墜ちた勇者


 突如廃墟地区に轟音があがる。
そこには恐竜の頭蓋骨の化石のような胸部に、何やら違和感のあるいびつな印象を受ける頭部を持つ巨人がそびえ立っていた。
「今のがデスパーサイトか・・・パワーもかなりのものだが、内蔵武器も充実しているようだ。しかし・・・」
 鉄也は操縦の手を緩め、現在の状況を考えた。
(俺は地獄大元帥との戦いの最中、気を失って・・・気付けば首輪をはめられてこの様だ。
所長は・・・ジュンは・・・兜甲児はどうなったんだ)
鉄也も戦闘のプロとしての自覚はあるが、精神的にはそう強くない。
先程機体の性能をチェックしたのも欝屈した気分から抜け出したいものがあったからだ。
もちろん理由はそれだけではないが。

「・・・おいでなすったか」
 空の向こうから巨大な影を落とす一機の爆撃機・・・
いや、その巨大さを見ると爆撃機と呼ぶのは正しくない気がした。
「随分と大物が釣れちまったみたいだな」
 鉄也が先程武装のチェックをしたの狙いは音をたてる事により目立つ事、
こんな簡単におびき寄せられる相手ならば難なく倒す事が出来る。そう踏んだのだ。
その巨大な爆撃機はこちらにある程度近寄り、突如変形し、人型のロボットとなった。
そしてそのロボットからスピーカーで声が発信された。
「じゃんじゃじゃーん!やいやいそこのロボットォ!このボス様と勝負しやがれぇ!」
 その偉容さえ感じられるロボから発信された声は、極めて能天気なものであった。
そして鉄也はその声と名前を知っていた。
「ボス・・・だと・・・」
 鉄也も自機のスピーカーを使い、眼全の巨大機に話し掛けた。
「随分と立派な機体に乗ってるじゃないか、ボス!」
「そそそそ、その声は鉄也ぁ!」
 目の前の巨大機の精悍な顔つきから発信される素っ頓狂な声がいやにおかしかった。
「・・・で、これからどうするんだよ、鉄也ぁ」
 二人は機体からおり、生身で話し合っていた。
「当然、あの仮面野郎をブチのめす、邪魔する奴も排除する、お前もついてこい」
「当たり前じゃねえか鉄也!俺とお前が組めば恐い物無しだぜ!」
(これだけの巨体だ、いざとなれば盾や囮になってもらえる・・・!?
 何を考えている俺は、仲間を盾になんて!)
「どうしたぃ鉄也?顔色が悪いぜ」
「大丈夫だボス、そうだな・・・とりあえず北でも目指すか」


【剣鉄也 :ガイキング(後期型) 
 現在位置:Dー3
 第一行動方針:北上
 第二行動方針:邪魔者の排除
 最終行動方針:ユーゼス打倒】

【ボス :ダイターン3 
 現在位置:Dー3
 第一行動方針:鉄也と共に北上
 第二行動方針:邪魔者の排除
 最終行動方針:鉄也と共にユーゼス打倒】



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剣鉄也 第54話「接触
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最終更新:2008年05月29日 01:01