Last Boss


「……これを、押せばいいのか」
 あの戦いから数時間。
 私ことヴィンデル・マウザーは、新しい機体マジンカイザーになれることも兼ねて、付近の捜索を行った。
 その結果が目の前のボタン、補給ポイントだ。
「どうも怪しいな。こんなもので、この機を直せるのか……」
『ヤッテミルサ』『パンチダ、ロボ!』
 ……うるさい奴らだ。
 先ほどから喚きたれるハロ達に押され、ボタンを押すと、
大量の小さなロボットが四角い箱から打ち出され、マジンカイザーにまとわり付いた。
「すごい技術だ……。みるみるゲージが回復していく」
『コノギジュツガアレバ、ジオンハアトジュウネンタタカエル!』
「わけのわからんことを……。まぁいい。この機会に、だ。改めて今後の方針を決めたい」
 ハロの不当な支配から脱し、新しい機体の修理もできた。

『マズハ、サイシュウモクヒョウダナ』
 最終目標、か。
 これは既に決まっている。
「どんな形にせよ、ゲームからの脱出が最優先……。
 いや、主催者の技術を奪取したい。どう思う?」
『イクラオレタチトアニキデモ、アイツハ、カナリノキョウテキダ』
「お前達もそう思うか」
 そうなのだ。
 いかにこのマジンカイザーとラスボスである私の力とついでにハロを以ってしても、
あの主催者と1対1でやりあうのはリスクが大きすぎる。
 かつて自分の起こした政府に対する反乱を例にとってもそれはわかる。
 あれにもかなりの仲間が居た。
 アクセルにレモン、そしてあの人形ども。数多くの兵士達。
 それでも結局クーデターは失敗したのだ。
 勢力としては小さいが、主催者は未知の技術を多量に保有している。力は全くの未知数で予断は許されない。
「……他の参加者との連携が、嫌でも必要だな」
『アニキ、コンカイハメズラシクサエテル!』
「黙れ」
 本来、私は肉体派ではなく頭脳派なのだ。
『デモ、アニキハアヤシイカラナ』『アクニンヅラダナ』『ウサンクサイ!』
「……兄貴だとか言っておきながらその言い草は無かろう」
 事実が混ざっていることは否定しないが。
『デ、モクヒョウハ』
「主催者を打倒するだけの強い仲間の確保、だな。
弱い奴を打ち損じて悪評を振りまかれても困る。
基本は他の参加者と接触し、情報の収集。及び友好的で強力な力を持つ参加者との接触ということにしておこう。
私に攻撃を仕掛けるようであれば……容赦はせん。徹底的に叩く」
 あるかどうか不明確な戦艦を当てにするのも非効率的だ。
アクセルやラミアを引き込めればそれに越したことはないのだが、アクセルは記憶喪失、W17は行方知れずで、雲行きが良くない。
 もはや、かつての仲間にこだわっている場合ではなかろう。
 とにかく、仲間を増やすことが優先される。
 そして、ゆくゆくは主催者を倒し、その技術を奪い、元の世界に返り――
「私は、新世界の王になる!」
『エンゴハ、マカセロ!』『ドスコォォーイ!』『ヤレッテイウナラヤッテヤルサ!』



【ヴィンデル・マウザー 登場機体:ジャスティス→マジンカイザーwithハロ軍団
 パイロット状況:パイロット状況:全身打撲、アバラ骨数本にヒビと骨折(応急手当済み)
         頭部裂傷(大した事はない)、精神面は絶好調、ハロと友情(?)が芽生えた
 機体状況:良好  
 現在位置:C-3
 第一行動方針:強力な味方を得る、及び他の参加者と接触し情報を集める
 第二行動方針:戦闘はなるべく避けるが、相手から向かってくる場合は容赦しない
 最終行動方針:主催者を打倒し、その技術を手にする
 備考:コクピットのハロの数は一桁になり、ヴィンデルが優位になった】

【二日目 14:30頃】





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最終更新:2025年01月29日 01:33