真夜中の東京都庁……
「――から、魔物にも好物はしっかり存在するのさ。
別に血の滴る肉なんかじゃなくていい。魚の塩焼きやケーキが好物の子だっているんだ」
「へえ~……モンスターさん、思ってたよりも全然身近なんだね!」
「そうさ。ちなみに撫でると喜ぶのも人間と変わらないよ。毛や鱗で覆われた子はブラシで、人型の子はこうやって素手で……」
「ふにゃ……」
「おお、麒麟さんの尻尾がまるで犬のようにぱたぱたしてますね」
「美味しいご飯を作って、スキンシップをかかさない。これだけでも、だいぶ仲良くなれるはずだよ。
一番大切なのは、敵意を向けないことだけどね」
そこでは、都庁を守る最強の番兵たるレストの魔物講座が開かれていた。
とは言っても、彼の発案ではない。
モンスターさんと仲良くなりたいからその方法を教えてくれと、再三あかりに詰め寄られた結果、根負けしたのである。
闇夜に紛れてマーダーが動きやすいというこの時間帯に、なんとも暢気な提案である。
この都庁が抱え込む戦力を考えれば、まずマーダーは攻め込んでこないだろうが。
「それと環境も大切だね。部屋が用意できないなら、広々とした自然は欠かせない。だからこそ僕らはここを世界樹にしているわけなんだけど……」
「……高層ビルがこんなあっという間に大樹なるなんて、本当に驚きっすよ」
「いや、うーん……まあ喋っちゃってもいいか。ここには……元々世界樹があったそうなんだ。
それが切り倒されて、都庁が建設されたみたいだけど……地下深くの、世界樹を生み出した核は無事だったらしい。
それを雷竜さん達が再度活性化させて、僕が植物由来の成長促進剤を調合して定期的に撒いたんだよ。この、はげしくノビールを……」
「そのネーミングセンスはちょっと……」
「う、うるさいな。とにかく、この世界樹も後は内部の余計な都庁の残骸を廃棄すれば、完成する。
魔物はもちろん、君たち人間にだって恩恵はあるんだよ? ほら、すでに今でも空気がおいしく感じるでしょ」
言われて改めて空気を吸い込んでみれば、一同はなるほど確かにと納得をせざるをえなかった。
都会のど真ん中とは思えない、新鮮な空気は確かに気持ちのいいものだ。
何かが焼け焦げる臭い、思わず顔を背けたくなる腐臭、巻き起こり続ける土煙……そして鮮血。
この場所でも幾多の血が流れたが、それらは既に土に還っているのか不快な臭いはしない。
地獄と形容するのが相応しいこの東京都において、ここ以外に美味い空気を吸える場所は存在しないだろう。
「は、空気で思い出したっすよ! 騎士様が言っていた、空気中に漂う瘴気のようなもの……!」
「あ!」
ここで影薄三人は、短い間だが仲間であった騎士の言葉を思い出す。
彼の正体は結局不明であり、自らを罪人と称していたが……騎士に窮地を救われたのは紛れもない事実だ。
この殺し合いを憎み、自ら犠牲となった彼のためにも……その遺志を継いで、殺し合いを終わらせる。
何よりも強い、その願い。
「その……魔物のことじゃないっすけど、いくつか質問して大丈夫っすか?」
「ん?」
すでに人間を殺し、これからも人間を殺そうと考えている相手に相談するような内容ではないだろう。
それでも、少しでも可能性があるのであれば……
影薄三人は、意を決して口を開いた。
◇
「……なるほどね。できればその騎士本人に会ってみたかったな。残念だけど、それについては僕も知らないや」
「そうですか……」
結果として、騎士の遺言の正体はやはりわからずじまいであった。
ネット上でも知る者はおらず、謎の物質への疑問は尽きることはない。
だがあの騎士の遺言である。彼が偽りを述べるメリットはどこにもなく、確かに謎の物質は存在しているのである。
「でも話を聞く限り、君たちやその騎士が嘘を言っているとは思えないね。そうなると……あまり放置できる問題じゃなさそうだ」
「え、やっぱり危険な物質なの!?」
「一応、これでも長いこと自然と共に過ごしてきたからね。大気の状態は大体把握できるし、薬学も齧ってるから毒とかにも詳しいつもりさ。
その僕が全く気がつけないとなると……人工物、造られた自然界に存在しない物質だと思う。この状況下だと、主催者が造って撒いたと考えるべきかな」
「やっぱり、その線が濃厚っすか……」
ううむと桃子は唸る。
騎士の遺言を聞いたときから、彼女は空気中の物質について主催者を疑っていた。
しかし、そこから先がわからない。
じわじわと命を削り取る遅効性の毒を考えてはいたが、まさに今それは否定された。
そもそもそんなものを撒いてしまえば、この地球上に住める場所がなくなってしまう。
「瘴気のような、それでいて無味無臭の不可視物質……でも毒ではない……難しいですね」
「ねえねえ、ここの世界樹がこの辺りの空気を浄化してくれてるんだよね? それならそのよくわからない物質も……」
「確かにある程度は世界樹が浄化してくれると思うよ。だけど僕らの予定は、あくまで行き過ぎた科学による汚染を取り除いての環境改善……
『追加』で大量に正体不明の物質を撒かれていたとすると……世界樹一本じゃ処理しきれないどころか、逆に世界樹が枯れてしまう可能性すらある……!」
「えええええええぇぇぇぇぇぇ!?」
「ああ、もう! だから人間は自然と共に生きるべきなんだよ! 普段からもっと自然を大切にしていれば……!
