無題


ヒイロ・ユイはテロリストである

任務として破壊工作を行い、数々の人命を殺めてきた
今回も状況がやや違うとは言え、いつもの任務とさして大差など無い。
ただ違う事は、そこには乗り馴れた愛機は無く、周囲の人間全てが敵かどうか判断出来無い事であった
彼はテロリストではあるが、殺人狂ではない。少なくとも、任務に関係の無い人間は殺す事が無い
それはくだらないヒロイズムやポリシーなどでは無く、純粋なヒトとしての嫌悪感だった
このような状況に合っても、彼は出来る限り殺したく無い、そう考えていた


その彼に与えられた機体は、M9 ガーンズバック
アームスレイブと呼ばれる陸戦兵器であり、全高8mと小型の陸戦兵器である
だがその人工筋肉に包まれたしなやかな体は柔軟に、人間の体以上に滑らかに可動し
もはや兵器と言うよりも肉体の延長上、搭乗者を強化し、そのまま大きくしたと言った方が良いのかも知れない

通常では考えられない、ただの15分程度で機体のおおよその動きをマスターした彼は、おもむろに携行武装である
GEC-B40mmライフルの赤外線レーダーサイトを解体し始めた
解体したレーダーサイトを、手慣れた手付きで20基程の光学センサーに分けると、それを使い
周囲15キロ四方に布設して回る

今回の任務は最後まで生き延びる事
出来る限り殺しはしない。だが向かってくる敵に両手を挙げて殺されてやる程、聖人君子を気取る積もりも無い
手元のスペックノートでは、M9は最大作戦行動時間は150時間と記されている
少しでも無意味な消耗は控える為に、ここを拠点として待ち伏せする方法に出る事にしたのだ

対AS用対物狙撃銃を構えると、腕部と主光学センサー、およびECM・・ステルス迷彩、これら以外の不必要な機能をkillし
周囲の景色に溶け込む様に腹ばいになり石の様に動きを止めた
パラジウムリアクターという優れた動力炉により、戦闘状態にありながら全くの無音、透明の存在としてそこに消える


「(頼む、誰も・・もう俺に殺させないでくれ・・)」


【ヒイロ・ユイ 搭乗機体:M9ガーンズバック(フルメタルパ二ック!)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:D-6
 第一行動方針:待ち伏せ。布設したレーダーに掛かった敵を排除する。
        ただし、布設したセンサーに指向性通信装置がつけてあり
        攻撃前に呼び掛ける。その上で敵と判断した場合排除する
 最終行動方針:最後まで生き残る】




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最終更新:2008年05月29日 01:27