「ああもう、何なのよ……!なんで私ばかりこんなことに……!レフ!応答しなさいよ、レフ!してちょうだい……お願いだから……」

街の往来で少女が一人、腕に着けた何かを通じて誰かを呼びかけていた。
少女自身、その行動をすでに何度も試してもはや徒労だということは理解していた。
していたのだが、それとこれとは話が別だ。
もしかしたら今度こそ繋がるのでは。信頼する右腕の声が聞こえてくるのではと期待して通信を幾度も試みる。
そしてその希望が、何度目かの絶望に転じる。

彼女もようやくそれを受け入れたのか、唇をかみしめ、涙をこらえるようにして周囲を見渡し始める。
今自分がおかれた状況を把握しようと、植え付けられた知識も活用して頭脳を巡らせる。
思考を走らせることに集中して、助けが来ないという現実から目をそらすように。

「ここが特異点F……?この聖杯戦争が、狂った歴史の原因なの?」

日本の地方都市、冬木。
人類絶滅の原因と推定し、レイシフトを試みた地に今オルガマリーは立っていた。
本来ならば彼女はレイシフトを行う予定ではなかった……そもそもマスター適性を持たない彼女はレイシフトできるはずがなかった。
しかし見覚えのない黒い羽とともに、本来いるはずのカルデアからこの冬木へと放り出されていたのだ。

「ホント何なのよ……コレも……この事態も……え?」

現状を考察する数少ない材料である羽を手にしていると、虚空から手の中に新たな物品が突如として現れた。
そして自らの魔力がその本へと流れていくのを感じる。

「赤い、本……?」

魔導書の類か。魔力を持っていくということは、あまりないがインテリジェンス・ブックの類だろうかなどの思考がオルガマリーの脳裏に走る。
その思考以上の早さで、もう一つ別のものも召喚されていた。
雷のように金色に輝く髪をした少年が、オルガマリーに呼びかける。

「サーヴァント、アーチャー!我が名はガッシュ・ベル!問おう、おまえが私のマスターだな!?」

突然の召還にオルガマリーは目を見開いて驚く。
対するガッシュは座で流行りの文句を口にできてご満悦のようで、年相応の少年のように映る。
だがオルガマリーの目に映るステータスが、目の前にいるのがただの少年ではなくサーヴァントなのだと知らしめる。
そしてそれは同時に望んでも手にできないはずの力をオルガマリーが得たことも教えてくれる。

「私がマスターに……!?」

その才能はないはずだった。
その一点においてだけは明確に、キリシュタリア・ヴォーダイムも含むカルデアの魔術師に自分は劣っているはずだった。
だが目の前のサーヴァントと、右手に宿った令呪がその現実を覆したのだ。

(レフ……!見て頂戴、これなら私、ヴォーダイムにもマシュにも負けないわよ……!マスターとして、私も……)

令呪を掲げると、劣等感が転じた昏い喜びが胸中を満たすが、ふと疑問を覚える。
サーヴァントの前に召喚されていた本はなんだ?そちらと自分はパスを結んでいなかったか?
その答えを探るべく魔術回路を走査し、レイラインを探る。
思った通り、オルガマリーのパスは本へと通じており、そしてその本を介してアーチャー、ガッシュ・ベルとの契約は成っていた。

「……アーチャー、その本は何?サーヴァントとならともかく、何故私はその本に魔力を供給しているの?」

押しつけのような契約も、人理の影法師である境界記録帯のような上位概念ならば許そう。レオナルド・ダ・ヴィンチしかり、マシュ・キリエライトの中の何者かしかり英霊にはある程度敬意をもって接しなければならないのも承知の上だ。
だが得体のしれない魔導書にくれてやるほど、アニムスフィアの魔力を安売りするつもりはない。
そんなプライドの軋みと。
まさか自分は、結局サーヴァントとまともな契約をできていないのではないかという悪い予感がオルガマリーを苛んだ。
その答えがガッシュから齎される。

「おお、優秀な魔術師なのだなマスターは!その通り、私のパートナーはこの本を通じて力を引き出すのだ。魔力がなくてもマスター適性がなくても使いこなせる優れものだぞ、私は!」

予感は当たった。
結局オルガマリー・アニムスフィアはまともなサーヴァントとの契約は成らないようだ。
一瞬覚えた高揚が転じてどん底まで落ち込んだような気になる。
優秀、などと子供の口から慰められたようなのも癇に障る。

(こん、なものッ!)