こうなると、北海道や九州でも世界樹を育てないと大地の再生は難しそうだな……」
「あ、途中で出会った忍者さんから聞いた情報なんすけど、九州は主催者の手でまるごとロボットにされたそうっす……」
「レスト様、残念ながらその情報は確かなようです……ネット上でも『無敵要塞キュウシュウ』などと……」
「残り少ない貴重な大地になにをしてるんだよっ!?」
憤り吼えるレストに、残りの面々は無言でうんうんと頷く。
彼の怒りの理由は九州の豊かな大地が穢されたことであろうが、それを抜きにしても誰もが怒りを覚える事態なのである。
なにしろこの殺し合いの一応の目的は『残された土地で人間が最低限の暮らしができるようになるまで人類総数を減らす』ことなのだから。
そもそも住む土地、それも県どころか九州丸ごと改造するなんて頭がおかしいとしか思えない。
数少ない陸地を減らすなど本末転倒もいいところだ。
「冷静になって考えると、九州をロボットにするって発想普通じゃないよね……」
「発想もそうですけど、それを実行できる技術力も普通じゃないっすよ。ここまで現実離れしていると……
なんだか空気中の物質も、実は主催者に都合のいい殺し合いを促進させる物質だったり……」
その瞬間、空気が凍りついた。
あははと笑い飛ばすつもりであった桃子も、残る面々も、言葉を失ってしまう。
普段であれば、なにを馬鹿なことをと笑い話になっただろう。
だがしかし。
既にこの世界に今までの常識は通用しないということを、彼女らは身をもって知っている。
『日本以外沈没、さらに国民選別のために殺し合い』
『ふざけた歌詞とは裏腹に、乳も皮膚も腕も何もかも全てもぎとる乳もぎ魔』
『圧倒的な戦闘能力を誇った巨大殺戮ロボットに、それを見事止めて見せた死神』
『誰かの命と引き換えに、仲間全員の傷を完治させたメガザルの腕輪』
『まるでアニメキャラのような魔法少女にプリキュア、そして喋るドラゴン』
『ありえない速度で成長する世界樹に、狂った信者が闊歩する魔境東京都』
『手加減されてなお、自分達がまるで歯が立たない程の強さだった目の前の青年』
大災害前、せめて殺し合いであれば、冗談で済んだであろう話の数々。
これらは、僅か二日の間に起きた紛れもない真実なのだ。
もう、この世に、ありえないという言葉は通用しない。
「……あ、あはは……やだなぁモモちゃんたら。そんな……」
凍りついた空気を溶かそうと、なんとかあかりが口を開く。
しかしいつもの明るさは失われており、それは彼女も冗談として流しきれていないことを表していた。
「そ、そうっすよね。そんな、そんなこと……あっちゃいけないっす……」
口では否定しながらも、桃子は内心では妙に冷静でいられた。
どうして今まで気がつかなかったのだろうか、と。
あの騎士がわざわざ死ぬ直前に、念入りに警告するほどの物質。
主催者の仕業だったとして、次に考えるべきはその目的だった。
毒殺目的でないのだとしたら、何が狙いなのか。
何故わからなかったのだろう。こんな狂った殺し合いを開く主催者の目的など決まっている。
殺し合い、それに関わる何かしかないだろう。
いくら住処が限られる、非国民のレッテルを貼られるとはいえ、ほとんどの人間は理性を持っている。
殺しあえと言われてそれに素直に従う奴の方が少ないはずだ。
だからこそ自分達は当初、仲間と共に船で雑談を楽しみ……死神はさぼりたがっていた。
だが予想に反して、死者は増え続けている。どうしてだろうか。
もし。もしも主催者が、たとえば理性を無くさせるような薬を日本全土に撒いていたとしたら。
なんて残酷、なんて非道な行為だろう。
だが主催者のこれまでの行動を考えれば、それが一番しっくりくる。ここまでくるともう、そうだとしか思えなくなっていた。
「ひっ……あ……」
存在を忘れつつあったが、自分たちの首には、冷たい首輪だってつけられているのだ。
言いようのない恐怖が襲いかかってくる。
主催者は、この光景を眺めて楽しんでいるのだろうか?
妙な物質をばら撒き、強制的に人々を殺し合わせ……それを愉快愉快と。
いや、事実あの総理大臣は楽しんでいなかっただろうか?
