまった。


「だから、比奈も俺の事好きになって?」


 バイクに辿り着くと、海野は耳まで真っ赤にさせて琉夏の服の裾をちょいと引っ張る。


「ごめん、琉夏君……。私、もう、君のことが好きみたい」

「っ!?」


 今度顔を赤くしたのは琉夏の方。

 くるくると小気味良い音で回り出した二人の歯車は、海風と同じくらい心地よいものだった。

 誰にだって幸せになる権利がある。幸せになってはいけない人などいないのだ。

 これからもっとお互いを知り、話していない悲しい過去や辛い過去を知って乗り越えて行く。それが、幸せになる事だから。


「比奈、俺、絶対合格するから」

「うん」

「また若王子先生のトコ行こうな」

「うん」





                          2012.02.07   END






=あとがき=

終わりましたーー!! 初GS3小説です! 最後までお付き合い下さいましてありがとうございます!
まさかの別ヒロインですw
私は一番琥一が好きなんですけど(発売前から)、買ってから随分ゲームを放置してまして…。だって、何だかエンドが多いし、面倒だったからさ。クリアするのにも時間かかるし、もう葉月を愛していた頃から随分経って年取ったんだもん。
という言い訳を取りあえずしておいてw
まあ、最近体調不良で寝込んでいる間に少しずつGS3やったんです。それで、ふと思いついたのがこのお話です。
一気に書いたので突っ込みどころ満載ですけど、琉夏が大学受験を目ざす。っていうのを見て、こういう流れだったら面白いかな〜? と思って。
はばたきウォッチャーとか買った事無いし、本当の理由が何かあるんでしょうけど、勝手に作りましたすみません…
そのうちまたGS3のキャラでお話かけたらいいな〜。と思ってます。個人的にはもちろん琥一ですけど、今はかなり不二山ラブなので、あの天然を爆発させたいと思ったり思わなかったりw
それでは、あとがきまで読んで下さってありがとうございました〜^^






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