潮騒の香る、ここは神奈川県の横浜港。
その港には拳王連合軍の船舶が停泊しており、一部を除いた全員が港の倉庫の中で超短期強化合宿中である。
強化合宿を受けられない(受けない)熱斗・ムネリン・プニキは倉庫からほど近い場所で停泊している煉獄もしくは高速艇の上で見張りについていた。
熱斗はさっき腹を下して少し離れた場所にある仮説便所に駆け込み、必然的に見張りはムネリンとプニキである。
「
イチローさんイチローさん……ハァハァ」
「ハチミツうめえ」
……ホワイトベース戦で全く見張りの仕事をしなかったこいつらに、また見張りを頼むムギちゃんのセンスはどうかと思うが、たぶんいないよりはマシだったのだろう。
とはいえ、関東のどこかにいるイチローへのラブを振りまくムネリンとハチミツを食べ続けるプニキであったが、今回は少し違った。
「イチローさ……ハッ!?」
「殺気!?」
唐突にどこからか自分たちに向けられる殺意を感じ、すぐさま迎撃耐性に入る。
現在、煉獄にはシャドーマンやデューオのAIが入ってないので迎撃のための砲台は動かないが、問題ない。
煉獄の砲台よりはメジャーリーガー宗則の投球の方が威力があり、かつ高精度だからだ。
ついでに言えばプニキのバッティング力はあらゆる攻撃を跳ね返すことができる。
生きた砲台であるムネリンと、バリア役のプニキはさっそく敵を探す。
「…………上だ!!!」
「見つけたぜええええ!拳王連合ぐうううん!!!」
真っ黒い殺意を抱き、輝く太陽を背に煉獄に向かって急降下してくる飛龍・リオレウス。
リオレウスは妻の仇を見つけた怒りと喜びによる狂気の咆哮を上げた。
とにもかくにも勧告をするまでもなく向けられた殺気から相手は敵であると察したムネリンは構えを取る。
「空からの急襲のつもりですか……だけど、僕にはイチローさん譲りのレーザービームがある!!
空にいるのはむしろ好都合。民間人の犠牲を考えずにコレを放つことができる!」
イチローには劣るものの、ムネリンもレーザービーム投球の使い手だ。
ちょっと早く硬いだけの飛龍など撃墜は容易い。
普段は威力過多で味方や民間人まで巻き込んでしまうので封印しているが、敵は空にいるので被害を気にすることなく使うことができた。
そして、光速となった野球ボールがレーザービームと化してリオレウスに命中、蒸発させる――
――そのハズだった。
光速のレーザービームをリオレウスは回避したのだ。
「おい、どうした? 外してるぞ!?」
「太陽で目が……それに足場も……」
リオレウスの背後には人間が直視するには厳しい太陽。
さらに足場は波に揺れる高速艇。
視覚へのダメージと足場の不安定さなどの複合的な要因により渾身のレーザービームを外してしまったのだ。
その決定的な隙を見逃さずに射程内に入り次第火炎を吐きつけようとするリオレウス。
「来る! だったら俺のバッティングで……!」
ベキッ ベキベキッ!!
「なにィ!?」
「船が!」
プニキはリオレウスの火炎をバッティングで迎え撃とうとするが、ここで不運が起きる。
元々時間の不足で一回の航行しか耐えられない高速艇の耐久性に限界が生じており、さらに多大な威力を誇るムネリンのレーザービームの足場になったことがトドメになり、船にヒビが入ったことで浸水、そして一気に転覆して二人が海に投げ出されてしまう。
その直後に転覆した高速艇と煉獄に火炎が直撃。
まともな船員やネットナビがサポートAIについてないことでダメコンもクソもない船の耐久性はスペック以上に脆くなり、燃料や火薬に引火して爆発を起こし、高速艇と戦艦は轟沈した。
拳王連合軍の船舶を一度に二つ片付けたリオレウスだが、それで満足せず、むしろ不満すらあった。
「太陽を背にした完璧な奇襲とはいえ簡単すぎるぜ……あの二匹以外は乗ってなかったと見るべきだな」
もともと数撃で船舶を片付けられないとは思っていただけに、あまりにも呆気なさ過ぎた。
迎撃に出たのはたった二人であり、砲台も動いてなかった。
となると、拳王連合軍は船を乗り捨てていた途中か多くの人員が港への略奪に走ってるとリオレウスは考える。
「こんなに簡単に全滅されては俺の腹の虫が収まらねえ!
まだ港にはいるハズだ……見つけ次第、毒ガスをバラ撒いて苦しみのたうち回るところを見てやる!」
高速艇と煉獄には拳王連合軍の面子はほぼ乗っていなかったと見て、港を探すリオレウス。
見つけ次第、毒ガス入り大タル爆弾を叩きつけてやるつもりだ。
もちろんそれは拳王連合軍とは関係ない参加者を巻き込む外道の所業だとはわかっているが、復讐に狂っているリオレウスに後先など考えられない。
そもそも汚名を被ることは承知の上、拳王連合軍に一矢報いた後は死んでもいい覚悟できたのだから。
「殺してやるぞ、拳王連合軍。どこだ!?」
妻の仇を血眼になって探すリオレウス。
仇は向こうの方から居場所を示してくれた。
「何やら外が騒がしいようですが、一体何が……」
ある倉庫のドアから金髪太眉の女子高生――
琴吹紬が顔を出した。
その背後には複数人の気配を感じる。
リオレウスはようやく見つけた仇たちの姿を見てニヤリと笑って空から爆弾を落とした。
「ムギちゃん下がれ! とてつもない殺気を感じる」
「え?」
強い敵意を感じたラオウはすぐさま倉庫の外に出た紬に注意を促すが、一歩遅く――
彼女の頭上から大きな樽が落下してグシャリと潰し、直後に樽から膨大な毒ガスが倉庫内外に充満した。
倉庫の中から男女様々な悲鳴が聞こえたのを見て、リオレウスは狂喜をあげる!
「やったぜえええ!! ざまあみやがれ拳王連合軍!!」
毒ガスは更に港の外にまで広がり、隠れていたモブ参加者までも襲いかかろうとしている。
「おおっと喜んでばかりもいられねえ……まだ隠れている拳王連合軍のクソどもはいるかもしれないし、アイツラまで被害を受けるかもしれねえ。
……ドラゴンネットワーク!!」
リオレウスはここでSNSにでも投稿するノリでドラゴンネットワークに拳王連合軍がいる港に向けて毒ガスを放ったことを自慢げに投稿する。
ただし、内容に少しの嘘を織り交ぜて。
都庁の一魔物であるこのリオレウス様が、拳王連合軍がいる港に毒ガスをお見舞いしてやったぜ!
