1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 00:41:33.39 ID:hc9sSSlP0
ディスプレイの中から、ずっと
俺を見つめてくるんだ、ずっとずっとずっと、俺を見つめてくるんだ
見る事しか出来ない俺を、笑ってるんだ、あの女は
そんな俺を、ずっとずっとあの女は見続けて、俺の心を掻き乱すんだ
喋りかけても答えない、頬に触れると爪が鳴る
カツンカツン
そんな俺を、ずっとずっとあの女は見てるんだ
ずっと同じ表情で、ずっと同じ姿勢でずっとずっと見ている
ずっと見てるんだ
見てるだけなんだ
そんな水銀燈を、俺は見続ける事しかできない
それだけなんだ
ディスプレイの中から、ずっと
俺を見つめてくるんだ、ずっとずっとずっと、俺を見つめてくるんだ
見る事しか出来ない俺を、笑ってるんだ、あの女は
そんな俺を、ずっとずっとあの女は見続けて、俺の心を掻き乱すんだ
喋りかけても答えない、頬に触れると爪が鳴る
カツンカツン
そんな俺を、ずっとずっとあの女は見てるんだ
ずっと同じ表情で、ずっと同じ姿勢でずっとずっと見ている
ずっと見てるんだ
見てるだけなんだ
そんな水銀燈を、俺は見続ける事しかできない
それだけなんだ
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 00:47:10.19 ID:hc9sSSlP0
天誅千乱をやったんだ
素肌の上に鎖帷子を着こんで、黒いロングコートを纏って
容姿は戦闘妖精雪風の深井零な、そんな変態忍者がいたんだ
そいつの忍術で出す黒い羽に、水銀燈を見るんだけど
そこには変態忍者しかいないんだ
それだけなんだ
天誅千乱をやったんだ
素肌の上に鎖帷子を着こんで、黒いロングコートを纏って
容姿は戦闘妖精雪風の深井零な、そんな変態忍者がいたんだ
そいつの忍術で出す黒い羽に、水銀燈を見るんだけど
そこには変態忍者しかいないんだ
それだけなんだ
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 00:53:00.64 ID:hc9sSSlP0
路地裏を歩いていたら、目の前に黒猫が居たんだ
黄色いと黒の視線がしばらくの間、交差した
風がピュウピュウ俺の頬を撫でていた
猫は俺に興味を失ったのか、家と家の隙間に消えてった
なんでもない、生活のワンシーンだけど、一つだけ言える事がある
あの猫は水銀燈じゃないんだ
それだけなんだ
路地裏を歩いていたら、目の前に黒猫が居たんだ
黄色いと黒の視線がしばらくの間、交差した
風がピュウピュウ俺の頬を撫でていた
猫は俺に興味を失ったのか、家と家の隙間に消えてった
なんでもない、生活のワンシーンだけど、一つだけ言える事がある
あの猫は水銀燈じゃないんだ
それだけなんだ
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 00:51:40.40 ID:cJmmj2yo0 “まきますか”“まきませんか”
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 00:53:16.17 ID:hc9sSSlP0
まきます
まきます
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 01:03:03.82 ID:hc9sSSlP0
青い自転車で路地を走っていた
十字路に差し掛かり、止まれの白線の前で止まると
目の前にカラスが一羽舞い降りた
カラスは僕に体を向け、頭だけで右を見ていた、ピクリともしない
僕はそのカラスを見続けた、赤い目をしている
硬い皮をした何かを、車に轢かせるわけでもなしに、カラスは何かを待っていた
僕も同じように何かを待ち続けた
突然、黒い羽が広がり、キイキイと音を立て飛び立った
僕はしばらく同じ場所で何かを待ち続けたが、何も表れなかった
あの時、カラスが何を待っていたかは分らないが、僕は水銀燈を待っていたんだろうと思う
それだけなんだ