苛立ちに任せて手の中の本をガッシュに叩きつけようと振りかぶる。
が。
ぐぅ~、とマヌケな腹の音をガッシュが鳴らして空中で手が止まった。

「すまぬ。ところでマスター、ブリはあるか?人間界のブリは魔界のとは違った味わいがあって楽しみにしていたのだ。自己紹介や親睦もかねて食事にせぬか?」

空気をまるで読まない発言にオルガマリーの苛立ちはさらに増す。
言葉も出ない彼女の様子をさすがに妙だと思ったか、顔を覗き込んでガッシュもそこからは慎重に言葉を選び始めた。

「まさかマスター…………」

心配そうな様子でガッシュが言の葉を紡ぐ。

「ブリを食べたことがないのか?あ!そういえば清磨の父上が言うにはイギリスで食事には期待しない方がいいと……生魚を食べるのは日本含め世界でも珍しいと……マスターはイギリスの人なのか?食に拘りはないタイプか!?」

ガッシュ的には考えたつもりの発言だったが、結局デリカシーの足りていない発言でついにオルガマリーの怒髪が天を衝いた。

「うるっさいわね!!確かにイギリス人だけどあなたに食についてどうこういわれるほど落ちぶれちゃいないわよ!!サーヴァントに食事は必要ないでしょう!」
「む、何を言うか!食べることは生きることだぞ!?」
「サーヴァントは生きてないでしょうが!」
「…いや、生きた状態で召喚されるサーヴァントもいる!人間界の外側から召喚されるものとか、伝説に聞く山の霊廟の翁殿とか生死の狭間を超えておる!」
「今一瞬詰まったわね?そういう例はあるにしても、あなたはそうじゃないんでしょう!?」

息切れするほどに怒鳴りあって、二人そろって少しインターバルに入る。
そしてまだ怒鳴り続けようとするオルガマリーだったが、ガッシュがそれを手で制して発言を繋いだ。

「……すまない。私の負けを認める、マスター。いったん主張を取り下げる。ブリは結構だ」

たしかにサーヴァントは食べなくても大丈夫だ、と論旨を認めて引き下がるガッシュ。
殊勝な態度にオルガマリーも少々鼻白んで続くガッシュの言葉を許す。

「改めて提案なのだが、場所を変えぬか?道端で喚き散らすのは目立つし……あまり賢明とは言えまい?」

ぐうの音も出ない提案。
ヒステリーを起こしていても、ここで怒鳴り続けるのも愚かしいと考える程度にはオルガマリーは理性的であった。
ついてきなさい、と態度で示して歩き始めるオルガマリーの後ろにガッシュが続いた。

「あ、すまぬマスター。名前をまだ…」
オルガマリー・アニムスフィア。本当に私のサーヴァントなのよね?なら、オルガでいいわ」
「ウヌ、オルガか。よい名だ。ではオルガ、どこへ向かっておるか聞かせてくれぬか?魔術師の工房というやつか?」

どことなく楽しみそうなガッシュの言葉を黙殺し、人気のない路地裏でオルガマリーは足を止めた。

「さて、ここなら目立たないでしょう。話を続けましょう」
「むう……工房は遠いのか?あ、まさか秘密基地のような隠し扉がここに?」

あるいは工房に通すほど信頼されていないのか、との不安がガッシュによぎるが。

「ないわ、そんなもの。隠し扉も工房も」

オルガマリーの答えは簡素だった。
ある意味信頼されていないというより冷たかった。

「ではなぜこんな……食い意地が張ってるわけではないと前置きするが、どこか店に入ってもよいのでは?」
「ないわ。ここで使える通貨が」

オルガマリーの口調に苛立ちが再び滲み出す。
言葉だけでなく懐も冷たかった。

「改めて名乗るわよ。私はオルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア。アニムスフィア家の当主で、人理保証機関カルデアの所長……」

つらつらと現状を述べ始める。
素性や把握している限りの現状。
人理焼却の危機、謎の特異点F、解決のためレイシフトでチームを派遣したこと、レイシフトしていない自分がなぜか冬木にいて聖杯戦争に巻き込まれたこと。

