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ユズ・アサシン ◆Ee.E0P6Y2U



―― 一人しかいない。

私はまた囚われている。あの時みたいに街の中に立ち往生。家には帰ることはおろか連絡も取れない。
山手線、というのも同じだった。何かの因果だろうか。それともこの地域には何か意味があるのか。
あの時は逃げようとした。何が何でも逃げようとした。
悪魔とか神とか、変な宗教の話はどうでもいい。
みな何でそんなことばかり目が行くのか分からない。
食べ物は投げ込まれるものを猿みたいに必死に得ようと争うしかない。公園の隅っこにびくびくしながら寝るしかない。文明の利器はすぐに使えなくなった。あんなに暑かったのにシャワーさえ使えないなんて!
ただ逃げたかった。貴方と一緒に、こんな場所から逃げたかった。

でも――彼は逃げなかった。
逃げてはくれなかった。どれだけ私が頼んでも、心が折れたと訴えても、貴方は私の手を取らなかった。

――貴方は私じゃなく、あの男の手を取ったんだ。
全ての元凶のあの男の。
何時もこっちを見下すような目をして、こんな事態に巻き込まれたのもあの人のせいなのに謝りもしない。
何か知っている素振りだけはするのに助けてはくれない。
その癖あの人は貴方を弟と呼ぶ。
貴方の従兄弟なのに――従兄弟に過ぎないのに。

――そんなあの男の手を、貴方は取ったんだ。
よりにもよってあの男の手を。
私がどれだけ縋っても、どれだけ頼んでも、どんな言葉をぶつけても、無視したのに。
確かに私は駄目だったかもしれない。逃げたい逃げたいとしか言わない女なんて、本当はうざかったかのかもしれない。
でも――それでも頑張ったんだよ、私。
訳の分からない理由で、訳の分からない封鎖に巻き込まれて、見るだけで恐ろしい悪魔に襲われて、命を狙われたんだよ。
山手線内に悪魔がはびこるようになって、段々中にいる人たちもおかしくなって、人間たちも戦うようになって。
それでも着いていったんだよ、私。
怖くて仕方がなかったけど、それでも一緒に戦った。置いていかれたくなかったから。
だから――それくらい許してよ! 逃げたいって、弱いことを言うくらい、許してよ……

私には何もないんだよ。
正義も、力も、信条も、使命感もない。
神様のことなんて考えたこともない!
ただの――ただ幼馴染のことが好きだった普通の女子高生だったんだよ。
貴方の隣にいたい。それだけの理由で、あの日も東京に来たんだよ。
それじゃ駄目? 馬鹿なことなの? 
普通の人間でいいじゃない。
何で関わらなきゃならないの? 神様とか、天使とか、悪魔とか、そんなことに私を巻き込まないで!

一緒に学校を行きたかった。
同じクラスで授業受けて、休みの日は服買いにいく。
模試とかあればげんなりしするけど、同時に勉強会とかで家に行けないかなとか悩んでさ。
運動会とか文化祭とかも一緒に頑張りたい。きっと絶対楽しいから。
それで夏休みには――どっか旅行とか行くの。茶化されるかもしれないけど、一緒に。
でも二人っきりだと流石に恥ずかしいから、アツロウとかも連れていこう。

――そんなことを願っちゃ、駄目なの?
人が人として生きていくことを願うことが、普通なんじゃないの。
そう思っていたのに――貴方はあの男の手を取った。

――よりにもよって、あの男の。

何となく、予感はしていた。
貴方やアツロウには私には見えない別の展望が見えてるって。
翔門会は明らかに何かたくらんでいるし、カイドーやホンダさんも思惑があって動いてるみたいだった。
だから、貴方も色々考えていたんだろうとは思う。それが理解できる道なら、私も頑張ってついていくつもりだった。

――でも、あの男のだけは。
あの男が示したのは――魔王となる道だった。
全ての悪魔統べる王となって、神へと反逆する。
そんな選択肢を、あの男は突き付けてきたのだ。
力を持って、力を制す。野蛮で恐ろしい、理解のできない提案だった。

――魔王なんて。
そんなものに、そんな訳の分からないものに、貴方はなって欲しくなかった。
ただの人間でいて欲しかった。

――だって不安だったから。そんな力を手に入れたら貴方が変ってしまいそうで……

人には許されない、悪魔統べる魔王の力。
そんなものを身体に詰め込んだら、きっとおかしくなる。
見た目はたとえ変わらなくとも、人ではいられなくなる。
そんな気がした。そんな気がしてならなかった。

そして――その不安は的中したのだ。
貴方は魔王になった。魔王になって――人を殺した。
神を討つ為に、守る筈の人を殺すという、そんなことをしでかした。
人を殺し、天使を殺し、殺戮の果てに神を討とうとした。
その途中でアマネさんも――