青い自転車で路地を走っていた
十字路に差し掛かり、止まれの白線の前で止まると
目の前にカラスが一羽舞い降りた
カラスは僕に体を向け、頭だけで右を見ていた、ピクリともしない
僕はそのカラスを見続けた、赤い目をしている
硬い皮をした何かを、車に轢かせるわけでもなしに、カラスは何かを待っていた
僕も同じように何かを待ち続けた
突然、黒い羽が広がり、キイキイと音を立て飛び立った
僕はしばらく同じ場所で何かを待ち続けたが、何も表れなかった
あの時、カラスが何を待っていたかは分らないが、僕は水銀燈を待っていたんだろうと思う
それだけなんだ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 01:13:59.44 ID:hc9sSSlP0
バスの停留所にある椅子に座っていた
セーターのチャックは一番上にあった
僕の頭の中ではスイギントウという言葉が延々流れ続けていた
「ちょといいですか」と声をかけられ、隣を見ると女子学生が立っていた
黒いセーラー服に、黒いタイツをはいている
「今何時ですか?」と尋ねられ、僕はポケットから時計を取り出し、時間を教えた
彼女は一言お礼を言うと、時刻表の元に戻った
その間、僕の頭の中ではずっと、スイギントウと言う言葉が流れていた
違うんだ、あれは水銀燈じゃない
僕と彼女は同じバスを待っていたみたいだけど、僕は一便ずらして乗る事にした
それから40分、長椅子を温め続けた
それだけなんだ
バスの停留所にある椅子に座っていた
セーターのチャックは一番上にあった
僕の頭の中ではスイギントウという言葉が延々流れ続けていた
「ちょといいですか」と声をかけられ、隣を見ると女子学生が立っていた
黒いセーラー服に、黒いタイツをはいている
「今何時ですか?」と尋ねられ、僕はポケットから時計を取り出し、時間を教えた
彼女は一言お礼を言うと、時刻表の元に戻った
その間、僕の頭の中ではずっと、スイギントウと言う言葉が流れていた
違うんだ、あれは水銀燈じゃない
僕と彼女は同じバスを待っていたみたいだけど、僕は一便ずらして乗る事にした
それから40分、長椅子を温め続けた
それだけなんだ
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 01:25:56.53 ID:hc9sSSlP0
目の前に地面が広がった
僕は自転車から転がり落ちた
車のタイヤが焼ける臭いと、急発進するエンジン音が遠くなる
擦り剥いた場所から血が零れ落ちてくる、足も上手く曲がらない
痛かった
痛くて痛くて泣きたくなった
心の中で水銀燈の名前を呼んだ
彼女に慰めてもらえれば、こんな痛みは何ともないと思えた
だけど、彼女はそこに居なかった
瞼の裏で微笑み続けるだけだった
それだけなんだ
目の前に地面が広がった
僕は自転車から転がり落ちた
車のタイヤが焼ける臭いと、急発進するエンジン音が遠くなる
擦り剥いた場所から血が零れ落ちてくる、足も上手く曲がらない
痛かった
痛くて痛くて泣きたくなった
心の中で水銀燈の名前を呼んだ
彼女に慰めてもらえれば、こんな痛みは何ともないと思えた
だけど、彼女はそこに居なかった
瞼の裏で微笑み続けるだけだった
それだけなんだ
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 01:47:59.48 ID:hc9sSSlP0
自動ドアの音を後ろに聞き、僕はすっかり暗くなった空の下、街を歩いた
なんともない、ただの打撲だ
馬鹿みたいじゃないか、なんともないのに、レントゲンまで撮って
痛む足を引きずって歩いていた
寄り添って歩くカップルが機雷のように、人の海に流れていた
「ねえ」と僕の肩を掴まれる
振り向くと、女の人が一人、立っていた
落ち着いた色の洋服を合わせている、僕より少し年上だろうか
「さっきから、足引きずってるけど、大丈夫?」
彼女は首を傾げるように僕にそう言った
大丈夫ですと僕が答えると「大丈夫な人は足引きずらないでしょ」と
暗算が得意なレジ店員のように返された
