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☆論題背景@でぃべーたぶるより




☆これは見ておく!!☆
  • 文部科学省webapge内にある週五日制パンフ




○新学習指導要領の施行前は、多くの生徒が学業についていけていなかった
雑誌 学校経営 平成14年4月号 16ページ
教育評論家の武笠和夫(むかさ・かずお)氏は新学習指導要領の「確かな学力」について以下のように述べています。
「この「確かな学力」は、従来までの「7・5・3」と言われてきた児童生徒の学習の理解度と深く関係している。この「7・5・3」は、純に小学校、中学校、高等学校の児童生徒で、「学習内容が理解できている人の割合」を示しており、例えば小学生では7割の自動詞か学習内容が理解できていないことを表している。」



○週五日制はスポーツ少年団・部活動を活発化させ、子どもや保護者のゆとりを奪う
雑誌 学校経営 平成14年4月号 12ページ
リポート「完全学校週五日制がスタート」より引用開始
「スポーツ少年団、部活動の加熱を心配する声も少なくない。香川県を初めとするいくつかの県や市町村で「ノー部活デー」を設けるなどの取り組みが進められているが、こうした施策の裏側には「部活動の加熱」への懸念があるからにほかならない。また、小学生のスポーツ少年団の活発化が、子どもの体験活動を減らし、家族の負担を増やすのではないかという指摘も聞こえてくる。」



○週五日制は教師のゆとりを奪う
雑誌 学校経営 平成14年4月号 12ページ
リポート「完全学校週五日制がスタート」より引用開始
「「ゆとり」を全面に掲げてきた五日制が、結果として子どもや保護者、教師のゆとりを奪うという皮肉な兆候も現れ始めている。国立教育政策研究所が行った調査によると、5日制の導入に伴い、「児童生徒の同断に応じる時間」が減少したと答えた教員が53.3%、「教材研究の時間が減少した」と答えた教員も43.3%に達している。」



○週五日制で不可欠である、地域の受け皿をつくるのは難しい
雑誌 学校経営 平成14年4月号 11ページ
リポート「完全学校週五日制がスタート」の中で、週休五日制の問題点について以下のように述べられています。
「もう一つは地域の「受け皿づくり」をどう進めるかという問題だ。この問題については「学校だけにその役割をおしつけるのはどうか」という議論も多い。とはいえ、して何らかの姿勢を示す必要に迫られるケースも少なくない。だが「受け皿づくり」は学校が単独で事を進めようとしても難しく、またライフスタイルの変換等から地域と子どもの関係が希薄になってきていることもあり、思うように進まない状況が続いている。文部科学省が昨年秋に実施した「地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査」によると、土日のボランティア活動や社会教育施設の利用に対する関心は総じて低い。」



○多くの私立学校は週五日制を導入していない。
雑誌 学校経営 平成14年4月号 10ページ
リポート「完全学校週五日制がスタート」より引用開始
「全国的な動向を見ても、公立学校がすべて五日制になるのに対し、私立学校では五日制を導入しないところが多い。文部科学省が行った調査によると、平成14年2月時点で、4月からの5日制導入を予定している小・中・高校は29.3%と、全体の3分の1にも満たない。(中略)「学力低下論」が飛び交う中、むしろ公立の完全実施を横目に現状を維持し、児童生徒の獲得をねらう私立学校も少なくない。」



○週五日制は放課後の時間が減るため、教育活動に支障がでてくる
雑誌 学校経営 平成14年4月号 9ページ
リポート「完全学校週五日制がスタート」より引用開始
「福島県に住む中学校教諭・T氏に、5日制の施行について聞いたところ、複雑な表情を浮かべ次のように答えた。「制度の主旨も分かるし、メリットも多いと思う。でも、貴重な放課後の時間が失われる点が一番痛い。」(中略)五日制が施行されると、土曜微分の授業が平日に回ってくる関係で放課後の時間が減少し、校務に追われて補修や部活の指導に手が回らなくなることを、彼は何よりも懸念する。「例えば、教材研究をする時間、授業について行けない子どもに補修をする時間は、放課後という時間があったからできた。これが無くなると、教育活動の至る所にほころびが出る」」



○スポーツ少年団に家族が振り回されている。
雑誌 学校経営 平成14年4月号 8ページ
リポート「完全学校週五日制がスタート」より引用開始
「京都府に住むWさんの主婦仲間で、「学校週五日制」の最も心配な点は、「休みになった土曜の過ごし方」でも、「学力低下」でもない。それは「土曜日が休みになった子どもに家庭が振り回されること」だと言う。「朝ゆっくりできるという点で土曜の休業を喜ぶ人は多い。でも、子どもが所属するスポーツ少年団の試合や練習につき合わされる日が増え、ゆっくりできる休日が減るのを懸念する人はもっと多い」(中略)同級生の母親の中には、家族全員が毎週のように長男のスポーツ少年団につき合わされ、あわただしい週末にうんざりしている一家も少なくないという。平成13年度のスポーツ少年団の数は、全国で約3万5000。そのほとんどは、地域の人や保護者の力を得て活動を続けている。」



☆おまけ:国は補助金をちらつかせて、私立に強制的に五日制を導入させようとしている。
雑誌 論座 2002年5月号 43ページ
日本私立中学高等学校連合会常任理事の近藤彰郎(こんどう・あきお)氏は以下のように述べています。
「費用問題とともに、今もっとも問題にすべきことは、補助金によって5日制に移行するよう国が圧力をかけていることである。今でもないが、おカネによって教育を支配しようと言う旧態依然の考えは、何が有ろうと許されるものではない。私学のよさは、独自性であり自主性であり、柔軟性である。それを最大限に守るためにも、補助金をちらつかせて屈服させるようなことだけは、絶対に認めるべきではない。」


