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ジョーカー&バーサーカー ◆devil5UFgA



ゴッサムに制定された、デント法。

その法によって、人は精神異常を理由に刑を逃れることができなくなった。
ある一人の英雄によって叩きこまれた、多くのアーカム精神病院の犯罪者は刑務所へと居住を変えた。
甘い法定が守っていた精神異常患者は、犯罪者へと、正しい肩書を得ることとなった。


その中で、たった一人だけ、未だにアーカム精神病院の奥の奥で監禁されている犯罪者が居た。


彼は退屈だった。
今まで、どこか浮き足立っていると言っていいほどに弾んでいた心はどこかに消えてしまった。
わかる、消えたのだ。
この街から、自分とも言える存在が消えた。
情報は絶えていたが、それでも、隠し通せないものは存在する。
それが彼/ジョーカーに対してならば、尚更だ。

――――ゴッサムに佇む闇の騎士、バットマンが消えた。

言いようのない虚無感がジョーカーを襲った。
いずれ消えると感づいていたが、そのことすらどこか虚しいものだった。

「…………………HAHAHAHAHA!」

ジョーカーは笑ってみせた。
バットマンの出来の悪いジョークを笑うように。
ジョーカーは、出来ることならバットマンの出来の悪いジョークをもっと見たかった。
たとえ、そのバットマンがジョーカーの知るバットマンでなくとも。
ジョーカーはバットマンの出来の悪いジョークを欲した。
欲して、欲して、欲して――――やがて、その欲にも少しだけ飽きた。

ジョーカーは窓から闇を見た。
そこに、蝙蝠のシンボルが浮かんでいるかと思ったからだ。
しかし、そこにあったものは月ではなかった。
異常者であるジョーカーですら、己の目を疑った。
ありえない光景だった。
そこにあったものは。


――――血に塗れながら笑う自身のような、紅い、紅い月。



   ◆   ◆   ◆


「知ってる? 人を喰うオバケの話」

曲がり角に佇む存在の顔すらもわからなくなる、誰彼時。
二人の女子高生が歩いていた。
お互いの顔と顔を認識できる、そんな至近距離で歩いていた。

「そのオバケにはさ、脚がなくてさ」
「あー、知ってる知ってる」
「脚のないおばけは、いつもおかしなことばかり口にして。
 脚を止めた人をさ、よくわからない方法で食べちゃうんだってさ」

短髪の少女が打った相槌と、語りながら都市伝説の物語は終末へと向かう。
二人の少女は、どこかおかしくなり、顔を合わせ、笑顔を重ねた。
そして、声を合わせるように。
『ひとくいオバケ』の正体を口にした。

「女性の裸」
「子宮の中で死んだ赤ん坊」

しかし、その声は重なることはなかった。
二人の知る都市伝説は、終りの部分だけが異なっていた。
不思議そうな顔を浮かべる一人と、少し落胆したような顔をした一人。

「…………えっ?」
「……ま、噂ってそんなもの――――」

片方が『そんなものか』、そう言おうとした瞬間だった。
誰彼時、その顔すらも見えない時間帯。

「両方正しいんだぜ」

裏路地から、声が響いた。
嘲笑うような、不快な声だった。

その声を、ただの浮浪者の声と認識して足を止めなかった少女。
そして、その声に気を取られて足を止めた少女。

二人の少女の反応が別れた。
そんな瞬間だった。

「――――っ?」

脚に強烈な違和感を覚え、そして、次に地面へとキスをした。
理解が出来なかった。
鼻に強烈な鈍痛を、脚に消えない違和感を抱きながら、脳に幾つもの疑問を浮かばせた。
疑問を浮かばせたまま、少女は強烈な力によって、裏路地へと引きずり込まれた。
視界が暗転する。

「な、なに、ねえ、なに!? なんなの!?」
「い、いやああああああああああ!!!」

誰に問うでもなく、ただ、自分の中の疑問を言葉という形にした。
其れに遅れて、チープな叫び声が響いた。
脚に強烈な違和感を覚えた少女は世界が理解できず、必死に視界を動かした。
その中に、不思議なピエロが居た。
出来の悪いピエロだった。
石灰をたたきつけられたような、塗りの厚い白い化粧。
幼稚園児がクレヨンで描いたような、分厚い唇の紅い化粧。
出来の悪い縫い物のような、不自然に長い唇。
不気味なピエロが、自身の首根っこを抑えていた。