「でも、なんともないんです」
「少し座ったほうがいいんじゃないの?」とベンチを指し、彼女は言った。
なんと返そうか迷っていると、彼女の友達が二人やってきた
「誰それ、知り合い?」
「いや、なんか足引きずってたから」
「ふーん」と何かを納得したように言った。
「それじゃあ、失礼します」と僕は言い、逃げるようにその場を後にした。
あの言葉を水銀燈に言われてたら、どんなに嬉しかったか
水銀燈
辺りを見渡すが、銀色の髪なんか見つからなかった
黒のドレスを着ている人だって、いない
とても寂しくなった
それだけなんだ
自動ドアの音を後ろに聞き、僕はすっかり暗くなった空の下、街を歩いた
なんともない、ただの打撲だ
馬鹿みたいじゃないか、なんともないのに、レントゲンまで撮って
痛む足を引きずって歩いていた
寄り添って歩くカップルが機雷のように、人の海に流れていた
「ねえ」と僕の肩を掴まれる
振り向くと、女の人が一人、立っていた
落ち着いた色の洋服を合わせている、僕より少し年上だろうか
「さっきから、足引きずってるけど、大丈夫?」
彼女は首を傾げるように僕にそう言った
大丈夫ですと僕が答えると「大丈夫な人は足引きずらないでしょ」と
暗算が得意なレジ店員のように返された
「でも、なんともないんです」
「少し座ったほうがいいんじゃないの?」とベンチを指し、彼女は言った。
なんと返そうか迷っていると、彼女の友達が二人やってきた
「誰それ、知り合い?」
「いや、なんか足引きずってたから」
「ふーん」と何かを納得したように言った。
「それじゃあ、失礼します」と僕は言い、逃げるようにその場を後にした。
あの言葉を水銀燈に言われてたら、どんなに嬉しかったか
水銀燈
辺りを見渡すが、銀色の髪なんか見つからなかった
黒のドレスを着ている人だって、いない
とても寂しくなった
それだけなんだ
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:04:55.63 ID:hc9sSSlP0
水銀燈はどこに居るんだろうか
何処に行ったら、水銀燈と出会えるんだろうか
僕は椅子に座り、パソコン画面に照らされ考えていた
水銀燈は居るんだ、きっと何処かに必ず居る
その考えで、頭が重くなる
思いで頭が破裂しそうだった
頬を風が冷たい風が撫でる
窓が開いているのだろうか、僕は窓を見た
銀色の髪が、冬の風に舞っている
窓辺に、水銀燈が立っていた
僕は何も考えられなかった、思いで頭がいっぱいだったから
水銀燈は窓辺から、羽のように舞い降り、机の上に置いてあるミカンを一つ食べた
その間、僕はずっと、水銀燈を見つめ続けていた
二つ目のミカンに、手を伸ばそうとしている水銀燈が僕に気づいた
水銀燈はニコリと僕に微笑みかけ、消えた。
僕は、ベットの上に居た
窓から冬が吹き込んでいた
机の上に置いてある紙袋から、ミカンの皮がこぼれ落ちそうだった
夢
だけど嬉しかった
それだけなんだ
水銀燈はどこに居るんだろうか
何処に行ったら、水銀燈と出会えるんだろうか
僕は椅子に座り、パソコン画面に照らされ考えていた
水銀燈は居るんだ、きっと何処かに必ず居る
その考えで、頭が重くなる
思いで頭が破裂しそうだった
頬を風が冷たい風が撫でる
窓が開いているのだろうか、僕は窓を見た
銀色の髪が、冬の風に舞っている
窓辺に、水銀燈が立っていた
僕は何も考えられなかった、思いで頭がいっぱいだったから
水銀燈は窓辺から、羽のように舞い降り、机の上に置いてあるミカンを一つ食べた
その間、僕はずっと、水銀燈を見つめ続けていた
二つ目のミカンに、手を伸ばそうとしている水銀燈が僕に気づいた
水銀燈はニコリと僕に微笑みかけ、消えた。
僕は、ベットの上に居た
窓から冬が吹き込んでいた
机の上に置いてある紙袋から、ミカンの皮がこぼれ落ちそうだった
夢
だけど嬉しかった
それだけなんだ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 01:51:26.08 ID:QyHDwZuLO ん?まーくんか?