☆おまけ2:実際、私立に対して、補助金と引き替えに5日制にするように圧力をかけている。
雑誌 論座 2002年5月号 43ページ
日本私立中学高等学校連合会常任理事の近藤彰郎(こんどう・あきお)氏は以下のように述べています。
「聞いたところによると、私立学校でありながら教育委員会の会議などに出席させられて、「補助金をもらいたければ、週五日制に移行せよ」と脅しに近いことを言われたところもあるそうだ。この場合の補助金とは、通常の補助額に加えて、5日制にしたときのプラスアルファだ。また、都のある教育関係者が文科省に行ったところ、「週五日制が東京の私立学校では全然進んでいないようだが、東京はどうなっているのか」と聞かれたという。」



○土日の2連休、ハッピーマンデーのような3連休があると、子どもの生活リズムが狂ってしまう
雑誌 論座 2002年5月号 53ページ
兵庫県山口小学校教諭 陰山英男(かげやま・ひでお)氏は以下のように述べています。
「子ども達だけでなく、親もそうですが、休日は平日より遅く起きます。連休になるとそれが重なってもっと遅く起き、遅く寝ることになります。すると3日目の月曜日に朝起きられなくなる子が多くなります。「ハッピーマンデー」で土曜、日曜、月曜の三連休とも成ると、これがもっとひどくなります。三連休以上の連休が2002年度だけで9回もあるんです。三連休の後は、子どもの生活リズムが狂ってしまい、学校に出てきても注意力が無いし、ひどいのになると、学校に出て来れない。これは不登校傾向の走り減少でもあるんです。これでは授業になりません。これは多くの教師の悩みになっています。」



○完全週休5日制をすると、新学習指導要領の内容を行うことができない。
○完全週休5日制をすると、ゆとりがうまれなくなる。
雑誌 論座 2002年5月号 49ページ
兵庫県山口小学校教諭 陰山英男(かげやま・ひでお)氏は以下のように述べています。
「新指導要領は年間35週、つまり175日を前提に編成されています。しかし、実際には学校は年42週程度あり日数は200日程度あって、その差があるのでゆとりがあるはずだと文部科学省では言っているのです。(中略)しかし、今年度から土曜が休みになる。さらに、入学式、卒業式、始業式、終業式、遠足、運動会など、学校には来るけど授業がない日が年間20日前後あり、(中略)さらに、身体測定、運動会や卒業式の練習など1時間単位で授業が削られるものがたくさんあって、これらを差し引くと、実授業日数として文科省が想定している175日をキープするのは非常に困難なのです。」



○各私立学校における志願者数の増減は、5日制、6日制で説明できない。
雑誌 論座 2002年5月号 38ページ
森上教育研究所所長の森上展安(もりがみ・のぶやす)氏は以下のように述べています。
「五日制移行を一度は打ち出しながら、入試直前の昨秋になって6日制維持と君子豹変ぶりを見せた渋谷教育学煙幕は履中学は、昨年までの減少基調や、模試時点の減少予想に反して志望者数を維持。また、付属銘柄校で明確に学校五日制への復帰を明言していた青山学院は、男子で前年比約74%、女子で約92%と志願者数を大幅に減らした。(中略)ただし、以上は目立った例を上げただけで、5日制でのばしたところもあれば、6日制で減らしたところもある。各学校の志願者数の増減にはさまざまな要因が複雑に絡み合っており、5日制、6日制の別だけですべてを説明するには無理があることも事実だ。」



○日本の子どもは、学習が受け身であり、自分で学ぶ力が不足している。
教育委員会月報 平成14年2月号25ページより引用開始
「文部科学省において実施した「教育課程実施状況調査」等の結果によると、我が国の子どもたちは、覚えることは得意で計算の技能や文章の読み取り力などもよく身につけているものの、①学習が受け身で、自ら調べ、判断し、自分有りの考えを持ち、それを表現する力が不十分である、②授業の理解度、満足度ともに学年があがるにつれ低下している、との問題点が指摘されている。」



○学校週五日制の目的
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 1ページ
「学校週五日制は、①学校教育が、ともすれば画一的、硬直的になりがちであること、家庭や地域社会の教育力が低下し、学校教育に過度に依存する傾向が見られることなど、学校、家庭、地域社会が一体となって、子どもたちに、自然体験や社会体験を行うための場や機会を増やし、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力をはぐくもうとするものである。」



○学校週五日制の目的 その2
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 1ページ
「完全学校週五日制については、平成8年7月の中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」において、今後の教育の在り方について、子どもたちや社会全体に「ゆとり」を確保する中で、学校・家庭・地域社会が相互に連携しつつ、子どもたちに「生きる力」をはぐくむことということを基本にして展開されていくべきだとした上で、「生きる力」は単に、学校だけで育成されるものではなく、学校・家庭・地域社会におけるバランスのとれた教育を通してはぐくまれるとしている。」



○学校週五日制の目的 その3
雑誌 教育委員会月報 平成14年2月号
「学校週五日制の主旨は、学校、家庭、地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を発揮する中で、子ども達に、自然体験や社会体験を行うための場や機会を増やし、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力をはぐくもうとするものである。」



