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イベント05 冒険の始まり【失われた探偵】 - (2007/03/06 (火) 09:34:17) の編集履歴(バックアップ)


「というわけで、宝探しだ!」
「いや、意味わかんないんですが」

芥辺境藩国新生!
我が国は、田舎の農村風景から、なぜか見渡す限りの砂漠とオアシス、更に海、巨大港、飛行場と、 原型をとどめることなく生まれ変わった。

ここから物語は始まる…。

あ、これ報告書だっけ? まあ、細かいところは気にせずいこう。



オアシスの中に作られた王宮で、藩王と摂政は秘密会議をしていた。
この国の行く末を決める、重大な会議である。

「だから宝探しだって。今流行ってるみたいだよ? 乗り遅れたらまずいって」
「大急ぎで逃げ出してきて、やっと落ち着いたのに…。なんでそんな時に宝探しなんですか」
「ふふふ、わかってないなあ、オーマ君。こんな時期だからだよ! いいかい、きたるべき戦いに備え、我々は戦力を増強する必要があるんだ。かといって、わが国の生産力はそれほど高くない。ただ手をこまねいているわけにはいかない」
眼を怪しく輝かせ、藩王は叫ぶ。
「そこで、宝探しだ! 一発当てればわが国の財政は潤い、共和国の発展、そして栄光に繋がると! 完璧だろう」
「はあ」

繰り返すが、これはこの国の行く末を決める重大な会議である。
あ、それと公式ブログの芝村さん執筆藩王(や国民)は、対外向けのかっこいいバージョンなので、気をつけてほしい。

「ふふふ、信用できないんだね? ならば、これを見たまえ」
藩王は一枚の紙を摂政に見せた。それは、多くの藩国が宝捜しで多大な利益を上げていることを示す報告書であった。
「どうだね。これだけ多くの国が、冒険に成功しているのだよ」
「…利益と支出が大して変わらない国もあるような。後、なんで黒く塗りつぶされている部分が」
全部無視して藩王は、摂政の肩に両手を置いた。
「うむ、わかってくれたようだね。すでに我が国が利益を上げられそうな冒険は選ばせてある。出撃する4人の選抜を頼むぞ」
「…了解しました」
何もかも諦めた表情で、摂政は2枚目の紙を受け取った。
そこで眉をひそめる。
「…………失われた探偵? 探偵とは?」
「さあ? 燃料の隠喩じゃないのかな」

半ば諦め気味に摂政は四人の国民を選び出した。内、二人は吏族である。
そんなこんなで、四人の戦士は未知なる海への冒険を開始したのだった。

四人は、コスト削減のために漁船に乗せられ、資源位置特定の任務を申し付けられた。
「まさか、宝捜しをすることになるとはな」
芥藩が所有する漁船の上で、吏族にして整備士の一人、ゲドーは呟いた。
彼は名前とは裏腹に、社会問題への取り組み(引きこもりの世話をしているらしい)や、

吏族という大任を進んで引き受けたとても真っ当な人間である。
それだけに、意外な成り行きに少々困惑しているようだった。
「吏族を二人も引っ張り出すとは、よっぽど人手不足なんやろうなぁ。」
にゃんにゃん歩兵、真道犀雅は皮肉気に呟いた。
「まあまあ、これも仕事のうちだよ」
同じく猫耳ソルジャーである白河輝は、優しい口調でフォローした。
そう、今はどこも苦しい時だ。少しでも望みがあるならば、宝探しだろうと…。
「もー、皆暗いよー! 元気出していこーよー!?」
と、やたらに大きな声をあげたのは、二人目の吏族、双海環だった。
遊び人を自称し、気の向くままに生きる彼女には、楽しいイベントであるらしい。
三人の雰囲気が、なんとなく明るくなる。やっぱり男は単純な生物なのかもしれない。

ちなみに、彼女は我が国の致命的なヒロイン不足を解消すると同時に、

責任重大にして作業膨大な吏族をも引き受けてくれるという、素晴らしい女性である。
ひょっとしたら天使かもしれない。芥辺境藩国民は、常に彼女への感謝を忘れてはならないだろう。ああ、ありがとう双海さん。

「しかし…。やけに他藩の船が多いですね」
周りを見回しながら、輝は呟いた。
何隻もの船が、指定ポイント付近に集まっていた。大抵の船が自国の旗を掲げているため、識別は容易だった。
「まあ、燃料を大量に手に入れるチャンスやし。燃料タンクを見つけ出すだけやったら、