「バーサーカーはなぁ……可哀想な奴なんだよ。
 ママに捨てられて、トイレに捨てられたんだよ。
 しかも、満足な出産じゃなかったから、呼吸も出来ずにそのまま溺れ死んだんだ。
 だから、そのマーマの裸が、バーサーカーが最初に見て、最後に見た世界なんだ。
 バーサーカーは自分の体をマーマの裸だと思ってやがんだ」

不気味なピエロ/ジョーカーは、優れた膂力で女子高生を放り投げ、語り始める。
視界がまた動く。
そこで、ようやく気づいた。
自身の両足が失われていることに。

――――ジョーカーの背中の奥に、紅い、紅い、胎児/女性の裸体が浮かび上がっていることに。

「いやぁ!? なに、いや、これ、いや!!」
「あ、紅い……赤ん坊……女の人……?
 なんで、なんでピエロ……?」

自身の脚がもぎ取れたことに、痛みよりも動揺を覚えた女子高生は叫び声を挙げる。
そして、残された少女は理解が出来ず、視界から流れこんできた情報を言葉にするだけだった。

ジョーカーの背後に浮かび上がる、正体の掴めない不気味な存在。
それこそが、ジョーカーが紅い満月によって導かれ、訪れた東京で召喚した英霊だった。

バーサーカーのサーヴァント。
そのバーサーカーの、『こうげきのしょうたいがつかめない』攻撃。

女子高生が痛みによる悲鳴を上げていないのは、その攻撃の測定不能の力によって、痛覚の麻痺を付随されたからだ。
痛みは伴わず、ただ、吹き飛んだ脚がそこにだけある。
混乱に陥った少女は、ただただ叫び声を上げ――――

「――――えっ?」

――――パァン、と。
タイヤがパンクするような気軽さで、頭部が内側から弾け飛んだ。
残された女子高生は、壁に描かれた紅い花火を見た。
血で描かれたその花火の絵は、友人の頭部が内側から放射線状に破壊されたことを暴力的なまでに知らせていた。

「な、なにこれ……いや、近寄らないでよ……なにこれ……?」

状況が理解できず、尻餅をついてあとずさる。
胎児とも、女性の裸体とも取れる、虚空に浮かんだ存在へと逃げるように。
女子高生の背中が、ジョーカーの脚についた。

「おいおい、嫌うなよ。バーサーカーは良い奴なんだ。
 ガキの頃、まだ優しかったママのためにいつも笑ってやがったんだ。
 お前にはその顔がお似合いだって、バカみたいな握力で一日中頬を摘まれててもママが大好きなままの純粋な奴なんだぜ?
 そんな良い奴を怖がっちゃ、ダメだろう?」
『アー……キ、モ、チ、イ、イ……』

ジョーカーの擁護する声に歓喜の声を挙げるように、空気が振動した。
それが声だということを、少女は認識できなかった。
しかし、マスターであり異常者であるジョーカーは、バーサーカーが発した音が声であることを認識できた。
ジョーカーは、バーサーカーという、『悪そのもの』である壊れた存在を正しく認識していた。
壊れた鏡ならば捻くれた棒が真っ直ぐに映るように。
ジョーカーの瞳にはバーサーカーが綺麗な像を描いて真っ直ぐに映っていた。

「笑えよ、ん?
 ツレが死んだんだ、哀しいだろう?
 哀しいからこそ、逝った友達を笑って送ってやれよ!」

唇の端を切り裂かれ、不気味な裂傷痕の入った唇を大きく歪める。
不気味な表情だった。
それを笑顔だと認めることすら拒絶させるほどの嫌悪感を抱かせる表情だった。
同時に、笑顔という言葉以外では表現できない表情だった。

「HAHAHAHAHA!!!!」

手本を魅せるように、腹部を強く引き締めて、どこかわざとらしくジョーカーは大きく笑ってみせた。
裏路地にジョーカーの嬌笑が響き渡る。
人の官能を揺るがしかねないほどに、喜色に満ちた笑い声だった。
ジョーカーはあらゆる人間のお手本だった。
少なくとも、ジョーカー自身はそう考えていた。
鏡に映る歪んだ鏡像、それがジョーカーにとっての世界だった。
なのに、世界は、自身こそが歪んでいると言い続けているようだった。
自身が歪んだ鏡に映った鏡像であるとした。
そんな世界に対しては失望を抱いていた。
そのままでは、その圧力に敗北し、ただのこそ泥のまま人生を終わらせかねないほどの失望だった。
しかし、ついに正しい鏡を見つけた。
他者の言う、その『歪んだ鏡』に、自身と同じく、真っ直ぐな姿を映すものが居た。