○学校週五日制の目的  その4
雑誌 学校経営 平成14年4月号 20ページ
教育評論家の武笠和夫(むかさ・かずお)氏は新学習指導要領の「確かな学力」について以下のように述べています。
「文部科学省では、2002年3月4日付けで「完全学校週五日制の実施について」という事務次官通知を出している。これによると、完全学校週五日制の主旨を「幼児、児童および生徒の家庭や地域社会での生活時間の比重を高めて主体的に使える時間を増やす」、「『ゆとり』の中で、学校・家庭・地域社会が相互に連携し、子どもたちに社会体験や自然体験などのさまざまな活動を経験させる」、「自ら学び、自ら考える力や豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの『生きる力』をはぐくむ」としている。」



○学校週五日制は、学校と家庭・地域における教育の比率を変化させる。
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 2ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「学校五日制は、教育の構造改革と言って良い。(中略)よく、教育は家庭、学校、社会で行われるといわれるが、従来の教育は、学校対家庭・地域の比率が、「6:1」であったのが、「5:2」になるわけだから、これは教育の構造改革なのである。(中略)つまり、家庭や地域の出番が多くなるわけだから、この3者の連携が、従来以上に重要になってくる。」



○学校週五日制によって、子どもの学習のリズムが変わる
○子どもが自分自身で何かを創造しないと、学校週五日制の効果はない
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 2ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「学校週五日制で、子どもの生活のリズムは変わる。生活のリズムの変化は「生活が教育をする」という有名な言葉によるまでもなく、学習のリズムの変化である。それでは、学習のリズムはどう変わるのだろうか。変化のキーワードは「自由」の増大ということである。学校という種種の規制から解放される日が1日増える訳である。いや、2倍になると言った方が良い。具体的には、学校へ行かないと言うことは、学校の時間割から解放されると言うことを意味している。つまり、「解放の自由」を2倍味わうことが出来るようになる。ところが、問題は、解放自由の後に何を創造するかという「創造の自由」が控えているのに、それに気づかない人が多い。規制から解放されたといって喜んでいるだけでは何も生まれない。」



○学校週五日制では、子どもは自分で学ばなければならなくなる
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 3ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「さきに、学校五日制は、子どもに学習のリズムの変化をもたらすといった。学習のリズムとは、学習の内容、方法の変化を指す。その主な変化は、土・日曜には教科書がないということ、教師がいないということ、時間割がないこと…等である。これを子どもの側から見ると、学校で学ぶ教育は教科書に代表されるように「他人の経験」から学ぶことである。これに対して、家庭や地域では、教科書もあにことでも分かるように「自分の体験」から直接学ばなければならなくなる。」



○自分の体験から学ぶことは重要である
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 3ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は「他人の経験から学ぶ」ことと「自分の体験から学ぶこと」について以下のように述べています。
「この両者の違いが重要なのである。その重要性をまず指摘すると、例えば、いくら教えても分からない人がいるのに、一方では、他人から教えられなくても分かる人がいるという事実をどう考えるかである。つまり、自分の体験から学べる人は、他人の経験からも、より速く学べるということである。ところが、学校教育の大半は他人の経験から学ぶことに重点をおいている。」



○子どもは家庭や地域で無意識に学習を行う。
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号4ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「学校、家庭、地域の三者の連携協力を考えるには、まず、三者の違いを明確にしておかなければならない。(中略)まず、家庭の教育機能だが、それは、子ども側から見ると、生活(主として遊び)を通じて、無意識のうちに様々なことを学習しているはずだが、本人にはその意識がない。しかし、その無意識的学習が後々の学校での学習に重大な影響をもたらす。(中略)地域の教育機能は、つきつめていくと、人間(大人)の言動のすべてということになる。つまり、子どもは、大人の言動をみて、無意識のうちに学ぶが、それは、大体模倣という形を取ることが多い。」



○学校は意図的な教育機能をもつ
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 5ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「学校の教育機能は、意図的であって、それは、学校には教科書があり、時間割があり、教師がいると言うことなどで証明されるだろう。」



○無意識に学んだ知識は、学校で応用できる。落ちこぼれをなくすこともできる。
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 6ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「三者連携の可能性として考えられるのが、イメージ・トレーニングである。これは、家庭や、地域での無意識的予習あるいは無意識的学習で得たことを、学校での意図的学習とむすびつけることである。例えば、親が日常的に靴をそろえるといったことをやっておけば、学校で、靴をそろえましょうと意図的に教えても、子どもには分かりやすいと言うことである。こうしたイメージ・トレーニングは、躾(しつけ)や道徳教育に有効だが、知育や体育にも応用できる。(中略)特に、落ちこぼれの多い教科やテーマについて、イメージ・トレーニングを応用すると落ちこぼれ対策になることはいうまでもない」



○地域で子どもが学ぶと、その教育機能により悪いことをしなくなる。(理論的に)
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 5ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「地域の教育機能は、つきつめていくと、人間(大人)の言動のすべてということになる。つまり、子どもは、大人の言動をみて、無意識のうちに学ぶが、それは、大体模倣という形を取ることが多い。(中略)地域の機能の第一は、大人が模範を示すことだが、逆に、悪いことをしないというブレーキ型の機能を強調した方が現代社会にマッチするかもしれない。」



