駆け抜ける嵐
ガトーは基地を目指していた。
ゴダード、あるいはテッカマンアックスと名乗った男から得たコロニー落としの情報を指針に、宇宙へ上がる手段を確保するためだ。
アックスに言ったようにガトーに仲間を募る気はない。別れて少しした後、海中を東に潜行し基地周辺まで辿り着いた。
基地に来たのはシャトルだけが目的ではなかった。連戦で傷ついたガンダムアシュタロンHCを修理するためでもあった。
伝え聞いた情報ではジ・エーデル=ベルナルの乗っている機体はとてつもなく強力であり、一人ではとても勝てない。
しかしあくまで己だけで戦おうとするガトーはあえてその難問にぶつからないといけない。
だから考えた結果、少しでも勝率を上げるべく機体の修理を行おうと言うことになった。
(そろそろ放送か。追加機体の入手も考えておいた方がいいかもしれん)
最初の場所でヴィンデル・マウザーが言っていたルールでは、放送ごとに一機の追加機体を会場のどこかにランダムで設置すると言っていた。
ガトー自身何度かの戦いをくぐり抜ける中で思ったことがあった。
(このガンダム、悪い機体ではない。だがジュドー少年やレーベン・ゲネラールらの機体と戦うにはあまりに非力)
ガトーが実際に手を合わせた敵は合計で7人。
ジュドー・アーシタのライディーン。
ディアッカ・エルスマンのステルバー。
カナード・パルスのガンダムXディバイダー。
藤原忍のダブルゼータガンダム。
レーベン・ゲネラールのゴライオン。
タスク・シングウジのビッグデュオ。
ヴィレッタ・バディムのガルムレイド・ブレイズ。
同じ戦場にいても戦いはしなかったのが二人。
イスペイルのヴァルシオーネR。
シン・アスカのスレードゲルミル。
情報交換でわかったのが二人。
テッカマンアックスのソウルゲイン。
ジ・エーデル=ベルナルのガンバスター。
海から川に入る。基地はこの川に隣接している。
今、合計11人の情報をガトーは持っている。
この内アシュタロンHCとほぼ同レベルの機体といえるのは、カナードと忍そしてイスペイルの機体くらいだった。
その他はすべてアシュタロンHCの数倍のサイズであり、桁違いの威力の武装を誇っていた。
パイロットの腕ならガトーは誰にも負けない自信があった。だがここでは腕だけでは生き残れない。
特にアックスから得たジ・エーデルの機体は尋常ではない。
全高は200mを数え、単独で大気圏を突破し、全身に凄まじい武装を持つ機体と聞いた。
(仮に今戦っても太刀打ちできん……もっと強力な機体、あるいは武器が必要だ)
アシュタロンHCは機動力と格闘戦に重点を置かれたモビルスーツであり、破壊力には特に秀でてはいない。
悪い機体ではない。だが突き抜けているわけでもない。
よく言えば全体的にバランスがとれた機体であり、悪く言えば特筆すべき一点がない、そんな機体だった。
(望むならば大型……そう、ジュドー少年やカイメラの若獅子のごとき圧倒的な力だ)
非力な機体で彼らと渡り合えたのはひとえに自らの技量あっての物だとガトーは確信していた。
その力をもっと引き出すためにはアシュタロンHCでは足りない。
ジュドーやレーベンの機体の、モビルスーツではありえない出力、武装。
戦ったからこそわかるあの力を、骨の髄までパイロットであるガトーもまた操りたいと思っていた。
鍛えた技と強力な機体が合わさればガトーの前に敵はない。ジオンの意志はここにありと示す事が出来る。
(……だが、新たな機体を手に入れるまではこのガンダムで戦い抜かねばならん。どこまでやれるものか……)
補給が終わったとはいえアシュタロンHCの状態は良くはない。
右腕は欠落した。全身の装甲、特に背中の部分にダメージが大きい。
ギガンティックシザースとシザースビームキャノンを内蔵し、飛行装置も兼ねているバックパックユニット。
これが破壊されればアシュタロンHCは、殻を失くし陸に上がったヤドカリそのもの、残る装備はビームサーベルとマシンキャノンのみでほぼ無力といえる。
基地で補修を行えばいくらかは改善するだろうが、しかし本質的に問題は解決しない。
巨大な機体から一撃を受けただけで容易く砕かれるような装甲では心許なかった。
(速度を生かしての一撃離脱……これしかあるまいな。もはや一撃も受けられん)
思考している内に基地のすぐそばまで到達し、アシュタロンHCは水中から浮上する。
海面に頭部だけだして偵察。基地には先客がいた。
(……なんと。基地を手にいれたくばまず己を倒して見せよと言う訳か)
基地の中心で仁王立ちするのはソーラーアクエリオン。
ゴライオンより一回りほど小さいが、それでもアシュタロンHCの倍はある。
その巨体が、基地に侵入しようとする者を押し留めるように無防備に立っていた。
ガトーはアクエリオンをしばらく観察していたが動く気配はない。
あわよくば機体から降りたところを狙おうと思っていた訳ではないが、泰然と宙を見据えるその姿からガトーは油断のならない敵だと感じた。
(よかろう、その意気やよし……真っ向勝負!)
