芥辺境藩国@wiki

イベント32 新人歓迎キャンペーン【藩王×摂政】

最終更新:

support00

- view
メンバー限定 登録/ログイン

【藩王×摂政】

作:歩露(PL:ほろ)


あなたの好きな藩王と、摂政でお楽しみください。


藩王の執務室で、2人は仕事をしていた。
「まったく…あいつも好き勝手書いてくれる」
摂政は苦い顔で、文章を登録した。
なぜか最初の方はシリアスなのに、藩王が出てきたあたりからギャグになり、最後は突然ラブコメになるという、よくわからない話だった。
「いきあたりばったりだよね。彼は」
藩王もため息をついていた。
この文章を書いた文族は、自分が話していた文章の内容を、すぐに忘れることで有名だった。
最初の予定通りの文章を作成することは、まずない。純粋に本人の実力不足なのだが、最近は特に好き勝手やっていた。
「しっかし、君と私が、ねえ」
少し可笑しくなって、藩王は笑った。
嫌な顔をする摂政。
「やめてくださいよ…。本当に趣味の悪い話です。人の関係を好き勝手に…」
と、あんまり嫌そうに言うので、藩王はちょっと目を細めた。
「…ふうん。ずいぶんと嫌そうだね」
摂政は背を向けたままで、藩王の表情の変化に気がついていない。
「それはそうでしょう。こんな文章で、妙な噂を立てられては…」
たまらない…と言おうとしたところで、藩王は後ろから抱きついた。
「…!?、は、藩王! 何をするんですか!」
「…いやあ、ほら、無名世界観だし?」と、(大変に筋の通った)わけのわからない理由を呟く藩王。
摂政はあわてて振りほどこうとするが、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか、と藩王はますます力を込める。
「ひ、人に見られたらどうするんですか」
「誰も見ないって。この部屋には2人しかいないんだから」
藩王の執務室に、断りなく入ってくる国民はそうそういないだろう。
摂政は抵抗をやめ、ぼそぼそと呟いた。
「…。なんで、こんなことをするんですか。嫌がらせですか?」
そう言われると、困る。そんな声を出されても困る。
「…えーっと…」
藩王がなにかを言おうとした。
そのとき、扉が蹴破られた(あなたの藩国にも、一人くらいは扉を蹴破る吏族がいるでしょう。え、いない?)。
「報告でーす! …あれ? 二人ともどうしたんですか?」
二人は、2メートルくらい離れて、咳払いをしながらあさっての方向を向いていた。
「ああー、いや、なんでもないんだ。報告を聞こう」
慌てて摂政が取り繕った。

「じゃ、失礼しますね!」
報告に来た吏族が去っていくと、2人は息をついた。
「全く…肝が冷えましたよ、藩王」
摂政は、じろりと藩王に目をやった。
「ははは、ごめんごめん」
笑ってごまかす藩王。
摂政は、憮然とした顔のまま、小さい声で言った。
「全く…あなたの笑顔は卑怯だ」
「え? 何?」
自分はいつでも、こうやって丸め込まれているのに。
「なんでもありませんよ。さあ、仕事を再開しましょう」
ウィキ募集バナー