拳王連合軍を殺すためとはいえ、周辺の被害を無視して毒ガスをバラまく行為は外道中の外道。
だがリオレウスはイチリュウチームもとい、仲間の名誉を守るために自分を都庁に居座る魔物であると出身を偽った。
リオレウスは他の
ドラゴンズのドラゴンと違ってグンマー出身なので違和感はない。
世間の視点では都庁軍は最悪のマーダー集団の一つであり、罪を被せても問題はない。
都庁と自分だけに罪を被せることでイチリュウチームの名誉と将来を守るつもりなのだ。
「これで良い……あいつらは俺の復讐に何も関係ないんだ。
死ぬのも唾を吐かれるのも俺だけで十分さ」
それはリオレウスなりの優しさのつもりであった。
「彩斗兄さん、翔鶴さん……みんな!?」
ふと、背後から声が聞こえて振り向くとバンダナと頭に巻きつけた小学生――光熱斗がいた。
熱斗のみデカオの弁当で腹を下して船舶や倉庫から離れている仮説便所に駆け込んだこと、そして便所の位置が風上にあったことで毒ガスによる被害を受けなかったのだ。
熱斗と言えば拳王連合軍の要……復讐のためにも逃がすわけにはいかない。
リオレウスは呆然とする熱斗の前に降り立ち、殺意の咆哮を上げた。
遅れて神奈川県の沖上空にたどり着いたナッパと焔龍號に乗るサラは横浜港の惨状を遠目で見ていた。
拳王連合軍の船舶が轟沈している……のはまだ良い。
むしろ最悪の連中の兵器をリオレウスの健闘で破壊されたのは喜ばしい事態だ。
ところが横浜港の大半を覆いかけている毒々しいガスの色が、ナッパとサラを大いに焦らせる。
「遅かった……俺たちは間に合わなかったのか……」
リオレウスをとうとう止められなかった。
毒ガスは拳王連合軍のみならず、モブ参加者をも襲うだろう。
そんな受け入れがたい事実にナッパは肩を落とした。
「……ああなっては仕方ありません。ディスコードフェイザーの準備をします」
せめて毒ガスがこれ以上広がらないようにガスを港ごと消し飛ばそうとするサラ。
使えば拳王連合軍はおろか港もなくなり、リオレウスさえ巻き込んでしまうかもしない。
しかしサラとナッパの持つ対処法の中で最も参加者に被害が及ばない方法はそれしかなかった。
焔龍號の肩が変形し、サラが永久語りを歌いながら準備を整える……
「こいつ、よくもみんなを!!」
『リオレイアを殺ったてめえらが吠えてんじゃねえええ!!!』
「クソッ……」
倉庫そのものや配置されたコンテナを掻い潜るようにリオレウスから必死に逃げ惑う熱斗。
嵐のように障害物を破壊しながら熱斗を追いかけるリオレウス。
さながら死の追いかけっこであった。
ちなみに熱斗に魔力がないのでリオレウスの怒声はただの咆哮にしか聞こえない。
熱斗からしてみればリオレウスの怒る理由がわからず、理不尽に兄たちを毒ガスに晒した悪の竜にしか見えないのだ。
「ガンデルソル3!!」
『効かんわ!』
「ネオバリアブル!!」
『だからどうした!』
熱斗もただ逃げるだけではなくディパックの中からガンデルソル3(実物)ネオバリアブル(実物) を使用するがほとんど効果がない。
というのもPETがないために元通りの威力が出せないのだ。
「ダメだ……彩斗兄さんがいないと威力がまるで……うわあ!!」
いくら世界一のネットバトラーとはいえ、ネットナビがいないとここまで弱くなる……その事に熱斗が嘆く暇もなく飛竜の尻尾の一薙によってガンデルソルとネオバリアブルは破壊され、余波で熱斗は壁に叩きつけられた。
「痛っえぇ……」
『追い詰めだぞ。死ね死ね死ねシネシネシネしねェーーー!!!』
「ここまでなのかよ!」
壁際に追い詰められた熱斗は死を覚悟する。
兄妹や仲間の安否もわからず、死んだ父の想いを遂げられないまま、死ぬのは悔しかった。
瞬間、手のひらに乗るサイズの小型戦闘機がリオレウスに向けて機銃を放って流血させ、熱斗への攻撃を中断させた。
『がああああああああああ!!』
「あの戦闘機は!」
小型戦闘機は紫電改二。
紫電が飛んできた方向を見ると、そこには弓を構える翔鶴がいた。
「兄さん! 翔鶴さん! 無事だったんだね!!」
『熱斗! 間に合って良かった……』
「ダイジョーブ博士の装置で強化された私の力はいかがですか?」
翔鶴と彼女の持っているPETの中にはロックマンの顔があった。
『クソっ、まだ生き残りがいやがったか。だが、俺はまだ倒れちゃ……』
『「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」』
『が!?』
血を吐きつつもまだ戦意の衰えていないリオレウスの顔面に、やかましい男の拳がめり込む。
「ディおじさん! ……その格好は」
『「ディおじさんではない! もはやクロスフュージョンはおまえたちやジョジョの専売特許ではない。
この俺もザ・ワールド・デューオーバーヘブンとして新生したのだ!!」』
「ザ・ワールド・デューオーバーヘブン……長っ!」
ディオの今の姿はデューオと融合したことでアイズオブヘブン(PS4ジョジョ
ゲーム)に登場する天国
DIOをベースにデューオのような鈍色の鎧を纏った神々しい姿をしていた。
さらに熱斗を喜ばせる事態が起きる。
ディオに続くように次々と仲間が現れたのだ。
『「ドーモ、ドラゴン=サン、イマジンスレイヤーです」』
「この拳王の配下たる貴様がこの程度で死ぬとは思っていなかったが、無事のようだな」
「後は任せろ」
「その竜をギッタギタに殺してやんよ」
「俺のブラックホール打ちを見せてやる」
「なんだドラゴンか……セイバーじゃないとやる気でませんね」
「ジョジョ! シャドーマン! ラおじさん! 平等院おじさん! MEIKOおばさん! クロえもん! ついでにアルトリアなんドラゴンさん!」
ゾロゾロと現れる仲間に熱斗は喜び、さらに三人が遅れて現れた。
「全く……あなたたち二人は本当に何をやってたんですかね……プンスカ」
「本当に面目ないです……」
「そんなことより最高級ハチミツ入れてたツボが潮に浸かっちまったんだけど……」
高速艇が転覆した結果、海に落ちてびしょ濡れになったムネリンとプニキ。
しかし海に落ちたことが逆に幸運になり、海上の煉獄の爆炎に巻き込まれることもなかったのだ。
そんな二人に見張りをまともにこなせなかった二人を叱りつける紬。
『な……こんなに生き残っていやがったのか!?
