アットウィキロゴ
水木一郎とフェイ・イェンを加えた警察組はDMC狂信者を止めるためにビッグサイトへ乗り込む前に、暴走したはるかさんとの戦闘で負ったダメージと疲労の回復、そして守るべき少女を失ったジバンこと田村直人のメンタルケアをするために東京の一角で一時休憩を取ることになった。
DMC狂信者は個々の戦闘力が低い者が多いとはいえ、その数は圧倒的であり、激戦が予想される。
実力をフルに発揮できるように休めるうちには休むべきという判断であった。


しかし、その判断が最悪の結果を招いてしまった。彼ら警察組は天魔王軍に目をつけられてしまったのだ。
正義を掲げる警察組は天魔王軍の傘下に相応しいとオルゴ・デミーラは思えず、逆に新たに手に入れた戦力、マシンモンスターの性能がいかほどのものかを試すためのモルモットに彼らが選ばれてしまったのだ……


交戦開始から約30分、既に警察組は中程度の打撃を受けており、逆に天魔王軍はほとんど無傷であった。
それでも諦めずに交戦するは正義の警察組!


「キルコストーム!」

キルコのトンファーブレイドから発生させた竜巻が天魔王軍を襲う……しかし、ヘルクラウダーが強力な真空波を放ち、竜巻を消し去ってしまった。

「そんな、キルコストームが効かないなんて! うっ、また眠気が……」

相手は風使いモンスターのヘルクラウダー。風の扱いに関してはキルコより何枚も上手であった。
そして、彼が呼び出した配下のベビークラウドが唱える睡眠魔法『ラリホー』によって幾度も睡魔に襲われ、彼女自身満足に戦えないでいた。
そして動きが鈍くなったところをつかさず、ヘルクラウダーのかまいたちが彼女を襲う!

「うわああああああ」

キルコは睡魔に足を取られながらも、気力を振り絞って回避しようとするが完全にはかわしきれず、肌と服が切り刻まれて周囲に血を撒き散らす。
彼女ほどの実力者でなければ出血どころか全身がバラバラになっていたところだ。


「プテラ、ねごとでござる!」

一方、空蝉丸ことキョウリュウゴールドはプテラに指示を出し、キラーマジンガへ攻撃させた。
戦法は今は亡き暴走はるかさんを苦しめた、ステルスロック→ねむる→ねごと→ふきとばしのコンボだ!
だが、その戦法はキラーマジンガには通用しなかった。
はるかさんとは防御力が桁違いであり、ステルスロックで生み出した鋭利な岩がキラーマジンガの装甲を貫徹しないのだ!

「硬い、硬すぎるでござる! なんとか活路を見いださねば……」
「おまえに考えごとをしている余裕はないぞ」
「ぬっ!?」

空蝉丸の耳に女性の声が響くと、上空から光弾のようなものが飛来してきた。
空蝉丸は光弾をローリングで回避するが、光弾が着弾した道路は穴あきチーズのように削り取られてしまった。
光弾を放ったのはアストロスイッチを使って変身する怪人ゾディアーツ、その中でも上位種である幹部級怪人ホロスコープスのヴァルゴ・ゾディアーツであった。
女性型のフォルムに天使のような羽を持つ妖しい女性のような姿に騙されてはいけない。
この怪人は空間を操る超強力なゾディアーツなのだ。

(最初はこの姿に戸惑ったが、使ってみればこれ以上にない武器になるな。
この力と天魔王オルゴ・デミーラの力があれば、巨人も竜も怖くない!)

ちなみにヴァルゴの中の人は、ミケ・ザカリアスという男である。
ゾディアーツは本来の性別に関係なく、異性の怪人に変身することもあるのだ。
彼はモブ参加者から奪った支給品の中で、強力かつ最も適合するスイッチとして天魔王から与えられたのだ。
さらにキラーマジンガの命令権を与えられ、コンビネーションで空蝉丸とプテラを追い詰めている。


巨大ロボット・タテガミライオーに乗るフェイ・イェンが対峙していたのは緑色の塗装を施されたデスマシーンであった。
こちらでも他の警察組と同様、苦戦を強いられていた。

「ホラホラ、一撃でも喰らうとヤバい核攻撃だぞ~!」
「この! 核爆弾やミサイルなんて物騒なものをあたり構わず撃ちまくるなんて……!」

デスマシーンには核爆弾――といっても都市一つを消し飛ばす戦略核ではなく、遥かに威力の低い戦術核を装備していた。
しかし、核が強力なのは変わりなく、一撃でも直撃を喰らえばタテガミライオーと言えどひとたまりもない故に、フェイ・イェンは敵の懐へ迂闊に飛び込むことができないでいた。
だがこのままでは、デスマシーンにもう一つ搭載されている武装・大量のミサイルで装甲を削られ続け、タテガミライオーは大破に追い込まれるであろう。

