誰かが言った………
己の命を、住むべき土地をかけて争いあう、醜い者達がいると………
混沌から生まれし一つの存在によって『救済』されなければならない愚か者達がいると………
世は混沌(グルメ)時代………
未知なる餌を求めて、救済すべき時代………
※↑あくまでとある人物の主観による考えです。
「もうだめだぁ……おしまいだぁ……あんなの……勝てる訳がないよぉ………」
「く……そぉ……バケモンか……あの女は……ガハッ!!」
「お前らしっかりしろ……それでも息巻いて……『食人鬼倒そうZE☆』って言ってた奴らか?」
「お……俺にもよくわからないんだ……強力の神にそそのかされて無理矢理参加させられたんだ……」
「……ビッグボディ乙」
場所は埼玉と東京の県境周辺、荒川の土手。
そこは今や
地獄絵図と化していた。
まあ元より今は殺し合いの最中、地獄絵図はどこも同じであろう。
東京は都庁の世界樹に巣くう魔物達のせいでパニック状態(
天魔王軍の情報操作のせいでもあるが)。
大阪は拳王連合軍の上陸と略奪で阿鼻叫喚状態(これはやりたい放題のツケ、自業自得)。
だがこの二つは迂闊に手さえ出さなければ理不尽に殺される事は基本ない。
問題はこの場所、(便宜上)埼玉である。
忘れた訳ではあるまい。
この場所に今、『何』が練り歩いているかを。
「アハハハ……私は今嬉しいぞ、実に嬉しい。こんなにも多くの者達が私に『救済』される為に集まってくれるとは
なぁ……歯応えこそなかったが、皆私の力になってくれるだろう。感謝するぞ? アハハハハ……」
禍々しい漆黒の武装に身を包み、周囲に黒い霧を纏う銀髪の少女。
風鳴翼……否、テラカオス・ディーヴァ。
主催者達の目論見により生まれたこの混沌の存在は、不気味に笑いながら周囲に散らばる者達に語りかける。
数時間前の定時放送で風鳴翼の討伐依頼は全国に伝えられた。
だが勘のいい者、知恵の周る者は先のバーダックの戦闘力を思い出し『なぜ彼が戦わないのか』とその依頼を不審に
思い、彼女に近づこうともしなかった。
中には
都庁の軍勢や狸娘組などのように彼女の内なる危険性を察知した者達もいる。
だが世の中はそういった人物ばかりで構成されてはいない。
血の気の多い者、報酬に目が眩んだ者、正義感に燃える者、⑨な者。
そんな参加者達は皆こぞって彼女を討伐しに埼玉に駆けだしたのだった。
その結果が現在の惨状。
荒川の土手は血反吐を吐き、四肢をもがれ、己の無力さを嘆き、絶望する者達で溢れていた。
決して弱くない者もいたであろうに、なぜここまでの状況と化したのか?