そして彼が死んでなお、平然と運営を続ける残りの主催者も……きっとそうなのだろう。
怒りと悲しみと恐怖と、様々な感情がごちゃ混ぜになり、叫びだしたい衝動にかられる。
「あはははは、いくらなんでも漫画とかの読みすぎじゃないかな」
「そうですね。レスト様の仰るとおりですよ」
「なっ!?」
だがその前に、レストの笑い声と、それに賛同するサクヤの声が響いた。
思わず俯いていた桃子は顔をあげ、言い返そうとするが……
差し出されたスマホを見て、思いとどまる。
『これ以上の深入りは危険です。首輪に盗聴器がつけられている可能性があります。
スマホもいつかは遠隔操作される危険性があります』
おそらくこれは、サクヤが打った文なのだろう。
盗聴という言葉にぞわりとするが、確かに十分ありうる話だ。
「まったく、これだから俗世に塗れた人間は駄目なんだよ。やっぱり自然と触れ合うのが一番さ。
まあ、折角の世界樹なんだから煩悩を振り払う呼吸法と精神統一の方法を教えてあげよう」
『君の予想は多分正しい。サクヤの言う通り、スマホは情報漏洩の危険性が高いからね。
ここから先は表向きは適当に雑談しつつ、この紙を使って筆談するとしよう。うん、こんな機械なくても対話はできるいい例だ』
続いて差し出された紙を見て、全員が無言で頷く。
レストがデイパックから紙束と筆記用具を素早く無音で取り出すが……
『いや、無言すぎてもまずいよ』
「うーん……あかりにはその呼吸法難しそう。それより、さっきのモンスターさんのお話の続き聞かせてよ!」『これでいいの?』
「お望みならばどんどん語ろうか。そうだねまずは……」『その調子で頼むよ』
◇
「――から、全く喋れない魔物とも目と目で通じ合うことは可能なんだ」
「へえ~……いいなぁ。あかりでもできるかな?」
レストが魔物や自然に関しての知識を語り、そして主にあかりがはしゃぎつつ相槌を入れる。
それは少し前に開かれていた魔物講座となんらかわらないが、あくまで表向きだ。
くしくも先ほどの講座は丁度いい隠れ蓑の役割を果たし、裏では筆談が続いていた。
『やっぱり、私の思い込みってオチにはならないっすか?』
『うん、あかりもできれば信じたくないかな。それに本当にそんな都合のいいものなんて』
『僕は直接見たことはないけど、ここの魔物達の話だと狂竜ウイルスというものがあるらしい。
なんでも無自覚に周囲の生態を狂わせ、感染者はとても凶暴になるそうだよ』
『凶暴に、つまり相手を傷つけることに躊躇いがなくなるということですか?』
『ああ。人体にも影響があるそうだけど、克服は可能。ばら撒くのはシャガルマガラという古龍。
自然界に大昔からいる存在だ。つまり、理性を奪い凶暴化させる未知のウイルスも自然界に存在しているわけだね』
『それじゃあ、騎士さんが言っていたものは、そのウイルスでしょうか?』
『いや違う。狂竜ウイルスは時間経過で治せるわけだし、抗体も存在する。
推測の域を出ないけど、多分主催者が造ったのはこのウイルスをさらに凶悪にした感じのものじゃないかな』
自然界に既に生物を狂わせるウイルスが存在している以上、殺し合いを促進させるウイルスの存在もありえなくはない。
むしろ主催者の持つ技術を考えれば、ウイルスの改良に散布程度朝飯前なのではないだろうか。
なにしろ九州ロボを拠点にするような連中なのだから。
『でも、どうやってそんなものを大気中に?』
『一般的に薬の広範囲散布となると、戦闘機が空から撒いているイメージがありますね』
『でも、オオナズチに乗っている時にはそんなもの見なかったっすよ』
『もし怪しい戦闘機が飛んでいたら、僕らが撃ち落している』
仮に主催者が本当に殺し合いを促進させる物質を造り、撒いたとして。
次に問題となるのはその方法だ。日本列島は狭いようで、意外と広い。
『方法がわからないけど、存在はしているんだよね』
『いや、思いつく限りで最悪な手段はあるよ』
『え?』
『魔物や人間、あらゆる生物が生きていく上で欠かせないもの。それは水さ。
各地の重要な水源に、いやこの殺し合いの状況ならもっと手っ取り早く――支給品の飲み水に入れてしまえばいい』
『?!』
レストが記す衝撃的な言葉に、思わず全員が息を呑んだ。
水に毒物を混ぜ込むなど、戦争においても非人道的とされる行為である。
だが同時に最も簡単であり、そして非常に効率的だ。
『でも、それじゃあ体内に入っても大気中には
『生物の殆んどは汗をかくだろう? そして殺し合いともなれば大量の血が流れる』
『まさか、それが蒸発して!?』
『効果は薄くなるだろうけど、水を飲んでない参加者でも呼吸で無意識のうちに体内にその物質をいれてしまうだろうね』
「……っ!」
思わず、表向きの会話すら途切れてしまう。
それほどの内容であり、もしこれが事実であるとすればもう何もかもが手遅れだろう。
人間誰もが腹は空くし喉は渇く。呼吸をしなければ死ぬ。
個人差はあるだろうが、もうこの世界に謎の物質を取り込んでいない参加者など存在しないのだから。
『それじゃああかり達も?』
『少なからず体内に入ってるね。でも一般的な病気と同じように、人によってはまるで影響がでないってことだと思うよ』
