チェンジ・ザ・ワールド☆
追憶.1
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追憶
「どうして? どうして戦争になんて行くの?」
「ーーーどうして? それじゃあお前は腹が立たないのか!?」
「立つに決まってるでしょう!? ーーーでも、戦争なんて行かないで欲しいの。父上が死んで、もうこれ以上誰かが戦争で死ぬのなんて耐えられない! 私は皆を守りたいの……」
「おれだって守りたい! だから、おれは……おれは許せねえんだ!」
「オレもだ。絶対に許せない」
「待って! 行かないでっ! お願い、皆行かないでっ!! ……銀時、あなたまで……行くの?」
「悪い、ちょっと行ってくらぁ」
「嫌っ! 行かないで!」
「すぐに帰って来るさ。だから、お前は温かい飯と風呂ぉ用意して待ってな」
「やだっ、銀時! 行かないで!」
「いやっーーーー」
操は目を覚ました時、とてつもない虚無感に襲われた。驚きと同時にそれが夢だったと気づく。
つと頬を温かいものが伝い落ちた。
「もう、見ないと思ってたのに……」
「怖い夢でも見たのか?」
返って来るはずの無い自分以外の言葉に、操は直ぐさま隣りに顔を向ける。
「ーーー銀時、あなた私の部屋で何やってるの? というか、私の布団に入って何してるの?」
そこにいた銀時に冷めた視線を浴びせると、当の本人は素知らぬ顔で操の涙を拭った。
「いやあ、悪ぃ。便所に起きたら寝ぼけて部屋間違えたみたいでさあ。銀さんうっかり」
嘘ばっかり。
思ったが口にはせず、すぐに苦笑するとすっと銀時の胸に寄り添う。
逆に驚いたのは銀時の方。いつもなら問答無用で放り投げられるのに、どういう訳か自分から近づいてきた。操の突然の行動に戸惑い、それでも嬉しいらしくそっとその体を引き寄せる。
「銀時……」
「あん?」
「子どもの頃の約束、覚えてる?」
髪の毛から甘い香りがして、銀時は少し胸の鼓動が早くなったのを感じる。同じシャンプーを使っているのに、どうして違った匂いに感じるのか不思議だ。
きっと操は銀時の心音が早くなった事に気づいているが、別段隠すつもりは無い。
「ーーーああ、覚えてるぜ」
「銀時だけだね、今でも私の事を大事にしてくれてるの」
「そんなこたぁねーだろ。ヅラの野郎だって、……あいつらだって、お前の事心配してるさ。ただ俺が一番お前に近い所にいたってだけだ」
「ふふ。まあ、大戦の後に探すのには苦労したけどね」
「……悪かったな」
全身傷だらけでお登勢に拾われた所に、こちらは全身埃まみれ擦り傷まみれの操が、乱れる髪もそのままに探しに来た事は今でも鮮明に覚えている。
あの時、初めて本気で操に殴られた。そしてお互い違う仕事には就いたが、ずっとこの歌舞伎町に住んでいる。
バラバラになってしまった幼い頃の仲間達。
本当は誰よりも優しくて自分を守り続けてくれている銀時を、操は知っている。一度離れてしまったが、何だかんだと今はこうして一緒にいるのだ。それが幸せと思う。
「さっきね、父上が亡くなった時の夢を見たの」
「そっか」
「孤児だった私を養女にしてくれて、銀時を戦場で拾ってくれた」
「ああ」
「始めて銀時に会った日の事、今でも覚えてるわ」
「お前、いきなり木刀で襲いかかって来たよな」
「だって、すごい目つき悪かったし、父上の事いじめにきた悪いやつだと思ったんだもん」
「ひでぇよなぁ、かわいい男の子をいきなり殴りつけるたぁ。あれ以来、俺ぁお前に一度も剣で勝てなかった。きっとトラウマだな、うん、間違いない。でなきゃ俺が負ける訳ねーもん」
「ぷっ。今なら簡単に勝てるよ。銀時、前より強くて男前になったし」
「おいおい、男前なんて言って俺を喜ばせてどうすんだよ。銀さん調子乗っちゃうよ?」
「性格歪んでるけどね」
「一言多いんだよ」
「はあ……」
静かな部屋の中、銀時の胸に顔を埋めた操は小さくため息を吐いた。
温かな銀時の体温に、再び眠たくなって来る。
「……もう、戦争なんてないよね?」
「ああ、多分な」
「もう、私を置いて行ったりしないよね?」
「バカ、んなこたぁしねーよ。だから、お前も俺を置いてどっか行くんじゃねえぞ」
「ーーーん」
そして操は銀時の腕の中でゆっくりと眠りに落ちた。
続く…
ここまでお読みくださりありがとうございます!
随分前に書いてた話しで、悩みに悩んでアップすることにしました。
楽しんで頂けたら幸いです!
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