ガトーが先んじている点は機動性、そして奇襲のアドバンテージだ。
決断するや否やアシュタロンHCは変形して飛び出した。
モビルアーマー形態にて一気に突撃していくガトー。
低空を舐めるように飛ぶアシュタロンHC。当然敵も気付いているはずだとガトーは操縦スティックを握り締めた。
ガトーが一撃を叩き込むのが早いか、迎撃を浴びるのが早いか。
距離が加速度的に縮まっていく。もはや肉眼でも敵を確認できる距離に来た。
「……むっ!?」
だがガトーはアクエリオンの胴体へギガンティックシザースを叩き付ける寸前で気付いた。
アクエリオンはガトーの攻撃を待ち受けているというわけではない。
それにしてはまったく、たとえば腕を上げる、顔を向けると言った最低限の行動すらしていない。
いかに奇襲といってもすでにレーダーには映っているだろう、身構えないはずがない。
このままいけばガトーの攻撃は間違いなく直撃する。そんな状況になっても動かないということは答えは一つだった。
「よもや……」
ガトーは加速を収め、アクエリオンの胴体をアシュタロンHCの脚で蹴り付けた。
と言っても攻撃ではない。押し当てた足裏にゆっくりと力を込めた、押しのけるような蹴りだ。
予想通りアクエリオンは抵抗を見せずゆっくりと傾いていった。
轟音と共にアクエリオンが横倒しになり、ガトーは確信した。
近づいてみれば一目瞭然だった。コックピットが空いていて、そこには誰もいないからだ。
「誰も乗っていないだと?」
アクエリオンは見たところ無傷。なのに誰も乗っていないのは不可解だった。
罠か、と警戒したガトーだがすぐにそれはないと考え直した。
強力だと見てわかる機体をわざわざ放置している意味がない。
「では何故……」
理由を考え込んだガトーは一瞬動きを止めてしまった。
だから、はるか上空から降ってきたビームの洪水に、アシュタロンHCは容易く呑みこまれた。
ガトーの意識はそこで途切れた。
■
「やった……?」
基地の上空に舞う天使、ウイングガンダムゼロカスタム。
その中で翔子は敵を倒したことを確信した。
新たに基地にやってきたのは翔子が乗っているゼロによく似ていた。
ゼロシステムが見せた勝利の未来はツインバスターライフルによる遠距離攻撃。
都合よく敵はアクエリオンに……翔子が殺した男、ヤマダ・ジロウの機体に気を取られていた。
翔子はヤマダのアクエリオンに手を加えなかった。ヤマダを殺した後、そこに留まるのが嫌だったから手つかずのまま引き揚げた。
偶然とはいえそれがいい方向に働き敵の先手を取れた。
「ううん、まだ……破壊できてない」
敵の機体はツインバスターライフルの光に包まれた瞬間わずかに回避を行っていた。
結局間に合わなかったとはいえ、本来なら一撃で跡形もなくなっていたはずの敵は、左半身と下半身を失っただけ。
地上に落ちて動かなくなった敵にとどめをさすべく翔子は再度ツインバスターライフルのチャージを開始した。
敵はもう動けないだろうが、念入りに威力を高めていく。
「これが終われば、放送……一騎くん……無事でいて……」
翔子の頭の中はもう敵のことではなく島の仲間、思い人のことでいっぱいだった。
殺し合いが始まって8時間、すでに相当数の人間が命を落としたはずだ。
翔子自身が手を下したのは三人。
島の仲間であったはずの皆城総士と、大気圏上空で戦ったルネ、カーディフ・獅子王、そして翔子を救おうとしたヤマダ・ジロウ。