「聖杯戦争……父がかつて優勝したそれと、今回のこれがどう関係しているかは分からない。この冬木が、人理焼却にどう影響しているのかも分からない。手札も情報も不足している以上、一応は私のサーヴァントであるあなたに協力を頼むしかない」

藁をもつかむような状況だ。
外法の契約かもしれないが、サーヴァントと同行できるならばこれ以上頼れるものもそうはない。
すがるようにガッシュを見つめる。

「そうか……」

その視線を受けてガッシュは応えた。

「おぬし、家無し子のうえに文無しなのか」
「その言い方はやめなさい!」

本気で悲痛な声を上げるガッシュにつられてオルガマリーもちょっと今までとは違う意味で泣きそうになる。
仮にもロード、貴族の家に生まれついてこんな憐れみを受けるのは初めてだ。

「そんなに空腹ならこれでも食べなさい、まったく」
「む、ありがとう…おお、美味しい」

現状のオルガマリーの数少ない財産であるドライフルーツをガッシュの口にねじ込む。
甘いものは苛々にいいのでオルガマリー自身も口にする。

「人理焼却といいのはよく分からぬが、困っているのは分かった。案ずるな、私が力になろう!陣営を同じくする仲間もいるのだ、宿や食事を貸してくれるものもいよう!」
「……そう。協力には感謝します、アーチャー。でもさすがに初対面の相手に屋根や食事を恵んでくださいというのは沽券にかかわるからやめて頂戴ね」

ドライフルーツも食べて、まともに話もできてようやくオルガマリーの口調に落ち着きらしいものが戻る。
それでようやくと言うべきか、手の中にある赤い本について思い出した。

「この本は……」
「先ほども言ったが、私の力を引き出す本だ。マスターが持ち、心の力を込めて書かれた呪文を詠唱することで力を発揮する。マスターが持たねばならないが、それが燃えてしまうと私は現界を保てず消えてしまうので注意してほしい」

生命線というべき赤い魔本。
宝具であるそれを握るオルガマリーの手に力がこもる。
サーヴァントの戦いに自らも身を投じねばならないのだと引き締まる思いだ。

「……それじゃあやっぱり、本か身を隠す拠点は欲しいわね。行きましょう」
「ウヌ。仲間を探して泊めてもらうのだな」
「物乞いの真似事はしないわ、これでも貴族よ。ホームステイなり留学生なり暗示をかけて潜り込むわ」
「……それはそれで貴族の振る舞いかというと疑問があるが」
「うるさい」
「あと私は一応王族だが、野宿でも構わぬぞ?」
「うるさいわ。って、え?あなた王族?ベル、ってどこの王家?アメリカの自称皇帝とかだったら怒るわよ?」

オルガマリーの、騒々しい人理修復の旅路が始まった。


【クラス】
アーチャー

【真名】
ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!!

【パラメーター】
筋力C 耐久B 敏捷C 魔力A 幸運A 宝具A+(A++)

【属性】
中立・善

【クラススキル】
単独行動:EX
マスターからの魔力供給を断っても自立できる能力。
宝具、『心をつなぐ赤い魔本(レッドデータ・スペルブック)』が存在する限り現界・全力戦闘できるが、逆にその宝具を失った場合現界を維持することができず消失する。

対魔力:E
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
1000年以上の長い時を生きた存在で高位の神秘を秘めるが、魔界の王を決める戦いにおいて魔術によるダメージを多数受けた逸話からいかなるクラスで召喚されようと彼の対魔力はあまり高くならない。

【保有スキル】
怪力:C
一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。
使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。

紅顔の美少年:E
人を惹き付ける美少年の性質を示すスキル。
男女を問わずに魅了の魔術的効果として働くが、対魔力スキルで回避可能。
対魔力がなくても拮抗する意思があれば軽減できる。

カリスマ:D(B)
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
全盛期のガッシュは魔界に千年以上君臨する王としてより高位のものを持つのだが、幼い時代の姿で召喚されたためにランクダウンしている。
とはいえその片鱗を紅顔の美少年として輝かせている。
そもそもカリスマは稀有な才能でDランクでも一軍団の旗頭としては十分な才であり、少年としては破格、すでに凡百の王が持ち得る器に比肩している。

