幸せの材料
広大な森を眼下に、魔装機ノルス=レイが高台へむけて上空を移動していた。
そのコクピットに窮屈そうに座っているのは、邪魔大王国の幹部イキマ。
「ヒミカ様、アマソ、ミマシ、俺は必ずや邪魔大王国を・・・」
イキマの行動原理は至極、単純だった。
邪魔大王国を再建する。その為にもこの戦いを生き残る。
「まずは、鋼鉄ジーグだ。奴を倒し、その後は・・・」
などと呟いていたイキマの耳に、戦場には似つかわしくない音が聞こえてきた。
『・・・たばかりのときめき・・・』
それは歌であった。女性数人の歌声が、眼下の森から聞こえてきたのだ。
「誰かは知らぬが、愚かな奴だ。遠慮なくやらせてもらうぞ!」
イキマは不審に思いつつも、間の抜けた獲物を狩るべく、機体の高度を下げた。
「ちょ・・・これ、何で止まらないのよ!?」
VF-1Aバルキリーのコクピットで、アルマナ・ティクヴァーは怒っていた。
バラン達を探しに行こうと機体を起動した途端、大音量の音楽が流れ始めたのだ。
「マニュアルには何も書かれてないし・・・最悪じゃない!」
コクピット内に溢れかえる音の奔流に、アルマナは大きく首を振り、空を見上げた・・・
と、そこに青い機影を発見する。アルマナは慌てて通信機のスイッチを入れた。
「き、聞こえますか?私には貴方と争う意思はありません・・・
私はこの・・・殺し合いを止めようと考えています。
貴方もどうか、協力してもらえませんでしょうか?」
目の前に降り立つ機体。アルマナは緊張気味に、一気にまくし立てる・・・
・・・しばらくの沈黙の後、通信機から男の声が流れ出した。
「馬鹿な奴だ・・・貴様は、本当にそんなことが出来ると思ってるのか?」
男の小馬鹿にしたような口調に、アルマナは思わず、大声で怒鳴っていた。
「出来る、出来ないの問題じゃないわよ!
たとえ殺されてでも自分の意思を貫き通す。
そうじゃなきゃ、私は後悔するから、だから!」
・・・青い機体はしばらくの沈黙の後・・・そのまま、森の中へと立ち去った。
アルマナはその光景を見ながら、溜息をひとつ、吐いた。
「殺し合いを止めるだと・・・馬鹿馬鹿しい」
イキマは苛立っていた。
殺し合いを止めると言う、女の事も理解できなかったし、
そんな隙だらけの女を殺さなかった、自分の事も理解できなかった。
(そうだ、あんな女、俺が手を下さずとも野垂れ死ぬ!)
そんな雑魚の相手よりも、ジーグを仕留める事を優先したのだと、
イキマは自分に言い聞かせた・・・
不意に・・・背後から爆音が聞こえる。
イキマはしばしの逡巡の後、舌打ちをして道を引き返した。
【イキマ 搭乗機体:ノルス=レイ(魔装機神サイバスター)
パイロット状況:健康・不機嫌
機体状況:損傷なし
現在位置:H-3
第一行動方針:とりあえず、アルマナを助ける
第二行動方針:ジーグ(司馬宙)の打倒
最終行動方針:まだ決めてない】
【アルマナ・ティクヴァー 搭乗機体:VF-1Aバルキリー(柿崎機)(超時空要塞マクロス)
パイロット状況:不明
機体状況:不明
現在位置:H-3
第一行動方針:仲間を集める(バラン、トウマ優先)
最終行動方針:ゲームをとめる、主催者の打倒】
(襲ってきたキャラ、アルマナの生死は次の書き手にお任せ)
(流れていた音楽はH-3近辺一帯に聞こえた)
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最終更新:2008年05月29日 01:37