『僕らは運よく、謎の物質への抵抗があったというわけですか』
『多分ね。むしろ問題なのはここからだ。君たちがおとなしいのは、ただ単にとりこんだ物質が少ないせいかもしれない』
『!!』
『この世界樹は大気の浄化を行いつつ、内部に濾過されたとてもおいしい水を供給する泉やそれで育った果物がある。
だけどさっきも言ったとおり、世界樹の浄化にも限界はあるからね。このまま謎の物質を放置すればいずれ……』
『世界樹そのものが謎の物質に侵され、そこに住む魔物達にまで影響がでる可能性がある……ですね?』
『それだけじゃないよ。世界樹がなければここの大地は再生不可能だ。この国全域の植物や水は一瞬で汚染される。
そうなればもう、あらゆる生物が謎の物質を嫌でも大量摂取して暴れ狂うことになるだろうね』
それは今以上の
地獄絵図に他ならない。
自分や大切な人たちまでもが狂い、殺し合いに興じるなど断固阻止しなければならないと、一同は改めて決意を固める。
『止める方法はないんすか!?』
『方法その1として、世界樹の量産がある。分担して処理すれば世界樹が汚染されることもないからね。
だけどこれは現状不可能。ほとんどの人間は協力しないだろうし、時間もない。まず首輪を外さないと禁止エリアにも入れないし。
方法その2は、主催者本部に乗り込んで、この謎の物質の正体を把握する。そしてそこから中和剤が作れれば……』
そこまで書いて……ペンの動きが止まった。
いやペンは投げ捨てられ、代わりに巨大な剣が握られる。
突然どうしたのだろうか。
「ハハハ、また会ったなレストよ。今度こそ――お前たちのニクをイタダクぞ」
「ほかにもおいしそうなご飯があるよツバサお姉さん?」
そんな言葉を口にする前に、その場にいた全員が本能的に理解した。
突如現れた、禍々しい武装をした少女とそれに付き従うラッコ。
彼女達こそ、先ほどまで話し合っていた謎の物質を大量に取り込みすぎた結果生まれた……
絶対無比、極悪な殺人鬼なのであると。
――風鳴翼にぼのぼの――名前こそ明らかにされていないが、カオスロワちゃんねる等でも話題になる食人鬼。
彼女らはさらに多くの参加者を喰い……今再び世界樹の入り口に舞い戻ったのだ。
「悪いけど……お引取り願おうか!」
そんな彼女らに向けて、レストは殺意を隠すこともせずに灼熱の火炎魔法を発射する。
相手は狂った殺人者であり、自分の友人を喰い、ここの門番を瀕死においやり、今もなお世界樹を狙ういわば害獣。
生かしておく道理など、どこにもない。
「ムダだ、私達に――」
「それならこれはどうかな!」
炎を突き破りレストに迫る二体の食人鬼。
それに対し今度は風の刃が放たれ、追撃として地面から岩槍を繰り出す。
僅かに間を置いて、かつてこの食人鬼を撃退した水魔法を叩き込んだ。
魔王ダオスの扱うタイダルウェイブ程ではないが、それでも圧縮された激流、水のレーザーは殆んどの参加者を貫けるだろう。
だが……
「ワルイが、お前たちヲ相手にするんダ。コチラが何の準備モしていないわけがないダロウ?
アアそうだ、外をウロツイテいたエイとトリの魔物はココの魔物カ?
ジツに美味だッたゾ? おかげデこうして、お前ほどの使い手が放つ魔法スラかすりキズで済む程の耐性を得らレタしな」
【コロトラングル@世界樹シリーズ】翼たちに捕食され死亡。
【イワオロペネレプ@世界樹シリーズ】同上
「……っ! そうか、そんなに……そんなにこの世界樹の養分にされたいなら、お望みどおりにしてあげるよっ!」
食人鬼は樹海守護獣まで喰らいつくし、完全とまではいかないがあらゆる属性に強い耐性ができていた。
さらに適当な食事で手に入れた植物耐性は大きく、その大本が大地の恵みルーンであるレストの魔法を著しく弱めていたのだ。
(まさか本当に、あらゆる属性に耐性がつくまで捕食行為を続けるなんてね……!
僕は威力はともかく魔法を4種連続発動なんて器用な真似はできない以上、サクヤの援護を受けることはできない。
魔法主体のダオスさんでもあれだけの耐性を突き破るのは難しいだろうし、なにしろあのラッコが持っている剣からは雷の気配を感じる。
ダオスさんの唯一の弱点とも言える雷まで用意するなんて……これはダオスさんを狙ったのか、それとも彼を呼べなくして僕を狙ったのか……)
「どんなに策を練ってきたところで、無駄だよ……レベルを上げて、物理で殴ればいいんだからさぁ!」
「それハこちらのセリフだナ!」
◇
その戦いは、あまりにも凄まじいものだった。
(これが……本当に人間の戦いっすか……?)
振るわれる剣によって発生する暴風は、弱者を寄せ付けることすら許さない。
ほんの少し前、自分達はステルス能力を駆使して懐深くまで接近できたが……あれは相手が手を抜いていたためだと今なら影薄三人は断言できた。
さっきよりもさらに速く、重く、鋭い斬撃の嵐。
「ナラバ、これデどうだ!?」
それを受け止め、かわすあの食人鬼も普通ではない。
もう魔法という存在には驚かないが、突然空中から剣の雨が降り注げば驚かずにはいられない。
さきほどは巨大な剣を蹴り飛ばしていたし、剣は無制限に湧き出るのだろうか?