原因はいくつかある。
一つに、
テラカオスと化した彼女に関する情報が参加者間で不足していた事がある。
強力な再生能力、捕食による全属性攻撃への耐性、電撃・振動操作、近接格闘術、分裂と巨大化、怪力。
既にこれだけの能力を備えており、さらに埼玉県庁周辺のモブ参加者をまとめて食い荒らした事による身体能力の
強化によって、彼女の力は通常の参加者のそれをぶっちぎりで上回ってしまっている。
しかも覚醒間もない時間に彼女に襲われた者は情報をテラカオスちゃんねるに書き込む前に捕食されてしまったため、
実質テラカオス・ディーヴァはほぼ謎の存在も同然だったのである。
そしてもう一つ。
参加者達の統制が取れていなかった事もある。
魅力的すぎる報酬に目が眩んだ者達と、食人鬼から純粋に人々を守ろうとする者では、決定的に認識にズレが生じている。
皆が我先に「俺が倒す」「いやいや俺が」と飛びかかり、チームワークも何もない人海戦術が自動的に組みあがった事で
全員がほぼ烏合の衆と化し、結果として片っ端からテラカオスの攻撃で返り討ちにされてしまったのだ。
まさに彼らは東京都庁を数の暴力で攻め落とそうとしたDMC狂信者達と同じ失態を犯してしまったも同じだった。
「―――――さて」
「「「ひぃっ!?」」」
ひとしきり笑い終えた後、テラカオスはそこらじゅうに転がる参加者達に目を向け直す。
その一目でわかるギラついた視線を受け、全員が恐怖に駆られ身震いした。
これから何が起こるのか察したが故に。
無論逃げようとした者もいたが、大ダメージを受け、中には足をもがれた者もいたため皆身体が言う事を聞かない。
既に結末は見えていた。
「この世のすべての救済者(しょくざい)に感謝をこめて――――――い た だ き ま す」
食事は一瞬だった。
テラカオスの持つ停止時間でも1秒ずつ動ける能力を駆使した擬似的な高速移動により、周囲にいた参加者達は
皆、肉片も残さずこの世から姿を消した。
断末魔の悲鳴も、命乞いをする事も許される事無く。
【リグル・ナイトバグ@東方Project 捕食】
【ゼブラ@トリコ 捕食】
【城茂@仮面ライダーストロンガー 捕食】
【ダルメシマン@キン肉マン 捕食】
【ヒッポリト星人地獄のジャタール@ウルトラゼロファイト 捕食】
【その他参加者数十名 捕食】
「ごちそうさまでした」
行儀よく手を合わせ、テラカオスは一礼してつぶやく。
そこだけ見ればマナーの良い女性だが、やっている行為が行為なのでとても褒められたものではない。
「アハハ……とても気分がいいな……これだけの者達が私の腹の中でもはや争う事も無く平和に過ごせるんだ。
こんなに嬉しい事はない……むっ?」
実に幸せな表情を浮かべていたテラカオスだったが、その表情はすぐに真面目な顔に戻る。
彼女は『未だ救済していない者(たべのこし)』を見つけたのだ。
周囲には血だまりがあるばかりで残った参加者の姿は見えない。
だが彼女は気付いていた。
つい先ほど捕食した完璧超人ダルメシマンの持つ人間の一京倍の嗅覚を手に入れた事で、この周囲に隠れ潜んでいる
であろう参加者の匂いを瞬時に嗅ぎ取ったのである。
「やれやれ……理解に苦しむ者達だ。私の救済を受け入れる気がないとは、わけがわからないぞ?」
どこぞの悪徳契約生物
みたいな台詞を言いつつ、テラカオスは誰もいない土手の向こうへと振り返る。
そして軽く息を吸ったかと思うと―――――
「ボイスミサイル!」
テラカオスの口から発せられた巨大な音の塊が、無慈悲に前方の地形をえぐり取った。
これも先ほど捕食したゼブラの音を操る能力の一つである。
やがて濛々と上がる煙の向こう側から姿を現したのは―――――
「あ、あわわ……」
「に、逃げるんだぁ……」
「た、助けてくれぇ!」
「死にたくない、死にたくないぃぃぃぃぃ!!」
隠れ潜んでいた十数名の別の参加者達だった。
彼らもまた風鳴翼を討伐に来た集団だったが、先程の第1集団が戦っている最中も彼女が弱ってから出ていくべきだと
考える者や、
様子見に徹する者が寄り集まって出来た集団となっていた。
簡単に言うといざ現場に来て尻込みした連中である。