いや、沢庵眉毛が潰れるところはさっき見たぞ!?』
殺したと思っていた拳王連合軍の面子が大半生き残っており、特に樽で潰して殺したハズの紬が生きていたことにはリオレウスは大きく焦った。
『よく見ると毒ガスが晴れてやがる!? どういうことだ』
いつの間にか横浜港を覆いかけていた毒ガスが綺麗さっぱりなくなっていたことにも、リオレウスの焦りを大きく加速させていた。
「……あれ?ダイアーさんは?」
ここで熱斗は波紋戦士であるダイアーだけいないことに熱斗が気づく。
熱斗の質問にイマジンスレイヤーこと上条は首を横に振った。
「……まさか!?」
『「彼の犠牲のおかげでみんな助かったんだ。俺たちも、この横浜もな……!」』
嫌な予感を感じて涙目になる熱斗の肩に、ディオは同じく涙目になりながら手を置いて語った。
リオレウスが毒ガス入り大樽爆弾を投下した直後に、ディオはデューオとクロスフュージョンした。
時を止めるスタンド、ザ・ワールドの力を使って紬が樽に押しつぶされる寸前に救い出す。
その際に潰れたのは彼女が持っていた愛用のキーボードだった。
しかし倉庫の入口から出てくる毒ガスの流入は止め用がなかった。
脱出自体は倉庫の壁を破壊すれば可能だったが、まだ翔鶴が強化装置を使っている最中であり、装置から動けない彼女を見捨てることになる。
このロワの設定上では機械なんだから毒は効かないだろというツッコミが来そうだが、
天魔王軍のエビルエスタークも毒が弱点だったし、機械だから大丈夫とは限らない。
翔鶴を装置から無理やり引きずり出したり、装置ごと動かすことも考えたが、その際にどのような弊害が起きるかもわからなかった。
そうでなくとも毒ガスにより横浜港周囲の民間人にも被害が出る……どうすれば対処できるのか悩んでいた時、一人の男が命を捨てる覚悟で前に出た。
ダイアーは横浜港を汚染する毒ガスを吸って吸って吸いまくった。
常人の肺ならば吸いきれる量ではないガスだったが、波紋使いの極意は呼吸。
修行の段階で1秒間に10回の呼吸と10分間息をすいつづけて10分間はきつづけられる波紋使いならば回収しきれる量であった。
……だが波紋戦士とて不死身ではない。
代償として致死性の毒をその身に全て受ける事になる。
ディオら仲間が止めようとするがダイアーは聞く耳持たず、仲間や民間人を守るために吸い続けた。
そして、横浜港から毒ガスはなくなった……
体内から毒で溶けかけたダイアーはとうとう倒れるが、それを看取ったのはディオであった。
「ダイアーさん!」
「ディオ……他のみんなは…無事、か?」
「あんた以外はな……」
「それは良かった……ディオ、私が死ぬ前におまえに言いたいことがある……」
「――なに?それは本当なのか?」
ダイアーに死ぬ寸前に教えられたことはディオは近い将来、石仮面を被って吸血鬼となり多くの人々に災いを及ぼすというものだった。
ディオがこの世界に招かれた時間軸は吸血鬼化するより前らしいが、もし邪悪であったら抹殺するつもりであった。
実際、出会って見れば、やはり悪人には違いなかった。
ただし、邪悪では決してなかった。
ネットナビにハマり、熱斗ら多くの友人がついていた。
単に上辺だけの付き合いならあそこまで楽しそうにはできないはずだ。
ディオは生まれ持っての悪人には違いないが未来でプッチ神父を友としたように、「友情」を育むことはできるのだ。
本来ならば吐き気を催す邪悪になっていた精神が、友との巡り合わせによって変わりかけていたのをダイアーは確信。
そこでダイアーは思った、善き方面に変わりかけているディオを殺すことは決して勇気ではないと。
ディオの友となり、彼の未来を変えることこそが真の勇気であると。
ダイアーは彼の友になり、邪悪の道にだけは走らせないようにしていた。
せめて悪事を働くにしろ、吸血鬼ではなく人間として誰かのための悪党であって欲しいと。
「そういうことだったのか……」
「本当ならば……殺し合いが終わるまで見届けたかったが……私にはそれができそうにない……ゴフッ、ゴフッ!!」
「もう喋るなダイアーさん」
血反吐を吐きながらもダイアーは話を続ける。
ディオの目には演技では決してない涙が流れていた……
「最後、に、一言……言わせてくれ」
「ディオ……おまえとの野球楽しかっ――」
偉大なる波紋戦士は、友に笑顔を向けて逝くのだった……
【ダイアー@ジョジョの奇妙な冒険 死亡確認】
「ダイアーさん……!」
ディオから話されたダイアーの献身と死には熱斗も涙を禁じ得なかった。
「私も……あのお方がいなければ今頃……」
『あの人にはいくら感謝しても感謝したりないぐらいさ……』
翔鶴もまた涙をこぼす。
ダイアーが命を投げ出さなければ確実に死んでいたのだから。
ロックマンにとっても妹の恩人として、きっと忘れられない存在になっているであろう。
「さて……このクソドラゴンをどう料理してやるか」
「ダイアーを殺した罪、死んで贖ってもらうぞ」
『ク、クソッ、話からして殺せたのはたった一人かよ……!』
リオレウスは大いに焦る。
彼は拳王連合軍の面子に包囲されていた。
死ぬ気の吶喊だったとはいえ、このままでは集中砲火でなぶり殺しである。
せめて主力をあと一人殺せれば御の字なのだが、リオレウスの実力ではいくらなんでも厳しい。
『「待て、ラオウ、MEIKO。ここは俺にやらせてくれ」』
「ディオ」
今にもリオレウスに飛びかかろうとした仲間を抑えて一人前に出たディオ。
その眼には明確な怒りを宿していた。
『なんだ?一人で俺を殺せるつもりなのか?……舐めやがってぇ!!!』
『「吠えるなトカゲ。おまえは俺が殺さないと気がすまん」』
リオレウスは死なばもろともと言わんばかりに、ディオに突撃を仕掛ける。
対するディオは焦る様子もなく、スタンドを出し、唱えるのだった。
『「ザ・ワールド・デューオーバーヘブン」』
瞬間、ディオ以外の時は止まる。
『「ザ・ワールドでも時間を止められるのは五秒そこらが限界だった……だがメジャーリーガー級の肉体と強化されたデューオの力が合わさると、最大でどれだけ止められると思う?」』
キッと、ディオの瞳に漆黒の殺意が宿る。
『「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――」』
そしてリオレウスに浴びせられるガトリングのような拳の嵐。
時を止められる故にリオレウスには避ける術はない。
『「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――」』
9秒経過……時間停止はまだ終わらない。
『「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――」』
30秒経過。リオレウスが受けた拳の回数は500を越えた。
『「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無…無駄ァアアアアア!!」』