そんなに難しくないってのもあるんちゃうか?」
「…まあ、確かに」
犀雅の言葉には、一応納得できる。しかし…。
だが、次の環の発言によって、それどころではなくなった。
「あ、ところでー。どうやってタンク見つけるの?」
「は?」
「え?」
「何?」
犀雅が慌ててゲドーに目をやる。
「何か、センサーみたいなものを持って来てるよな? 吏族は整備部も兼任してるし」
ゲドーは首を横に振った。
「この船についているのは漁業用の魚影センサーぐらいだ。

私はてっきり軍部からセンサー等の支給があったものだとばかり…。違うのか?」
「私たちは、ただ同行し、利用可能な資源を持ち帰れるよう、努力しろとだけ…」
呆然と輝も言う。
更に環が、
「整備の方もー、有効資源、部品の見極めと、回収作業の手伝いをしろって言われただけだよ?」
あっけらかんと言い放った。
「「「「………」」」」
気まずい沈黙が続く。顔を見合わせあう四人。
「…ってか、出航前に誰か気づけや! 俺もやけど!」
そのままあーとかうーとか言いながらごろごろ転がり始める犀雅。
やれやれ、とため息をついて、ゲドーは本土に通信を開いた。回収斑に連絡を入れるための通信機は持ってきていた。
すぐに応答はきた。
『あ、どうもー。ひょっとしてそっち、苦労してます?』
通信機は、どことなく軽薄な声を返してきた。
ゲドーの記憶にはない声だった。まあ、このさい誰でも構わないだろう。
「ああ。間抜けな話だが…。センサー類を積み忘れたようだ。そちらに置いたままだろう?」
『いや、えーと…言い難いんですが…』
「何だ?」
『これはギリギリまで黙っておけと言われていたんですが…。今回は、機械センサーは抜きでやってくれと、

上から…。なんか歩兵猫士アイドレスの水中テストもついでにとか何とか…』
「「なんだとー!?」」
思いっきり猫耳二人は叫びを上げた。

というわけで、犀雅と輝は、こっそり積載されていた水中作業服猫耳仕様×2を着用し、

自らの感覚のみによる海中捜査を行うはめになったのだった。
吏族組は船上から、サポートを行っている。
「全く…。何考えてんねん。なんで猫士がサルベージなんか…。しかも本人たちにギリギリまで詳細伏せたままってどないやねん!?」
「まあ…。うちの国、少し変わったところがあるし…」
輝は苦笑しながら海中を見回した。かなり水深は深いようだ。
「今更文句を言っても仕方ないさ。とりあえず、できることをやろう」
そういって輝は目をつぶり、精神集中を開始する。
犀雅も舌打ちしつつ、輝に倣う。
芥辺境藩国の歩兵猫士は戦場の風である。
(中略。詳しくはイグドラシル参照)
というわけで、高い感知能力を持つのだが…。
それが水中で発揮される保障はない。歩兵なんだから別に構わないような気もするが、何が必要になるかわからないからとかなんとか、そんな理由らしい。にゃんにゃんらしいアバウトさだった。
二人はそのまま、底へ向かって潜り始めた。
5分ほど経ち、急に輝は感覚が広がっていく感触を得た。いつものように、首の後ろがひりつくような…。
「ん? これは…」
そこで船上から通信が入った。
『聞こえる!? ちょっと暇だから魚影探知機つけて見たんだけど! 大きい魚が沢山そっちに向かってるのー! これってやっぱり…』
前から黒い影が、近づいてきた。魚には詳しくないが、この大きさに、あの形は…。
「…鮫。かな」
「幸運全滅なうちの国らしいアクシデントやな」
二人は大急ぎで反転、漁船に引き返した。
水中作業服は、それ自体が推進力をもっているため、普通に泳ぐよりは速い…。が、大鮫程のスピードはなく、距離をどんどん縮められていく。
「まずいな! 応戦するんか?」
犀雅の言葉に、一瞬輝は迷った。水中で鮫の相手をするのは、普通なら自殺行為だが、このまま追いつかれても結果は変わらないだろう。今なら先手を取れる分有利かもしれない。
念のために持って来ておいた特殊処理曲刀もある…。
「よし! 行くな!? 行くで!」
「ってまだ何も言ってないぞ!」
犀雅が先行した。猫士であり、西国人故の独特の強感覚が、通常以上の加速と機動を可能にした。
敵は四匹ずつ、前後に分かれていた。合計八匹。
つまり四対二を一回で十分…。犀雅は笑ってそう計算した。
水中で強い斬撃を放つのは難しいが、この曲刀ならば、相対速度だけで敵を殺せる。輝は顔を引き締めて、冷静にそう判断した。
最初の一匹の鼻面に、正面から刀を突き刺す。更に、前から頭を狙ってきた二匹目から身をかわしつつ、曲刀の先端を軽く突き入れる。二匹目はその勢いを減らさぬまま、断ち割られた。