――だから、私は戦った。
初めてだった。封鎖された東京の中で、初めて私は自分の意志で戦った。

――他でもない、貴方を止めるために。
皮肉な話かもしれない。貴方の隣にいた頃は、あんなに戦うのをいやがっていたのに、いざ貴方を敵に回すと、躊躇いがないなんて。
それでも――人の心を完全に忘れ去る前に、貴方を止めたかった。
神とか天使の言葉なんてどうでもよかった。奴らが信用できないことくらい私にだって分かっている。
だから私が戦ったのは貴方のため。
あんな男にそそのかされて、魔王になった貴方を、人間に戻す為に。

――でも駄目だった。
私は敗けた。
上野、不忍池での決戦。魔王と神の代行者の前哨戦。
そこで私は天使たちに組して――そして敗けた。
私の、初めての戦いは、呆気なく終わった。

――いっそ殺してくれたのなら。
楽になったと思う。完全に貴方は変ってしまったのだと、諦めることができるから。

――でも貴方は。
殺してくれなかった。
そして悲しそうな顔をした。
何でそんな顔をするんだ。おかしいじゃない。貴方はもう人じゃないのに。
悲しむなんて――ずるいよ。
本当に、ずるい。私は貴方を――殺す気だったのに。

決別して以来、貴方とは会ってない。
アツロウとも、カイドーとも、無論あの男とも。
魔王となった貴方はきっとどこかで戦ってるんだろう。
ミドリちゃんはまだどうにかするつもりらしいけど、私はもうどうにもできなかった。

――あの時殺してくれなかったから。
私は貴方を憎むことができないでいる。
魔王を、無辜の人を殺戮し、天使を虐殺し、神を討たんとする悪逆の魔王を憎めないでいる。

――それが何よりもつらい。

そんな矢先に、また東京に囚われた。
似たような状況だ。あの時と同じ、何の前振りもなくこの中に閉じ込められた。

――でも、私は一人だ。
あの時は貴方がいた。アツロウがいた。
一緒にどうにかしようって、思うことができた。
でも今は違う。もう貴方たちは私を置いていってしまった。

―― 一人しか、いない。
東京の街で、私は今一人だ。
私はどうすればいいの。
分からない。

―― 一人で、戦うしかない。
縋りつきたい人にはもう言ってしまったから。
さよなら、と。







孤独と後悔と
憎悪と嫉妬と
殺意と未練と

そして愛情を

全て混ぜ込んだかのような想いがある。
結果、その想いありとあらゆる色をぶち込んだかのようなどす黒い色をしている。
マスターからパスを介して伝わってくる想いを、彼女は無言で受け止めていた。

――なんて醜く、浅ましい心の色だろう。

愛したいのなら愛せばいい。
憎いのなら憎めばいい。
そんな簡単なことすらできない。やろうともしない。
殺したいと思いつつもその実離れないで欲しい。
その有り様を声高に糾弾する癖して、本心では主張などどうでもいいと思っている。

――ただ見て欲しいだけだ。
想い人に、自分を見て欲しい。たったそれだけの、なのにぐちゃぐちゃで訳分からない心の中。
幼稚で我儘なだけの、意味の分からぬ色。

その色を彼女、明智光秀は知っていた。

――ああ、これは。
あの色だ。
他でもない自分の――彼女を殺した時の色だ。

かつて小悪魔王・織田信長を討った、明智光秀の想い。
それとこのマスターは同じ色の想いをしている。

――殺そうとした癖に。
魔王を殺そうなどと、とんでもないことをしでかした癖に、自分は信長を振り切れなかった。
戦国武将として現界したときも、ずっとその想いが引っかかっていた。

―― 一緒にいて欲しいって、それだけのことなのに。
どうしてこうもねじくれて、どこで間違えてしまったのだろう。
秀吉への、あの天真爛漫な娘への嫉妬なんて、結局はきっかけに過ぎない。
利休は――彼女ならあるいは分かってくれたかもしれない。

――マスターは私のことを見ていない。
きっとどうでもいいのだろう。聖杯など、ムーンセルなど。
想いの中心にあるのは何時も一人だけ。そんな想い人がこの場にいないのだから、何もないのと同じこと。

それを分かっているから、光秀は黙っていた。
悩むことしか――今のマスターにはできない。
出会ってまだロクに会話も交わしていない身だが、しかし光秀には分かった。
自分と同じだから。
きっと気付くはずだ。ぐるぐると回る悔恨と寂寞の果てに、マスターは求めざるを得ない。