魔王の兆し:A
ガッシュ・ベルはかつての魔界の王の息子にして、自身もまた千年に一度行われる王位争奪の戦いに優勝した魔界の王である。
少年期の肉体で召喚されたため、王となった後の技能や経験の一部は再現されていないが、それに至る未来は確定されておりその才覚の片鱗は見せる。
魔界の王を決める戦いを多くの仲間と勝ち抜いた逸話が味方全体の魔術系の技能に有利な補正を加えるスキルとなっている。

雷の君臨者:‐(EX)
雷のベル、その血を引く魔王。
魔界の王としてのガッシュが持つスキルであり、一部の術の効果に上昇補正がかかる。
魔界の王の肉体で召喚された場合、紅顔の美少年と魔王の兆しのスキルを失い、こちらを獲得する。

【宝具】
『心をつなぐ赤い魔本(レッドデータ・スペルブック)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
魔界の王を決める戦いにおいて各魔物に与えられる本。生前人間界で行使した全ての呪文が刻まれている。マスターとの関係によっては新たな呪文が刻まれることもある。
魔力炉・依り代としての機能を持ち、この宝具が存在する限りガッシュは現界し続けることができる。
魔力炉としてマスターの心の力を魔力として還元することができ、さらに本に書かれた呪文をマスターが詠唱することでガッシュの術を発動する。
逆にこの宝具を通じてでなければガッシュは魔術・宝具の大半を行使できない。
座に存在する多数の英霊などの協力を得ることで後述の宝具へと進化する可能性を持つ。
余談だが、偽臣の書と呼ばれる英霊行使の礼装の原型という説がある。

『絆をつむぐ金色の魔本(ゴールデンルール・グリモア)』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
魔界の王を決める戦いの終盤、多くの魔物の力を借りて戦った奇跡の再現。
自身か、あるいはマスターが深い関わりを持った英霊の宝具を本を通じて借用・真名解放可能となる。英霊ならざる人間や精霊、幻霊や魔物の力も場合によっては発動可能である。
その際にマスターやガッシュに魔力消費はなく、持ち主だった者の力によって発動する。
この状態でのみ発動可能な宝具を持つ。
強力な宝具だが、その解放には多数の魔物や英霊の同意を得なければならない。なお同意することができるものはガッシュか召喚者に関わりのあるものに限られるが、現界していなくても英霊の座や魔界などから賛同の意を示すことはできる。ムーンセルやアラヤ、ガイアに記録されたものでも、他異聞帯や特異点からでも、幻霊でも神霊でも声が届くなら何でもよい。

『臣下たる雷龍、万物を喰らう(バオウ・ザケルガ)』
ランク:A+ 種別:対門宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:20人
宝具『心をつなぐ赤い魔本(レッドデータ・スペルブック)』に刻まれた第四の術にして彼の最大呪文。
長い時の中で神秘と信仰を高め、魔界を滅ぼす二大脅威として恐れられている巨大な雷の龍を召喚・攻撃する。
その始まりはガッシュの父である魔界の王が生み出し、およそ1000年持ち続けた魔術奥義。
全てを喰らい尽す恐ろしい術であり、年老いた身では制御しきれず息子であるガッシュへと受け継がれた。
『臣下たる雷龍の爪撃(バオウ・クロウ・ディスグルグ)』という龍の一部のみを行使する術も存在する。
金色の魔本下においてのみ後述の宝具へと進化する可能性を持つ。

『進化せし真の雷龍、原罪の徒を打倒せん(シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ)』
ランク:A++ 種別:対星宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
バオウ・ザケルガが数多の貴き幻想と融合した究極術。
生前放ったときにはガッシュやその父と鎬を削った魔界の王候補であった100体以上の魔物の力を束ねて発動し、魔界を滅ぼそうとした魔物を撃退した。
その時と同様に金色の魔本を通じて、座に存在する多数の英霊の力を借りることで放つことが可能となる、星をも飲む巨大な雷龍召喚術。
この術の片鱗として『思いを通じる金色の不死鳥(バルド・フォルス)』という巨大な鳥を召喚する術を行使する可能性も秘める。シン・ベルワン・バオウ・ザケルガの解放には100近い協力が必要だが、バルド・フォルスは4名以上の協力があれば詠唱でき、魔力の消耗がほぼない。