「お前達なぜ逃げる? こんな殺し合いで血を流すよりも、争いのない私の中にいた方がずっと幸せなのだぞ?」
「ハァ!? 何言ってんだこの女!?」
「イカレてやがる! クレイジーだ!」
「お前それサバンナでも同じこと言えんの?」
「畜生主催の野郎、こんなふざけたバケモノの始末押しつけやがって! ぶっ殺してや――――」
「エレクトロファイヤー!」
参加者の怒声が飛び交う中、掛け声と共にテラカオスが地面に手刀を叩き付ける。
地面を流れてゆく高圧電流。
その瞬間、彼らは電撃に焼き尽くされ、終わった時には周囲に黒焦げの死体の山が築かれていた。
またも皆、悲鳴を上げる暇すらなかった。
「無礼な奴らだ……私がバケモノ? 違うな、私は救世主(メシア)だ!」
どこかの超サイヤ人のような台詞をのたまいつつ、テラカオスは改めて周囲を見渡す。
まだ救済していない者(たべのこし)はないだろうか。
「エコロケーション反響マップ!」
テラカオスの口から発せられた超音波により、周囲数10kmの地形や生物の位置が特定されていく。
1京倍の嗅覚も合わせて念入りに調べた。
「……むぅ。どうやらこのあたりにいる者達はだいたい食べ尽くしたようだ。場所を移した方がよさそうだ。
できるだけ救済できる者が多い場所がいいが……」
次なる捕食の対象を探すべくテラカオスは思案を始める。
かつて覚醒前に素体となった風鳴翼に強大な手傷を負わせた都庁の連中への
リベンジも視野に入れると、万全を期すため
より強大な力を取り込む必要がある。
その辺にいる有象無象の連中を食べた所でこれ以上の強化はあまり見込めない。
無論すべての参加者を捕食という名の救済で救う事はもちろんだが、まずはメインとなる料理を食してからだ。
ゴロツキという名の間食は後からで構わない。
「……そうだ、確かネットに強者の情報が書かれているらしいな。参考になるかもしれん。どれ……」
捕食した者の記憶から人間達が使っているカオスロワちゃんねるの存在を思い出したテラカオスは、戦闘中に
誰かが落としたらしいスマホを見つけると手に取り、慣れた手つきで操作していった。
強い力を持った者を調べると、出てきた情報は3つ。
一つは自分もよく知っている都庁の軍勢。
もう一つは全国各地で猛威を振るっているDMC狂信者達。
そして最後に―――――
「拳王連合軍、か。大地を焦土にし、刃向う者は皆殺し……実に愚かで強い力を持った連中だ。アハハ……だが、
だからこそ私が救済せねばならないな。こんな理不尽で、混沌(カオス)な者達は!!」
一連の拳王連合軍への書き込みに目を通し、ニヤリと笑いながらつぶやくテラカオス。
確かに都庁の魔物達や、バラエティに富んだ面々を抱えるDMC狂信者達も魅力的だ。
だがテラカオスはあえて拳王連合を選んだ。
自身が混沌(カオス)の化身であるがゆえに、理不尽級にしてカオスな彼らに自然に惹かれたのだ。
彼女自身も自覚しないままに。
「だが、どうやら彼らは今大阪にいるらしい……私が救済する前に別の場所に行かれては面倒だな」
ネット情報によると彼らの現在地は大阪だと書かれていたが、彼らとていつまでもその場にはいない。
食料調達という用が済めば移動を始めるだろう。
彼女自身は飛行や擬似高速移動は可能だが、できる事なら道中に他の者達を救済しながら向かいたかった。
途中で思わぬ高級食材(つわもの)も見つかるかもしれないからだ。
まるで買い食いしながら旅行でもするかのような感覚である。
「おおそうだ……閃いたぞ」
そう言うとテラカオスはおもむろにスマホを操作し、何かをカオスロワちゃんねるに書き込んでいった。
そして数分後。
666:混沌の歌姫
この掲示板を見ているか、拳王連合軍。
私はカザナリツバサ。
お前達も放送で名前は知っているであろう。
私は今、この殺し合いの全ての参加者達を『救済』すべく活動している。
未だに愚かしい殺し合いを続ける人々を、争いも差別もない楽園へと導くために。
だが悲しい事に、私の救済を何故か拒む者も数多い。
そういった者達は私の前から逃げ隠れ、姿を眩ませ、無駄な抵抗を続ける。
故に私は彼らを何としても救うために更なる力を欲している。
簡単に言うとお前たちの力が必要なのだ。