ラッシュの回数が1000回を越え、ようやく時間停止は終わる。
1000連発もの無駄無駄ラッシュ、そして驚くべき時を止める時間は――
『「―― 一分だ」』
『ヤッダーバァアァァァァアアアアア』
ザ・ワールドが解けた瞬間、リオレウスの鱗という鱗がべこべこになって血を噴き出し、翼や足や尻尾が千切とんだ。
『い、いったい何が……?!』
知覚できない瀕死のリオレウスには停止した時間の中で1000発も攻撃を喰らったなどとはわかるまい。
「トドメは時を止めずに貴様の首を直接……ぐう!?」
『無茶だディオ!流石に一分の時間停止は体に負担がかかりすぎる』
今度こそトドメだ、時間を止めないことでダイアーの受けた苦痛を倍返しで味わせてやるという時に、ディオは膝をついて転倒し、融合が解けてしまう。
驚異的な時間停止能力を持つザ・ワールド・デューオーバーヘブンだが、流石に何の代価もなく一分も時間を止められるわけではない。
5秒代の頃とは比べ物にならない疲労がディオの体に襲いかかるのだ。
二回連続で使えば確実に過労死するほどの諸刃の剣。
それはメジャーリーガー級の肉体を手に入れた後でも関係なく、むしろ強化装置で肉体をパワーアップしてなかったら時間停止中に自滅するほどの超疲労であった。
「ぜえぜえ、ダイアーさんの仇を友である俺が討たねば……」
「気持ちはわかりますけど」
『後は僕らに任せるんだディオ』
一時的に動けなくなったディオの代わりに、翔鶴がリオレウスの前に躍り出る。
彼女にもダイアーの仇を取りたい気持ちがあった。
「ダイアーさんは提督のご友人にして私の命の恩人。
本当に素晴らしい人でした……そんな素晴らしい人を奪ったあなたを私は許せません!」
リオレウスの眉間に矢が向けられる。
その一撃は間違いなくリオレウスの命を奪うだろう。
クンッ
翔鶴が弓を引きかけた瞬間。
拳王連合軍のいた地面が突然爆ぜた。
『「なッ……!?」』
「なんだなんだ!?」
「奇襲だーーーッ!」
高く上がった煙が拳王連合軍の視界を遮った。
熱斗はその時、空を見上げると見覚えのある男が沖から急速接近しているのが見えた。
「あいつはあの時のオッサン……!」
黒が主体の戦闘ジャケットを纏ったイカツイ顔のマッチョマン……イチリュウチームのナッパであった。
ナッパとサラはどういうわけか毒ガスが消えていく奇怪な様を見ていた。
毒ガスが民間人に及ぶ危険は回避されたようだが、同時にリオレウスのピンチも目撃する。
今にも殺されそうなリオレウスを見捨てられないナッパはサラにいざという時のためにディスコードフェイザーを用意を頼み、危険を承知でリオレウス救助に向かう。
その一環として威力を抑えたジャイアントストーム(クンッ)を使用。
威力を抑えては拳王連合軍にはおそらく効かないだろうが、重症を負ったリオレウスを保護するためであり、目くらましぐらいにはなるつもりで放ったのだ。
それにより矛先がリオレウスから接近している自分に向けばなお良かった……ハズであった。
「ムギちゃん!!」
「油断……しました……せめてキーボードを持っていれば……」
ナッパは狙ってやったわけではないが、紬の胸には深々とリオレウスが先程壊したコンテナの破片が刺さっていた。
爆炎が起きた際に破片が跳ねて彼女の胸に刺さったのだ。
拳王連合軍で強化装置に入ったものはノーダメージ、そうでなくとも戦い慣れているために大したダメージにはならなかった。
……だが紬だけは戦闘力が低かったために破片を防ぐことも避けることも叶わなかった。
鋼のような精神だけでは解決できない事柄・不運。
ラオウを始め、拳王連合軍を引っ張ってきた存在が致命傷をおったことに全員が慌てふためく。
誰しもが死に体のリオレウスのことを忘れ、瀕死の紬かこちらに向かってくるナッパに集中しすぎていた……
(ああ、ナッパ……港に毒ガスをばら撒いたこんな俺でも助けてくれるというのか……)
リオレウスもまた、ナッパが自分を助けるために自身を危険に晒してまで助けにきてくれたことを理解していた。
上手くいけばナッパとサラの手で救助されて自分は助かるだろう。
しかし。
(残念だけどなナッパ、おまえの期待には添えない……今、絶好のチャンスが目の前にあるんだからな!!)
リオレウスの目の前には自分を殺そうとした翔鶴が目の前にいる。
彼女は突然の襲撃によりリオレウスから目を離していた。
拳王連合軍の面子をさらに一人、PETにいるロックマンまで勘定に入れれば二人殺せるまたとない機会である。
敵が泡を食っている一瞬の隙をリオレウスは逃したくはなかった
(どうせ俺が戻ったところでこの足と翼じゃ野球はできないし、ドラゴンズが毒ガスをばら撒いた俺を保護したことでオシリスたちが汚名を被るだけだ。
俺はもう、ここで死ななきゃならない宿命なんだ!)
翔鶴を殺せば自分は間違いなく殺される。
だがそれによって将来戦うであろう拳王連合軍の戦力は削がれ、その分対主催は有利になる。
自分がここで死ねば毒ガスを撒いた汚名は自分だけのものだ。
生存を諦めることはリオレウスなりの仲間を助ける手段であったのだ。
(白髪の女、地獄への道連れにしてやるぜ!!)
ナッパが牽制の爆発を起こしてからここまでで僅か数秒。
手足のなくなったリオレウスは手足も翼ももうないが、腹の筋肉で芋虫のように這うこと……特に数m離れていない相手に噛み付くのは難しいことではなかった。
「え?」
『翔鶴!離れ――』
気配に気づいて翔鶴が横を振り向くとリオレウスのアギトがすぐそこまで迫っていた。
ロックマンが注意を呼びかけるがもう遅い。
避けるよりもリオレウスに噛みつかれるのが早いであろう。
「危ない!!」
咄嗟に近くにいた熱斗は妹の背中を押した。
そして翔鶴の身代わりに牙を肉体に受け、肉を抉らせて骨を砕き血を噴き出させた。
「――がはあッ……」
「熱斗さん!?」『熱斗!?』
翔鶴が振り返ると兄が竜に喰われかけていた。
熱斗の赤い血が翔鶴の肌とハチマキを汚す。
驚愕していた翔鶴とロックマンはすぐに熱斗を救うために手を伸ばすが一歩遅く……
『てめーらも仲間が死んだり傷ついたりして悲しいだろう……?
それこそ俺からリオレイアを奪った痛みだ!!
遠慮せずにありがたく受け取りやがれ!!!』
リオレウスは熱斗を咥えたまま豪火炎を発射。
肉体は一般的な小学生と大差ない熱斗が耐えられるハズがない。
「彩斗兄さん……翔鶴……未来を守――」
熱斗は自分はもう助からないと悟って兄妹に全てを託し、火炎に焼かれて炭化し、更に噛み砕かれてバラバラになった……
「あ……ああ……」
『熱斗ぉぉぉーーーーーーーーッ!!!』
兄の死に呆然となる翔鶴。
弟の死に絶叫をする彩斗。
一瞬の内に熱斗に起きた悲劇を他の仲間が見た時も同様の反応であった。
【光熱斗@ロックマンエグゼ 死亡確認】
『ははははははははははははははは!!殺ってやったぜええええええええええ!!