――――ああ、バッツ。俺の愛しい鏡像。俺の、世界でたった一つの玩具。


「HAHAHAHAHA!!!!」

心のなかにある不定形の性器が勃起することを自覚しながら、ジョーカーは笑い続けた。
その笑いへと最初に応えたのは、女子高生ではなく、自らの従者、バーサーカーだった。

『ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン
 ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン
 ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン
 ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン』

ジョーカーの嬌笑と、バーサーカーの狂声が響き渡る。
それは、決して大きな音ではない。
裏路地から表通りに漏れても、頭のおかしな浮浪者が頭のおかしな笑いを上げていると思うだけだ。
東京は、ゴッサム・シティほどではないが、頭のおかしい人間だけが住む都市だからだ。
しかし、女子高生の心象世界にはその世界を破壊しかねないほどの大音量で響いていた。















「――――――――――――――――――――ア、ハ」

やがて、何かが決壊した。

「HAHAHAHAHAH!!」
その決壊を感じ取ったジョーカーは、やはり、手本を見せるように笑みを魅せつける。
釣られるように、頬を上ずった。
出来上がった少女のその顔は、笑っているようにも、泣いているようにも見えた。

「ア、ハ、ハ、ハ……」
「HAHAHAHAHA!!!!」
「ハ、ハハ、ハハハ……」
「HAHAHAHAHA!!!!」
「ハハハハハハ!」
「HAHAHAHAHA!!!!」
「ハハハハ!ハ、ハハ!アハハハハハハハ!」
「HAHAHAHAHA!!!!」
「アハハハハハハ――――!」


――――ペチャリ、と音がした。


ペンキを壁に叩きつけた時の音だ。
ジョーカーにも覚えがある。
よくやった、意味もなくやった。
落書きは、意味もなく楽しい。
視線を横にやると、薄汚れた壁に紅いペンキがつけられていた。

ジョーカーは虚空に佇む不定形の何かを眺める――――ジョーカーにはその虚空に存在する存在が正しく認識できている。
次に、コンクリート壁に打ち付けられ、トマトのように千切れた薄皮と紅い果肉をぶち撒けた女子高生を眺める。
幾度か見比べると、ジョーカーは芝居がかった動作で肩を竦めた。
そして、女子高生の頭部の奥に眠る誰も除いたことのない恥部を覗きこむように顔を近づけた。

「友達が死んだのに笑うな、だってよ」

裂かれた笑顔で、唾を脳髄に吐きかけながら言葉を送った。


当然だが、ジョーカーはバーサーカー/ギーグの意思など、これっぽちも理解できていない。



【クラス】
バーサーカー

【真名】
ギーグ

【パラメーター】
筋力? 耐久? 敏捷? 魔力? 幸運? 宝具?

【属性】
秩序・狂

【クラススキル】
狂化:A
言語能力を残しているが、ギーグはその音の集まりを言語と認識していない。
理性も自らの超自然的な力によって破壊されている。
全てのパラメータが1ランクアップしている。

【保有スキル】
精神混濁:A++
『精神』がすでに『精神』と呼べないほどに混濁した状態にある。
自らの感情と異なる他者の感情の影響を受けやすい。
精神干渉魔術に対しては非情に弱い。
しかし、自身ですら精神がコントロール出来ないほどに混濁しているため、どのような精神干渉術でもギーグを『操る』ことは出来ない。

超能力:A
この世の法則に伴う何とも違う、超自然的な力。
ギーグの力は時すらも超えることが出来、己すらも破壊する。

カリスマ:-
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
ギーグのカリスマは『悪』の心を持つものを魅了していたが、現在このスキルは失われている。
心を自壊させたギーグには、その狂信者ですら覚まさせる不気味な存在へと成り果てたからである。