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:05:11.95 ID:hc9sSSlP0
おっひさ
おっひさ
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:10:56.68 ID:hc9sSSlP0
コップ一杯分のヤクルトを手鍋で温めた
ホットカルピスのような、そんな味だった
もったいないと言ってくれるであろう、彼女は居ないが
僕は、次からはカルピスを温めようと思った
それだけなんだ
コップ一杯分のヤクルトを手鍋で温めた
ホットカルピスのような、そんな味だった
もったいないと言ってくれるであろう、彼女は居ないが
僕は、次からはカルピスを温めようと思った
それだけなんだ
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:14:54.70 ID:hc9sSSlP0
ミカンのカゴの下で、柿が腐っていた
腐った柿は、手で簡単に半分に割れた
熟した汁が僕の手を伝う
僕は、服に染みを作る前に、唇ですくい取った
水銀燈かこの場に居ても、僕は同じようにしたのだろうか
腐った柿が内臓を見せながら、僕を見つめていた
それだけなんだ
ミカンのカゴの下で、柿が腐っていた
腐った柿は、手で簡単に半分に割れた
熟した汁が僕の手を伝う
僕は、服に染みを作る前に、唇ですくい取った
水銀燈かこの場に居ても、僕は同じようにしたのだろうか
腐った柿が内臓を見せながら、僕を見つめていた
それだけなんだ
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:21:58.59 ID:hc9sSSlP0
椅子に沈み込むように浅く座り、腕を抱いた
手の平を、僕の意思とは関係なしに動く動脈が、ノックをしていた
この腕の中に水銀燈が居たら
彼女の頭は、ちょうど僕の顎の下にきて
顎を引けば、彼女の銀の髪に鼻を埋める事が出来るんじゃ、ないだろうか
いくら僕の腕が、水銀燈の柔らかさを欲しても
それを感じる事はなかった
それだけなんだ
椅子に沈み込むように浅く座り、腕を抱いた
手の平を、僕の意思とは関係なしに動く動脈が、ノックをしていた
この腕の中に水銀燈が居たら
彼女の頭は、ちょうど僕の顎の下にきて
顎を引けば、彼女の銀の髪に鼻を埋める事が出来るんじゃ、ないだろうか
いくら僕の腕が、水銀燈の柔らかさを欲しても
それを感じる事はなかった
それだけなんだ
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:37:19.80 ID:hc9sSSlP0
ハロゲンの赤い光りが、僕の額と腕を焼いていた
赤に追いやられた冷たい青が、僕の背中に回りこみ、背中を青で塗り出した
背中に柔らかい暖かさを感じる
不自然なぐらい冷たい手が、僕の首筋に添えられた
僕はその小さな手に、ハロゲンでこれまた不自然に温められた手を重ねた
じんわりと、二人の熱が混ざり合っていく
僕は「冷たいね」と言うと
耳元に吹きかけるように「あなたの手は暖かい」と声がした
「僕の膝の上においでよ」と僕は言った
すこしの間の後に
「そうしたいのは山々なのだけれど、それは出来ないの。それに、私が動いたら、あなたが凍えてしまうから」
と同じように耳元で声がした
「ありがとう」と僕は言ったが、答えはなかった
彼女の熱が、僕の背中に溶けきり、僕の熱が、彼女の手に溶けきると
僕の手の平は、自分の首筋を触っていた
それだけなんだ
ハロゲンの赤い光りが、僕の額と腕を焼いていた
赤に追いやられた冷たい青が、僕の背中に回りこみ、背中を青で塗り出した
背中に柔らかい暖かさを感じる
不自然なぐらい冷たい手が、僕の首筋に添えられた
僕はその小さな手に、ハロゲンでこれまた不自然に温められた手を重ねた
じんわりと、二人の熱が混ざり合っていく
僕は「冷たいね」と言うと
耳元に吹きかけるように「あなたの手は暖かい」と声がした
「僕の膝の上においでよ」と僕は言った
すこしの間の後に
「そうしたいのは山々なのだけれど、それは出来ないの。それに、私が動いたら、あなたが凍えてしまうから」
と同じように耳元で声がした
「ありがとう」と僕は言ったが、答えはなかった
彼女の熱が、僕の背中に溶けきり、僕の熱が、彼女の手に溶けきると
僕の手の平は、自分の首筋を触っていた
それだけなんだ
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:31:51.99 ID:95pWi1eY0 アイマス機買った?