○週五日制は、子どもが汚れた大人の社会にいる機会がふえるため、悪いことを模倣する。
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 5ページ
お茶の水女子大学名誉教授 森隆夫(もり・たかお)氏は以下のように述べています。
「子どもは、善悪の区別無く周りの存在を模倣するが、大人は善悪の判断の基に、ときには損得の判断の上で模倣する。つまり、大人の社会は子どもの学校と異なり、汚れていると言うことである。ここで、かつてJ.Deweyが言った、学校は「純粋な社会」という意味が生き返ってくる。特に、学校週五日制になると、子どもは、汚れた、きたない社会、悪に満ちた社会にいる日が増えるわけだから、そこでの子どもの責任による創造の自由には限界があるし、その先は暗いとしか言いようがない。したがって、大人の出番、大人が、社会を少しでもきれいにすべく、模範を示すのも、三者(学校・家庭・地域)連携の基礎基本といえる。」



○週五日制のもとで子ども達に「生きる力」をはぐくむため、他の施策を行っている。
雑誌 教育委員会月報 2002年2月号 1ページ
「文部科学省に置いては、これまで、完全学校週五日制の下で子どもたちに「生きる力」をはぐくむため、学校・家庭・地域社会に関する様々な施策を行ってきている。例えば、学校においては、平成10年度に学習指導要領を改訂した。今回の学習指導要領の改訂に置いては、完全学校週五日制の実施に伴う授業時数の縮減以上に教育内容を基礎・基本に厳選した。これより生じた「ゆとり」の中で、子どもたちに、基礎・基本を確実に身につけさせ、それを基にして、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむことをねらいとしている。」




○大学全入時代により、いままで行われていた躾(しつけ)の効果がなくなる。
雑誌 社会教育2002年10月号64ページのなかで、千葉大学教育学部教授の明石要一(あかし・よういち)氏は以下のように述べています。
「よく、「地域が変わった」「社会が変わった」というが、その説明を私は2010年問題として話すことにしている。簡単に言うと「大学全入時代」が到来するということである。希望者が希望の大学に全員は入れるようになり、受験という関門がなくなる。予備校などは福祉や情報関係の専門学校を作るなどして対策している。予備校の次の困るのは、親、そして教師である。これまでの躾(しつけ)や指導の効果は「受験」という「縛り」があったおかげだからである。「受験」に代わる哲学を持たなくはならなくなった。」



○「学びのすすめ」に関する情勢と、教員保護者のうけとめ方
雑誌 学校経営2003年4月号8ページ
千葉大学教授の天笠茂(あまがさ・しげる)氏は以下のように述べています。
「トップダウンの手法をもって改革を標榜する小泉政権にあって、その教育改革の省庁が「学びのすすめ」にあるといえよう。文部科学省のトップである遠山大臣が自ら筆をとり、教育改革の方向やあり方を教育現場に説いたのが「学びのすすめ」である。この「学びのすすめ」については、多くのマスコミが「ゆとり教育」からの路線転換をはかるものと伝えた。対する文部科学省は、「学びのすすめ」が求めるものは「ゆとり教育」と矛盾するものでなく、路線を変えるものでもないと説明を繰り返した。この一連の動きに対し、文部科学省の説明のとおり「ゆとり教育」路線と「学びのすすめ」とは「矛盾はない」と受け止める教員は31.3%、保護者は11.3%であった。これに対して教員の62.6%、保護者の87.2%は「ゆとり教育」と「学びのすすめ」の間に矛盾する者があり、そこに「ゆとり教育」からの転換の求めがあると受け止めている。」



○実際現場では、授業時間の増加により子どもの遊ぶ時間が失われている。
雑誌 学校経営2003年4月号52ページ
フリーライターの杉本政光氏はルポ「学校現場はどう変わり、どう動いたか」の中で30代女性小学校教師のインタビューについて以下のように述べています。
「学校週五日制のスタートでつくづく感じるのは、子ども達の生活リズムが変わったことですね。」そうかたるM教諭によれば、以前にもまして休み明けの月曜日の授業が大変になったという。子どもたちが落ち着かないからだ。2001年度以降、こうしたいわば学習以前の問題に悩むことが増えたとM教諭は指摘する。その一つに、子ども同士が遊ぶ機会と時間の減少がある。以前であれば、隔週の土曜日の午前中に学校で遊ぶ約束をして、午後に集まって地域で遊ぶ光景が見られたという。低学年以外に目を向ければ、6時間目まで授業のある日が増えたことで、学校からそのまま塾に直行という子どもが増えた。「子どもたちは、ほんの1時間有れば遊べるんですが、その1時間がなくなってしまったのです。いま、子どもに必要なのは「ゆとり」じゃなくて「時間」です。」とM教諭は語る。」



○現状では、週休五日制は先生の負担をへらしていない?
○週休五日制がないと、今でさえ苦しい先生の負担が更に重くなる。
雑誌 学校経営2003年4月号53ページ
フリーライターの杉本政光氏はルポ「学校現場はどう変わり、どう動いたか」の中で40代男性中学校教師のインタビューについて以下のように述べています。
「「教育改革で何が一番困ったかって?この際だからはっきり言うけど、時間が足りないんだよ、時間が。ゆとりなんか、学校の中野どこを探しても生まれてないね。」中学で社会科を教えるD教諭はそう断言する。全校生徒300人足らずの小規模校なので、3学年すべてを教えている。新任の時から取り組んできた手作りのプリントによる授業スタイルも、ここにきて首をしめる結果につながった。塵や歴史など、各学年の教科の準備だけでも手一杯なのに、そこへ2002年度からは総合的な学習や選択教科などの準備が加わった。絶対評価のために時間が取られる学期末ともなれば、徹夜に近い日もしばしばだ。完全週休二日制になっても、以前にもまして持ち帰りの仕事が多くなったため、休日が休日にならないという。「それでもまだ、専門教科の教材研究なら、時間が読めるからいい。困るのは総合的な学習の時間。専門外のことも多いから、正直な話し、時間が読めないんだよ。もちろん子どもたちには一人ひとりに十分な対応をしてあげたい。だけど、毎日のように深夜近くまで仕事をしている現状では、それを真面目にやったら過労死ですよ。」