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犀雅が体勢を整える前に、三、四匹目が迫る。三匹目の突進を、二匹目の体を盾にして耐える。が、四匹目は避けきれない。
そこに輝が割り込んだ。四匹目に体ごとぶち当たって軌道を変えつつ、刀を急所に突き刺した。
そのまま体を引かせ、仲間の死体を食いちぎる三匹目に突っ込んだ。そのまま目の付近にに刀を突き入れて仕留めた。
戦争が終わったら、漁師になるのもいいかもな。そんなことをちらりと考えた。
その思考を断ち切るかのように、犀雅の声が耳に届く。
「よし、後はほっとけ! 上がるぞ!」
二人はそのまま急速離脱した。背後で、血に狂った鮫が仲間の死体を食い始めていた。
始めから、共食いによる時間稼ぎを狙っていたのだった。

何とか、二人は命からがら船上にたどり着いた。
「二人とも無事か。よかった」
「正直もう駄目だと思ったよ!」
にこにこしながら環が言った。
輝は何か言おうとして、ただ苦笑した。
「あー、ったく。何で宝探しが鮫退治になってまうんや」
犀雅は腰を下ろしながら、ぶつぶつと呟いた。
「もうイヤや。これ以上は無理やで。今回は失敗ってことで」
「うん、ちょっと危険すぎるかな…」
輝も控えめに賛同する。
環もうんうんと頷き、そして言い放った。
「よーし、じゃあプランBで行きましょう!」
「「?」」
猫兵士二人は、きょとんとした。完全に初耳だったからだ。
「ふふふ、説明しましょう。プランBとは! 
魚影センサーをちょちょいと改造して! 燃料タンク相当の物体を探知するセンサーへと早代わりさせる作戦なのよ!」
コブシを握って力説する環。凄く嬉しそうだ。
「「……」」
呆然と、揃ってゲドーに目を向けた。
ゲドーは目をそらしながら言った。
「……いや、テストは重要ではないかな? 貴重な水中戦データも取れたことだし」
「…………。悪党め」

その後、30分で適当な燃料タンクを発見し(環「芥辺境藩国のセンサーは宇宙一なんだよー!」だそうである)、

回収部隊を派遣。冒険は終わった。

オアシスの中にある宮廷で、摂政は藩王に、今回の冒険の報告を行っていた。
「…以上です。4億の支出、4万トンの燃料消費で、差し引き6万トンの燃料が我が藩国に入りました。…少し微妙な結果ですね」
「ま、最初だしね。これからじゃないかな」
「というと…。まだ続けるんですか?」
「もちろん。次の冒険はすでにリストアップさせている。国民に、準備を促しておいてくれないかな?」
「…はあ、わかりました」
果たして、次はいかなる困難が待ち受けているのだろうか。
芥辺境藩国の戦いは続く…。

「俺はもうイヤやからな、宝探しなんて」
「…とは言っても、そう遠くないうちに、出番がくるんじゃないかな」
「次のお仕事は、なんだろうねー」
「妙な仕事でないといいが…」
ははは、次はアクロバットだ!

続く(のだろうか)


○参加冒険: No.47:失われた探偵 文責:文族 歩露(ほろ)
資金変化(14億-4億=10億)
技による燃料変化 10万トン-4万トン=6万トン
参加者一覧
○白河輝(PL:公嚢):6000:西国人+猫士+歩兵
○真道犀雅(PL:サイガ):5300:西国人+猫士+歩兵
○ゲドー(PL:外道):4000:西国人+吏族+整備士
○双海環(PL:双海飛鳥):4000:西国人+吏族+整備士
冒険結果
○冒険結果: 大成功 :得たお宝: E 21燃料10万t :ユニークな結果:なし
コメント:どうも日向は誰かに救出されたようです
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