その様子をデスマシーンの内部でほくそ笑みながら見ているのは平山幸雄であった。
ミケの持ち帰った個体の内部には、ちょうどコクピットのように人一人が入れるスペースがあったので平山が入り込むことにしたのだ。
コンソールがないので直接操縦はできないが、その代わり最も近い場所でデスマシーンに指示を出すことが可能になった。
そしてミケがキラーマジンガを命令できるのに対し、平山はデスマシーンへの命令権を与えられていた。


メタルヒーローの一角である、ジバン・田村直人すら今までになく苦戦を強いられていた。

「ジバンエンド!!」

マクシミリアンソードにエネルギーを集め、敵に突進し、斬りつける。
メタルヒーロー伝統の必殺技、レーザーブレードによる必殺技だ!

「ビー、損傷軽微、戦闘行動二支障ナシ」
「なんだと、ぐはッ!!」

乾坤一擲の必殺技さえもエビルエスタークの装甲を貫ききれず、カウンターとして剣による一撃がジバンの胸部に襲いかかった。
その重い一撃は特殊合金で作られている堅牢なボディにも大きなヒビを入れる!

「ぐッ……なんてパワーだ!?」
「ジバンッ! 今、助けるゼーット!!」
「まきょー!」

ダメージを受けたジバンを援護するため、水木のアニキはスタンド『ザ・アニキング』を発動させるべく、魂を込めた熱唱を始める。
それはアニキの横にいるまこちーも思わず歌い出したくなるほど、熱い熱い歌であった。

「今だ 出すんだ ブレスト――♪」
「いてつくはどう!」

だが、その熱唱も天魔王軍の長であるオルゴ・デミーラによる凍てつく波動によっていとも容易く妨害されてしまった!
顕現しかけたマジンガーZが一瞬にして霞のようにかき消える。

「まきょ!?」
「ザ・アニキングが発動しない!?」
「歌によって精霊の類を召喚する能力かしらね? だけど私の魔力と美しさの前では全て無意味よ」

今まで多くのマーダーを倒してきた正義の警察組が、悪の天魔王軍の圧倒的な力の前に押されていた。
そして、今まで持ちこたえていた警察組も、いよいよ敗北の時を迎え入れることになる。


――最初に戦線が崩れたのは空蝉丸とプテラの一人と一匹であった。

「プテッーーーッ!?」
「プテラッ!!」

プテラがキラーマジンガの右手に装備されたハンマーで殴打されて吹っ飛び、そのままビルの壁にめり込んだ!
トレーナーである空蝉丸が必死に名前を呼んで安否を確認しようとするも、プテラは応じることはなかった。

「ペットの心配をするよりも自分の心配をしたらどうだ?」
「クッ、おのれ!!」

プテラが倒された空蝉丸が怒りのままにヴァルゴに突撃する。
ヴァルゴも迎撃のために光弾をいくつも放つも、空蝉丸はそれを全て回避し、愛刀・ザンダーサンダーの届く間合いまで詰め寄ることができた。

「!」
「プテラの仇でござる!」

ヴァルゴを袈裟斬りにするべく空蝉丸は一太刀入れた、ハズだった……

「なにッ!?」

刀を振り下ろした瞬間、ヴァルゴは前触れもなく空蝉丸の眼前から消えた。
その直後、空蝉丸の両腕にワイヤーのようなものが背後から絡みつき、自由を奪う。
ワイヤーの正体は本来は巨人を駆逐するために作られた移動機械である立体機動装置。
そして空蝉丸を捕まえたのは目の前から姿を消したハズのヴァルゴ――ミケであった。

「う、動けぬでござる!」
「残念だったな、この空間能力を操れるヴァルゴには瞬間移動の能力もあるんだよ。
さて、遊びは終わりだ……アンタに恨みはないが、オルゴ様のために死んでもらうぞ」
「殿、先立つ拙者にお許しを――」

ヴァルゴは身動きの取れなくなった空蝉丸に無慈悲な光弾を撃ち込む。
光弾は避ける術のない相手にガオンと直撃し、空蝉丸はこなみじんになって死んだ。
この世に残ったのは彼の持っていた武器と支給品だけである……



「う、空蝉丸さーーーんッ!」

仲間の無残な死にキルコは叫ぶ。
だが、その僅かな隙を突くように敵は容赦なく攻撃を与えてくる。
デスマシーンが標的をタテガミライオーからキルコに変更し、大量のミサイルを撃ち出してきたのだ。

「くっ……あああ!」

ミサイルの雨をかわし続けるキルコであったが、すぐ近くにいるヘルクラウダーとベビークラウドまで支援に回り、睡魔を誘う魔法と風魔法が彼女の動きを鈍らせ、そして一発のミサイルが彼女に直撃しようとした。

「させない!」

そこへフェイ・イェンの乗るタテガミライオーがキルコの前に躍り出てミサイル直撃を間一髪で防ぎ、仲間の盾となったのだ。
……しかし、その判断は悪手であった!