「甘いね、吹き飛べっ!」
そんな無数の剣も、力を込めた剣の一振りで明後日の方向へ吹き飛ばされる。
双方共に、その攻撃の射程範囲が剣という武器の常識から遥かに逸脱しているため、影薄達は入り口付近に避難せざるを得なかったが……
素人目、遠くから眺めるだけしかできないが、剣の腕前はレストが勝っているように思えた。
「蒼ノ一閃ッ!!」
「くそっ!」
だが、勝負は中々つかない。
それは戦場が世界樹の前であるということが大きな理由であった。
放たれた巨大な刃は、相手を狙わず……世界樹そのものを狙っているのだ。
いかに世界樹が巨大かつ龍による防壁が張り巡らされているとはいえ、基本は植物。
高層ビルを連続でいくつも貫通するほど強化された蒼ノ一閃を受ければ、折れないまでもざっくりと痕をつけられることだろう。
それを防ぐために、レストはたびたび後手に回らされ、思うように攻めきれていない状態である。
「そろそろあたってくれないかなぁ」
そしてその隙を狙うように、ぼのぼのの援護攻撃が飛ぶのだ。時に銃で、時に剣で。
それも執拗なまでに頭部を狙って。
あの援護攻撃がなくなるだけでも、だいぶ戦況は変わってくるだろう。
(……どうしましょうか)
そんな中で黒子は、猟銃に手を伸ばしていた。
もし、あのラッコが倒れたならば……おそらく剣士の戦いはレストに軍配があがるだろう。
だがここで彼の手助けをすることは正しいのだろうか?
彼もまた、危険人物であることには変わりない。いくら自分達とは会話を許してくれても、基本は人間を嫌っているのだから。
(……いや、悩む必要もなかったですね)
だが、黒子は躊躇わず銃口をぼのぼのへと向けた。
まだ出会って間もないが、レストにはまだ説得の余地があり……あの食人鬼達にはそれがないと思えたからだ。
(それに麒麟さんも大分慕っていましたし……本来は悪い人じゃないんでしょう)
銃を撃った経験はない。それでも方法は知っているし、この銃はかつて自分達を苦しめたあのベンが使っていた代物。
威力は十分であろうし、仮にラッコを仕留め損なっても動きを鈍らせることぐらいはできるだろう。
何しろ自分達は、トリプルステルスによって見えないのだから。じっくりと照準を合わせることが……
(……?!)
突然、ぼのぼのの首がぐりんと動き……
そのつぶらな、しかし狂気を感じる眼と黒子の眼が、がっしりと合った。
(まさか……!)
そしてぼのぼのは、その愛らしい顔のまま呟く。
「さきにらぁめんにしてほしいの?」
ステルスは、完全に見抜かれていた。
翼には及ばぬものの、ラッコ離れした速度でぼのぼのは一気に獲物へと接近する。
口を開き……ラッコにはありえないほど鋭い牙を覗かせながら。
黒子は引き金に手をかけるが、間に合いそうにない。
「いただきます――」
「っ!」
その瞬間、ぼのぼのの口は新鮮な肉にかぶりついた。
「チチッ?」
黒子の背後から投擲された、新鮮なマムルの肉に。
確かにいい肉であり、一番美味いとされる尻尾の部位だ。
一瞬頭の中が『おいしい』という言葉で埋め尽くされるが、すぐに自分の異変に気がつく。
そしてすぐに本能的に、元の姿に戻らねばと思う。
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「――え?」
だが、その反応の遅れがぼのぼのの致命的なミスであった。
元の姿に戻ると同時に、桃子が振り抜いた斬鉄剣をその身体に受け……
「あ――れ――?」
消え行く意識の中、ぼのぼのは真っ二つにされた自分の身体を呆然と見つめることしかできなかった。
【ぼのぼの@ぼのぼの】 死亡
「はぁ……はぁ……油断は駄目っすよ黒子くん……ステルスは匂いでばれることもあるんすから……うちの部長もそのタイプっす……」
「マムルの肉が間に合ってよかったよー……」
「すみません……」
肩で息をする二人の少女に、黒子は謝罪する。
相手は元は野生の動物だ。それが食べることに重点をおいて進化しているのだから、匂いは最も警戒すべき点であった。
危うく今度は顔面の皮だけでなく肉もなくなるところであったが、とにかく今回も大切な仲間に救われ、そして敵は死んだ。
結果的には上々と言えるだろう。
「ぼ――の――ぼ――の――?」
逆に。
大切な仲間……いや、特別な感情を向けていた男を目の前で殺された翼にとって。
この結果はあまりにも残酷であり、受け入れがたいものであった。
「ぼのぼのぉおおおおおおおオオオオオオオオオオォォォォォォォァッッッッッ!!!!!!!!?」
狂ったような、ケダモノのような声で絶叫する翼。
いや、血の涙を流し、牙も殺意も隠そうとしないその姿はまさにケダモノそのものであった。
戦っていた相手に背を向け、別の獲物を狙う行為など本来の翼であれば決してしない行為。
だがぼのぼのを失い、我を忘れた彼女はそこまで頭がまわらない。
「……君は神話を知っているかな?」
「ガアアアアァァァァァ!??」