そして間もなく跡形もなく消し飛ぶヤドカリのようなガンダムのパイロット。
「私が……皆城君を殺した、って知ったら……一騎くん、怒るのかな……真矢はどう思うかな……」
翔子は自分の生存を求めてはいない。目的は一騎の生存だけだ。
だがやはり他の島の仲間に、殺し合いに乗っている姿を見られたいとは思わない。
自分では殺したくない。出会えば殺すしかないが、できれば会わないで済ませたい。
つまりは、他の誰かが真矢や甲洋を殺してくれれば手間はかからない……
「……嫌だな。何考えてるんだろ、私……」
考えている間にチャージは終わった。
翔子はためらい無くトリガーを引こうとして……標的アシュタロンHCのすぐそばに倒れているアクエリオンに視線を移した。
翔子を助けようとした男は死んだ。翔子の手で殺した。
そしてこの引き金を引けば、敵と共にヤマダの死体とアクエリオンは粉々になる。
――――悩んでる暇あったら、頭下げて手を取り合うほうがいい! 俺はそう思う!
一瞬だけヤマダの言ったことが翔子の頭をよぎった。
しかしその言葉は、続けて連想した一騎の姿によって上書きされ、消えた。
「……さよなら、ダイゴウジ・ガイ……さん」
感傷を振り切って翔子はアシュタロンHCに視線を戻し……狼狽する。
沈黙していたアシュタロンHCが今まさに翔子に向かって突進してきたのだ。
「……生きてた!?でも!」
左半身と下半身のない機体がまともに飛べるはずがなく、ふらふらと蛇行する。
ゼロシステムによりその未来位置を読み切った翔子は今度こそアシュタロンHCをロックオンした。
ツインバスターライフルを分離させ両腕に持ち、別々に発射した。
二つのビームで挟み込むようにアシュタロンHCを追い立て……
「これでっ!」
2本のビームが再び一つになった時、アシュタロンHCは光に切り裂かれて爆発した。
今度こそ敵を倒したと確信し、翔子は地上に降りていく。
「これで……4人。あと、64人……」
全員で70人、その内一騎と翔子自身を抜けば残りは64人。
もちろん翔子以外にも殺し合いに乗る人間はいるだろうから実際はもっと少ないはずだ。
だが翔子は必要とあればすべてを自分が殺すつもりだった。
その中に友達が……真矢と甲洋がいるとわかっていても。
地面に降りた翔子は倒れているアクエリオンを見た。破壊せずに済んだのは幸運だったのか……
今回は翔子に有利に働いたが、このまま放置しているのもまずいかもしれない。
一旦ゼロを降りてアクエリオンに乗り、基地に隠そうか、などと翔子が思った瞬間。
「……えっ!?」
倒れていたアクエリオンの足が動き、ゼロを蹴り飛ばした。
吹き飛んだゼロの体勢を整え振り向いた時、アクエリオンは2本の脚で直立していた。
「嘘……どうして!?ガイ……さん!?」
翔子は激しく狼狽した。
殺したはずの敵が再び立ち上がり翔子に向かって来る。
ゼロシステムがすぐに戦況を分析した。
ガイが生き返ったなんて想像はすぐに否定される。
アクエリオンのコックピットは閉まっていた。
「さっきの機体の?!」
「ぬああああああああああっ!!」
ソーラーアクエリオンのコックピットで吠えたのは、もちろんダイゴウジ・ガイではなくアナベル・ガトーだった。
アクエリオンが両手を伸ばす。
ゼロが飛びあがる。
アクエリオンの手が伸びる……文字通り、肘の先から次々に新たな関節が生まれ長さを延長する。
