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マエリベリー・ハーン&ライダー ◆g33OtL8Coc






―――ねえ、メリー。紅い満月の話って知ってる?

      月のない夜に出てくる紅い月が、夢を叶えてくれるんだって―――







何時からだろう。自分がよく月を見るようになったのは。
遅くなってしまった帰り道の最中、私―――マエリベリー・ハーンはふとそう思った。

大学の研究で帰宅が遅れるようになってからか。
雨の続いた時に久々に見た月が綺麗だったからか。




―――いや、きっと違う。誰かに満月について言われたからだ。
自分の隣には、いつもその「誰か」がいたはずだ。
記憶とさえ言えないおぼろげな違和感だけが残っているが、何故かそう思えてならないのだ。


「見る」といえば、前から疑問に思っていた事がもう一つあった。
時折、得体のしれぬ何かの「裂け目」が見えるのだ。
最初は気のせいかとも思ったが、どれほど頭を振ろうが目薬を点そうが、その「裂け目」が見えなくなることはない。
他の誰も見えず、気にする事のないもの故に、誰かにそれを打ち明けた事はなかった。

……いや、ないはずなのだ。しかし、誰か一人だけその事を打ち明けた気がしてくる。
その秘密を気持ち悪がれもせず、むしろ素敵な事だとされた気もする。

(一体、誰の事なんだろう……)

そんなことを思いながら歩き続けていると、ふとあるものが目に飛び込んできた。
それはある神社だった。稲荷神社だろうか、それほど大きくはないにしろ整備も行き届いているように見える。

(お賽銭、入れてみようかな)

そう思ったのは気まぐれだったのだろう。この曖昧な思い出を整理するのに神様にも手伝ってもらおうと思ったのか。
何の気もなしに賽銭箱の前まで足を運ぶ。
夜に冷たいだろうに、手水で手を清めるのを忘れないのは自分でも少し滑稽だ。
そして賽銭でも入れようと、カバンの中を弄った。


(あれ、何だろ?)

妙な手触りがする。小さく硬い手触りは、財布でも携帯電話でもない。
おもむろに取り出してみると、それは小さな石だった。釣り針とも鍵とも言い難い人工的な見た目の。


「伊弉諾、物質……」

ふと、そんな言葉が口に出てきた。






その瞬間、全てを思い出した。


――宇佐見蓮子。『秘封倶楽部』の片割れ。私の親友。



なぜ今まで忘れてしまっていたのか。
いつも待ち合わせに遅れる彼女の事を。
この手を引っ張って何処へでも連れて行ってくれる彼女の事を。
この眼を羨ましいと言った彼女の事を。
共に神様の世界を見に行こうと言った彼女の事を。


あぁ、全てを思い出した。
あの時見えた、赤い月の向こう側。その先にかつての東京の街並みを見たのだ。
蓮子が話してくれた噂話。「赤い月が願いを叶える」という伝説を確かめるために。
「結界の境目が見える」この眼を頼りに、あのトリフネの時の様に二人でやって来たのだ。

けれど、そこにあったのは御伽や夢の世界じゃない。
血を流し、命を喰らうまごう事なき戦場だったのだ。


記憶が湧いて出るのに合わせるように、目じりから熱い何かがこぼれてくる。
彼女も、宇佐見蓮子もここにいるのだろう。あれほど大切に思っていたはずなのに、こんなにも思い出すのに時間がかかった。


「……蓮子、会いたいよぉ」

誰も居ない夜の神社で、一人泣きながらそう呟く。



『問おう。うぬが我らのマスターか?』

……いや、誰かいた。


はっとして振り向いたその先にいたのは、少年が一人。
足元には黒猫が一匹、少年本人も黒外套に黒い帽子と黒尽くしだ。
それゆえか、この闇夜の中で少年の白く端正な顔だけが浮かび上がるようで、
しばしの間、ぼうっと見つめていたのに気付いて頭を振った。

