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(どうしていつもこうなるんだ)

無人と化した車内で、一人の少女が足元の死体に目をやる。
その死体は間違いなく、彼女のものだった。

(どうして楽に死なせてくれないのかねぇ・・・・・・)

死んでも死に切れぬという言葉があるように、泉こなたKAITOへの恨みで、
自縛霊という形で電車の中に残ったのだ。
本来は明朗活発な少女であったが、彼女の表情は憎しみに塗り潰されており、
その顔に笑いが戻ることはない。

(これもみんなKAITOのせいだ、あいつがいるから私はこんなに苦しいんだ)

自分を殺し合いの場に放り込んだのはKAITOのせい。
友人達が死ぬことになったのもKAITOのせい。
人を殺すことになったのもKAITOのせい。
そして数多くの人間を殺してしまったのもみんなKAITOのせい。

(そうだよ、KAITOさえいなければ私は人殺しにならずに済んだんだ)

KAITOへの憎しみを思い出すたび、自分の全ての罪さえ彼のせいだと感じてきてしまう。
客観的な目で見てみれば、決してKAITO一人が悪いのではない。
前回のバトルロワイアルの主催達が聖杯戦争を起こしたのは、世界が「ああああ」に支配される危険を避けるためだった。
もちろん主催に関わっていたKAITOに罪が無いとはいえないだろう。

だが、泉こなたが思っているほどKAITOという人物は残忍ではない。
自分の身内をも殺し合いに巻き込む行為は冷酷ではあるが、その裏では家族のことを常に気にかけていた。
妹が傷ついた時には、錯乱して激しく取り乱したぐらいだ。
そんな彼であったが一つの不幸が舞い降りた。

『主君のためだ』

極度のパニック状態に陥っていた彼は、その一言で完全に狂ってしまった。
その後は泉こなたも知る通り、妹を殺し、幾多の人々の命を奪っていった人殺しへと変貌した。
結局の所、彼自身バトルロワイアルの被害者に過ぎなかったのだ。


(KAITOさえいなければ、私はかがみんと殺しあわずに済んだんだよ)

そのような事実を知ってか知らずか、泉こなたはKAITOに全ての責任を擦り付ける。
だから例え同じ顔をした赤の他人ですら憎しみをぶつける。
彼女もまた、バトルロワイアルによって狂わされていたのだから。
そして彼女は一つの案を思い浮かべる。


(ああ憎い憎い。 こうなったら適当な人の体でも奪ってやるかね)

通りがかりの人の人間を乗っ取って、その人間でKAITOを殺す。
場合によっては、その人間の全てを奪ってしまう、倫理的には最悪の手段。
しかし、復讐に走る彼女からは、その二文字以外の全ての思考を消し去ってしまっている。

(死んでもこうなるんだったら、また体奪ってやるんだ。
そうして死んでもまた奪うんだ。 KAITOを殺してやるまで・・・・・・)




「電車は稼動しているのに人はいないと・・・・・・っ!?」
「どうしたのプラシドさ・・・・・・っ!?」

(よしきたよ、獲物が)

電車の扉の中から一組の男女が入ってくると同時に、彼らは驚愕した。
また年端もいかない少女が、背中から血を流して倒れていたのだから。
左頭部を覆う程の眼帯をしている白髪の青年は、彼女を一瞥し、もう生きてはいないだろうとため息を漏らす。
一方、黄色の髪のサイドポニーの少女は・・・・・・

(どうせなら強そうな男の方がいいよね。 じゃあ早速体を貰うよ)

こなたはプラシドと呼ばれた青年に憑依しようと襲い掛かる。
しかしプラシド達は、幽霊である彼女を認識できず、何のリアクションも示せない。
そしてこなたがプラシドの体を乗っ取ろうとした矢先だった。



「ざまあみろ」
(え?)
「おいネル、貴様何を言っているんだ!?」

ネルと呼ばれた少女は、こなたの死体を見た後、それを嘲笑していた。
完全に予想外だったのか、プラシドは思わずネルに理由を聞く。

「だってこいつ私を殺したんだよ?
 私だけじゃない、私と一緒にいた遊戯くん・・・・・・その他にもいっぱい人を殺したの。
 それがこんな死体になっているなんて自業自得じゃない」
「お前を殺しただと? 冗談はほどほどにしておくんだな」

自分を殺したと言われたら、普通の人間なら『今生きているお前はなんなんだ』
と呆れるであろう。
プラシドも同様に、ネルが適当なことを言っているのだと思った。

(いや・・・・・・違う)

しかし、泉こなたは違った。
自身の記憶を遡ってみると、確かにネルに似た容姿の人間を殺した経験がある。
遊戯くんというのは、当時、彼女に同行していた紅葉頭の少年のことであろう。

「でも確かに私はこいつに殺された!
 その性でレンきゅんを助けることができなかったのよ!」
「生き返ったとなると貴様は機械か何かか? まあどうでもいい。
 その様子だとこの小娘は危険人物だったみたいだな」
(助けることが・・・・・・できなかった?)