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:38:18.37 ID:hc9sSSlP0
買ってない
買ってない
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 02:54:03.19 ID:hc9sSSlP0
AM放送が、ビンと張ったセロファンの上で踊るように、音楽を流していた
僕はそれを背に、本を読んでいた
背中に、あの時の暖かさを感じた
「なに読んでるの?」と僕が何かを言うより早く、声がした
「小説」と僕は短く答えた
「面白い?」
「うん。読む?」
「意地悪」
僕の背中を頭が叩いた
「声に出して、読みなさいよ」
「分った。それと、ミカン食べる?」
「……そうね、いただくわ」
僕は後ろを振り返らず、ミカンを彼女に一つ渡した
「ありがとう」
僕が本を読み終わる頃には、背中の暖かさが消えていた
後ろを見ると、ミカンが一つ手をつけられずに置いてあった
それだけなんだ
AM放送が、ビンと張ったセロファンの上で踊るように、音楽を流していた
僕はそれを背に、本を読んでいた
背中に、あの時の暖かさを感じた
「なに読んでるの?」と僕が何かを言うより早く、声がした
「小説」と僕は短く答えた
「面白い?」
「うん。読む?」
「意地悪」
僕の背中を頭が叩いた
「声に出して、読みなさいよ」
「分った。それと、ミカン食べる?」
「……そうね、いただくわ」
僕は後ろを振り返らず、ミカンを彼女に一つ渡した
「ありがとう」
僕が本を読み終わる頃には、背中の暖かさが消えていた
後ろを見ると、ミカンが一つ手をつけられずに置いてあった
それだけなんだ
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 03:04:39.41 ID:hc9sSSlP0
何が起きたのか分らなかった
僕はベットの上に横になっていた
蛍光灯が眩しい
眠りから覚めたと気づくまで、数分の時間を要した
枕元のスイッチに手を伸ばそうと、体を捻ると小さな声がした
僕の胸の中で丸くなるように、水銀燈が眠っていた
起さないよう、慎重に蛍光灯のスイッチを切って
彼女の肩を抱くように手を置き、目を閉じた
目が覚めた時、僕の腕の中には水銀燈は居なかった
それだけなんだ
何が起きたのか分らなかった
僕はベットの上に横になっていた
蛍光灯が眩しい
眠りから覚めたと気づくまで、数分の時間を要した
枕元のスイッチに手を伸ばそうと、体を捻ると小さな声がした
僕の胸の中で丸くなるように、水銀燈が眠っていた
起さないよう、慎重に蛍光灯のスイッチを切って
彼女の肩を抱くように手を置き、目を閉じた
目が覚めた時、僕の腕の中には水銀燈は居なかった
それだけなんだ
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 03:23:43.97 ID:hc9sSSlP0
いつものように、背中越しに声がかけられ
僕は「ねえ、君は僕の事が好きかい?」と聞くと
「あなたは自分の事、好き?」と彼女が言った
「わからないな。多分、嫌いだと思う」と僕が答えると
「それじゃあ、私はあなたの事が嫌い」と、彼女が言った
「僕は、君の事が好きなんだ」
「いいえ、それはあなたがそう信じたいだけ」
「嘘じゃない、僕は君の事が好きなんだ、水銀燈」
「自分に嘘をつかないで」と悲しそうな声がした
「嘘じゃない」