【weapon】
  • 魔法のマント
ガッシュの魔力によって自由に変形させることができるマント。
防御や攻撃はもちろん、高速回転による飛行、マスターを掴んだり乗せたりしての随伴移動など汎用性に富む。
かつての王を決める戦いにおいては敵の放つ術でも並以下のものであれば受け止めることができる防御力、樹木を容易く切り倒すほどの攻撃力を見せた。
また胸の部分にブローチがついており、このブローチさえ無事ならマントはどんなダメージを受けてもガッシュの魔力を使うことなく修復される。

【人物背景】
人間界とは異なる世界、魔界を統べる王の息子として生を受ける。
しかし王の息子として手厚く育てられることはなかった。
父である王の奥義、世界を滅ぼす術である『バオウ・ザケルガ』を生後間もなく受け継ぎ、その力を悪用されないために庶民の手に預けられ、そこで虐待同然の扱いを受けて過ごしたためである。
親も死んだと虚言を吹き込まれ、孤独と絶望から塞ぎ込んでいた時期もあったが、深夜に訪ねてきた王家の使いと育ての親の会話を偶然聞き兄と父がいることを知ってからは見様見真似の貴族言葉と明るい振る舞いで、自分は元気に過ごしているとアピールするようになる。
しかし学校ではあまり優秀ではなく、大半の術を行使する際に意識を失ってしまう欠点から落ちこぼれとされそちらでもいじめられることもあった。
それでも天真爛漫に過ごし、王の才覚か学外でレイン、シュナイダー、パティなど一癖ある魔物と絆を深めていた模様。
バオウを受け継いだことと、そんな厳しい現実を過ごしたことが評価されたか1000年に一度行われる魔界の王を決める戦いの参加者の一人に選ばれ人間界へと召喚される。
召喚されてすぐに、双子の兄ゼオン・ベルと再会する。
しかし自分が受け継ぐはずだったバオウを奪われた、自分とは違い何の苦労もなく戦いの候補者に選ばれたなど様々な誤解を持っていたゼオンはガッシュに敵として接触し、瀕死にしたうえ魔界時代の記憶を奪う。
戦いが始まって早々に大ダメージを負い、さらに自分が戦いに参加しているという自覚もなくしたガッシュは早期に脱落するだろうと放置されるが、魔本のパートナーと出会い、戦い続けていくことで成長していく。
他の魔物の振る舞いに時に学び、時に反面教師に、助け合い、教え合い。
戦いを通じて兄ゼオンとも和解をし、魔界と人間界双方を滅ぼす脅威も仲間と退け、最大の好敵手との戦いにも勝利して魔界の王座に就く。
王位について後も宰相や教育係などとして多くの仲間に支えられ、魔界をより良いものにするために尽力した。王となって十数年後に再び人間界に現れたようだが、今回の召還ではそちらの記憶は定かではない。きっかけがあれば思い出すこともあるかもしれない。

サーヴァントは全盛期の姿で召喚されるが、ガッシュが人間界で活躍した歴史は子供の姿が殆どであるため、人間界の歴史以外を観測できる極めて特殊な状況下でない限り子供の姿で召喚される。
その場合、人間界では知り得ない歴史であるためか、魔界で王として過ごした記憶も殆どぼやけたものとなる。
まず不可能だが、魔王としての全盛期で召喚されれば『王の身を守る絶対の盾(ワンド)』を有しあらゆる術を封じる結界を持つキャスター、龍に加えてガッシュと同じ英霊魔物『疾きこと焔光の如く(シュナイダー)』を駆るライダーとしての適性を持つ。

【サーヴァントの願い】
際立ったものはないが、もし聖杯を手にできたなら仲間たちとまた会いたいと願うかもしれない。
まずは清麿との出会いと経験で成長できた自分のように、オルガマリーを導くこと。
王を決める戦いの経験があるため、サーヴァントのみを脱落させて優勝を狙うというなら聖杯狙いに躊躇はしないだろう。

【マスター】
オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア@Fate/Grand Order

【参加方法】
特異点Fにレイシフトするはずが、別時空の冬木にたどり着いてしまった。そのせいか現地におけるロールがない。宿無し文無し職無しである。
いつのまにか黒く焦げた羽は持っていた。
レイシフトで用いるコフィンに羽を持つ何者かが入っていて爆弾で吹き飛ばされたら、こんな風に砕けて焦げた羽が残るのではと思われる。