○学校行事の削減は、公立学校の意義を失わせる。
○学校行事の削減は、子どもがのびる機会をうしなわせている。
雑誌 学校経営2003年4月号54ページ
フリーライターの杉本政光氏はルポ「学校現場はどう変わり、どう動いたか」の中で30代女性中学校教師のインタビューについて以下のように述べています。
「授業時間数を確保するためB中学校では、一学期の中間試験を廃止したのをはじめ、試験日数や三者面談の回数の削減などに踏み切ったという。R教諭は「試験日数を減らして一日で五教科全部の試験をすることが、なんのゆとりにつながるんですか。」と苦笑する。数ある「廃止」と「削減」の中でも、子どもたちがもっとも残念がったのが、校内球技大会をはじめとするいくつかの学校行事の廃止だったという。「あれには参りました。だって、行事でのびる子どももいるわけです。それを頭から否定してしまったら、公立学校の意味そのものが問われます。たぶん、文部科学省も、行事をなくせとは言っていないとは思うのですが」」引用終了




○実際、学校週五日制は子どもの遊ぶ時間を削ると考えられる。
雑誌 学校経営2003年4月号47ページ
東京都中野区在住の保護者丘健樹(おか・たてき)さんは以下のように述べています。
「学校週五日制の件ですね。土曜日がなくなった分、平日が5,6時間になり、先生も子どもから解放される時間が遅くなった。子どもたちは毎日帰りが遅くなり、児童館にいく子も少なくなったと聞いています。帰宅時間が4時5時になると、子ども同士で遊ぶことも出来ない。2時や3時に帰ってきてランドセルを置いて「だれだれちゃん遊んでね。」と3時ごろから5時ごろまで遊んでくるのと、学校から疲れ果てて帰ってきて「あぁもう5時。塾行かなくちゃ。」と子ども時代を過ごすのと、どちらが子どもらしいと言えるでしょうか。学校週五日制は、先生方に土日を休ませるという大人の都合に、子どもの教育が引きずられていると思います。」



○子どもの周りには「考えること」をしなくても良い環境があふれている
雑誌 学校経営2003年4月号41ページ
東京都中野区在住の保護者堀野麻衣子さんは以下のように述べています。
「子どもと日々話をする中で感じることは、学力低下というより「考えること」ができないというか、「考えること」をしなくてもできる生活が周りにあふれているということです。テレビもゲームもただ受け取るだけで、何も頭を働かせなくても反応で笑っているとか、子ども側から話をすることが少ないのです。」







※下記の学校経営2003年度4月号の統計は以下のようにとられている。
  • 全国から小・中学校約800校を任意に選出。
  • 実施期間平成15年1~2月
  • 教員  配布数  4552、 回収数 1520
 保護者 配布数  5875、 回収数 1171


○多くの保護者は学力低下を教師の力が足りないためと感じている。
雑誌 学校経営2003年4月号10ページ
千葉大学教授の天笠茂(あまがさ・しげる)氏は以下のように述べています。
「『子どもの学力が低下している』という実感があるか、との問については、教員も保護者も、その見方は共通しているところがある。ともに「ある」と「ややある」の合計が全体の4分の3を占め、「あまりない」と「まったくない」の合計は4分の1にとどまる。しかし、その要員については、その立場を繁栄して異なる。教員の多くが社会的要因(42.2%)と過程の教育力の低下(26.5%)をあげるの対して、保護者の多くは学校(教師)の教育力を上げる。すなわち、教員が19.1%であるのに対して、保護者は42.3%に達している。」



○現在「総合的な学習」は、教師を圧迫している
雑誌 学校経営2003年4月号23ページ
佐賀大学副学長の新富康央は以下のように述べています。
「「先生、大変」という実態が改めて明示された。保護者ほどではないが、教員も「総合的名学習の必要性」を認めている。しかし、一方で、「総合的な学習の時間の教員の日常業務への負担」は、かなり高い数値になっている。「負担になっている」38.3%、「やや負担」50.0%という調査結果である。「問題点がある理由」でも「教師の負担が大きく日常業務を圧迫している」が一番高い数値(56.7%)を示している。総合的学習の事業実践を困難にしている現状が垣間見られる。」



○保護者は週五日制を望ましい制度と感じていない
○週五日制は学力低下を懸念している保護者の割合
雑誌 学校経営2003年4月号31ページの中で、帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は週五日制に対する評価について以下のように述べています。
「保護者の評価はどうか。「望ましい方向」だと回答した者は32.2%と教師よりも厳しい評価を下している。望ましい理由としては、「自由に過ごす時間が増えた」(72.2%)、「家族と過ごす時間が増えた」(69.0%)を多くの者が指摘する。反対に「そう思わない」者は67.5%にも上り、否定派は賛成派の2倍強になる。否定派の理由は、「受け皿は十分でない」が63.7%と最多だが、次いで「学力低下が懸念」が61.1%と接近している。つまり保護者は教師よりも学力低下を懸念する傾向が著しく、そこに教師との意識のずれがあるといえよう。」



