151 :ensemble ◆rTnJeRmLss :2008/09/04(木) 17:12:46 ID:kKhBuUSk

#2

 昼休みの屋上は生徒達で賑わっている。学園を一望できる屋上は昼食をとるスポットとしては学食は学食に次ぐ人気のスポットなのだ。
 由良と遠矢もその一員である。フェンス際の一角を陣取り向い合わせで持参の弁当を広げている。
 遠矢は全体的に彩りに欠けた味の濃そうな和風のメニューであり、由良は対照的に色彩鮮やかなサンドウィッチである。
 ジャガイモの煮物をパクついて煮物を咀嚼する遠矢の視線は由良の首元に固定されている。
 由良はその視線に気付いているものの、何処吹く風と言った風情でトマトサンドを頬張っている。
 無言のままの二人の間に、一陣の風が吹いて由良の髪を大きく靡かせた。
「由良、その髪型……」
「見えた? ぱっと見じゃ分からないけど、刈り上げてあるんだ、コレ」
 トマトサンドを小さいバスケットに置くと、髪をかき上げて側面と後ろを刈り上げられているのを見せる。
「それ、なんて髪型なんだ?」
 遠矢は弁当箱を閉じて、由良を注視する。
「ああ、ツー・ブロック・ボブって言うのかな」
「かっこいいじゃん、それ。前のは綺麗って感じだったけど今度のはかっこいいよ」
「一応誉め言葉として受け取る」
 由良はつまらなそうに素っ気なく返すと、再びトマトサンドを食し始める。

「おー、いたいた。探したぜお前ら」
「珍しいな、この組み合わせは」
 声の主は安武ともう一人、由良と同じくらいの安武よりも頭を一つ大きい少年――久我通泰だ。

「あれ、みっちゃんじゃん」
「久し振り、通泰先輩」

 通泰は由良や遠矢、そして安武と葉菜子よりも一学年上の高3だ。5人は家が近くて昔からの腐れ縁といった関係で結ばれている。

「別に珍しくないっしょ」
「そうでもないぞ」
 遠矢は通泰を見やるが、その言葉に上から疑問を被せられる。

「そーだ、お前らに聞きたかったんだけど……お前ら二人って付き合ってる訳?」
 よせ、といい通泰の制止を振りほどき安武は遠矢と肩を組む。
 掴み所の無いゆらよりも、遠矢に聞いた方が話は早い。答えなくとも顔に浮かんでしまうのだ。
 しかし、遠矢は無言のままキョトンとした顔だ。由良は相変わらずすました顔で、手に付いたパンくずをパンパンと払っている。
「ほら見ろ。お前のやってるのはゲスの勘繰りって奴なんだよ」


 そりゃひでえよ、と通泰に振り返る安武の背中に、黙っていた由良が投げつける。
「付き合ってないよ。この前遠矢に告白されたけどね」
 そこで言い切ると、由良は遠矢の顔を真っ直ぐに見下ろした。
「ま、今まで返事するの悩んでたけど、良いよ。ヤスみたいなバカが増えたら困るし、遠矢の亊は嫌いな訳じゃないしね」
 由良の言葉に三人の動きが止まる。特に当事者の遠矢は口をポカンと大きく開けたまま、微動だにしない。
「じゃ、私はハナに報告するから。……先輩、ハナは食堂だよね」
 邪魔だと言わんばかりに安武を押しやりながら通泰に尋ねる。
 陸海も一緒にいる筈だ、という通泰の言葉に由良は満足そうに笑うと後の事はしらないよ、と言わんばかりにスタスタと歩いていった。

「みっちゃん……どうすんのよ、コレ」
「……どうにかする他ないだろうな」

 二人は石像みたいに固まった遠矢を見ると、暗澹たる思いで晴れ渡る空を見上げて盛大な溜め息をついた。

――To be continued on the next time.




153 :ensemble ◆rTnJeRmLss :2008/09/04(木) 17:15:35 ID:kKhBuUSk
世界観やキャラクタ―の造詣を上手く描写出来なくて泣きそうですorz





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最終更新:2008年09月07日 00:29