【これもある意味戦闘中?】
作:大車座(PL:大熊座)
芥辺境藩国中が戦闘準備に猫も杓子も大慌ての中、一人だけ別のことでテンパッテいる奴がいた。
大車座である。
「ぎにゃ~! どうしてこんなにあるのですか!!」
辺りを見ると始末書の山・山・山。あまりの量に大車座の姿が見えなくなっているほどである。
大車座である。
「ぎにゃ~! どうしてこんなにあるのですか!!」
辺りを見ると始末書の山・山・山。あまりの量に大車座の姿が見えなくなっているほどである。
大車座は人見知りかつ臆病である。
知らない人が来たら逃げて隠れる、知っている人でも大人数で来れば逃げて隠れる、何かあったら逃げて隠れる。
同じパイロットであり同僚の歩露曰く、
「大車座? あれはツチノコみたいな奴だ。姿を現すことはレアだ。それに何かあれば驚くほどの速さで逃げていくからな。」
とのことである。
そういうわけで大車座は逃げ隠ればかりいる。
たとえ作業中でも訓練中でもそうであるため、作業はちっとも進まない、訓練も途中で終わってしまうので始末書を書く破目になる。
それさえも何かあれば同じことなので、始末書もどんどんたまっていく。
今までよくも敵前逃亡しなかったのか不思議なくらいである。
まったくもってどうしようもないのである。
知らない人が来たら逃げて隠れる、知っている人でも大人数で来れば逃げて隠れる、何かあったら逃げて隠れる。
同じパイロットであり同僚の歩露曰く、
「大車座? あれはツチノコみたいな奴だ。姿を現すことはレアだ。それに何かあれば驚くほどの速さで逃げていくからな。」
とのことである。
そういうわけで大車座は逃げ隠ればかりいる。
たとえ作業中でも訓練中でもそうであるため、作業はちっとも進まない、訓練も途中で終わってしまうので始末書を書く破目になる。
それさえも何かあれば同じことなので、始末書もどんどんたまっていく。
今までよくも敵前逃亡しなかったのか不思議なくらいである。
まったくもってどうしようもないのである。
「う~。参加したい手伝いたい出撃したいです。でも、これ片付けないと出撃させないといわれてますし・・・・・・。」
大車座、あまりにも始末書が溜まっているので藩王より直々に部屋に閉じこめられて言い渡された。
始末書全部書き上げさせろ。全部書き上げるまで、おやつはなし、出撃もなし。
おまけに期日の朝8時までに仕上げなければ祭りにも参加させてやらないとも。
にゃんにゃん国国民にとっては恐るべき事態だ。
始末書全部書き上げさせろ。全部書き上げるまで、おやつはなし、出撃もなし。
おまけに期日の朝8時までに仕上げなければ祭りにも参加させてやらないとも。
にゃんにゃん国国民にとっては恐るべき事態だ。
ちなみに藩王が自分を探していると聞いて大車座は一目散に逃げ出した。
また何かあったのだと思ったからである。
本当にどうしようもない奴である。
しかし、逃走後20分で捕まった。お供え物に手を出したからである。
ああ、素晴らしきかな本能は。
また何かあったのだと思ったからである。
本当にどうしようもない奴である。
しかし、逃走後20分で捕まった。お供え物に手を出したからである。
ああ、素晴らしきかな本能は。
時計を見る。深夜0時。1日半は書いている。書いた量はまだ三分の二。期日は今日である。
泣きたくなった。
「・・・・・・とにかく頑張りましょう。書いていればいつかは終わりが見てくるはずです。」
自分を叱咤激励しつつ大車座は始末書を書く。
書く、書く、書く。とにかく書く。
途中隠し持っていたバナナを食べてひたすら書く。
当社比3倍である。
文面がまったく同じなのは些細なことだ。
泣きたくなった。
「・・・・・・とにかく頑張りましょう。書いていればいつかは終わりが見てくるはずです。」
自分を叱咤激励しつつ大車座は始末書を書く。
書く、書く、書く。とにかく書く。
途中隠し持っていたバナナを食べてひたすら書く。
当社比3倍である。
文面がまったく同じなのは些細なことだ。
どうにかこうにかして、午前4時。始末書も僅かとなり、一息つけるようになった。
「やれやれ、やっと終わりが見えてきました。もう少し、もう少しで。ふ、ふふふふふふ・・・・・・。」