○休みになった土曜日に、学校で取り組みを実施している割合
雑誌 学校経営2003年4月号29ページ
帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は以下のように述べています。
「完全学校週五日制により休業になった土曜日への対応についてはどうか。この取り組みを実施している学校は小学校24.2%、中学校27.6%、全体では25.6%となる。一見土曜日対策は十分でないように思えるが、学校以外にも地域団体や社会教育施設などが、土曜日に各種活動を実施する例が多いので、子供にとっては土曜日に参加できる活動は、決してすくないとは言えないだろう。」


○学校が休みの土曜日に生徒のためにしている内容
○土曜休みに補習をしている学校は少ない
雑誌 学校経営2003年4月号30ページの中で
帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は学校が土曜休みに行っている活動について以下のように述べています
「その実施内容を見ると、「スポーツ」(54.6%)や「地域行事」(45.4%)、「体験活動やボランティア活動」(44.3%)、「文化活動」(43.3%)が多く、「補修」はわずか2.1%にとどまる。完全週五日制導入以前には、新学習指導要領が学習内容を大幅内削減したこともあって、補習などの増加も予想されたが、今回の調査結果からはその様子はみられなかった。」


○多くの教師が土曜日も出勤している。
雑誌 学校経営2003年4月号30ページ
帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は以下のように述べています
「教員調査によると、土曜日に勤務校に「よく行く」が35.1%、「たまに行く」が41.5%となり、比較的多くの教師が学校に出勤している。特に、中学校教師には「よく行く」と解答した者が多い。(49.5%)」


○教員が土曜日に出勤する理由
雑誌 学校経営2003年4月号30ページ
帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は以下のように述べています
「教員調査によると、土曜日に勤務校に「よく行く」が35.1%、「たまに行く」が41.5%となり、比較的多くの教師が学校に出勤している。(中略)その理由を見ると、「残務整理」(48.8%)が圧倒的に多く、ついで「PTAや地域行事の手伝い」(19.5%)、「スポーツ少年団・部活動の指導」(19.1%)が多い。ただ「残務整理」以外にも中学校教師は「スポーツ・部活動」のために出勤し、小学校教師は「PTA・地域行事」のために出席する傾向が見られた。」


○土曜日に行われる小学校と地域のかかわりは、ほとんど管理職が行っている
雑誌 学校経営2003年4月号30ページの中で帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は教師の土曜日に出勤する理由について、以下のように述べています。
「小学校教師は「PTA・地域行事」のために出勤する傾向が見られた。その意味で、小学校の方が地域との関連性をより重視していると言って良い。しかし、そのかかわりは管理職に集中する実態があり、一般教師は地域に関する関心が高いとは言い難い。(「PTA・地域行事の手伝い」校長42.8%、教頭20.0%、教諭5.7%)」


○子供達の土曜日の過ごし方
雑誌 学校経営2003年4月号30ページ
帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は以下のように述べています
「保護者の回答から子供達の土曜日の過ごし方を見ると、まず最も多いのが「家の中で遊んでいる」の72.5%である。次いで「家族で出かけている」(48.4%)、「クラブ活動や部活動・スポーツ少年団」(44.2%)、「外で遊んでいる」(42.2%)となり、反対に回答数の少ないのは「学校」(2.5%)、「地域活動」(6.6%)、「公共施設」(7.2%)となる。「塾」「習い事」はいずれも10%台である。」


○土曜日に保護者の工夫している点について
雑誌 学校経営2003年4月号31ページ
帝京大学助教授の佐藤晴雄氏は以下のように述べています
「土曜日に保護者が工夫していることは、「舵手伝いをさせる」(42.9%)、「家族で出かける」(36.5%)、「精神的なゆとり」(35.4%)などの回答が高めである。小・中校別では、小学生には家族で出かけるよう心がけ、中学生には精神的ゆとりを持たせようとする傾向が見られる。」



○五日制は多くの親が反対している。
雑誌 学校経営2003年4月号9ページ
「学校五日制がスタートして10年、学校完全週五日制が実施されて1年が経過する。これに対して、教員と保護者の評価ははっきりと別れる。教員については59.7%が「望ましい」と思い、36.9%が「望ましくない」と肯定派が否定派を上回る。一報保護者は肯定派が32.2%にとどまり、否定派が67.5%に達する。保護者の多数は学校週五日制に対して否定的である。」


○学校週五日制は、子供に正義感や道徳観を身に付かせている
文部科学省「完全学校週五日制」webpageより引用開始
(http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/week/index_c.htm)
「学校週5日制は、学校、家庭、地域社会の役割を明確にし、それぞれが協力して豊かな社会体験や自然体験などの様々な活動の機会を子どもたちに提供し、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などの「生きる力」をはぐくむことをねらいとしています。
子どもたちの「生きる力」をはぐくむためには、豊かな体験が不可欠です。自然体験などが豊富な子どもほど、道徳観や正義感が身についているという調査結果も出ています。」