私の力になってくれればお前達も楽園へと導かれる事となり、世界を救済する手助けをする事にもなる。
これは実に名誉な事だ。
私は今からお前達のいる大阪へと向かおうと思うが、動かずに待っていてくれたまえ。
お前達を一人残らず―――――スクってみせるからな。
「これでいい。これで例え彼らが動き出したとしてもいずれ私を探し出すだろう。ああ楽しみだ、拳王連合軍。
早く彼らもスクってあげたいな……アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
書き込みを終え、テラカオスは高らかに笑い出した。
ちなみにさっき黒焦げにした参加者達も書き込んでいる間に捕食済みである。
おそらく拳王軍もこの書き込みを見れば自分を攻撃対象とするだろう。
そして彼らが近づいてきた時が、救済のチャンスだ。
というか例え書き込みが理解できなくとも「言葉の意味はよくわからんがとにかくすごい自信だ!」と判断されて
結果的に攻撃してくるかもしれない(これは流石に彼女も考えていなかったが)。
「さて下ごしらえは済んだ。早速向かうか……むっ、これは……」
拳王軍の元へ向かうべく意気揚々と歩き出した彼女は、転がっていたディパックのひとつから飛び出していた支給品の
ひとつに気付き足を止める。
何やらワニのような形をした巨大なそれは、何故か猛烈に彼女の琴線に触れた。
「これは実にいい乗り物だな! すべてを食らいスクう私によく似合う! 貰っていこう!」
そう言って彼女は横転していたそれを怪力で起こし、コックピットに乗り込むと操縦席(何故かバイク)に座り
アクセルを吹かした。
その瞬間、その乗り物―――電車―――の周囲を黒い霧が包み、カラーリングを漆黒へと染め上げた。
増大したテラカオスの力に取り込まれた証拠である。
自動で線路が地面に生成され、車体が動き出す。
「アハハ……実に気分がいいぞ。この気持ちを是非とも歌にしたいな……よし、歌おう。歌姫(ディーヴァ)を
名乗るならば歌をないがしろにしてはいかんな!」
同じ腹 収まる仲間
同じ世界 住まう仲間
お前らとなら
暴食 My Way!!
私達の 力合わせ
ぶつけたら 無敵だな
さぁ、見せてやろう
強き者は 命をくれる
だからすべてに 感謝して
い た だ き ま す !!
負けられぬ!! 止まらん!!
救済(ソレ)は譲れない
勝ち取るんだ!! Shock! Shock! 食King!!
テラカオス!! 無限大!!
この能力で貫け
暴食 My Way!!
楽園(テーブル)を囲むのだ
私達は 混沌(あした)の為に
Bo! Bo! 食!!
荒川周辺から、そんな物騒な歌を垂れ流しながら走る列車を見た。
そんな書き込みがしばらくしてカオスロワちゃんねるに書かれたという。
混沌の歌姫は、一路西へと向かった。
【
二日目・7時30分/日本・東京と埼玉の県境周辺】
【テラカオス・ディーヴァ@テラカオスバトルロワイアル十周目】
【状態】損傷なし、首輪解除、厨二病全開、火水土風木電聖闇耐性(強)、嗅覚と聴覚強化、ガオウライナーを操縦中
【装備】シンフォギア・天羽々斬?(異常に禍々しく変化)@戦姫絶唱シンフォギア?、ガオウライナーキバ@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式 、スマホ
【思考】基本:世界をカオスにする
1:世界から全ての者を救い尽くす(喰い尽くす)
2:大阪へ向かい、拳王連合軍を救う(喰らう)
3:何故皆救済を拒む? まるで意味が分からんぞ?
※風鳴翼・佐村ガウスフレミング02・天海春香・はるかさんの能力を継承しました
※テラカオスとしては未完成のため、テラカオスバトルロワイアル十周目の死者の能力は現在使用不能、進化すれば使えるようになるかもしれません
※風鳴翼の容姿や人格を色濃く受け継いでいます、ただし、進化するにつれて失われる可能性があります
※ダルメシマンの人間の1京倍の嗅覚、ゼブラの聴覚と音操作能力を特に強く継承しました
※レストの手により下げられたステータスは時間経過と捕食ですべて回復しました
最終更新:2014年11月03日 04:12