自分はかがみを助けることができなかった。
それだけではない。
自分の大切な人を守れなかった。
人を殺す人間がいるから。

(そうだ、KAITOみたいな人殺しがいるから私はかがみん達は死んだんだ)

確かにバトルロワイアルを開いたのは、如何なる理由があろうとKAITOや主催のせいだ。
でも、もしも善良な人間ばかりだったら、人を殺す人間さえいなかったら、
どれだけの人間が救われるのだろう。

「こんな人殺しがいるから、レンきゅんみたいな罪も無い人間が殺されるのよ!」


『おまえみたいな奴がいるから、かがみんみたいな罪も無い人間が殺されるんだ』


かつてこなた自身がいった言葉とネルの言葉が重なる。
そしてこなたは認めたくなかった部分に気づかされてしまう。

(ああそうか・・・・・・)

大切な者を失ったから世界を否定し、人の大切な者を奪う。
そうしていつか、大切な者を奪った人間と同じ存在になってしまった。
しかし例え殺しを強要されていたとしても、無意味に人を殺す必要はないはずだ。
現に、人を殺さず自分の信念を貫く者や、殺し合いの打破を望んだ者も多くいた。

(私も・・・・・・)

そして彼女にも確かに選択肢は存在した。
ずっと逃げていてもよかった。
仲間を探して主催に立ち向かってもよかった。
人を殺す必要さえなかった。

(KAITOと同じだったんだね)

泉こなたの意識はそこで途切れた。






「「「除霊完了! 後は亞北ネル、お前だ!」」」
「ってあんたら一体なんなのよ!?」

突如電車の中に数人の兵士が乗り込んできて、
こなたの死体を霊体ごと消し去ったかと思うとネルに銃口を向けた。
ネルは抗議しつつもプラシドの後ろに隠れる。

「亞北ネル、お前は前期から参戦したという証拠が出ている!」
「よって旧世代のお前はアンチ連盟である我々が射殺する!」

そしてアンチ連盟と名乗った兵士達は銃を構えるが、
電車の天井を突き破ってでてきた光の剣によって遮られてしまう。
戸惑う兵士達に見せびらかせるように、プラシドはカードを掲げていた。

「魔法カード《光の護封剣》を発動した。
 この女は俺が生き残るのに必要なものなのでな、生憎捨て置くわけにはいかん」
「貴様決闘者(デュエリスト)だったのか!?」

兵士の一人が驚きの声を上げる。
決闘者(デュエリスト)とは、ようするに『デュエルモンスターズ』というカードゲームで戦う人たちのことだ。
遊びと思って侮ることなかれ。
その闘いに自分の命を賭けることはもちろん、世界の命運を賭けることすらあるのだ。
なんでリアルファイトしないのかって?
1枚のカードで生まれたような世界で育ったやつらの常識が普通なわけがない。

「待て、決闘者ならいいもんがあるぞ」
「この俺に見合ったカードがあるのか?」
「・・・・・・ああ!」

兵士の一人がバッグを漁り、1枚のカードを取り出してみる。

「ふーん、最近の遊戯王カードって白いんだ」

それが決闘者でないネルが見た感想だった。
アニメでも、遊戯王カードは、茶色と緑と赤のカードが使われることが多い。
でも兵士の差し出したカードは、真っ白なカードだ。

「《氷結界の龍 トリシューラ》すごく強いカードだ!」
「他にも強いシンクロモンスターがいっぱいあるぞ!」

シンクロモンスター:ここ2年で新しく登場したカード群。
  モンスターとチューナーモンスターのレベルを合計することで召喚できる。
  ゲームバランス崩壊の一因であり、普通にモンスター召喚するよりもよっぽど楽。
  このカード群のせいで禁止カードに認定されたカードまである。

「俺を馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

こんなぶっ壊れカードを、プラシドが許すわけがなかった。
何せこのシンクロモンスター、アニメではこれが召喚されすぎたせいで未来が崩壊するのである。
それを食い止めるために現在にやってきたプラシドさんがぶち切れるのも無理はない。
トリシューラのカードは見事に破られた。

「俺のカードが!?」
「構わん、あいつも撃て!」
「でもあいつ旧世代じゃないですよ?」
「だってあのカード高かったんだもん。 俺が許す!」

激昂する兵士に呆れる他の兵士であったが、
彼らは結局プラシドごとネルを撃とうと銃の引き金を撃って光の護封剣を破壊しようとする。
しかしプラシドは、バッグから支給品のサイクロン号を出してネルと一緒にそれに乗った。