そしてそれを逃がすほど、この男も甘くない。
「天羽々斬は須佐之男命の剣。だけど彼が退治した八岐大蛇の尻尾を斬った際に刃こぼれする。中にあった天叢雲剣のせいでね。
――天羽々斬は、天叢雲剣には敵わない」
「ガッ!??」
――剛剣一閃。
それだけで翼のシンフォギアは粉砕され、肩から腹部までを深く深く切り裂かれた。
「ゴフ……ガ……ぼ……の、ぼの……」
普通の人間であれば文句なく即死の一撃。
それでなくともレストの作り上げた天叢雲剣は、本来であれば掠っただけで敵を即死させることもある剣なのだ。
それでもまだ翼が息絶えることなく、零れ落ちたハラワタも気にせず地面を這いずりもがくのは……
既に事切れているとはいえ……ぼのぼのを、最後に一目見たいという願いのせいだろう。
「……」
あの傷ではもう長くない。それは誰の目にも明らかだ。
だからこそ、その場の誰もが追撃をすることもなく。
食人鬼の……いや哀れな少女の最期を看取ろうとしていた。
◇
「まさか、君たちに助けられるとはね……礼を言うよ」
「黒子くんもモモちゃんも武器構えるからびっくりしたよ。でも、あかりも肉で助けられたよね!? 主人公っぽいかな!?」
「あはは……まるでアゼルみたいだね。うん……君たちのおかげで、彼の仇も討てたよ」
「仇って、まさか……」
「ぼ……の……ぼ……の……」
かつてぼのぼのというラッコであった二つの肉塊を抱き上げる翼を、レストは無言で見つめる。
それだけで、彼とあの食人鬼の因縁は理解できた。
「ノ……ニク……」
「?!」
だが、その行為はまずかった。
どうみても死人同然の翼への警戒心が、無くなり過ぎていた。
誰に責任があったわけでもない、誰も咎めることはできない。だが事実として、そこには確かな油断と反応の遅れが存在した。
「ボノボノノニク、ニクにクニクニくにく、肉、肉ニックゥゥゥゥゥゥァァァアアアアアア!!!」
ぐちゃり、ぐちゃり、がりがりぼりぼり……
目の前の異常な光景に誰もが言葉を失ってしまう。
雄叫びをあげながら、獣が獣の死骸を貪り喰っているのだ。
それだけならまだいい。
ぼのぼのを喰らった翼の身体から黒い霧のようなものが立ち込めたかと思えば……先ほど負った致命傷が塞がっていっている。
「ば、馬鹿な……!?」
レストが飛び出す。今度こそ、この醜悪な化物を八つ裂きにして確実に息の根を止めるために。
「ふ、ハァ……」
「な――!?」
だが、相変わらず腹部から腸をこぼしたままの状態で、翼は笑っていた。
そして彼女もまた飛び出した。死に損ないとは思えぬほどの速さで。
――レストの横を、すり抜けていった。
「ハ、ハ、フ、ぼの、ボノの、カタキィィィ……!」
狙いは、先ほどと変わっていなかった。つまり、ぼのぼのを殺した三人の影薄。
マムルの肉はまだあった。
しかし、あまりの事態にあかりはもちろん残りの二人も身動き一つとれない。
当然だろう。彼らは戦闘経験もろくにない、ただの人間なのだから。
ぼのぼのを喰らい、真っ赤に染まった牙が迫る。
「あっ――」
「く、おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ……っっっ!!!!」
だが、牙が彼女達を噛み砕くことはなく……代わりに、無理矢理身体を捻って飛び込んだレストの右腕に食い込んでいた。
本来であれば、盾を装備している左腕を伸ばしただろう。しかし、そんなことを考えている時間もなかった。
それでも剣の刺突で翼の頭部を破壊しようとしたレストは、さすがと言える。
(ぐ……こいつ、いくら苦し紛れに出したとはいえ……僕の刺突を、この距離でかわすなんて……明らかに身体能力が向上している……!)
だが、それは運悪く、最悪の悪手となっていた。
突き出された剣にあわせ、腕も伸びきった状態。さらに肘間接を巻き込んで噛み付かれては、思うように力が入らない。
「あ……? レ、レストさん……?」
「っ! いいからすぐに逃げろっ! こいつは……ぐぅ!?」
ぶしゅりと、レストの腕から初めて血液が噴き出した。
普通の人間では堪える間もなく、豆腐のように腕を喰われていただろう。
それがこの程度で済んでいるのは、彼の鍛え上げられた肉体と装備、そして大地の加護のおかげだ。
それでも、牙の一本が筋繊維の深くまで突き刺さった。
瞬間、本人の意思とは関係なく指の力が弱まり……剣がその手から零れ落ちる。
「しまっ――」
レストが左腕を動かすのと、翼が剣を拾うのはほぼ同時。
そして次の瞬間。
怪物の手に渡った天叢雲剣は。
その本来の主の右腕を切り飛ばした。
同じ名工が作った装備であれば、怪物の力が上乗せされている剣の方が勝るのは当然の結果と言える。
「――――っ!!!」
後ろから少女の悲鳴が聞こえた気がするが、腕を失ったレストはそれを気にする余裕などない。
(左腕、盾のガードは間に合った……! 右腕が無くなっても、胴体と両足は無傷、同時に拘束もなくなった……それなら……!)
