コーヒーブレイク


 腹が減っては戦は出来ない。
 それは人間である以上、当たり前の事である。
 不眠不休で動き続ける事が出来る人間など、この世には誰一人として存在しない。
 その男が今現在休息の中に居る事は、だから至極当然の事であった。

「ふぅ……」
 コーヒーの薫りを肺一杯に吸い込みながら、パプテマス・シロッコは溜息を吐く。
 辺りには騒動の気配一つ無く、穏やかな空気が流れていた。
 平和だ。
 そう、殺し合いの中に放り込まれたとは信じられないほどに。
 支給された幾許かの食料品。その中から袋詰めのパンを取り出し、シロッコはゆっくりと味わいを楽しむ。
 美味い――
 パンの味は勿論だが、美味さの秘訣は空腹だ。
 思えば、こうして食料を口に入れるのは、随分久しぶりの事だった気もする。
 あの永久に続くかと思われた緊張の中では、腹を空かせている事を自覚する余裕すらなかった。
 ただ、我が身の安全を図る事ばかりに気が行ってしまい、その他の事を気にしている余裕など全くなかった。
 だからこそ、気が休まる。こうやって、穏やかな空気に身を浸していると。
 緊張感を持つ事は、決して悪い事ではない。
 だが、張り詰め過ぎた糸は容易に切れてしまうものだ。
 こうして適度に気を抜かなければ、緊張感に押し潰されてしまう。
 そんな事を考えながら、シロッコは数時間ぶりに穏やかな時間を過ごしていた……。



【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
 パイロット状況:良好、食事中
 機体状況:内部機器類、(レーダーやバリアなど)に加え通信機も異常、右腕に損傷、左足の動きが悪い
 現在位置:C-8市街地
 第1行動方針:まずはコーヒーブレイク
 第2行動方針:首輪の解析及び解除
 第3行動方針:新たな手駒を手に入れる
 最終行動方針:主催者の持つ力を得る
 備考:首輪を所持】

【二日目 18:20】





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第184話「ハイエナの如くに パプテマス・シロッコ 第209話「考察


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最終更新:2008年06月02日 04:06