timers   -TIME IS ……-

最期の一日(17:00)

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匿名ユーザー

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「でも……、でもですよ?」

 マキは呟くように、私に話しかける。

「他にも……解決方法があったかもしれないじゃないですか……」
「……殺さなくても、済んだかもしれないって?」

 うなづくマキに、私は声を上げて笑った。

「確かに、確かにそうだけどね、マキ?」

 マキは私を見る。

「もう、遅かったんだよ。あの時は」

 勢い任せの行動。感情に任せた行動。結果は殺人……それも連続殺人になったが、間違っていたなんて思ってない。
 そうでも思わないと、私の今までの行動が無駄になる。

 勝手な言い分だけど……犯罪者なんて、こんなものかもしれない。

「さ、私は行くよ」
「え?」
「私はここに、何をしに来たと思ってるのさ」

 マキはためらっている。いや、元々実行に移す気はなかったか……さっきのメールで心変わりしたか。

「その友達に謝らなきゃね」
「……ケイさん! やっぱり、止めて!!」

 マキは、携帯電話を握り締めて叫ぶ。
 私はマキの頭を撫でて、こう言った。

「マキは、優しいね」

 マキを突き飛ばす。できるだけ、私から遠くに。
 助走をして、フェンスによじ登る。飛び越えるなんて簡単だ。

「ケイさんっ!!」

 マキの声を受け、私はその方向を向いた。

「──へへっ」

 ピースサイン。
 マキに、私からのお礼の意味。

 私は風に任せて、体を後ろに倒した。

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