すぐさま蹴りを翼の腕に打ち込み、剣を宙に飛ばさせる。
相手も腕を切断するためだけに振り上げた隙だらけの構えだったのだ。
そのまま空中の剣を左手で掴み、振り下ろす。
今度は翼の右腕が宙を舞う。
だが彼女はそれをまったく気にしたそぶりもみせず……切り飛ばされたレストの腕に齧りつこうとする。
「そう、簡単に、食わせてたまるか……! これでも、食べてろっ!」
レストは残された左手に力を集中させ、料理を生み出す。
ただし材料は都庁の引っぺがした壁材であり、それらから生み出された料理はいわばダークマター。超失敗作といわれる物質だ。
それを翼の顔面に叩きつけ、同時に自分の腕であった肉塊も蹴り飛ばして世界樹の中へ。
「オゴ、オゴァァアア、アアアアアアアアッ!?」
「サクヤ、合わせてくれ!」
超失敗作のあまりの不味さに翼は悶えるが、続けざまに天から降り注ぐ聖光にその身体を焼かれてさらに苦しむ。
そんな翼に対して、レスト渾身の正拳突きが撃ちこまれ、浮き上がったその身体にサクヤ渾身のフルスイングも叩き込まれ……
翼はそのまま遥か彼方まで飛ばされていくのであった。
◇
「レスト様、レスト様ぁ……!」
「泣くなってばサクヤ……ほらまだ左手は残ってるから、撫でてあげられるからさ……」
「ひっく、ひっく……」
「そしてなんで君たちまで泣くのさ……」
「だって……あかり達を庇って……!」
おびただしい量の血液で辺り一帯を真っ赤に染め上げ、様変わりしてしまった世界樹の入り口。
そこにはほんの少し前まであった和やかさは微塵も残っていない。
主催者が造ったかもしれない未知の物質の脅威、そしてそれを考えている最中に強襲して来た食人鬼。手痛い傷を受けた番人。
目まぐるしくかわる怒涛の展開に、誰もが混乱していた。
「……そうだね。確かに君たちを庇わなければ、少なくとも僕はここまで傷を負うことはなかっただろう」
「……!」
「でもね……動いたのは僕の意思だ。それに不思議と後悔はしてないよ。
なんでだろうね、君たちと話してたら……昔を思い出したんだよ。あかりはアゼル
みたいなこと言うしさ……
気がついたら身体が勝手に動いてた。まあ、その前に僕も君たちに助けられてるし……おあいこでいいんじゃないかな?」
「で、でも……!」
「あー大丈夫大丈夫。僕は双剣も使える両利きだし、もう傷口は塞いでおいたし。多分首輪外せたら回復魔法で腕もまた生やせるんじゃないかな?
むしろこれからのことを考えて起きている今の頭痛の方が辛いね」
「これから……ですか?」
「うん。……あいつは多分まだ、生きているからね」
その言葉に、泣いていた者達の涙も一瞬で引っ込んでしまう。
「ど、どうしてっすか!? だって、さっき……」
「ああ、あれは超失敗作で身体能力を一時的に奪って、さらに聖属性の耐性も下げたところをサクヤにかっとばして貰ったわけだけど……
さっきはとにかく僕の腕を食べさせないことに必死だったんだよ。だって多分あれは……」
「……?……?!」
『謎の物質は殺し合いを促進させる物質じゃない。
多分、体内の蓄積量が増えると徐々に身体を作り変えて化物にするんだと思う。
だからあの時、ラッコを食べたあいつは傷が回復したし、身体能力が一気に上がったんだ。
これ以上、謎の物質やあいつを放置すると――この世界が呑み込まれるかもしれない』
【レスト@ルーンファクトリー4】
【状態】中ダメージ、中疲労、右腕喪失、全属性攻撃吸収、無属性攻撃半減、サクヤの飼い主
【装備】天ノ村雲ノ剣、草原のペンダント
【道具】支給品一式、不明品、風鳴翼の右腕
【思考】
基本:
都庁の軍勢を守りつつ星の自然環境改善
0:まずはダオス達に未知の物質、進化する翼の存在などを伝え、今後の行動方針を決める
1:ここの影薄三人は、とりあえず助ける
2:機械っぽい外見の奴は問答無用で潰す
3:鬼灯、影薄と魔法少女組を警戒
4:あわよくば竜と結婚できる世界を作りたい
5:まどかに自決されて魔物の士気が下がっても困るので、しばらく敵は半殺しで我慢
※影薄との情報交換により、大気中の物質の存在を知りました
※少なくとも首輪を外さない限り、通常手段では右腕の再生はできません
※都庁の世界樹はナノマシンの浄化も可能ですが、限度があります
【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】健康、混乱、落ち込み
【装備】猟銃@現実
【道具】死出の羽衣@ 幽々白書、ウィンチェスターM1912、エンシェントソード@Minecraft
【思考】基本:仲間と共にカオスロワを終わらせる
0:これからどうすれば……
1:友人たちと生き残る
2:空気中に漂う物質への対処法を考える
【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】健康、混乱、落ち込み
【装備】斬鉄剣@ルパン三世
【道具】支給品一式、スマホ、謎の物質考察メモ、筆記用具
【思考】基本:仲間と共にカオスロワを終わらせる
0:空気中に漂う物質への対処法を考えたいけど……
1:加治木先輩や友人たちと生き残る
2:スマホを使ってネットで情報を探る
3:DMCファンだけど信者の暴動にはドン引き
【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】健康、混乱、落ち込み
【装備】なし
【道具】マムルの肉@風来のシレン
【思考】基本:仲間と一緒にカオスロワを終わらせて主人公らしく大活躍!