「バカめ、引っかかったな! 最初から俺の狙いは後ろの女じゃない……おまえだ!」
「なんですって……はっ!?」
「核爆弾発射!」

仲間の誰かを狙えば、タテガミライオーのパイロットは見捨てずにロボの堅牢な装甲を生かして守ろうとする……デスマシーンに乗る平山は戦っているうちに敵パイロットの献身的な性格を読み取り、そこを逆手にとったのだ。
核爆弾が直撃すればタテガミライオーとて危険である、かといって避けてしまうと後ろにいるキルコが焼け死ぬことになる。
自分を見捨てるか、他人を見捨てるか……平山はタテガミライオーは前者の行動を取ることに賭け、そして賭けに勝った。
核爆弾が発射される寸前にフェイ・イェンは相手の目論見に気づくも、全ては手遅れであった。
もっとも平山の狙いに気づいたところで、彼女は仲間を見捨てる事はできなかったであろう。

「きゃあああああああああああああ!!!」

核爆弾は炸裂し、タテガミライオーを大破炎上させる。
搭乗していた少女の悲鳴と共に、巨体がメラメラと燃えながら近くのビルを崩すように倒れた。
不幸中の幸いなのは核爆弾の破壊エネルギーは全てタテガミライオーが受けきったため、後ろにいたキルコが命を落とさずに済んだことだろう。


「フェ、フェイ・イェーーーンッ!」
「空蝉丸に続いてフェイ・イェンまでもが……」
「そんな……私のせいで……」
「まきょーーーーーーッ!!」

二人目の仲間の死に警察組の面子は慟哭する。
対して圧倒的な力を見せつける天魔王軍率いるデミーラは、飛車角が落ちた相手に王手を宣言するのであった。

「さて、そろそろフィナーレに入ろうかしら。合わせなさいエビルエスターク」
『了解シマシタ』

デミーラとエビルエスタークの腕に魔力が収束する。
ヴァルゴとキラーマジンガ、デスマシーン、そしてヘルクラウダーが周りを囲っているため、警察組は逃げ場はなく、これからくる天魔王の猛攻を彼らは避けることができない!

「喰らいなさいな!『イオナズン!』」

警察組を中心に二重の魔力による大爆発が発生した。
戦車数台など易々と吹き飛ばせそうな大爆発だ。
爆炎の中からジバンの、キルコの、まこちーの、アニキの叫びが木霊した。

……しばらくして爆発が止み、爆煙が風にさらわれた。
そこには表面装甲を満遍なく焼かれ、装甲が向けた部分から痛々しくスパークさせながらも、なお立ち続けるサイボーグのジバン。
キルコはトンファーブレイドを喪失し、立っているのがやっとのダメージを受けていた。
まこちーはほとんど軽い火傷で済んだが、これは爆発が起きる瞬間に水木の兄貴が彼女に覆いかぶさって守ったからなのだ。
では、まこちーを守った水木一郎はどうなったのか――

「ごふッ……」
「あ、アニキさん!」
「まきょ!? まきょおーーーッ!!」

水木は四人の中で最も重症であった。
爆風を諸にくらい、全身の大火傷に加えて大小の破片が体のあちこちに刺さっている。
出血も酷く、昏睡状態に陥った状態で地面に倒れていた。
素人から見ても、早く治療しなければ命を落とすとわかるぐらいの重症を彼は負ってしまったのだ。
水木に駆け寄るキルコと傍で泣き叫ぶまこちー、次々と倒れる仲間に仮面の下で苦虫を潰したような顔をするジバン。
そんな彼らに対して天魔王軍は無慈悲にトドメをさそうとする。

「あの攻撃を喰らって四人とも生きているなんて褒めてあ・げ・る。
……でもここまでよ。次で確実に終わらせてあげるわ」
「フッ……」
「クックック……」

天魔王軍が嘲笑いながら警察組を囲み、今度こそ四人を仕留めるために各々が総攻撃の準備に取り掛かる。
万事休すの状況……仲間を失い、消耗激しい彼らに天魔王軍を打破できる戦力は残されていない。

――だが、そんな絶望的な状況でも仲間のために戦い続けようとする漢がいた!