拳王連合軍の、邪悪な祐一郎の息子、光熱斗は俺が討ち取ったぜえええええええ!!』
妨害によって殺した相手は熱斗になってしまったが、結果的には翔鶴よりも強いであろうネットバトラー熱斗を殺すことができた。
拳王連合軍の主力を挫いたことにリオレウスは狂喜する。
竜語のわからない者にもリオレウスが嘲笑っていることを理解できた。
「よくも……よくも……!」
熱斗を失ったことに対する悲しみと、竜への憎悪が収まらない翔鶴。
足元を見るとシンクロチップなどを含む数枚のチップ――熱斗が死んだ時にディパックから零れたもの――が落ちていた。
翔鶴は般若のような目つきでリオレウスを睨みつつ、チップを拾ってロックマンのいるPETにスロットインした。
入れたチップの名前は、ダークソード。
「翔鶴?!これはダメだ!」
使えば使うほど悪の心になるダークチップを入れられたロックマンは翔鶴に警告するが、怒りで耳に入っていない。
ロックマンの警告虚しく闇のオーラと共にダークソードが翔鶴の腕の中に具現化された。
その刀を持って翔鶴はリオレウスに斬りかかろうとする。
『おまえも死ね小娘!』
更にもう一人殺せるチャンスだと思ったリオレウスは火炎を放つが、翔鶴はこれを高く跳躍して躱し、そのままリオレウスの背面に乗った。
「熱斗さんの仇!!」
『ぐわああああああああああああああ!!!』
リオレウスの背面にダークソードの刃が深く刺さる。
恨みの強さに比例してドンドン刺さっていく剣の痛みにリオレウスは悲鳴と血を吐いた。
「バカ野郎リオレウス、俺が来るまで動くんじゃねえ!!」
急速接近するも未だ横浜港にたどり着けていないナッパは、目論見通りにジッとしてくれなかったリオレウスに悪態を突きつつも、苦しむリオレウスを助けるために更に速度を上げる。
ナッパに気づいた拳王連合軍のメンバーが迎撃体勢を取るも、最も早く気づいたのは索敵能力に優れた翔鶴であった。
翔鶴はまたもダークチップをスロットインし、ダークバルカンを具現化させてナッパに向けて放った。
「なに?!うおおおおおお!!」
元より高威力のダークバルカンに二人分メジャーリーガー級の力が付与された弾丸の威力は尋常ではなく、ナッパの着ていた戦闘ジャケットを易々と切り裂き、その下の堅牢なサイヤ人の皮膚すら抉って流血させ、ナッパを海へ墜落させた。
「ナッパ様!くっ!」
沖上空で待機していたサラは横浜港の拳王連合軍に向けてディスコードフェイザーを放つ。
リオレウスも巻き添えになるが、もはやリオレウスは助けられず、ここでやらねば更なる追撃を受けてナッパも死ぬという判断から放った攻撃であった。
焔龍號の変形した肩から次元をも破壊しうる嵐が吹き荒れる。
直撃すれば拳王連合軍は粉微塵になる……実際、迎撃の翔鶴のダークバルカンやMEIKOボールすら渦に飲み込まれて消滅していた。
範囲の広いMAP兵器(範囲攻撃)だけに上条の幻想殺しやプニキのバッティングによるでは点による迎撃では防ぎようもない!
「北斗・超・剛掌波!!!」
そこへ拳王たるラオウは得意技である剛掌波を放つ。
流石のラオウでも元の能力では絶対に次元破壊砲など防げなかったが、メジャーリーガー級に底上げされた闘気の塊は、次元破壊の渦さえもかき消した。
「次元破壊砲が相殺され、きゃあああ!!!」
否、相殺ではない。
超・剛掌波の威力はディスコードフェイザーさえも上回り、放った焔龍號に届き、決して堅牢とはいえない機体の装甲にヒビを入れ、大破炎上させた。
「お、恐ろしい……これが拳王の力!」
まさに理不尽の権化。
操縦不能になり墜落していく機体の中で自身の体がコクピットから吹き出した熱や炎で炙られながらサラは恐れを抱き、機体ごと海に墜ちていくのだった。
「サラ!」
海坊主の如く海から頭を出したナッパは黒煙を上げて海に墜落した焔龍號からサラのピンチを悟り、彼女を助けるために踵を返し海から飛び出した。
「逃がさない……今度は視界も足場も大丈夫、100%完璧なレーザービームだ!」
敵を逃すまいと、ムネリンは追撃の光球をナッパと焔龍號に向けて放つ。
「!?」
背後から迫る破壊の球に気づいたナッパはサラへの攻撃を防ぐために両の手でレーザービームを受け止めようとする。
それは極めて無茶な行為である。
全力なら惑星すら破壊しうるレーザービームの威力は首輪の外れていないサイヤ人でとても防げる代物ではない。
だがやらねばかけがえのない仲間であるサラが死ぬと思い、動かずにはいられなかったのだ。
そしてレーザービームとナッパの腕が衝突する。
「ぐおおおおおおおお!!!」
もはや鎧の役目を果たしていない戦闘ジャケットは一糸も残さず蒸発し、ボロボロになったディパックも明後日の方向へ飛んでいった。
サイヤ人の証である尻尾もちぎれ飛び、ナッパの体を強力な熱と衝撃でダメージを与えていく。
あと数秒もすれば彼の肉体は消滅するだろう。
(イ、イチロー
みたいな野球選手はこんな球を毎日のように打ちあっているのか!?
この星の野球選手が強いわけだよ!)
ムネリンのレーザービームを受けたナッパの最初の感想は、意外にも関心であった。
関心の次に出てきたのは自分への情けなさであった。
(戦闘力4000程度で弱い奴を見下し、向上心もなく安寧を求めてベジータやフリーザに媚びへつらっていた時の自分がバカみてえだ。
優れているのは体力とスタミナだけ、もっと強い奴なんて野球界ではゴマンといるんだ。
そんな俺がイチローのレーザービームによく似た球を防げるなんて無理だったかもしれねえ)
刹那の間に自分の矮小さを自覚する。
だがただ自分を卑下するだけでなく、助けられなかった仲間と助けたい仲間の顔を思い浮かべ使命感を思い出す。
(だからと言って、ちなつたちの時のように、サラやイチローたちを守れない結果を俺は望むのか!?
――絶対にNO!弱気はサイバイマンの肥やしにでもしちまえ!
根気を見せろナッパ!仲間を守れない弱い自分を許すな!!)
負けそうな自分に喝を入れるナッパ。
仲間を……サラを亡くす結果を想像すると、それを成し遂げられなかった自分に強い「怒り」がこみ上げてくる。
野球はより仲間が多い方が楽しい、仲間を傷つける者への「怒り」を原動力にナッパは立ち向かう。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
その時である。
ナッパ自身は必死だったので気づいてなかったが、確かに髭が金色に変化し、纏う気も金色になったのだ。
ナッパはこれまでの死闘と野球を通じて知った絆・誇り・自分本位ではない怒りや悲しみを知り、精神的に磨かれた結果、仲間を守れない自分への怒りによってスーパーサイヤ人へと覚醒したのだ!!
戦闘力も50倍まで膨れ上がり、戦闘力20万+これまでの死闘で増えた分×50!!
