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inferiority complex ~柊かがみの場合~
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tfei
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執筆日 2007年12月31日
備考 inferiority complexシリーズ第2弾。
こなた編の勢いのまま書いてみた。
備考 inferiority complexシリーズ第2弾。
こなた編の勢いのまま書いてみた。
inferiority complex
~柊かがみの場合~
~柊かがみの場合~
彼女は、嫉妬していた。
幼い頃から、常に妹と比較されてきた。
そして、そのほとんどにおいて、妹を上回り続けた。
しかし、大人に可愛がられるのはたいがい妹だった。
今でこそ客観的に物事をとらえられるようになったものの(これが彼女の強みであり長所である)、かつては子供心に妹が羨ましくてならなかった。
妹のように愛されたい、という願いは、長い間彼女の心の奥底にとどまり、彼女を悩ませ続けたのである。
そして、そのほとんどにおいて、妹を上回り続けた。
しかし、大人に可愛がられるのはたいがい妹だった。
今でこそ客観的に物事をとらえられるようになったものの(これが彼女の強みであり長所である)、かつては子供心に妹が羨ましくてならなかった。
妹のように愛されたい、という願いは、長い間彼女の心の奥底にとどまり、彼女を悩ませ続けたのである。
それでも、“自分より弱い存在であるはずの”妹に八つ当たりしなかったのは、妹が邪な下心なく、純粋に自分を頼ってくれていると知っていたからである。
自分がいなければこの子はやって行けない。常に自分がついていてやらなくてはならない。
自分がいなければこの子はやって行けない。常に自分がついていてやらなくてはならない。
妹が、姉離れをするまでは。
私が、いつもそばにいてやらなくてはならない。
私が、いつもそばにいてやらなくてはならない。
柊かがみとは、愛するものを絶対に守ってやれる存在。
だからこそ自分は陵桜を選んだ。
中学の頃は常に成績はトップ10圏内にいた彼女。
それゆえ担任の教師からは、もっと偏差値の高い学校や、公立の高校を強く勧められていた(陵桜もそこそこの進学率を有してはいたが)。
しかし彼女はその勧めを頑なに拒んだ。というより、蹴ってしまった。
「妹がいる以上、私はあの子と同じ高校に行きます」と。
中学の頃は常に成績はトップ10圏内にいた彼女。
それゆえ担任の教師からは、もっと偏差値の高い学校や、公立の高校を強く勧められていた(陵桜もそこそこの進学率を有してはいたが)。
しかし彼女はその勧めを頑なに拒んだ。というより、蹴ってしまった。
「妹がいる以上、私はあの子と同じ高校に行きます」と。
今思えば、妹もよく頑張ったものだと思う。一緒に陵桜へ行きたいという気持ちが空回りして、妹にきつくあたってしまう日もあった。
それでも妹はめげたりへこたれたりすることなく、黙って自分についてきてくれた。
本当はもっと正しい教え方があったのかもしれない。しかし彼女が出来ることは、これで限界だったのである。
それでも妹はめげたりへこたれたりすることなく、黙って自分についてきてくれた。
本当はもっと正しい教え方があったのかもしれない。しかし彼女が出来ることは、これで限界だったのである。
でも、一緒に陵桜に上がることが出来た。
これでとりあえず3年間は、また妹のそばにいてやれる。
これでとりあえず3年間は、また妹のそばにいてやれる。
しかし変わった。妹が出会った、新しい友達を引き金にして。
それまでは引っ込み思案でおどおどしていた妹が、ある日突然楽しそうな表情で自分に話しかけてきたのである。
「新しい友達が出来たんだよ」と。
最初は、一緒に委員会をしていた子のことかと思った。
自分の妹であることを察して(全く同じ容姿ではないにせよ、この2人はどう見ても姉妹のそれである)、世話を焼いてくれているのかと。
しかし、妹から帰って来たのは『泉』という聞き慣れない名字を持つ生徒。
実際に会ってみて、今まで会ったことのないような変わった子だという印象を受けたことを覚えている
(振り返ればこなたの持つその印象は結局、趣味嗜好に起因するものであったが)。
自分の妹であることを察して(全く同じ容姿ではないにせよ、この2人はどう見ても姉妹のそれである)、世話を焼いてくれているのかと。
しかし、妹から帰って来たのは『泉』という聞き慣れない名字を持つ生徒。
実際に会ってみて、今まで会ったことのないような変わった子だという印象を受けたことを覚えている
(振り返ればこなたの持つその印象は結局、趣味嗜好に起因するものであったが)。
最初は少し不安ではあった。
他人に騙されやすい妹に何かあってからではいけないと、ちょくちょく隣のクラスに顔を出すようになった。
公にすることはなかったが、最初は監視のつもりだったのである。
他人に騙されやすい妹に何かあってからではいけないと、ちょくちょく隣のクラスに顔を出すようになった。
公にすることはなかったが、最初は監視のつもりだったのである。
しかし、妹の友人たちと交流を深めるうち、全幅の信頼をおけるようになった。
委員会で共に働いたみゆきはともかく、最初は素性の知れなかったこなたも、根はいい奴だと気付くのに、それほど時間はかからなかった。
委員会で共に働いたみゆきはともかく、最初は素性の知れなかったこなたも、根はいい奴だと気付くのに、それほど時間はかからなかった。
だからこそ彼女は気付いた。
いや、何故今まで気付かなかったのだろうか。
確かに妹は自分に頼っていた。
しかしそれ以上に、自分が妹に頼っていたのではないか。
妹を助け、支えることで、自分自身の目的を見出していたのではないか。
ならばもし、妹が自分のもとから離れてゆく日が来たら?
妹が、自分と離れ離れになる日が来たら?
いや、何故今まで気付かなかったのだろうか。
確かに妹は自分に頼っていた。
しかしそれ以上に、自分が妹に頼っていたのではないか。
妹を助け、支えることで、自分自身の目的を見出していたのではないか。
ならばもし、妹が自分のもとから離れてゆく日が来たら?
妹が、自分と離れ離れになる日が来たら?
今、妹は調理師を志望している。
自分がいなくても、あの子はやっていける。
今なら正直に言える。
自分がいなくても、あの子はやっていける。
今なら正直に言える。
自分の方が不安ではないか。
先が見えずに苦しんでいるのは一体どっちだ。
先が見えずに苦しんでいるのは一体どっちだ。
だから、もう彼女はやめにする。
妹のためという理由付けで、自分自身の本質的な部分から目を背けるのを。
自分がやるべき物事から、妹を盾にして逃げ出すのを。
これで、思い残すことなく自分の歩きたい道を歩くことが出来る。もう迷いはない。
妹のためという理由付けで、自分自身の本質的な部分から目を背けるのを。
自分がやるべき物事から、妹を盾にして逃げ出すのを。
これで、思い残すことなく自分の歩きたい道を歩くことが出来る。もう迷いはない。
彼女が手に入れたのは、自分の進むべき道を示してくれた真の仲間。
だから彼女は今日も、クールに振る舞い、ツンデレツンデレと言われながら、4人のツッコミ役を務めるのである。
だから彼女は今日も、クールに振る舞い、ツンデレツンデレと言われながら、4人のツッコミ役を務めるのである。
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