「キルコ君、僕が突破口を開く。君は水木のアニキとまこちーを連れてこの場から逃げてくれ」
「ジバンさん、無茶です! その体では……」

ジバンのボディは中破していた。
武器もオートデリンガー……しかも故障によりファイナルキャノンは使えない等、戦闘力はガタ落ちであった。
この状態で天魔王軍に挑めば確実に殺されるだろう。
それでも構わずにジバンこと田村直人は戦う道を選択した。

「キルコ巡査、これは警視正の命令だ! 反論は許さん!」
「しかし!」
「聞くんだ! どのみち誰かが犠牲になってでも道を切り開かなければならない。
現状でそれができるのは機動刑事である僕だけだ」
「ジバンさん……」
「すまない、だが瀕死のアニキを担ぎ、まこちーを守れるのは君にしか任せられない仕事だ。
……それから、今までありがとう。
君達のおかげでまゆみちゃんを失い失意の中にいた僕が、再びこうして戦うことができたんだ。礼を言わせて欲しい」
「ジバンさん!」

一度は守れなかった五十嵐まゆみの死に戦意を失ったジバンだったが、仲間達の存在が彼を平和を守る刑事として再起させたのだ。
その仲間を守るためにジバンは警官魂を限界まで燃やそうとしていた。そして。

「メラゾ――」
「させるか! 行くぞ平和を脅かす魔物達よ!」
「なッ、早い!?」
「デミーラ様!」

ジバンはヴァルゴやヘルクラウダー、他のマシンモンスターを無視して、大将であるデミーラへ向けて突貫した。
そのスピードはとても手負いとは思えないほど早く、他の者達が主人を守るべく援護射撃を放つも尽く外れ、尚且つデミーラが魔法を唱えるよりも早かった。
文字通り決死の覚悟をした漢の底力である。
そしてジバンはそのままデミーラにタックルし、最寄りの飯店の壁を突き破りながら厨房までデミーラを連れて行った。

「ちょっと、痛いじゃないの! ってここはキッチン?」

壁にぶつける程度では人間形態とはいえ天魔王にダメージを与えるには至らない。
だがジバンには考えがあり、その一つとしてデミーラをプロパンガスの入ったガスボンベに押し付け、サブマシンガンとしてはまだ使えるオートデリンガーの銃口をボンベに向けた。

「ガス爆発で私を殺ろうっていうの?
オーホッホッホ、その程度で私が死ぬわけないじゃないの」
「……だろうな」

ガス爆発など魔法に換算すればイオラ、高く見積もってもイオナズン程度の威力が限界であろう。
殺すにはとても威力が足りないハズであり、デミーラはジバンの行為を嘲笑った。

「だが、おまえの首についている首輪は別だ――しかもこれだけの超至近距離からの爆発に耐えられるかな?」
「なんですって!?」

どんな強力な参加者にも首輪はついている。首輪が爆発すればいかなる参加者でも死ぬ。
それに気づいたジバンは、デミーラ自身を狙うより相手の持つ首輪を破壊しようと思いついたのだ。
首輪はおそらくガス爆発に耐えられるようにはできていない。
そして、ジバンは自分の命も顧みずに敵を抹殺しようとしている。
そのようなジバンの目論見がわかった瞬間、デミーラから余裕の表情が消えた。
引き金を引かれるよりも早くジバンを消し飛ばそうとするが、ジバンの方が早かった。

「対バイオロン法 第九条 機動刑事ジバンは、あらゆる生命体の平和を破壊する者を、自らの判断で抹殺することができる」

お決まりの言葉、そして辞世の句になるだろうとする言葉を吐いてジバンは引き金を――

「ぐはッ!!」
「ミケ! ヘルクラウダー!」
「デミーラ様、ご無事ですか!!」

――引く寸前でヴァルゴが杖で、ヘルクラウダーが抜き手でジバンの胸部を背後から貫き、射撃を妨害したのだ。
さらにはサイズの関係上で店に入れないデスマシーン以外のマシンモンスターも遅れて店の中に入り、ジバンを囲んだ。

「くッ……」
「オーホッホッホ、残念だったわね。私には頼りになる精鋭がついていたのよ。
さあ! この天魔王に楯突いたことを後悔してお死になさいな!!」

九死に一生を得たデミーラは怒りと殺意を隠そうともせずにシャドーボールでジバンの頭を消し飛ばそうとする。

だが、ここまでがジバンの思惑通りであった。

(こ、これでいい……魔物を四匹も店の中に誘い込むことができた。
残り一体ならキルコ君達でも逃げ切れるハズだ)

そもそも首輪を破壊するだけなら銃で直接狙えば良いだけなのだが、それをせずに回りくどい方法を取ったことこそ、ジバンのもう一つの作戦である。
リーダー格の魔物を攫えば他の魔物が助けにやってくる。
さすれば仲間を囲う敵の数が減り、キルコ達の逃走がそれだけ楽になるということだ。
そのために飯店の中に残った敵を誘い込んだのである。


(キルコ君、僕のように散っていった正義の者達の魂を引き継いでくれよ……)