【マスターとしての願い】
みんなに認められる自分になりたい。
ただし現時点では別時代の特異点Fであるこの地の調査を優先する。

【weapon】
なし。
レイシフト用の礼装を準備していたらしいが、遅刻者への説教(やつあたり)に時間を費やし装備する暇がなかったらしい。
ドライフルーツは携行。
本人の言うところでは甘いものは苛々にいいから持っているらしいが、果実を星に見立てての天体魔術に使ったりなどするのだろうか。

【能力・技能】
  • 魔術師
時計塔に居並ぶ12のロードの家系の一つ、時計塔の天体科を司るアニムスフィア家の当主であり、積み重ねた歴史と教育に裏打ちされた一流魔術師である。
ソーシャルゲームFate/Grand Order本編中ではマシュへの治癒とスケルトンからの自衛くらいしか披露しないが、別媒体においては優れた面を見せる。
ドラマCDでは単独の魔術でシャドウ・アーチャーと渡り合う戦闘能力を発揮。
TYPE MOONエースのコミカライズでは魔物を一撃で射抜く魔弾、シャドウアーチャーの矢に耐える強化を使用。
『ロード・エルメロイ二世の事件簿』においては11歳の彼女が登場し、幾人かの魔術師の協力ありきとはいえ二十七祖直系の死徒を撃退する大魔術を披露。
かの大英雄にして稀代のルーン魔術師クー・フーリンをして「単独でも魔物相手なら問題ない」と評される、戦闘にも優れた魔術師と言える。
ただしマスター適性は持たない、とカルデアの研究者、そしてクー・フーリンにも断言されている。
偶然か作為かは人理修復を終えた直後では語られていないが、そのために魔本を通じて契約するガッシュのような一部の例外を除くサーヴァントの能力を十全に引き出すのは難しいと思われる。

  • 獣の器?
マスター以外の別のモノの適性があることは人理漂白事件において示されているが、今はまだそれについて語るべき時ではないだろう。

【令呪】
右手の甲。
ロストルームで描かれたものと同じ。

【人物背景】
魔術師の名門アニムスフィア家の当主であり、人理継続保障機関フィニス・カルデアの所長を務める女性。
3年前に前所長兼党首である父の死によって突如この地位に就くこととなる。
それに伴う重責、さらに死後明らかになった父の行っていた非人道的な実験を知ったうえに、父の教え子であるキリシュタリア・ヴォーダイムの方が周囲の期待と信頼を集めて「彼がアニムスフィアの跡を継ぐべき」などの流言まで飛び交い、一ヶ月ほど拒食症に陥りヒステリーも普段の三割増しとなっていた。
そんなノイローゼ一歩手前の状態で所長の仕事を引き継ぎ、実験の唯一の成功例である少女に報復を受けると思い込み、精神状態は悪化。
その上に一族の研究成果であるカルデアスを通じて未来の消失という異常事態を観測し、魔術協会やスポンサーから非難の声が山のように届く。
さらにはマスター適性を持たないというスキャンダルが発覚と悪いことが重なりまくり、すっかり追い詰められている。
そんな状況でもカルデアの所長として最善を尽くし、グランドオーダー発令まで心身をすり減らして作戦決行の日を迎える。
しかし突如発生した爆発によりカルデアの機能は八割が停止、オーダーは一歩目からつまずくこととなる。
本来の歴史で彼女は人類最後のマスターとそのサーヴァントと共に、人理消失の原因と考えられる特異点Fの調査を行うことになるのだが、黒い羽を手にしたためかレイシフトの乱れか異なる時空の冬木にたどり着く。

魔術師の常とはいえるが、悪人と評されることも多々あり事実としてなかなかいい性格をしている。
だがそれは突如父から引き継いだ党首、所長の重責とマスター適性のなさからくる悪評に伴う余裕のなさが原因となっているのが大きく、時計塔の名門出にしては人間的なほう。
ただシオン・エルトナムやライネス・エルメロイなど、ある程度「人の上に立つ自分」を演出しなければいけない同性の同世代相手には、普段は見せない砕けた面を見せることもあるようだ。

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最終更新:2023年11月20日 02:03