狂龍は翼を休めず
「そう、か。死んだのか……」
定時放送に耳を傾けながら、ヤザン・ゲーブルは呟きを洩らす。
――バラン・ドバン。自分に手痛い一撃を食らわせたあの男が死んでしまった事は、ヤザンにとって予想外の出来事だった。
もう一度戦い、この手で必ず打ち負かす。その願いが叶えられなくなった事に、ヤザンは胸に穴の開いたような感覚を覚える。
だが、それは一瞬の事だった。
「……くっ、くくっ、はっはははははは! 面白くなってきやがったじゃねえか!」
あれほどの男が不意打ちで殺されたとは思えない。
現に奴は自分の強襲を力押しで跳ね除けて、まんまとシッペ返しを食らわせてくれたのだ。
不意打ち程度で仕留められるほど、バラン・ドバンは甘くない。
ならば、それはつまり――バラン・ドバンを実力で打ち破った者が居る事を意味しているのだ。
それは――それは、なんと心踊る事実なのだろうか――!
「面白い……! 誰かは知らんが待っていろ、バラン・ドバンを倒した奴!
貴様を仕留めるのはこの俺、ヤザン・ゲーブルだ!」
傷だらけの機体。休息がてら機体の自己修復を待とうかとも思ったが、この溢れ出る戦意は抑え切れそうにない。
この昂る気持ちを鎮めるには――戦いだけだ!
「さあ行くぞ、龍王機! 次の獲物を探しにな!」
そして手負いの龍は力強く飛び立った。その瞳に闘志を漲らせ、次なる標的を葬り去るべく。
【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
パイロット状況:健康
機体状況:尻尾がない、全身にハンマーの大量のかけらが当たったときのダメージ(中)
現在位置:G-4
第一行動方針:どんな機体でも見付ければ即攻撃
最終行動方針:ゲームに乗る】
【二日目 6:10】
最終更新:2008年05月30日 16:18