○今の学校(5日制なし)はゆとりがなく、管理的になりすぎている
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p11-12
「いまの学校は細かな校則をきめて管理的になりすぎている、時間割が過密ダイヤのようになっていて、ゆとりがない、授業が(試験の準備のための)知識の詰め込みになっている、しかも画一的で硬直化しているために、子どもたちの自主性や発想が押しつぶされている……といった懸念があるからである。
 いまの学校を「刑務所」のようだ、とか「軍隊」に似ている、という人もいる。そこに入れられた人たちは自分の意思で自分の行為を決定することが認められず、すべて管理者や校則の意思のままに動かされているのだが、「学校」に通っている(もっと過激な表現をすれば、行きたくないのに「義務」という名の強制で通わされている)子供たちもよく似た事情にあるからである。
 また、本来、学校は子どもに内在している可能性を正しく発見し、それが豊かに実現していくことを支援する働きを担っているのに、いまの学校は教師が子どもたちの頭の中に既存の(これも過激な表現をすれば、さして役にも立たない屑のような)知識の断片をせっせと詰め込み、かつ子どもを教師の望む「よい子像」のもとで加工する「工場」になっている、と批判する人もいる。」


○とりあえず、5日制は改革の第一歩として意味がある
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p20-21
「学校の教育内容や教育水準、それに教育方法を変えよ(そのほかにも学年制、学級定員、授業日数、教科書、特別活動、道徳教育、学習指導要録、通知表、学校行事など、かえるべきことが多い)、もっとつきつめていけば学校の体質そのもの、教師の意識を変えよ――と訴えているのに、土曜日を休みにする、という方向へ向かったのは小手先の策を弄しただけではないか、といったひはんもある。もっともだと思うが、学校五日制も教育改革の一つだと認めれば、学校改革の突破口になる、といった淡い期待ももてるというものだろう。」

<学校五日制への批判>
○子どもがいまよりも悪くなる
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p25
 「これには「土曜日が休みになれば、子どもは怠惰になる」(生活のリズムが乱れ、だらしがなくなる、怠け者になる、無気力化する)、「退屈しのぎに集団をつくって、万引き、暴走、シンナー遊び、集団暴動といった非行に走る」(すでに学業不振の子どもたちはそのような悪さをしているケースが増えている、横浜で起こった中学生によるホームレス・ピープル襲撃事件はその典型例である)、「授業時間数が減るために子どもの学力が低下する」(遊びぐせがつくために勉強嫌いになる、学校の勉強よりも体験学習や自然の中での勉強が面白くなって、不登校が増える)などが含まれている。」


○学校が今よりも悪くなる
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p26
 「これには「休日が二日つづくために間延びして、月曜日の授業が成り立たなくなる」(いまでも月曜日ノイローゼや月曜日不登校が多いのに、休日が二日もつづくと、それが助長される)、「土・日に多様な体験をした子どもたちの多様な課題に教師がこたえていくことむずかしい」(教科書の順序を踏んで指導していく教師にとって、子どもが体験をとおして抱いた疑問や問題を投げかけられると、予定通りいかなくなる)、「子供の学力差が拡大し、画一的一斉指導がいよいよ困難になる」(学習塾や家庭教師による指導を受ける子どもは学力が向上し、そのような指導を受けない子どもは学力が低下する)、「土曜日の4時間分の授業を平日に上乗せするための、かえってゆとりがなくなり、子どもも教師も疲れる」(その上、部活や学校行事へまわす時間が減り、学校生活は授業中心になる、これでは勉強嫌いや不登校が増加する)などが含まれている。」

○ 家庭がいまよりも悪くなる
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p26-27
 「これには「親は子どもを学習塾に通わせ、家庭教師を雇う傾向が増える」(当然、出費が増える)、「経済的に余裕のない親は費用を稼ぐために過労になる」(共働きも増えるし、働く時間も長くなる、ゆとりがなくなり、親子のふれ合いも減る)、「教育費を捻出できない家庭の子どもは弱者となり切り捨てられる」(校外での学習活動のできる子どもに比べて、それのできない子どもは落ちこぼれになる。学校五日制は弱者切捨ての愚策である)などが含まれている。」


<学校五日制への批判の批判>
○ 子どもがいまよりも悪くなるか
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p31-32
 「土曜日が休みになれば「子どもは怠惰になる」という発想は「学校に通わせておきさえすれば、子どもは勤勉でありつづける」という楽観の裏返しである。その学校でどの子どもも主体的に生きる力が育ち、よく生きることを学んでいるのであれば、問題はないのであるが、現状はすでに述べたとおり、ロボット人間の「工場」や「製造所」になっているのであるから、「学校に通わせれば通わせるほど、人間でなくなる」ことを心配しなければならないのである。(中略)
 「子どもを学校に通わせておけば安心だ」というのは保護者のエゴイズムであって、子ども本人の願いや望みは無視されている。ロボット人間に馴化されてしまった子どもが「土曜日は学校へ行かなくてもよい」と言われたら、当方にくれるのは当然であろう。
(中略)「学校」という名の檻から解放された子どもに主体的に生きる力が育っていて、かつ存分に学べる場がいくつもあるならば、彼らの喜びは想像を絶するだろう。しかしながら、主体的に生きる力もなく、またよく学べる場もなければ檻から出た子どもは茫然自失となって、なす術を知らず、それこそ退屈しのぎに悪さを始めるかもしれない。
 そういう子どもたちには、学校でではなく、学校外で――もっと正確にいうと学校以前に――生き生きと生きられる環境がまず必要なのである。
(中略)子どもの、やがて大きな力を発揮する可能性は想像以上に豊かなものなのである。彼らによい環境を与えよう。子どもたちは自ら育つのである。大人はそのことを信頼することである。子どもはいまより悪くなることはない。」