0:主人公らしく活躍できたと思ったのに……
1:
混沌の騎士の分も頑張る
2:まどかと同じく、人間と魔物の共存に賛成
3:オオナズチ以外の都庁のモンスターの背中に乗ってみたい
【極光の麒麟・サクヤ@パズドラ】
【状態】健康、混乱、落ち込み、調教済み
【装備】戦鎚、黒子の服、布切れ
【道具】支給品一式、スマホ、都知事のパソコン
【思考】
基本:レストに服従
0:もっとレスト様を支えられるようになるには……
1:ネットに疎い主に代わり情報収集
2:オオナズチにはいずれお返しする
◇
――ああ、痛い。痛い。腕を落とされて、まだ腸もはみ出たままだ。殴り飛ばされた衝撃で全身の骨も砕けたみたいだ。
――でも何故かな……ぼのぼの。
――君が私の中にいると思うと、すごく安心するんだ。とても満たされて幸せな気持ちになる。
――ぼのぼのを食べてから、妙に身体の調子がいいんだ。相変わらず腹は減るがな?
――なんというかこう、ちょっとの怪我ならすぐに治るような……そう、再生能力にでも目覚めたのかな。
――これも、ぼのぼののおかげなんだろう?
――ありがとう。いつも私は助けられてばかりだな。
――レストの腕を食いそびれたのは辛いが、血液と肉片だけであれだけ美味しかったんだ。きっと全身はもっと……
――そうかそうか、ほんとうにぼのぼのは脳味噌が好きなんだな。わかったわかった。今度こそきっとご馳走するよ。
――私の好きな部位?そうだな、やはり最初に食べたからか腸だな。歯ごたえがたまらなかったよ。
――あ、
一心同体になったから半分この必要もないのか。やったなぼのぼの、たくさん食べられるじゃないか!
――ところでぼのぼの、少し聞いてくれるか?
――人間も魔物も、そして愛する君さえ食べてしまった私だからこそ気がついたんだが……
――この穏やかな気持ち、きっと君も抱いているんだろう?
――やはりな!どうやら私に喰われた存在は、みんな消化されるのではなく浄化されるらしい。
――みんな私の一部となり、私の中で穏やか気持ちで過ごせているんだ。この静かな優しい闇の中でな。
――誰も苦しまない、涙を零すこともないんだ。
――ほら、アゼルとフォズも笑っているじゃないか。
――おや、あれは私が喰った死体の少女か?生前はこんなにかわいい子だったのか。
――ははは、なんて素晴らしい場所だろう。ここならば、みんなが幸せなんだ。
――そうと決まれば、動かねばな。こんな殺し合いなんて平和とは無縁の世界から、私がみんなを救うんだ
ソ ウ
ワ タ シ ノ ナ カ ナ ラ ミ ン ナ シ ア ワ セ
【二日目・3時30分/日本・???(少なくとも東京都外)】
【風鳴翼?@戦姫絶唱シンフォギア】
【状態】超絶ダメージ(再生中)精神不安定、炎・水・雷・風・植物(地)耐性(強)、闇耐性(弱)、聖弱点、四条化、きゅんっバンパイア化
【装備】シンフォギア・天羽々斬(さらに禍々しく変化・大破状態)@戦姫絶唱シンフォギア
【道具】支給品一式
【思考】基本:???
0:スベテヲタベテトリコモウ
※四条貴音の細胞に肉体を侵食されたため、四条化し貴音の能力と一部の記憶を受け継ぎました
※
テラカオス化候補者の結月ゆかりの死体を食べた事により、テラカオス化進行度がさらに上昇しました。
それに伴い、シンフォギアの形状が禍々しく変化し、全体的な能力が上がっています。
※テラカオス化重度進行者であるぼのぼのを食べた事により、テラカオスにより近い存在となりました
それに伴い、捕食した相手から耐性を得る以外にも、能力略奪や身体能力上昇などの恩恵も受けられるようになりました
※大気中にナノマシンが存在する為、どんな参加者を食べても少なからずテラカオス化は進行します
※レストの手により、一定時間身体能力と聖耐性を下げられていますが、時間経過で聖耐性(強)に戻ります
最終更新:2014年05月11日 15:28