そして、最後に部下のキルコへ願いを託し、ジバンの頭部は至近距離からのシャドーボールで粉々になった。



しかし、頭部が弾け飛ぶ寸前に、脳からの電気信号――否、彼の警官魂は銃を握る指にまで届き、引き金を引かせ、オートデリンガーに火を吹かせた。

「なっ……!」

弾を受けたボンベが爆発し、デミーラ達のいた飯店は大爆発を起こして木っ端微塵に吹き飛んだ。

 #

「で、デミーラ様ぁー!!」

ただ一人、店の外に残ったデスマシーン及び平山は、デミーラが連れ込まれた飯店が大爆発を起こした瞬間を目撃した。
デミーラがあの程度の爆発で死ぬとは考え辛いが、万が一ということもあり、平山は大いに焦っていた。
その平山の注意が爆発を起こした飯店に向いていた瞬間を見計らうように、先ほどまでビルの壁にめり込み死んでいたと思われていたプテラが自力で復帰し、キルコ達三人を背に乗せて急いでこの場から飛びたったのだ。

「はっ、逃がすか!!」

一息遅れて平山は仲間を乗せて逃げようとするプテラの存在に気づき、デスマシーンに搭載されたミサイルで撃ち落とそうとする。
ところが、突如足場が揺れ出してミサイルの照準が外れてしまった。

「クソッ……こんな時に地震か!?」

時刻は約4時30分、その地震は同時刻に都庁にあるフォレストセルが起こしたものであり、その偶然がキルコ達を救ったのだった。
再度、デスマシーンが捕捉しようとするが、その頃には敵に射程圏外まで逃げられていた。

「取り逃がしてしまったが……あんな手負い共、いつでも殺れる。それよりもデミーラ様だ!」

この殺し合いを生き延びるにはオルゴ・デミーラの力が必要だ。
また、主催を下して殺し合いが終わった後の世界で成り上がるためには天魔王の力添えが必要である。
成り上がればわざわざアカギに成り済ます必要もなくなり、鷲巣以上の地位や権力を握って甘い蜜を吸いたいのならば天魔王には生きてもらわなければ困る。
そのためにもデミーラの安否を心配し、デスマシーンから急いで降りた平山であったが、それは杞憂に終わった。
デミーラはヴァルゴ共々、平山の前にワープしてきたからだ。
ついでにマシンモンスター達も大したダメージもなく、瓦礫の中から現れた。

「デミーラ様! ご無事でしたか!」
「ええ、ヴァルゴの瞬間移動能力でなんとか首輪が破壊される前に脱出できたわ。
やれやれ、時代や形は違っても『勇者』はいつも厄介だわね」
「だが、ヘルクラウダーは間に合わなかった……」

ヘルクラウダーだけ瞬間移動が間に合わずに爆発に巻き込まれてしまった。
番人として君臨していたヘルクラウダーがガス爆発一つで死ぬことはまずないのだが、首輪はそうはいかずに破壊され、首輪の爆発で首から上が吹き飛んでしまった。マシンモンスターが無事なのは支給品扱いである彼らには首輪が無いからである。
ちなみに、親玉の死を嘆くベビークラウド達はその後、デミーラが預かり直接の配下となった。

「今回の戦いでわかったこともあるわ。
マシンモンスターの素晴らしさと……やっぱり、この美しくない首輪は戦闘の邪魔になることね。
可能な限り早く、これを取り去る必要があると感じたわ」

どれだけ実力があろうとも首輪を破壊されてしまえばそれでおしまいであり、しかも制限によって一定以上の実力は発揮できないなど、首輪は足枷にしかならない。
誰にとっても無用の長物……先の戦闘でそれを取り去ることに性急性を感じた天魔王は、配下の平山とミケに指示を下した。

「平山ちゃん、首輪を外せそうな技術者の目星はついてる?」

平山がノートパソコンを開き、掲示板に目を通す。
記憶力に優れた彼ならば他の参加者が見落としそうな僅か数行の一レスすら見落とさない。

「東京都にいるだけで候補は数人ほどいますが、有名な技術者のブリーフ博士が最有力でしょう。
また、つい先ほど東京入りしたとの報告があります」
「あら、名前はアレだけど、おヒゲがチャーミングな可愛らしいミドルね」
「そ、そうですか……? ともかく、この博士の身柄を誰よりも早く押さえる必要があるでしょう。
捕まえた後は拷問するなり、人質を取るなり……いかなる方法を使ってでも首輪を解除させましょう」

ここでミケが地図と掲示板の最新情報を照らし合わせて意見をする。

「だが、この博士がいる場所は、都庁・官邸のどちらにも近い。どちらにでも博士を確保されたりすると非常にまずいぞ」
「確かにな。都庁は人間は迎え入れないのが基本方針らしいが、番人とされる男達や大阪で巨大ロボを破壊した赤毛の女の例外もある。
首輪解除できる技術者となれば都庁軍も殺さずに捕まえるだろう。
官邸に関しても、あの巨木を操っているのは人間らしい……スタンスはわからんが、こちらも首輪はさっさと外したい筈だ」
「掲示板も30分以上前の情報だし、この時間帯では既にどちらかに接触し匿われているかもしれないな」