――去って行ったあの人の下に、走るしかないと。
どんな形であれ、そうする他に道はないと。
かつて光秀がそうだったように。

――また、一緒に。信長様……

愛に善く似た黒い想いの果てを、彼女は知っている。



【クラス】
アサシン


【パラメーター】
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力D 幸運E 宝具C

【属性】
中立・悪

【クラススキル】
  • 気配遮断 D
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】
  • 心眼(偽) A
直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

  • 影・水龍の爪 A
アサシンの戦国武将としての在り方。『水』の加護を得ることができる
『水』の近くで戦闘している時や『水』の攻撃をする際、有利な判定を得ることができる。

  • 秘宝略奪 B
英霊の神秘の象徴『秘宝』を奪い取る力。
倒したサーヴァントの神秘を自身の肉体に付属・融合させる。
『自己改造』スキルがランクと共に正当な英霊に離れていくに対して、こちらは寧ろより英霊としての神秘が上がっていく。

【宝具】
  • 『天下布武・反逆』
ランク:B 種別:対信長宝具 レンジ:1
生前、織田信長に執着し、その果てに「信長と二度と離れない」と宣言した逸話による宝具。
一度は殺害未遂にまで至った憎悪と紙一重の想いはもはや呪いのようなものだった。
『織田信長』という存在に相対・共闘する時にのみ発動。全パラメーターが上昇する。

【weapon】
  • 『銃』
アサシンのメインウェポン。
拳銃の形で連射可能。
  • 日本刀
戦国武将が標準装備している刀。

【人物背景】
出典はアニメ版『戦国コレクション』
戦国世界で信長を殺しているという。銃を武器に使う。
信長の家臣「小悪魔クインテット」のひとりであったが自身に秘宝を宿しておらずそれが嫉妬心となり負の力で秘宝を育てていく。
遠征軍の総大将の座を下ろされたのが決定打となり、秘宝が覚醒し戦国武将が現在に飛ばされる原因となった。
森蘭丸と共に現実世界に飛ばされた際、一時記憶喪失になっていたが火事をみた際に記憶を取り戻す。
(名探偵・明智先生として登場。助手の木林少年と共に天下村全裸殺人事件の解決に挑んだりしたが、それは夢である)
記憶が戻った後、自身が殺したと思っていた信長と再会、秘宝の献上を求められるが、それを拒否し行方をくらます。
今川との決戦では信長に加勢するが、信長だけを戦国世界に行かせないと、残りの宝珠は自分が手に入れると宣言し逃亡する。


【マスター】
谷川 柚子(ユズ)

【マスターとしての願い】
“彼”を……

【能力・技能】
  • comp
二画面の特徴的な外見のゲーム機であるが、改造が施されており悪魔召喚プログラムが入っている。
が、既に魔王が誕生した今召喚は使えなくなっている。
ハーモナイズやスキルセットは一応使えるが、サーヴァントを相手取るには心もとない。

【人物背景】
出典は『女神異聞録デビルサバイバー』及び『デビルサバイバー オーバークロック』
主人公の幼馴染。17歳(高校2年生)。とてつもなく胸が大きい。ウインドウに収まらないくらい。
ハンドルネームは「YUZ」。ロックアーティスト“ハル”のファン。
突如として山手線内が自衛隊によって封鎖される『東京封鎖』に主人公と共に巻き込まれる。

最初期からいるパーティメンバー。
彼女自身はこれといった主張を持たず、終盤まで「逃げたい」というスタンスのまま封鎖を過ごす。
分岐ルートの旗頭キャラの一人であるが、彼女のルートに分岐条件はない。つまりどれだけ人を死亡させても突入できる唯一のルートになる。
「逃げたい」という彼女の言葉を聞き脱出するも、最終的に悪魔が世界にあふれるという悲惨なエンディングとなる。
ヒロイン的立ち位置だが、彼女のルートは実質バッドエンドである(OCでは一応救済がある)

参戦ルートはナオヤ・殺戮ルート。
このルートでは主人公は魔王となり、邪魔する者は全て殺して神に挑むことになる。
魔王となった主人公とユズは決別し、更に殺戮を選んだ彼を止めるべく最終的には敵対することになる。
神の代行者・メタトロンと共に主人公の前に立ちふさがるも、魔王の力に彼女は敗北する。
最後に「さよなら」と言い残して、主人公の下を去った。

【方針】
分からない。


-007:狡噛慎也&アサシン 投下順 -005:ジョーカー&バーサーカー
-007:狡噛慎也&アサシン 時系列順 -005:ジョーカー&バーサーカー


登場キャラ NEXT
谷川柚子(ユズ)&アサシン(復讐ノ牙・明智光秀 000:DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命

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最終更新:2015年02月05日 03:11