僕は後ろを振り返った
彼女と話している時には、タブーとなっていた“後ろを振り返”ると言う行為を、僕はしたのだ
そこには、水銀燈が立っていた
水銀燈はいつか見た微笑を浮かべ、立っていた
「何で、振り返ったの……?」
今にも泣き出しそうな声が、水銀燈の口から発せられたが
彼女の表情は、いつかみた微笑のままだった
「お願い、私を見ないで」
「……ごめん」
僕は謝り、前を向いた
「それじゃあ、またね」と水銀燈が言うと、後ろから気配が消えた
それだけなんだ
いつものように、背中越しに声がかけられ
僕は「ねえ、君は僕の事が好きかい?」と聞くと
「あなたは自分の事、好き?」と彼女が言った
「わからないな。多分、嫌いだと思う」と僕が答えると
「それじゃあ、私はあなたの事が嫌い」と、彼女が言った
「僕は、君の事が好きなんだ」
「いいえ、それはあなたがそう信じたいだけ」
「嘘じゃない、僕は君の事が好きなんだ、水銀燈」
「自分に嘘をつかないで」と悲しそうな声がした
「嘘じゃない」
僕は後ろを振り返った
彼女と話している時には、タブーとなっていた“後ろを振り返”ると言う行為を、僕はしたのだ
そこには、水銀燈が立っていた
水銀燈はいつか見た微笑を浮かべ、立っていた
「何で、振り返ったの……?」
今にも泣き出しそうな声が、水銀燈の口から発せられたが
彼女の表情は、いつかみた微笑のままだった
「お願い、私を見ないで」
「……ごめん」
僕は謝り、前を向いた
「それじゃあ、またね」と水銀燈が言うと、後ろから気配が消えた
それだけなんだ
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 03:39:41.67 ID:hc9sSSlP0
壁に背を預け座っていると
「あなたって、意地が悪いわね」と、どこからともなく声がした
僕は声に答えるように、目を瞑り、肩をすくめた
「まあ……私は別にいいのだけれど……」
目を開けると、目の前に水銀燈が立っていた
「やあ」と僕が言うと、水銀燈は目を瞑り、肩をすくめた
「背中越しがいいなら、ここに座りなよ。そうしたら、背中越しに話せる」
僕は自分の太ももを叩きながらそう言った。
水銀燈は少し悩んだ後、僕の太ももの上に腰を下ろした
「今日は、どうしたんだい」
「なによ、用がなかったら、話しかけるなっての?」
後頭部で僕の胸をゴンゴンと叩く
「そんな事はないよ」と僕は水銀燈の頭を撫でながら言った
「ならいいじゃない」
撫でられるがまま、水銀燈がそう言った
僕は水銀燈の頭に手を置いたまま、彼女の髪に鼻を埋めた
「甘い匂いがする」
「嫌い?」
「好きだよ」
これだけ言い終わると、二人の言葉は出尽くしてしまった
そして、僕は飽きるまで彼女の匂いと暖かさを堪能した
それだけなんだ
壁に背を預け座っていると
「あなたって、意地が悪いわね」と、どこからともなく声がした
僕は声に答えるように、目を瞑り、肩をすくめた
「まあ……私は別にいいのだけれど……」
目を開けると、目の前に水銀燈が立っていた
「やあ」と僕が言うと、水銀燈は目を瞑り、肩をすくめた
「背中越しがいいなら、ここに座りなよ。そうしたら、背中越しに話せる」
僕は自分の太ももを叩きながらそう言った。
水銀燈は少し悩んだ後、僕の太ももの上に腰を下ろした
「今日は、どうしたんだい」
「なによ、用がなかったら、話しかけるなっての?」
後頭部で僕の胸をゴンゴンと叩く
「そんな事はないよ」と僕は水銀燈の頭を撫でながら言った
「ならいいじゃない」