【宝具】
『イナクナリナサイ』
ランク:? 種別:対?宝具 レンジ:? 最大捕捉:?
彼、あるいは彼女は、自らの超自然的な力によって『ギーグ』という存在を破壊した。
ギーグの意識も、ギーグの物理的肉体も存在しない。
誰もギーグの正体をつかむことが出来ない。
だからこそ、ギーグの攻撃は誰からも認識できない。
また、自身のパラメータの認識しようとするものを、マスターの認識すら阻害する。


【weapon】
なし。
ライダークラスでの召喚ではないため、あらゆる攻撃から身を守る『悪魔のマシン』と全てを予言する『知恵の林檎』は所持していない。

【人物背景】
地球を侵略するために来襲。しかし、彼の持つ予言マシン「ちえのリンゴ」がギーグの敗北を予言。
その内容は「三人の少年と一人の少女によって悪魔は敗れる」というものだった。
その為、ギーグは様々な手を使って、便宜上ネスとする少年の冒険を阻もうとする。

あまりに自らの力が強大過ぎたためか、自我が崩壊してしまっているため、普段は「あくまのマシン」によって力を制御している。
この「あくまのマシン」は全ての攻撃を無効化・反射するため、この段階でギーグにダメージを与える事はできない。
また、自身を敗北させるはずのネスにしか操ることができないはずの特殊なPSIを行使することができる。

解放されたギーグは力を暴走させ、「こうげきのしょうたいがつかめない」攻撃を行う。
単純な全体ダメージ、ステータス異常、雷属性の攻撃などの効果があるが、中には即死効果を持つ攻撃もある。
唯一、ブレインショック系PSIに弱く、これをかければ、ある程度は受けるダメージを抑えることができる。
またダメージを与える度に狂気に満ちたセリフを発するようになる。

自我を破壊させたギーグは、『悪の化身なんてものじゃない、悪そのもの』



【マスター】
ジョーカー@ダークナイト

【マスターとしての願い】
聖杯に、あらゆる『バットマン』が溜め込んだ、とっておきの、出来の悪いジョークを見せてもらう。

【weapon】
ジョーカーは、特殊な武装を持たない。
得てして『安い』武器を好む。

【能力・技能】
ジョーカーは、特殊な技能を持たない。
あくまで人類の成し得る物しか持たず、また、歴史上に名を残すほど何かの技能が秀でているわけでもない。
ただ、ジョーカーはその人生のどこかで――あるいは最初から、他者と比較してた捻じ曲がった精神性を持っていた。

【人物背景】
顔にピエロのような不気味なメイクを施した謎の犯罪者。
指紋、DNAその他の情報がどのデータベースにもなく、正体や出自について作中では明かされる事がなかった。

無慈悲であり、プライドが高く大胆不敵で傲岸不遜、残忍かつ冷酷な最凶の性格。

敵であるマフィアを味方につけ逆に支配してしまうなど人間心理につけこんで弄ぶ術に長けている。
バットマンも冷静さを失い、デントは心の隙を突かれて悪に染まりトゥーフェイスへと変貌した。

道化好きな面は過去作品と共通するが、より暴力的、残虐的な嗜好を持つ。
原作で描かれた各種の飛び道具や玩具は登場せず、「安い」という理由からダイナマイトやガソリンを多用。
特に、相手が死に至る過程を堪能したいが為にナイフを用いた殺人を好むが、銃器についても拳銃から機関銃、対戦車兵器までを使いこなしている。

トランプのジョーカーをトレードマークとし、犯行現場に残したり名刺代わりに配っている。
また劇中で「犯罪、それは最高のジョークだ」と発言していることから、彼にとってジョーカーの名は「犯罪というジョークを生む者」としての意味も含んでいる。

髪の毛は緑がかった長めの金髪であり、きちんと整髪されていない。
服装は全体的に原作での色調をダークトーンに抑え、紫を基準としたスーツにロングコートを羽織る。
また新調した服は全てメーカー品ではなく自分で誂えた物。

【方針】
ギーグを使って、ギーグと遊ぶ。
当然だが、ジョーカーはギーグの意思を欠片も理解していない。




-006:ユズ・アサシン 投下順 -004:桐山和雄&ザ・ヒーロー
-006:ユズ・アサシン 時系列順 -004:桐山和雄&ザ・ヒーロー


登場キャラ NEXT
ジョーカー&バーサーカー(ギーグ 000:DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命

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最終更新:2015年02月05日 03:21