そのパワーで莫大な威力を持ったレーザービームの威力をも殺しきることができたのである。
「馬鹿な!?僕のレーザービームがイチローさん以外に防がれた??!」
イチローほどではないにしろ、メジャーリーガーレベルではないと防げないレーザービームを受け止めたことに驚愕したムネリンは思わず膝をついた。
イチロー以外には防げない絶対の自信があったために。
「へへ……やったぜ……」
だがナッパの肉体も限界を迎えていた。
というのも首輪の制限装置の作動によってほんの一瞬しかスーパーサイヤ人になれなかった上に、変身後は多大な疲労が肉体に襲いかかる。
ダメージと体力の限界を迎えたナッパは金髭から元の黒ひげに戻った後に海へと再び落下しようとする。
「宗則が防がれた、だったらアタシが!」
ムネリンが失敗したところを見て、今度はMEIKOがMEIKOボールでナッパを仕留めようとする。
単純な威力ではレーザービームには劣るが、自由落下しているナッパを殺すにはわけがないという判断であった。
「ん?なんだあの玉は!」
MEIKOが投げようとした寸前に落ちていくナッパを受け止めるように機械の玉らしきものが彼を受け止めた。
「一人用のポッド……サラか!?」
「ナッパ様!しっかり掴まって息を止めて!」
中にはサラが乗って操縦していた。
ナッパがレーザービームを引き受けてくれたおかげで大破した焔龍號を海中で乗り捨て、千切とんだディパックがたまたまサラの元へと落下し、中からサイヤ人が使うポッドを出して乗り込んだのである。
そしてナッパを上に乗せたポッドはMEIKOが追撃するよりも早く海中を潜行し、拳王連合軍の視界から消えていった。
「くそう、取り逃がした!!」
流石の黄金の回転を駆使するMEIKOボールも投げる前に視界から消えた相手は追撃できない。
広大な海で懐中に沈めばなおさらどこへ行ったかわからないのだ。
仇を取れなかった悔しさを足元のコンクリートに野球ボールをぶつけてクレーターを作った。
「…………スロットイン、残敵排除を開始します」
敵が消えたと見て、ダークソードを片手に翔鶴は残敵であるリオレウスを処する、処する、処する。
既に息も耐え耐えだったリオレウスにザクザクと刻んでいく刻んでいく刻んでいく。
翔鶴の眼はほの暗く、兄を奪ったリオレウスを斬り刻むことしか考えていない。
「その辺にしておけ!」
『「やめるんだ翔鶴=サン!」』
そこへイマジンスレイヤー上条や平等院が止めに入るが、復讐心に狂った翔鶴は聞き入れない。
「止めないでください……兄を……熱斗さんを奪った仇を討たないと」
『「仕方ない……目を覚ませ翔鶴!!」』
ダークソードを振り回し続ける翔鶴の顔面に上条は男女平等パンチを入れる。
超強化によって装甲も強化されているのでほとんどダメージはなかったが、驚かせて正気に戻すことには成功する。
『「ブッタファック!殴った手の方が痛え」』
「何をするんですかジョジョさん!」
『「おまえこそこれを見ろ!」』
「…!!?」
『「あのドラゴンは……もうとっくに死んでいる」』
正気に戻った翔鶴の目に映ったのは血だまりと334の肉片としてバラバラになったリオレウス。
リオレウスは最初にダークソードを突き立てた時に死んでいたにも関わらず、怨みに身を任せた翔鶴は死後の竜を捌いていたのだ。
【リオレウス@モンスターハンターシリーズ 死亡確認】
『それだけじゃない!ロックマンは無事か?』
「デューオさん……?彩斗さんがどうしたって……」
呆然としていた翔鶴に対してデューオが焦ったように問いかける。
それには理由があった。
『おまえが使ったのはダークチップ!超強力な代わりに使えば使うほどロックマンに悪影響を及ぼす禁忌のチップなんだ!特に心を蝕むものだ』
「そんな!」
ヒトの悪の心をデータ化して作られたダークチップが使用するほど副作用としてライフ減少などの弊害と共にロックマンに悪の心を植え付ける。
翔鶴は知らなかったとはいえ、使用を強行したことにショックを受ける。
翔鶴たちがPETの画面を見ると少しカラーがダークになったロックマンがいた。
「彩斗さん……」
『大丈夫だよ翔鶴……僕のココロウィンドウの汚染度はまだまだ軽度だよ。
正義の心は失われていない……ただ……』
弟の死とダークチップ使用に伴うバグで憔悴しているように見える。
『熱斗の死のきっかけを作ったハゲ頭を殺したくて殺したくてしょうがないんだ!!
僕が人間のままで!足があったらすぐにでも追いかけられるのに!!
熱斗の仇を取れないのが苦しい…胸が張り裂けそうだ……』
『クッ……正義や優しさは辛うじて失われていないが、憎悪という悪の心が宿ったか……!』
「そんな……私のせいで彩斗さんを……あああ!」
まだロックマンに善の心は残っていたが、弟や仲間を失った悲しみはダークチップによって憎悪に転化されており、ナッパへの復讐心に燃えていた。
こんな暗い瞳をしたロックマンなど誰も見たくなかった……特に翔鶴は自分の暴走のせいで兄の心を汚したことの責任感に押し潰され、地面に膝をつき、両の目から止まらない涙を流した。
拳王連合軍の悲劇は終わらない。
辛うじて息のあった少女も胸からの失血により今まさに息絶えようとしていた。
せめて医療にも転用できる波紋使いのダイアーが生きていれば生きながらえたかもしれないが、ダイアーは先に他界している。
ディオが彼女に治療道具を使うが、心臓を一発で治せるほど効力のあるものはない、腕の立つ名医も拳王連合軍にはいない。
ただ地面に倒れた彼女の体をラオウが抱きしめて、仲間たちが看取るしかできなかった。
「死ぬなムギちゃん……うぬまでいなくなったら俺たち拳王軍はどうなる?
監督であるおまえがいなくなっては……」
「……
ごめんなさい、拳王、様……ご期待にはもう、添えないみたいです……」
息も耐えたえのまま、死が近いことを自覚した紬は胸ポケットから一枚のメモをラオウに渡す。
「これは?」
「先程私が考えたスタメンのメモ……ダイアーさんの抜けた穴は、謎のアルト、リアさんで補ってください……」
紬自身の血で汚れたメモをラオウは受け取る。
紬の顔は血の出しすぎで白くなっており、もう長くは持たない。
自分が旅立つ前に仲間たちに自分への思いを打ち明ける。
残りの力全部を注ぎ、苦しくても我慢して。
「みなさんなら、監督なんていなくても大丈夫……
あなたたちが主催を、マーダーを、ヘルヘイムを、駆、逐して……勝利を掴み取ることを信じています……」
【琴吹紬@けいおん! 死亡確認】
「ムギちゃん……」
「ムギ……」
これまで拳王連合軍を引っ張てくれた女子の死に、残された仲間たちは涙した。
ラオウとてそれは例外ではなく、仲間内の中で最も泣いていた。
「ラオウ……」
「止まらぬ!涙が止まらぬのだ!
俺は確かに強くなった筈なのに、なぜおなご一人守れぬのだ?」
いつもの調子ならばメソメソ泣いているラオウを蹴り飛ばしているところだが、MEIKOはそうはせずラオウを抱きしめた。
MEIKOもまた紬の死には涙を流しているのだから……
へたりこんだ翔鶴は地面に落ちていた熱斗の忘れ形見であるバンダナを拾い、握り締める。
大阪での悲しき戦いにより祐一郎ら多くの人命が失われ、リオレウスの襲来によってダイアー、熱斗、紬までもが命を奪われた。
この理不尽に翔鶴は憤り悲嘆し、絶叫する。
「私たちは何のために強くなったの……?