ゼロが捕まえられまいと2本のビームサーベルとマシンキャノンでその手を切り払う。
アクエリオンの背中からビーム砲が顔を出し、雨のようにビームを放った。
ゼロがシールドの代わりにもなる翼でビームを防御する。
アクエリオンの止まることなく動いていた拳が、ついにゼロへと直撃した。
「もらったっ!!」
「わあああああっ!」
パワーの違いは圧倒的だった。
一瞬でゼロの片腕は根元から引きちぎられ、天使は地面にたたき落とされる。
ゼロシステムの読みは問題なく稼働していた。しかし結果として選択された未来はこうだ。
アクエリオンとウイングガンダムゼロカスタムの違いは色々あるが、ここで結果に出たのは手数の違いだった。
強力な砲撃、推力を誇るウイングゼロだがその腕は2本しかない。
腕こそが全ての攻撃の起点であり、ビームサーベルを使うにしろツインバスターライフルを使うにしろ同時に扱えるのは2本の腕だけ。
アクエリオンは違う。両腕を攻撃に回しつつも、背中のビーム砲は独立して動く。つまり手数は倍の4つだ。
そしてゼロシステムは蓄積した情報を元に予測演算する装置。
つまり、さきほどの戦闘で使用されていないアクエリオンのビーム砲については予測の範疇にない。
すぐにゼロシステムは情報の解析を始めたが、先手を取られたことは大きかった。
加えてガトーはガイとは違い、明確な殺意を持って翔子に攻撃を仕掛けていた。
あくまで翔子を傷つけずに止めようとしていたガイと違い、ガトーの攻撃は全部が当たれば翔子の命を奪う危険なもの。
一つとして被弾は許されず翔子は防戦を強いられた。
距離が離れていればともかく、接近した状態ではツインバスターライフルも迂闊には使えない。それ以前にサーベルを捨てライフルを構えればその瞬間に腕につかまっただろう。
ビームを防ぎつつそれぞれ違う方向から迫って来る無限パンチを捌くには手数が足りない。
そして何よりもガトーと翔子の腕の差が大きかった。
ゼロシステムで底上げされているとはいえ二人の経験の差は圧倒的だ。
読みにおいて翔子がかなりのものだと判断したガトーは手数の差を活かし網にかけるように翔子を追い込んだ。
決して息つく暇を与えず間断なく緊張を強いて、多少の被弾はものともせずに攻め続けた。
ガトーはゼロの能力を、ツインバスターライフルのみ警戒すればいいと判断しそこを重点的に攻めた。
本命はビームではなくプレッシャーを与え続けていた拳。
いきなり伸びたときはガトーも驚いたが、すでにあまたの強力な武装を持つ敵と交戦したガトーは動揺することなくその機能を操った。
アクエリオンが伸ばしていた両腕を引っ込める。
ビームサーベルとマシンキャノンにより大分傷ついたがまだ破壊されてはいない。
ガトーは油断することなく倒れているゼロへと接近し、残っている右腕が構えようとしていたツインバスターライフルを蹴り飛ばした。
「ここまでだな」
ガトーは荒くなった息を整えつつ足元のゼロに……ガンダムに向けて言った。
アシュタロンHCが墜落した瞬間はたしかにガトーは気を失っていた。
夢うつつのおぼろな意識を駆け巡ったのは、数時間前に戦ったガンダム乗りの男の姿だった。
野生を縛る理性はいらない……今この時に必要なのは原始的な衝動、闘争に勝つという野生。
(そうだ……藤原忍の命を奪ったこの私が……この程度で、倒れていいはずがない!)