どんな参加者でも首輪を外せる技術者は喉から手が出るほど欲しいハズだ。
もちろん天魔王軍とてそうであるし、技術者が他の勢力に渡るのは面白くないハズだ。
だが、天魔王はブリーフ博士が既にどこかの勢力に組み込まれている可能性があるにも関わらず大胆不敵に笑っていた。

「オーホッホッホ、そんな肝っ玉の小ささじゃせっかくの美貌が台無しよ二人共?」
「し、しかしデミーラ様……」
「その博士がどこかの勢力に引っ張られたら、その勢力を徹底的に叩き潰して博士を奪えばいいだけじゃないの。
私達はそれだけの力を持っている。さっきの戦いでそれが証明されたじゃない?
もう弾除けのために情報操作で悪事を都庁に押し付ける必要だってない。
都庁だって、ビッグサイトだって私達の敵ではないとわかったでしょ?」
「……そうですね!」
「あ……ああ!」

東京都のマーダーというマーダーを退治していた警察組は天魔王軍の圧倒的な力の前に敗れ去った。
ヘルクラウダーは犠牲になったが、戦力の要であるマシンモンスターは健在であり、マシンモンスターの強さはメタルヒーローやスーパー戦隊でも止めることはできなかった。おまけに所持している支給品もほぼ無数。
デミーラの言葉によってその事実を思い出し、自分達は都庁やDMC狂信者などの他の勢力を凌駕する力を持っていることを自覚した私兵達は士気を高めるのであった。

「さて、それじゃあ博士を追うとしましょうか。平山ちゃんは案内をお願いね、ミケちゃんは周囲の警戒を頼むわよ」
「「おまかせくださいデミーラ様!」」
「我ら天魔王軍の快進撃はこれから始まるのよ!! オーホッホッホッホッホッホッホ!!」

高笑いを発しながら、平山の先導にしたがって天魔王軍はブリーフ博士確保のために歩を進めるのだった。


二日目・5時00分/日本・東京某所】

【天魔王軍】

【オルゴ・デミーラ@ドラクエ7】
【状態】ダメージ(微小)、魔力消費(微小)、美しい人間形態
【装備】闇のルビー
【道具】支給品一式、香水、口紅、ベビークラウド×いっぱい@ドラクエ7
【思考】
基本:主催者を美しく皆殺しにして自分が支配者となる 
0:首輪を外せそうな技術者のブリーフ博士を確保する
1:都庁、DMC、主催者その他、邪魔な勢力を一掃する
2:首輪も処理できれば処理しておきたい
3:部下にふさわしい参加者がいれば、新しい天魔王軍として美しくスカウトする
4:日本以外を潰した首謀者がいるなら、そいつも美しく殺す
5:できれば醜い本気形態にはなりたくない
※美の感じ方は人それぞれです
※平山より、主催者が九州ロボにいる情報を手に入れました
※エビルエスタークとベビークラウドを直接の指揮下においています

【エビルエスターク@DS版DQ7】
【状態】ダメージ(微小)、すれ違い通信によりレベルMAX状態
【装備】不明
【道具】無し
【思考】基本:オルゴ・デミーラに従う

【平山幸雄@アカギ~闇に降り立った天才~】
【状態】健康、 士気高揚、デスマシーンに搭乗中
【装備】サングラス、雀稗
【道具】支給品一式、大量の不明支給品(内容確認済み)
【思考】基本:死にたくないのでオルゴ・デミーラに従う
1:戦闘は無理なので、後方支援に徹する
2:天魔王軍の一員として、この世界で成り上がってやる……!
※デスマシーンを直接の指揮下においています、また内部に搭乗しています。

【デスマシーン@FF・SaGaシリーズ】
【状態】弾薬消費(小)
【装備】大量のかくばくだん、大量のミサイル
【道具】支給品一式
【思考】基本:オルゴ・デミーラに従う

【ミケ・ザカリアス@進撃の巨人】
【状態】疲労(小)、士気高揚、ヴァルゴ・ゾディアーツに変身中
【装備】乙女座のホロスコープススイッチ@仮面ライダーフォーゼ、立体機動装置一式
【道具】支給品一式、大量の不明支給品(内容確認済み)
【思考】基本:死にたくないのでオルゴ・デミーラに従う
1:ゾディアーツの力を使い、天魔王の手先として働く
2:天魔王の力があれば、ドラゴンも巨人も怖くない……!
※キラーマジンガを直接の指揮下においています、

