東京には現在約900軒の銭湯がある。うち35軒ほどが温泉。上野動物園にほど近い「六龍鉱泉」も、重曹の含まれた麦茶色のお湯が湧いている。「昭和5年にお湯が出たんですよ」と番台にすわる女将さん。建物も当時のもの。年季は入っているが清潔で快適だ。浴室に入ると目に飛び込んでくるのが巨大なタイル絵。
男女浴室がひと続きの絵柄になっており、男性側には錦帯橋が、女性側には池や茅葺き小屋が描かれている。「昭和37年にペンキ絵からタイルに替えたんです。どうして錦帯橋なのか? よく分からないんです」と女将さん。男女浴室の仕切り壁には富士山のタイル絵。箱根なのか西伊豆なのか、丸く弧を描く水景色の向こうに富士山が浮かぶ絵柄だ。色も鮮やかで銭湯芸術のただ中に身を置いている気分。天井も高くて開放的だ。
浴槽は2つに分かれており、大きめの方が少しぬるめ、小さめは熱めになっている。温度計を見ると熱め浴槽は50度近い。足先を浸けただけで飛び上がるほどの熱さだ。ぬるめ浴槽は体感温度45~46度。ちょっと熱いが入れる湯温だ。「この熱いお湯がいいのよ。昔っからずっとこうなんだもの」と70歳オーバーの常連さん。確かに、アトピー気味な肌も、このお湯ならば大丈夫。すべすべ感があり、入浴後にかゆみが出てくることもなかった。乾燥肌や敏感肌にも良さそうなお湯だ。
だけどどうしても熱い湯は苦手という人は、浅草の「蛇骨湯」へ。こちらの湯温は入湯日42度。20度前後の冷たい源泉浴槽にも入れる。タイル絵は大きな富士山。裾野を彩る女性風呂の桜も艶やかだ。ジャグジーやでんき風呂など浴槽も多彩。場所柄か、前回訪れたときにはドイツ語が、今回は英語が聞こえてきた。日本の文化をディープに楽しみたい外国人観光客にも人気のお湯だ。
上野動物園と上野公園の間の道を進み、蕎麦屋の角を曲がった路地に位置している。唐破風屋根の乗ったお風呂屋さん。温泉は昭和5年に湧き出した。 男女の仕切りに描かれた富士山。芦ノ湖から見た富士山を描いているような絵柄。 池や茅葺き小屋、錦帯橋を描いたタイル絵。浴室に入るとどどーんと目に飛び込んでくる。 脱衣場から浴室を眺めたところ。脱衣場の天井にはレトロな扇風機。夏にはちゃんと動くのだそうだ。天井が高くて開放感満点。 籐のカゴや旧式マッサージ器、お釜スタイルのドライヤー(20円)など懐かしい銭湯のたたずまい。古いけれども床はピカピカ。気持ちがいい。 東京市衛生試験所による昭和6年の温泉検査書。「主治効能」として、胎毒、あせも、水虫、慢性胃腸病、慢性婦人病など30種類もの効能が書かれている。 温泉銭湯を支える女将さん。若く見えるけれど「還暦」なのだそうだ。脱衣場を何度も拭いていらした姿を目にした。この努力あってこそ清潔が保たれているのだ。
浅草駅から雷門の前を通り過ぎ、しばらく歩く。すし屋通りの裏手、緑色の看板またたく路地奥へ。かなり分かりにくい隠れ湯だ。 表通りでは顔出し看板。路地裏ではネコがお出迎え。歓楽街だが懐かしい下町情緒たっぷり。建物は近代的で隣にはコインランドリーもあり。 外国人観光客も利用するためか、発券機には英語、ハングル、中国語の表記が。国際的な温泉銭湯だ。 大きな富士山と紅色の桜。男湯は裾野に松が描かれている。先代が描いた絵を基にデザインしたタイル絵。 通称「露天風呂」。源泉そのままの浴槽(出かけた日には22度)と42度の浴槽がそなえられた石風呂。男性露天風呂は少し開放的な造りなのだとか。 浴槽にはでんき風呂やジャグジーなどが並ぶ。でんき風呂はぴりぴりとくる感じがくせになりそう。足底からお湯がふき出る座風呂もいい気持ち。 蛇口から出てくるお湯も温泉と湯量は豊富。江戸時代から続く銭湯だが、昭和36年に建て替えた際、井戸水を調査し温泉であることが認められたのだそうだ。
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次回更新は1月16日予定です。お楽しみに!
【DATA】 六龍鉱泉(ろくりゅうこうせん)
TEL 03-3821-3826
[住所] 東京都台東区池之端3-4-20 地図
[交通] 東京メトロ根津駅より徒歩5分または上野駅より徒歩12分
蛇骨湯(じゃこつゆ)
TEL 03-3841-8645
[住所] 東京都台東区浅草1-11-11 地図
[交通] 東京メトロ田原町駅より徒歩3分または浅草駅より徒歩5分
http://www.jakotsuyu.co.jp/
【DATA】 六龍鉱泉(ろくりゅうこうせん)
TEL 03-3821-3826
[住所] 東京都台東区池之端3-4-20 地図
[交通] 東京メトロ根津駅より徒歩5分または上野駅より徒歩12分
蛇骨湯(じゃこつゆ)
TEL 03-3841-8645
[住所] 東京都台東区浅草1-11-11 地図
[交通] 東京メトロ田原町駅より徒歩3分または浅草駅より徒歩5分
http://www.jakotsuyu.co.jp/