「えっと、あなたが私のサーヴァント、なのよね?」
戸惑いながらも、黒マントの少年に声をかける。

『うむ。この者がうぬのサーヴァントだ。こやつは少々無口な性質でな』

不意に少年ではない声が答える。見ると、どうやら足元にいた黒猫が喋ったのだ。

「ライダーのサーヴァント、葛葉ライドウだ」
『ところで娘よ。うぬはこの聖杯戦争で何を望む?』

どうやら本当にこのサーヴァントは無口らしい。
今度は黒猫が問いをかけてきた。

『我らはかつて帝都守護を任された身。だが、今は一介のサーヴァントに過ぎん。
 うぬが望むならば、他の者たちを殺める修羅の道も歩むつもりだ』

これからの方針を、自分にまかせるらしい。
そう言われて思うのは、やっぱり一つしかない。


「私は聖杯に願う事は何もないわ。
 そりゃ、もっと行きたい場所や見てみたいものはあるけれど、誰かに犠牲を強いてまで叶えたくない。
 それに、どんな冒険だって親友と一緒じゃなきゃ嫌だもの。
 ……この東京に、ううん、この聖杯戦争にいるはずの親友と一緒に帰りたいの。」

蓮子に会う。ただそれだけしか望みはない。
どんな未知の場所も、どんな奇跡も、彼女が隣にいるからこそ魅力的なのだ。
ただ独りで、それも誰かの血で穢れた願いなんてこちらから願い下げというものだ。

「だから、手伝ってほしい。
 私が親友に、蓮子に会えるように。あの子と一緒にこのバカげた戦争から抜け出せるように」
もしかしたら、ライダーにも望みがあるのかもしれない。こんな自分の考えを聞いて裏切るかもしれない。
それでも、これが本心なのだ。偽るつもりはない。

「分かった。マスターの望みとあらば」
その絵本の王子様のような顔をこちらに向けて、今まで無言だったライダーが答える。
その人形にも見える顔とは裏腹に、眼には熱い意志の光が輝いている。

「ライダーのサーヴァントとして、十四代目葛葉ライドウとして、君と親友を護ろう」
「お願い。ライダー」

『うむ、決まったな。ひとまずは拠点に移動するとしよう』


さっきまで流れていた涙はもう出てこない。手に握りしめていた伊弉諾物質にふと見る。
神の世界を見ようと約束した親友の顔が浮かんできた。


……もう忘れないからね、蓮子。
必ず、あなたに会いに行くから。


【クラス】ライダー
【真名】十四代目葛葉ライドウ
【出典】葛葉ライドウシリーズ
【パラメータ】
【ステータス】
筋力B 耐久C 敏捷C+ 魔力A 幸運B- 宝具A
【属性】
中立・善

【クラス別スキル】
騎乗:A+
騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。
また、下記宝具により召還したものならば竜種さえも該当する。

対魔力:E
魔術に対する守り。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

【保有スキル】
見切り:B
敵の攻撃に対する学習能力。
相手が同ランク以上の『宗和の心得』を持たない限り、同じ敵からの攻撃に対する回避判定に有利な補正を得ることができる。
但し、範囲攻撃や技術での回避が不可能な攻撃は、これに該当しない。

召喚術:A
神道系の術を用いた召喚術。ランクAもあれば悪魔を自力で契約し、召喚、行使が可能。
また、電子的な器具を用いずとも悪魔の同時召喚も可能となる。

魅了:D+
異性を惹きつける見目の美しさ。ライダー対峙した女性は彼に対し、強烈な恋愛感情を懐く。
相手の心理状態や感情によっては抵抗できる。また一部の同性にも有効。

【宝具】
『赤口葛葉』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1
葛葉ライドウの一門で継承される霊刀。魔、神の属性を持つ対象に有効。
防御に使用することにより、あらゆる攻撃の威力を半減することも可能。