撫でられるがまま、水銀燈がそう言った
僕は水銀燈の頭に手を置いたまま、彼女の髪に鼻を埋めた
「甘い匂いがする」
「嫌い?」
「好きだよ」
これだけ言い終わると、二人の言葉は出尽くしてしまった
そして、僕は飽きるまで彼女の匂いと暖かさを堪能した
それだけなんだ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 04:16:24.91 ID:hc9sSSlP0
小さなちゃぶ台の前に並んで座って、二人でお茶を飲んでいた
水銀燈は目の前に置かれた和菓子には手をつけず、
上に置かれた湯飲みに手を添えるだけだった
僕は、中央に置かれた煎餅に手を伸ばす
「あっ」と水銀燈が声をあげた
湯飲が倒れ、湯気を立てたお茶が水銀燈のドレスに吸い込まれる
「ご、ごめん大丈夫?」
僕は、自分の袖でドレスが吸ったお茶を拭きながら言う
「ええ」と水銀燈が何事も無かったかのように言った
「そんなに心配しなくて、いいじゃない」
水銀燈が不思議そうに言うが、
僕は何も答えなかった
「あなただって、気づいてるんでしょう?」
「ああ」と僕は答えた
「なら、そんな事しなくても……」
「良かったな」
「え?」
「僕がイケメンだったら、キスしてその口塞いでたぞ」
水銀燈はふふ、と笑い
「あら、塞いでくれないの?」と言った。
「ああ、イケメンじゃないからな」と言おうとした僕の口は、最後まで言い終わる前に塞がれてしまった。
「今度は、あなたがイケメンになってね」と水銀燈が言い
僕は「前向きに検討しておくよ」と答えた
それだけなんだ
小さなちゃぶ台の前に並んで座って、二人でお茶を飲んでいた
水銀燈は目の前に置かれた和菓子には手をつけず、
上に置かれた湯飲みに手を添えるだけだった
僕は、中央に置かれた煎餅に手を伸ばす
「あっ」と水銀燈が声をあげた
湯飲が倒れ、湯気を立てたお茶が水銀燈のドレスに吸い込まれる
「ご、ごめん大丈夫?」
僕は、自分の袖でドレスが吸ったお茶を拭きながら言う
「ええ」と水銀燈が何事も無かったかのように言った
「そんなに心配しなくて、いいじゃない」
水銀燈が不思議そうに言うが、
僕は何も答えなかった
「あなただって、気づいてるんでしょう?」
「ああ」と僕は答えた
「なら、そんな事しなくても……」
「良かったな」
「え?」
「僕がイケメンだったら、キスしてその口塞いでたぞ」
水銀燈はふふ、と笑い
「あら、塞いでくれないの?」と言った。
「ああ、イケメンじゃないからな」と言おうとした僕の口は、最後まで言い終わる前に塞がれてしまった。
「今度は、あなたがイケメンになってね」と水銀燈が言い
僕は「前向きに検討しておくよ」と答えた
それだけなんだ
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 04:30:44.59 ID:hc9sSSlP0
「この時計、壊れてるわね」
水銀燈は、机の上に置いたあった腕時計を見ながら言った
「いや、電池が切れてるだけだよ」
「じゃあ交換しなさいよ」
「いや、この時計は毎日この時間を指すためだけに存在するんだ」と僕は時計の針を指差した。
「この時間に、何があったの?」
と水銀燈が聞く
「この時計の電池が切れた」
「それだけ?」
「うん」
水銀燈が僕に聞こえるよう、溜息をひとつした
「面白くなかったか」
「ええ」
「そうか……」
「そうよ」
結局時計の電池は取り替えたんだけどね
それだけなんだ
「この時計、壊れてるわね」