私たちは何のために戦っているのぉーーーッ!!!」
さりとて、叫ぼうとも答えは返ってこない。
風評被害という毒に侵され修羅に身を落とされた者を祝福してくれる存在はこの世界にはいないのかもしれない……
【
二日目・15時30分/神奈川県 横浜港】
※ダイジョーブ博士の残した装置に座れば10分の所要時間でメジャーリーガー級の力を得られます
ただしプニキは拒否、宗則は元からメジャーリーガーなので意味なし
※戦艦煉獄と高速艇は轟沈しました
【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】
【状態】超強化、悪の心(軽度)、深い悲しみと憎悪
【装備】ロックバスター、サイトパッチ&試製甲板カタパルトのデータ
【道具】なし
【思考】基本:???
0:熱斗が死ぬきっかけを作ったハゲ(ナッパ)を必ず殺したい
1:熱斗……!
2:翔鶴さんは絶対に失いたくない……
※PETの中にいます
※ダイジョーブ博士の残した装置で強化されました。全ステータスが格段に上昇しています
※ダークチップ使用により悪の心に少し汚染されました
【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】
【状態】超強化、絶望的に深い悲しみ
【装備】彩雲、紫電改二、流星改、 零式艦戦62型、熱斗のPET(ロックマン入り)、シンクロチップ、ダークチップ一式
【道具】熱斗のバンダナ
【思考】基本:???
0:提督に続いて熱斗さんまで……
1:私のせいで熱斗さんと彩斗さんが……
※熱斗とロックマンより、二人の過去についての話を聞き、自身を光翔鶴と名乗るようになりました
※超強化の影響によりステータスが大幅上昇しました
【ラオウ@北斗の拳】
【状態】超強化、首輪解除、今までで最大の悲しみ
【装備】炭酸水
【道具】支給品一式、その他不明、ムギのスタメンメモ、現金1兆円ほどが入った特注ジュラルミンケース、強化装置
【思考】基本:ダース・ベイダ―たちを倒す
0:ムギちゃん……
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました
※都庁をヘルヘイムであると誤解しています
※紬の支給品を一部受け継ぎました
【平等院鳳凰@新テニスの王子様】
【状態】ダメージ(大)、首輪解除、悲しみ
【装備】テニスラケット、テニスボール×∞、諭吉一枚
【道具】支給品一式、少年ジャンプとヤンジャン、その他不明
【思考】基本:主催者達を滅ぼす
0:なんてことだ
1:マーダーも滅ぼす
2:信頼するラオウたちと行動する
3:テニスがしたいが、野球をする
4:超人血盟軍を全滅させたヘルヘイムは必ず滅ぼす
5:ハゲ(ナッパ)も滅ぼす、仲間がいればそちらも滅ぼす
【MEIKO@VOCALOID】
【状態】ダメージ(小)、修羅化、首輪解除、強烈な悲しみと殺意
【装備】アルティメットアーマー@ロックマンXシリーズ
【道具】支給品一式、ノートパソコン@現実
【思考】 基本:『真の黒幕』及び主催者共の皆殺し
0:ムギ……
1:ラオウ達に協力してもらう
2:ヘルヘイムのインベスはとりあえず皆殺し
3:ラオウへの特別な感情
4:ハゲ(ナッパ)を見かけたら嬲り殺す、仲間がいたら皆殺し
※今までとは別人です。
※『無限の回転』を習得しました
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【状態】全身にダメージ、首輪解除、本気モード、 強い悲しみ
【道具】シンクロチップ、他人のデッキ(「ぬばたま」デッキ)
【思考】基本:あのAA
0:熱斗たちを守れなかった俺は無力だ……
1:ネットバトラーの一員として主催やマーダーと戦う
2:大阪で見かけたあの怪しい二人組の正体は……?
【シャドーマン@ロックマンエグゼ】
【状態】HP半分
【装備】ムラマサ
【道具】なし
【思考】基本:新しきお館様(上条)に従う
0:気負うな親方様……
1:敵は殺す、慈悲はない
2:お館様を守る
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】疲労(大)、超強化、首輪解除、悲しみ
【装備】PSVITA(デューオ入り)、十徳ナイフ
【道具】支給品一式×3、シンクロチップ、治療道具、その他不明
【思考】基本:ネットバトルとベースボールを極める
0:ダイアーさん……これが友を失った悲しみなのか?
1:ジョースター家を手に入れる
2:ジョジョより優越感を得る
3:熱斗が死ぬ前にネットバトルを挑みたかった……
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得て、デューオとクロスフュージョン可能になりました
新技として一分時間を止められるデューオーバーヘブンを習得しましたが、一度の使用によって強烈な疲労を伴います
※ダイアーの支給品を受け継ぎました(イカ墨パスタ等食料は毒で汚染されたので除外)
【デューオ@ロックマンエグゼ4】
【状態】超強化、HP満タン
【装備】ジャスティスワン、ザ・ワールド
【道具】なし
【思考】基本;とりあえず、ディオたちを見守る
0:ああ……ダイアーさん、ムギさん、熱斗まで……
1:九州ロボ及び主催者を殺す
2:ダークチップに汚染されたロックマンが気がかり
※キン肉マン(旧シリーズ)全巻を読み、友情パワーに目覚めました。
※36巻以降の知識(完璧・無量大数軍編)以降の知識はありません。
※ベジータの持っていたパソコンから情報を抜き出し、ヘルヘイムの情報を得ました
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さとPSVITAの筐体を得ました
【謎のヒロインX@Fate/Grand Order】
【状態】健康、首輪解除、困惑
【装備】無銘勝利剣
【道具】ドゥ・スタリオンⅡ号(故障中)、スマホ(FGOをやってたせいで電池切れした) 、自転車
【思考】基本:私以外のセイバーを殺すが、その前に対主催しておいて他の対主催者と協力関係を築いておく。
0:く、空気がありえないほど重い!
1:宇宙の平和が第一ですね
2:世界が滅ぶのはヘルヘイムのせいだと思うので、
平和のためにも打倒します
3:ヘルヘイムの方がセイバー多そうだし
※彼女のクラスはアサシンです。
※謎のヒロインXです。その正体は謎って言ったら謎です。
※世界が滅ぶ原因がヘルヘイムであると思い込んでいます
【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】
【状態】健康、全ステータスMAX、首輪解除、ずぶ濡れ
【装備】木の棒
【道具】支給品一式、その他不明、塩漬けで食べられなくなったハチミツの壺
【思考】基本:ムギさんからハチミツを貰うために主催者たちを野球で潰す契約だったが……
0:ムギさん死んだし契約解消かな?