○学校がいまよりも悪くなるか
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」P36
 「土曜日の4時間分の授業の扱いをどうするかで、学校経営者は困り果てているが、そもそも授業時間数という量が大切なのではなく、授業の質が大切なのであって、時間数にこだわることはこのさいやめてみてはどうだろうか。もちろん無為化成を原則としてつくられた現行の学習指導要領の見直しは早急に始めなければならないが、学習指導要領そのものを大綱を示すだけのものにし、微に入り細にわたる「べし」「べからず」は今後やめるのがよい。」

○家庭がいまよりも悪くなるか
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p36-37
「「子どもの学習塾通いが増える」「家庭教師を雇う人が増える」「そのために、親の出費が増える、共働きも増える、ゆとりがなくなり、親子のふれ合いも減る」といった批判については、学習塾に通うのは何のためか、家庭教師を雇うのは何のためか、といったことをよくよく考えてみる必要がある。そうすると、子どもの成績をよくしたい、ランクの高い高校の入試、大学の入試に合格させたい、というところにゆきつく。いいかえれば、成績向上のための勉強、入試(受験)の準備のための勉強ということになるのであるが、それは本当の勉強、正しい学習ではない。それにもかかわらず、学校では本当の勉強、正しい学習ができなくなってしまっているのは、ペーパーテストの成績および入試の合格が絶対しされていて、勉強や学習はそのための手段に堕ちているからである。
(中略)しかし、それは錯覚であり、かつそのことがこの世の中をどんなにゆがめ、特に子どもや若者たちの健全な成長にとって害をもたらしているかを知らねばならない。(中略)「今の学校に長く在籍するほど、人格は低下する」のは真実なのである。」


○机の上の勉強では主体性に基づく創造性は育たない
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p45
「創造性(独創性)は疑問から始まることについてはすでに触れたが、その疑問は机の上の勉強よりも野外体験ないしは原体験(じかに自然や自然物にふれる、農耕、飼育、製造、看護などを体験すること)をとおして得られることがはるかに多いものである。(中略)学校五日制は、休みになった土曜日に子どもが学校ではできない体験をすることを目指しているか、それはいいかえれば学校の机の上の勉強、ないしはTL関係*では得られない、真に迫った疑問を抱き、自分でできるところまで解決してみる、という主体性に基づく創造性(独創性)を自ら育てる、という思想がその背後にある、と考えたいのである。」

(*Teaching-Leaning関係。一方通行な関係ってこと。)


○学校外の土曜日での活動は子どもの個性の育成にとって重要である
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p51
「学校五日制が、子どもたちに学校ではできない体験をする機会を与える意義は大きいのであるが、それはたとえば学校が子どもの“対応”を求め、“表現”ができない状況にあればあるほど、学校外で豊かに“表現”することが可能になるし、また学校では能力(知力)の工場のための競争が促されれば促されるほど、学校外で互いに補い合い、扶け合うという体験が可能になるからに他ならない。学校では、どちらかというと軽視されがちな野外活動のほかに芸術活動やボランティア活動も、休みになると土曜日に存分にできることは子どもの個性の育成にとっては重要である。」



○他の先進諸国の授業時間ははるかに少ない
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p86
「「授業時間数が減ると学力水準が低下する」という心配は保護者の間からも出ているが、日本の授業日数は年間、240日(学校六日制)であるのに対し、イギリスは200日(学校五日制)、アメリカ合衆国とオーストラリアは181から190日(学校五日制)、ドイツは185~220日(学校五日制または六日制)、フランスは180日(学校五日制)であることを参考にしてほしい。日本とフランスでは60日(約2ヶ月)の差がある。しかも欧米では、小学校は午前中華、せいぜい午後は1時間ぐらいしか授業を行っていないのであるから、授業時数になると、欧米のそれは日本よりもはるかに少ない。」


○授業時間数に比例して学力水準が向上するという発想は単純すぎる
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p88
「授業時間数が多ければ、それだけ学力水準が向上する、という発想は単純すぎる。また「鉄は熱いうちに打て」というのはわかるが、そのさいの「打て」が「既存の知識を詰め込め」というのでは事態は悪化する。それは「本気になる」「真剣になる」ということで、100%子ども自身の姿勢にある。子どもが真剣になるのは問題意識が明確で、自分から納得のいくまで学びたい、という欲求が強まったときである。」



○学校五日制で学校への過度の依存状態を改善できる
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p91
「もし家庭や地域社会になじまない子どもがいる、というならば、その家庭や地域社会が本来の機能を果たしていないのであって、一刻も早く、改善すべきである。なぜならば、その子どもは生きる場を失っているからである。その改善もまた学校五日制の重要な課題であったのである。つまりは「学校への過度の依存」という逆立ちした状態を正常化すること――それが学校五日制の目指すものであったのである。」


○親もゆとりがないと意味がない
伊藤隆二(りゅうじ)横浜市立大学教授の1993年の著書「学校五日制が問いかけるもの」p93
「家庭では、親が子どもとともにさまざまな体験をするゆとりをもつこと(そのためには勤務先の週休二日制ないしは時短の実現は不可欠である。そのうらづけとしての経済支援は行政の責任である)。こどもと一緒に旅行する。キャンプ(野外活動)をする、製作に打ち込む、調査・実験する、じっくり語り合う……。子どもの疑問を広げ、かつ深めるためにも、親自身が大いに学ばなければならない。「親がよく生きているとき、子どももよく生きる」のは古今東西、共通していることである。」

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