微かに体に力が戻る。
朦朧とする視界を、頭をパネルに叩き付けることで強引に覚醒させるガトー。
時間にすれば気絶していた時間は数秒もない。
追撃がなかったのは幸運だった。しかしアシュタロンHCはすでに力を失っていた。
一瞬で放棄を判断し、操縦スティックを脱いだ服で固定、空の敵に向かって飛ばせる。
ガトーはアシュタロンHCが上昇する影に隠れて地上に降り、敵がアシュタロンHCに気を取られた隙にダッシュしてアクエリオンに乗り込んだ。
途中、潰れた人の死体を見た。血と肉の塊。
おそらくはこのアクエリオンのパイロットだろうとガトーは思った。
そして時間は戻り、今踏みつけているガンダムの手には血の跡がある。
(名も知らぬ戦士よ。さぞ苦痛であったろう……この機体を借り受ける礼だ、仇は私が討ってやる)
ガトーとて戦場で死ぬことにとやかく言う気はない。だがそれは尋常な勝負の末でのことだ。
生身の人間を握り潰す等という所業、誇り高きジオンの戦士として到底見過ごせるものではなかった。
「せめて、名を聞こう。私はアナベル・ガトー……貴様の名はなんだ?」
「……う、あ……あああああああっ!」
「むっ!?」
ガトーは気を緩めていた訳ではない。アクエリオンの脚はたしかにゼロの自由を奪っていた。
重量にして十倍ほどの差があるのだからゼロが起き上がれる道理はなかった。
にもかかわらずゼロがアクエリオンの足をはねのけ再び宙に舞ったのは、ひとえに翔子の思いの強さ故だっただろう。
4つのウイングバインダーから目もくらむ光が噴き出し、凄まじい推力を生む。
一瞬アクエリオンの足が浮き上がった、ゼロシステムは刹那の隙を逃さず勝利への道を提示する。
アクエリオンの両腕をかいくぐりゼロの残った片腕がビームサーベルを構えアクエリオンのコックピットへと一直線に吸い込まれていき……
「……及ばなかったな、哀しくも勇敢な少女よ」
寸前で、阻まれた。
ウイングガンダムゼロカスタムの背中を貫いた、アクエリオンの無限パンチによって。
無限パンチは射程の長さのみが長所ではない。
多数の関節を挟むことによりあらゆる角度、死角への攻撃を可能とする。
一度かわした拳であっても油断してはならない。
二度、三度の関節展開を交えれば、拳は急速に方向転換することが可能なのだ。
それが予測できていても、一度攻撃のモーションに入ったゼロに回避する余裕はなかった。
そう、ガトーは気を緩めていた訳ではない。
いつでも翔子を殺そうと思えば殺せた、その確信があったからこそ名を聞いた、ただそれだけだ。
もう返事はない。当然だ、無限パンチはコックピットを潰しているのだから。
ガトーは深く息を吐いた。聞こえてきた叫び声はおそらく少女のものだった。
おそらく藤原忍のような軍人ですらない、まだ歳若いはずの。
「……今さら何を後悔する事があるものか。私は選んだのだ、修羅の道を」
ガトーは大破したゼロを地面に横たえ、翔子には無用の長物となったツインバスターライフルを回収した。
基地の設備で調整すればアクエリオンでも使えるようにできるかもしれない。
アクエリオンとツインバスターライフルなら、ジ・エーデルの機体にも対抗できる可能性はある。
今すぐにコロニー落としを阻止に向かうつもりはないが準備しておくにこしたことはない。
感傷に身を浸すことを許さず、ガトーは基地施設へとアクエリオンを向かわせた。
もうすぐ放送だ、聞き逃すわけにはいかない。休憩も必要だった。
少女を救おうとしたヒーローは少女によって命を断たれ、その少女はヒーローの残した機体を駆った戦士に葬られた。
誰も知る事のない一つの戦いの幕が下りた。
勝ったのはソロモンの悪夢……ジオンの亡霊だった。
蒼穹の下で、太陽だけが同じ名を持つ太陽の化身を見守っていた。
【羽佐間翔子 死亡
搭乗機体:ウイングガンダムゼロカスタム コックピットを潰され大破】
【アナベル・ガトー 搭乗機体:ソーラーアクエリオン(創聖のアクエリオン)
パイロット状況:疲労
機体状況:両腕に傷 エネルギー中量消費 ツインバスターライフルを持っています
現在位置:F-2基地
第1行動方針:放送を聞く
第2行動方針:コウ、カナードとはいずれ決着をつける
第3行動方針:アクエリオンでもツインバスターライフルを使えるように改造する
最終行動目標:優勝し、一刻も早くデラーズの元に帰還する】
【一日目 13:50】
最終更新:2010年05月08日 04:54