1:ホームランを打つ
2:バッティング以外はマジでやりたくない
3:それよりハチミツが塩漬けになっちまったな
※強化しなくともバッティングの腕はメジャーリーガー級です
【川崎宗則@現実?】
【状態】健康、首輪解除、ずぶ濡れ、ショック
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式
【思考】基本:イチローを倒してでも、マリナーズに連れ戻す
0:僕のレーザービームがイチローさん以外に取られるなんて……
【クロえもん@ドラベース
ドラえもん超野球外伝】
【状態】健康、首輪解除、非常に強い悲しみと黒い殺意
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式 電車ごっこロープ
【思考】基本:主催者たちに野球で挑んで勝つ!
0:チームの仲間が!
1:まずはヘルヘイムを潰す
2:イチロー選手を仲間に引き入れたい
3:みんなには隠してるが、仲間を殺した
ホワイトベース組が全滅したことには超メシウマ状態w
4:てゆーか風評被害に踊らされるクズは死ね、氏ねじゃなくて死ね
東京湾、ビッグサイトを迂回するような位置でナッパを上に乗せた一人用のポッドは浮上した。
「迷惑かけてすまねえ……サラ……助かったぜ」
「ナッパ様も無事で良かったです」
辛くも拳王連合軍の追撃を逃れたナッパとサラ。
生存を喜びたいところだが、素直に喜べなかった。
拳王連合軍に痛手は与えたものの、それは当初の目的ではない。
リオレウスの暴走を結局止められず、リオレウスを死なせる結果になってしまった。
監督であるラミレスの要望と仲間たちの希望を叶えられなかった敗北だ。
おまけにナッパもサラもボロボロであった。
「サラ……あんたその傷……」
「……ナッパ様ほどではございません。肩や手足足腰は無事なので野球には支障ありませんわ」
「すまねえサラ……俺がもっと強ければアンタもリオレウスも……」
「いいえ、あなたがあの時レーザービームから私を庇ってくれなければ、骨も残さず果ててましたわ」
ナッパがポッドのガラスから内部を覗き見ると、サラはいくつかの火傷と同時に両羽を喪失し、生々しく出血していた。
脱出の際に焔龍號炎上によって両羽をもがれたのだ。
これではドラゴンに変身して飛ぶこともできない。
背中を刺すような痛みも精神力で堪えているのだ。
ナッパもサイヤ人の証である尻尾を喪失し、ダメージ・疲労共に危険レベルでモブ狂信者一人すら戦って生き残れるか怪しいほど消耗していた。
「本当ならばソウルセイバーの援護に向かいたいところですが、この負傷では無理ですね……」
「ポッドに戦闘用の武器は積まれてねえ……向こうの無事を祈るしかねー俺の無力さが不甲斐ねえよ」
「現状は浦安に戻るしかありません。それもビッグサイトからなるべく距離を話す形で」
拳王連合軍相手にほとんど何もできず、まだモブ狂信者に追われているかもしれないソウルセイバーの助けにも迎えない。
ナッパは本当ならば無茶でも助けに行きたいのだが、本当に体が言うことを効かないほど疲れているため、ポッドの上から動けないのだ。
狂信者からは距離を取る安全策を取るほかなかった。
「それにしても恐ろしい連中でしたわ……拳王連合軍。
時空すら破壊できる兵器をあっさりと覆すほどのパワー、各地で破壊を行えるだけの攻撃性と噂に違わぬ凶暴さを持ってましたね」
「……本当にそうなんだろうか?」
「え?」
拳王連合軍の危険性を肌で感じ取り、必ず滅ぼさなければいけないと恐れを覚えたサラに対し、ナッパは違う答えを出す。
「サラは沖に待機していたから見えてねえかもしねえが、俺はリオレウスを救うために接近したんだが、その時に見えたんだよ。
あいつらが仲間をかばい合い、そして仲間を失えば涙を流しているところを」
ナッパはしっかりと見ていた。
自分の攻撃で少女が怪我を負った際、助けに回る者たちの姿を。
攻撃に乗じたリオレウスから妹を守るために献身した熱斗の姿を。
「本当に冷酷な奴ら……それこそ昔の俺みたいな奴だったら仲間を守りあったり死んで悲しむことはなかったハズだ。
そんな奴らが平気で無差別攻撃を行うとは思えねえ……リオレウスが撒いた毒ガスだって奴らが止めてくれたのかもしれない」
「ナッパ様は彼らが悪人ではないとお考えで?」
「確証はねえし、俺がそう思い込みたいだけかもしれねえが……」
拳王連合軍の互いに助け合う姿勢はイチリュウチームに通ずるものがある。
もし拳王連合軍が悪玉に見せかけられた善玉だとしたら、自分は攻撃という形でしてはいけないことをしたのかもしれないと複雑な気分になるのだった。
そして、ナッパには気がかりがあった。
「あんときのガキ……拳王連合軍にいたんだな。
俺を叩きのめした憎たらしいおまえとは野球で決着をつけたかったぜ……畜生」
光熱斗。
カオスロワ10期序盤はマーダーであったナッパをネットバトル魔法で叩きのめして気絶させ、ハラサンに拉致されて野球という人生の転機を与えることになり、今のイチリュウチームの一員にして対主催のナッパに繋がったのだ。
少年がいなければ今のナッパはおらず、どこかで野垂れ死んでいるか、生き延びていても野球も仲間の大切さも知らない金と暴力だけのつまらない人生を送っていただろう。
だからこそ、彼が善であれ悪であれ、野球で決着をつけたいとナッパは願っていた。
その願いとライバルを自分の手で壊してしまったことが、ナッパにはただただ悔しかった……
【二日目・15時30分/東京 東京湾】
【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【状態】ダメージ(特大)、疲労(特大)、尻尾切断、全裸、野球脳、激しい怒りと悲しみ
【装備】なし
【道具】なし
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、チームを優勝させる
0:今はサラに任せる
1:野球を邪魔するDMCは許さない
2:ベジータはそのうち探す
3:また多くの仲間が死んじまった……自分の無力さが不甲斐ない
4:生きていてくれソウルセイバー!
5:サラマンディーネにも迷惑かけちまった……
6:拳王連合軍は本当に悪逆集団なのか?
7:あのガキ(光熱斗)には野球で報復したかった
※回復した場合、戦闘力がとても大幅に上昇します
※一瞬だけスーパーサイヤ人化しました
首輪解除ができればいつでも覚醒できますが本人は気づいていません
【サラマンディーネ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】
【状態】ダメージ(中)、両羽喪失
【装備】一人用のポッド
【道具】なし
【思考】基本:対主催
0:ナッパ様を連れて浦安遊園地に戻る
1:イチリュウチームについていく
2:滅亡を止めたいとは思うものの、予言に関しては懐疑的
3:後で首輪解除のためにゆっくりできる時間が二時間ほど欲しい
4:リオレウス様……
5:ナッパ様の髭が一瞬だけ金色になったのを目撃しましたがあれは一体……
※予言には主催者も関わっていると推測しています
※首輪解除技術を持っていますが、技術面で祐一郎さんやブリーフ博士を下回っているため、解除方法を見つけるまでに最低二時間以上かかります
負傷&ポッドの操縦に専念している現状はもちろん無理
最終更新:2018年04月13日 21:13