水銀燈は、机の上に置いたあった腕時計を見ながら言った
「いや、電池が切れてるだけだよ」
「じゃあ交換しなさいよ」
「いや、この時計は毎日この時間を指すためだけに存在するんだ」と僕は時計の針を指差した。
「この時間に、何があったの?」
と水銀燈が聞く
「この時計の電池が切れた」
「それだけ?」
「うん」
水銀燈が僕に聞こえるよう、溜息をひとつした
「面白くなかったか」
「ええ」
「そうか……」
「そうよ」
結局時計の電池は取り替えたんだけどね
それだけなんだ
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 05:19:55.50 ID:hc9sSSlP0
「そろそろあなたも、私離れしないとね」
水銀燈が椅子に座り、足をプラプラと揺らしながら言った
何故かと僕が聞くと「だって、私はあなたの弱い心だもの」と水銀燈が言う
「あなたは、私に逃げ場を求めていただけなんじゃないの?」
椅子がギイギイと音を立て回っている
「かもしれない」と僕は言った。
水銀燈は椅子から飛び降り、僕の目の前まで歩いて来て
「流れが無い水は、腐ってしまうものよ」と水銀燈が言った。
僕は水銀燈の顔を見つめる
彼女は、いつかディスプレの中で見た時と、同じ微笑をしていた。
「ねぇ、気づいてるのでしょう? それに私は──」
水銀燈の言葉の続きは、僕の口の中に吐き出された。
「今日はイケメンだったな」と顔を離し、僕は言った。
水銀燈は初めて見る、照れたような、不満があるような、そんな顔をして
「鏡でも見てきなさいよ」と言った。
「可愛いな、水銀燈は」
僕は水銀燈を抱きしめた
「あんたって、以外にナルシストなのね」と腕の中から呆れたように水銀燈が言う。
「違うよ、水銀燈が可愛いからいけないんだよ」
水銀燈の頬に自分の頬を摺り寄せた。
ま、それだけなんだけどね
腐ろうが何しようが、ずっと一緒だよ、水銀燈!
「そろそろあなたも、私離れしないとね」
水銀燈が椅子に座り、足をプラプラと揺らしながら言った
何故かと僕が聞くと「だって、私はあなたの弱い心だもの」と水銀燈が言う
「あなたは、私に逃げ場を求めていただけなんじゃないの?」
椅子がギイギイと音を立て回っている
「かもしれない」と僕は言った。
水銀燈は椅子から飛び降り、僕の目の前まで歩いて来て
「流れが無い水は、腐ってしまうものよ」と水銀燈が言った。
僕は水銀燈の顔を見つめる
彼女は、いつかディスプレの中で見た時と、同じ微笑をしていた。
「ねぇ、気づいてるのでしょう? それに私は──」
水銀燈の言葉の続きは、僕の口の中に吐き出された。
「今日はイケメンだったな」と顔を離し、僕は言った。
水銀燈は初めて見る、照れたような、不満があるような、そんな顔をして
「鏡でも見てきなさいよ」と言った。
「可愛いな、水銀燈は」
僕は水銀燈を抱きしめた
「あんたって、以外にナルシストなのね」と腕の中から呆れたように水銀燈が言う。
「違うよ、水銀燈が可愛いからいけないんだよ」
水銀燈の頬に自分の頬を摺り寄せた。
ま、それだけなんだけどね
腐ろうが何しようが、ずっと一緒だよ、水銀燈!
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/19(月) 05:20:11.97 ID:hc9sSSlP0
お わ り
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