timers   -TIME IS ……-

たすけてください。(10:06)

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私は、携帯電話を握り締めたまま、その場に立っていた。

……なんだって?
円周率を、30桁?

……それに、何の意味があるというのだ。
いや、そもそも私をこんな部屋に閉じ込めて、何の意味があるのだろう。
私はあの時雨という女に何をしたのか。
何か怨みでも買うような行動でもしたのか。
見当もつかない。

私は、携帯電話をじっと見ていた。
こんな映画を、最近見た気がする。そう、あれは学生時代からの親友の、支倉めぐみの部屋だったか……。

とにかく、携帯電話のバッテリィを無駄にはできない。
本体を折り畳むと、私は考えた。

円周率を計算して出すのは別に構わない。
構わないが、それをどうやって記録するかが問題だった。
さすがにそこまで記憶力に自信はない。

どこかに、何か、使えるものは?
そう、例えば、筆記用具。あるいは、それに匹敵する代用品。

私は部屋を見る。
ベッド。
携帯電話。
それだけだ。

「くそっ」

普段では決して口には出さないような悪態をつき、私はベッドに乱暴に腰掛けた。

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