あまりの疲労と眠気で頭のねじが一つぶっ飛んで不気味な笑いをしている。
そんなときだ。
あまりの疲労と眠気で頭のねじが一つぶっ飛んで不気味な笑いをしている。
そんなときだ。
「にゃ!!」
明かりが消えた。部屋には逃走防止のため窓一つない。真っ暗である。
「い、いったい何がどうしたんですか。お~い、見張りさ~ん。」
一つしかない扉の向こう側にいるはずの見張りに話しかけてみる。返事はない。
「見張りさ~ん。無視しないでくださ~い。へんじをぷりーずで~す。」
さらに話しかけてみる。やはり返事はない。
一つしかない扉の向こう側にいるはずの見張りに話しかけてみる。返事はない。
「見張りさ~ん。無視しないでくださ~い。へんじをぷりーずで~す。」
さらに話しかけてみる。やはり返事はない。
「返事がないです・・・。まさか見張りがいないのでは!? いやいやいや待ってください。この逃走王たる自分に見張りがついていないわけがないのです・・・・・・。」
あーでもないこーでもないと考えてみる。が、無駄である。情報が圧倒的に少ないのだから当然だ。
というか逃走ばかりしている自覚があるならまずそれを直せといいたいところであろう。
あーでもないこーでもないと考えてみる。が、無駄である。情報が圧倒的に少ないのだから当然だ。
というか逃走ばかりしている自覚があるならまずそれを直せといいたいところであろう。
そうこうしているうちに、だんだんと寒くなってくる。砂漠の夜は寒い。
それに加えて、明かりが消えているということは電気が通っていない、イコール暖房もつかないということである。
それに加えて、明かりが消えているということは電気が通っていない、イコール暖房もつかないということである。
「うぅ、寒いし暗いし誰もいないし。自分に神様の顔を拝んできなさいとでもいうのですか。河原でばー様と会ってきなさいというのですか・・・。」
とこの世の不条理に文句を言ってみるが状況は変わるはずもない。
とこの世の不条理に文句を言ってみるが状況は変わるはずもない。
午前5時半。暖房の熱は完全に消え去り、後は凍えていくだけである。
「ほ、本格的にでまずいです。何か防寒具は・・・・・・。」
と防寒具探してみるがあたりには大量の始末書しかない。
「あるのは始末書という名の紙だけ。・・・・・・仕方がないです。命あっての物種です。緊急事態なのだし、藩王も大目に見てくれるでしょう。たぶん。」
「ほ、本格的にでまずいです。何か防寒具は・・・・・・。」
と防寒具探してみるがあたりには大量の始末書しかない。
「あるのは始末書という名の紙だけ。・・・・・・仕方がないです。命あっての物種です。緊急事態なのだし、藩王も大目に見てくれるでしょう。たぶん。」
真っ暗な部屋の中でごそごそがさがさと音が響く。やがてその音もしなくなった。
その日の朝8時にわざわざ始末書を回収しに行った摂政 那限逢真により始末書の中に
埋もれている大車座が発見された。
どうやら、始末書を防寒具代わりにしたようだった。
命に別状はなく、検査後すぐに退院したが、始末書がぐちゃぐちゃになったということで書き直しを命じられた。
緊急事態だったといくら言い張っても認められず、結局大車座はもう丸1日始末書と向き合う破目となったことはまた別の物語である。
どうやら、始末書を防寒具代わりにしたようだった。
命に別状はなく、検査後すぐに退院したが、始末書がぐちゃぐちゃになったということで書き直しを命じられた。
緊急事態だったといくら言い張っても認められず、結局大車座はもう丸1日始末書と向き合う破目となったことはまた別の物語である。
余談だが、明かりが消えた理由は、配線をねずみに噛み切られたというありがちな話であった。
また、見張りがいなかった理由は、
「えっ!? 見張り? いや、すっかり忘れてた。あははははは。」
と、実に猫らしい答えが返ってきており、そもそも見張りがいなかったということであった。
また、見張りがいなかった理由は、
「えっ!? 見張り? いや、すっかり忘れてた。あははははは。」
と、実に猫らしい答えが返ってきており、そもそも見張りがいなかったということであった。
(終わり)