『アメノオハバリ』
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:10~20 最大捕捉:100
日本神話に名高き神剣、天之尾羽張。真名を解放すると、周囲の魔力を吸収しライダーに与え続ける。
魔力を注ぎ込む事で、一時的に巨大化し相応の威力、レンジを有する。
ただしその逸話から、使用するには少女の命一人分を代償にする。代償には魔力が多い方がより適する。

『悪魔召喚皇』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大補足:100
ありとあらゆる悪魔を従える召喚師としての伝説が宝具となったもの。
今までに仲魔した悪魔をその場に応じ、封魔管を通じて即座に召喚する。
一度の召喚で可能なのは最大で八体まで。また仲魔の強さに比例して魔力の消費量が上がる。
また、仲魔の中にはムーンセルの処理能力を上回るため召喚できないものもいる(かの明けの明星など)。
ただし多くの逸話に登場する「疾風属 モーショボー」「外法属 モコイ」は魔力消費がほぼない。

『陰陽デンデン太鼓』
ランク:A- 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大補足:-
修験地獄の封印を司る森羅万象の守護者、「雷電属 コウリュウ」を召還する。
まぎれもない竜種だが、ライダーはこれによって召還したコウリュウならば騎乗できる。
ライダーのクラスを取得した要因でもある。

【Weapon】
コルトM1877(コルトライトニング):
梵字を刻み込んだ銃弾により、サーヴァントへの干渉が可能。主に牽制に使われる。
また召喚した悪魔との連携技も可能。

業斗童子:
通称ゴウト。黒猫の姿をしたライダーのお目付役兼指南役。
悪魔との戦闘に関する知識が豊富であり、また猫の手ながらタイプライターも打てる。
ただし、ねこじゃらしには思わず反応してしまう。
また会話も出来るが、彼の言葉はサーヴァントとマスターにしか聞こえず、他のものには鳴き声に聞こえる。

【人物背景】
あり得たかもしれない時代「大正二十年」において、帝都守護の任を命じられた凄腕のデビルサマナー。
霊的守護を司る国家組織「ヤタガラス」に属し、鳴海探偵社で探偵見習いとして働く。
死人驛使事件、超力兵団事件、アバドン王事件、隻眼化神事件、コドクノマレビト事件と数々の異変を解決している。

【サーヴァントとしての願い】
強いて言うなら「日本と帝都(東京)に住まう人々の幸福」。
ただし、彼は誰かの犠牲の上に願いをかなえる事を良しとしない。

【方針】
マスターが親友に出会えるように護る。

【マスター】
マエリベリー・ハーン

【出典】
東方project

【マスターとしての願い】
特になし。聖杯戦争からの脱出を考えている。

【weapon】
なし。

【能力・技能】
『結界の境目が見える程度の能力』
「結界」や「境界」の境目を観測することができる能力。
更に夢を通して、幻想郷に迷い込んだり、地球から遠く離れた衛星などに移動できる。
ただし、夢の中で受けたダメージは現実にフィードバックする。

霊感のある家系らしく、また能力の関係から一般的な魔術師と同等かそれ以上の魔力を持つと思われる。

【人物背景】
首都が京都になった時代の大学生。京都の大学で相対性精神学を専攻している。
宇佐見蓮子と2人でオカルトサークル「秘封倶楽部」を結成している。
マエリベリーは呼び辛いので、あだ名は縮めてメリー。
蓮子とは互いの能力を酷評し合っている仲だが、基本的に仲は良い。蓮子に比べて積極性は低め。
地元(出身国)は不明。日本に身寄りはいないらしい。
蓮子と日本語で会話している他、むしろ日本人臭い思考が見られるので、日本に長く住んでいるのかもしれない。

【方針】
蓮子と再会して、聖杯戦争からの脱出方法を探す。



-012:宇佐見蓮子&ライダー 投下順 -010:槙島聖護&キャスター
-012:宇佐見蓮子&ライダー 時系列順 -010:槙島聖護&キャスター


登場キャラ NEXT
マエリベリー・ハーン&ライダー(十四代目葛葉ライドウ 000:DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命

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最終更新:2015年02月05日 02:42