【キラーマジンガ@DS版DQ7】
【状態】ダメージ(微小)、すれ違い通信によりレベルMAX状態
【装備】不明
【道具】無し
【思考】基本:オルゴ・デミーラに従う

【ヘルクラウダー@ドラクエ7 死亡確認】


 #

同時刻、東京の上空。
生き残った警察組である音無キルコはプテラの背で水木の応急処置を行っていた。しかし……

「ダメだ……傷が深すぎる。応急処置だけじゃアニキさんが持たない」
「まきょ~……」
「早く治療できるお医者さんと場所を見つけなければアニキさんが死んでしまう……」

水木のアニキを救うためには適切な治療ができる者の手が必要であった。さもなくば彼は命を落としてしまう。
しかし、医者のアテはなく、プテラは『ひんし』状態であり、体に鞭打ってかろうじて飛行している状態だ。
そう遠くへは――少なくとも危険地帯である東京都の外までは飛べない。
そうこうしている内に先に死んだ三人に続いてまた一人仲間を失ってしまうかもしれない事に、キルコは大いに焦っていた。

「まきょ!?」

――同時に激しい怒りもこみ上げ、キルコは今までにないくらいの殺意を込めて都庁を睨みつけた。
それは傍にいるまこちーが思わず竦むほどである。そして、都庁に向けて呪い言葉を呟いた。

「多くの人々を襲い、ジバンさんやウッチーさん、フェイ・イェンちゃんを殺し、アニキさんの命まで奪おうとする『都庁の魔物』! 絶対に許しません! ジバンさんのためにも一匹残らずやっつけてやります!!」

キルコは天魔王軍を都庁の軍勢の一派だと誤解している。
それもそのハズ、キルコには魔物と魔族を区別できるほど両種族のことを知らない人間の一人なのだ。
天魔王軍には人間の私兵はいたがミケは怪人に変身し、平山はデスマシーンに搭乗していたので人間がいたことを認識されていない。
都庁の魔物が機械文明を嫌う事も知らないのでマシンのモンスターがいたとしても彼女の中では違和感がなかった、
さらに、かつて天魔王軍が行った情報操作も手伝って、都庁軍は専守防衛しかしないことを知らず、今でも参加者を狩り続けていると思い込んでいる。
故に全く関係無い都庁の魔物に復讐心を向けてしまった。

「……だけど今は、アニキさんを助ける事が先です」

とはいえ、今すべきことを放棄してしまうほどキルコは怒りに飲まれてはいない。
報復に出たくともキルコ自身も手傷を負い、武器を無くし仲間を無くしと、今から都庁へ攻め入ったところで呆気なく返り討ちにあうのは目に見えている。
都庁に攻め込むのは仲間と武器を揃えるのが先だ。
何より今はデミーラから逃げおおせ、医者を見つけてアニキを救うことが先決である。

「お願い! 必ずあなたを治療できる人や場所を見つけますから、アニキさん、どうかそれまで持ってください……!」

ダメージで昏睡状態にある水木一郎はキルコの言葉に答えられない。
水木まで喪失するかもしれない不安がキルコの胸を刺していた。
それでも今はただ、ジバン達が残した希望を信じて飛び続けるしかないのだ。


【警察組 半壊】


【空蝉丸@獣電戦隊キョウリュウジャー 死亡確認】
【田村直人@機動刑事ジバン 死亡確認】

【音無キルコ@新米婦警キルコさん】
【状態】ダメージ(大)、疲労(大) 、強い悲しみと怒り
【装備】モンスターボール(プテラ/ひんし)
【道具】支給品一式
【思考】基本:主催を成敗して殺し合いを止める
0:今は都庁軍(オルゴ・デミーラ)から逃げ、アニキさんを治療できる場所と人を探す
1:都庁軍は必ず倒す、都庁軍と戦える仲間を探す
2:ジバンさんとウッチーさん、フェイ・イェンちゃんの仇は必ず取ります……!
3:はるかさん……!
4:ビックサイトのDMC狂信者も気になるが、危険な都庁の魔物を倒すのが先
5:主催者の本拠地を探す
6:ハル先輩達、無事かなぁ?
※オルゴ・デミーラ率いる天魔王軍を都庁軍の一派だと誤解しています
※ひんし状態のプテラでは東京都の外までいける距離を飛べません

【まこちー@ぷちます!】
【状態】ダメージ(中)、とても深い悲しみ
【装備】きあいのタスキ
【道具】支給品一式
【思考】基本:まきょー
1:キル子についていく
2:ウッチー、ジバンさん、緑色のロボットさん(フェイ・イェン)を悼んでいる
3:真とちひゃー、765プロ、はるかさんの面々の死に深い悲しみ
4:襲われたら全力で戦う