「魔法カード《サイクロン》発動!」
「よっしゃ光の護封剣壊れた!」
「プラシドさん、護封剣消えちゃったわよ!?」
「大丈夫だ問題ない」

そういうとプラシドは、背中から機械の体をむき出しにし、
下半身がなんか変な風に曲がり、サイクロン号となんかガチャンガチャンと音を鳴らしながら密着し、
サイクロン号から出てきたいくつものパイプが背中の穴に何本も突き刺さり、
ようするにバイクと合体したのである。
こんな風に↓


\これが究極の姿だ!/
 ○
/|>ミ //
 広//
○―=○


「「「・・・・・・」」」
「・・・・・・」

兵士達も、サイクロン号に跨っているネルも絶句する。
そしてサイクロン号と合体したプラシドはそのまま電車のドアを突き破って走り出した。




「逃がしたぞ! 早く追うんだ!」
「どうやってですか!?」
「もうあんなところに行っちゃったんだからもう追いつきませんよ!」
「ぐぬぬぬ・・・・・・」

電車の外、それも進行方向とは別の方向に走っていくそれを見て、兵士達は嘆くことしかできなかった。







「山に行ってみましょう」

全てはその一言から始まったといっても過言ではない。
私、GUMIはこのクーガーという男におぶられていた。
いや、クーガーという乗り物に乗せられて連行させられているといっても過言ではないだろう。

「やっぱりUMIさんに山の素晴らしさを教えるには、山に行かなければなりません。
 しかし東京には山がない。 となると山はどこにあるのか?
 北岳に御嶽山、赤岳、天塩岳に大雪山と色々あるけれど、やっぱり日本とくれば富士山でしょう!
 富士山は典型的な成層火山であり、火山特有の美しい稜線を持ちます。
 火山となると一般の人には怖いイメージが付き纏い勝ちですが、
 その形状は長年に渡って噴火したことで形成されたもの! つまりは自然の生み出した芸術!
 分かりましたか、UMIさァァァ~~~~ん!」
「はいそうですか」

私の名前はGUMIなのだが、いくら言っても直されないので、最初は虐めかと思った。
ルカならよろこびそうだが、普通のボカロである私はちょっと凹んだ。
でもこの人が悪い人にも思えないので、恐らくはこのような頭の病気なのだろうと理解した。

「ということでもうすぐ静岡です! 山はもうすぐですよ~!」
「そうですね、すごく速いですね」

ついさっきまでは東京だったのに、もう関東地方突破している。
正直速いってレベルじゃない。 少なくとも人間が出していいスピードじゃない。
しかし、前方を見てみるとこれまた猛スピードで走ってくるバイクがあった。







そしてこの時、プラシド(とネル)のサイクロン号と、クーガー(とGUMI)がすれ違ったのだ。
プラシドとクーガーの視線が重なる。

「こいつできる!? まさかアクセルシンクロの使い手か?」
「速い? 俺より? 俺がスローリィ? いやまさかな」

まあそんなこんなで二人の思惑はどうでもよいとして、
同行していた女性達の感想はこちら。

( (何あれだせぇ) )

【一日目・1時00分/岐阜県/天候・嵐】
【ストレイト・クーガー@スクライド】
【状態】健康
【装備】ラディカルグッドスピード
【道具】支給品一式
【思考】
基本:世界を縮める!!
0:なんだあの男(プラシド)は・・・・・・
1:UMI(GUMI)に山の素晴らしさを語る
2:UMI(GUMI)を富士山につれていく
※7期から続投かどうかは後の人にお任せします。

【GUMI@VOCALOID2 Megpoid】
【状態】疲労小、クーガーに乗っている
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:生き残る
 0:あのバイクだせぇ
     1:クーガーと一緒に行動する

※富士山まで走っていますが、その後は後の書き手に任せます。


【プラシド@遊戯王5D's】
【状態】健康、サイクロン号と合体中
【装備】サイクロン号
【道具】支給品一式
【思考】
基本:不動遊星を倒す。 バトロワそのものにはあまり興味なし。
0:なんだあの男(クーガー)は・・・・・・
1:生き残るためにネルと一緒にいる。

【亞北ネル@VOCALOID派生】
【状態】健康、プラシド(と合体しているサイクロン号)に乗っている
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:この世界のレンきゅんを助ける
 0:あのサングラスだせぇ
     1:プラシドと一緒に行動する
※七期からの参戦です。


※東京まで走ってますが、その後は後の書き手に任せます。
最終更新:2011年01月28日 18:03