【水木一郎@現実】
【状態】ダメージ(極大)、とっても重症だゼーット!
【装備】赤いマフラー、マイク、ライオアタッシュ
【道具】支給品一式
【思考】基本:俺の歌で殺し合いを止めるゼーット!
0:昏睡状態
※スタンド『ザ・アニキング』を呼び出す事が可能です。
 アニキの歴代の持ち歌のヒーロー達をヴィジョンとして呼び出し能力を行使できます。
※早急に治療を受けないと死亡する恐れがあります

 #

天魔王軍が去りし後、瓦礫の中から一体の少女が現れた。
――死んだと思われたフェイ・イェンHDだ。

「ありがとう、タテガミライオー……」

実は彼女は意思を持つロボ、バディゾード・タテガミライオーの手によって核爆弾が直撃する寸前で脱出させられたのだ。
搭乗機の献身にフェイ・イェンは感謝を禁じ得なかった。

脱出直後にはビルの瓦礫に巻き込まれて下敷きになり、その際にロボットである彼女は衝撃とダメージで一時的な機能停止を起こし、死んだものと誤認されたまま瓦礫に埋まることで天魔王軍の攻撃を偶然やり過ごした。
そして、天魔王軍が警察組を敗走に追いやり、今後の方針を話し合っているところで再起動したため、瓦礫の下を会話を盗み聞くことに成功したのだ。

「それにしても、あの人達は都庁の魔物じゃない? それに情報操作ですって!?」

デミーラ自身が語ったキーワードからフェイ・イェンは事態を理解した。
都庁の魔物に罪を擦り付けて自分達警察組や他の参加者の目を欺いていた邪悪な勢力の存在に彼女は気づいたのだ。

「都庁の魔物が人々を無差別に襲っているという話もひょっとすると情報工作によるもの?!
なんてこと! 早く他の人達に天魔王軍の危険性を伝えないと……あぐッ!」

天魔王軍が見えなくなったのを見計らって、急ぎ他の参加者に真実を知らせようとするフェイ・イェンだったが、核爆弾の直撃は避けたとはいえ彼女自身もかなりのダメージを受けていた。
特に右腕は破損し、これでは武器のジェイド・フォーキー(ネギ)も握れない。

「このままじゃろくに戦えない。例え今から機動兵器のサイズになっても、天魔王軍にはまず勝てない……
早く修理部品を探さなくちゃ。特にどんなダメージも一瞬で修繕できるリペアキットが見つかればなお良いんだけど……」

天魔王軍の危険を他者に知らせる他に、自分を修復できる部品を彼女は探す必要があった。
付近をざっと捜索するも、この場には彼女を直せる部品は存在しなかった。
自分を守ってくれたタテガミライオーは核で隅々まで黒焦げになり、気持ち的にも物理的にもパーツを拝借することはできない。
その代わり、武器を見つけることはできた。

「これは空蝉丸さんの形見……お借りします」

つい先ほど亡くなった空蝉丸が持っていたガブリチェンジャー、ザンダーサンダー、破損を免れた獣電池を回収した。
彼女に扱えるか不明だが、間違ってもDMC狂信者などのマーダーの手に渡ると厄介な事になるだろうし、自分でなくともこの装備を使いこなせる対主催の参加者はいるかもしれないので回収することにした。
一方、死体は見つからなかったので、フェイ・イェンは水木・キルコ・まこちーの三人は無事に天魔王軍から逃げ切れたことを確信する。

(どうにも不安が拭えないですけど、アニキ達はきっと無事ですよね?
もう一度、あの素晴らしい人達に会うためにも今は生き延びなきゃ!
そしてジバン、ウッチー、どうか私達を見守っててください……)

死者に祈り、仲間の安全を祈りつつ、機械少女は一人東京をさすらうのだった……



【フェイ・イェンHD@スーパーロボット大戦UX】
【状態】ダメージ(大)、等身大、右腕破損
【装備】ジェイド・フォーキー
【道具】支給品一式、ドラムセット、獣電池(トバスピノ) 、ガブリチェンジャー、ザンダーサンダー 、獣電池(プテラゴードン×2)
【思考】基本:殺し合いを止める
0:どこかに自分を修理できるもの(リペアキットなど)はないでしょうか?
1:天魔王軍の悪行を他の参加者に伝えたい
2:アニキたちの身の安全が心配
3:アニキと共に自分の歌をみんなに届ける
4:死んだ『あの子』のためにも必ず殺し合いを終わらせる
5:SATSUGAIとか言ってる人達は必ず止める
6:東京都庁がなんか気になる
※アニキの持ち歌はほぼマスター済みです
※獣電池にブレイブインできるかは不明です
※キルコたちや天魔王軍に死んだものと誤解されています
※都庁軍を偽る天魔王軍の存在に気づきました
最終更新:2014年08月01日 10:51