家出少女と家無し少女
その1
【問題】
ある日、一人の少女がある状況に嫌気がさして家を飛び出した。
普段はそのような状況に反抗するような性格じゃないし、むしろ彼女なら人一倍迎合しただろう。
一方で、家に残っている少女達は、その状況を悪いと思ってなかったし、むしろ良いものとしてとらえていた。
では、その「状況」と、彼女がその「状況」に嫌気が差した理由は?
ルール:ウミガメのスープ
【解説】
リリカ「・・・もう嫌!」
ルナサ「どうしたのよ。疲れがたまっているのかしら?」
リリカ「逆よ!最近私たちずっと練習してないじゃない!」
メルラン「姉さんの提案で充電してるのよ~?あなたにもそれくらい分かるでしょうに」
リリカ「でもこのままじゃあ自分の存在意義が無くなりそうな気がするのよ!」
ルナサ「大げさじゃないかしら。私達はこうして練習をしていなくても騒霊だから下手になることなんてないわ。
こうやってのんびりすることで新しい曲のイメージが降りたりもする。急いて焦ることこそナンセンスよ」
メルラン「そうそう。まだレイラがいた頃なんて私たちはCの音すら分からなかったけれど普通に演奏してたじゃない~。
ほら、マカロン食べる~?」
リリカ「姉さんたちは楽観的過ぎるよ!私達は騒霊だからこそ毎日演奏しなければならないんじゃないの!?
毎日お菓子食べてお茶飲んで喋ったりするだけなんてどこかの放課後のお茶会じゃないのよ?」
ルナサ「まぁ、落ち着いて」
リリカ「これが落ち着いていられるの!?悪いけど、私は独りで練習しに行くから!
腑抜けた姉さんたちはついてこないでよ!」バタン
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
メルラン「いつもあんな努力家みたいな事言うような子だったかしらね~」
ルナサ「いつもなら楽なほうへ楽なほうへ流れたくなるような子だったから、
むしろ願望が完全に実現された方向だったでしょうね。」
メルラン「と、なると、つまり忙しいときは暇を求めるけど、暇なときはあわただしさを求める法則ね?」
ルナサ「でしょうね。」
メルラン「どうする~?探す?」
ルナサ「今、リリカにはこの #充電期間 の目的が分かっていない。
そんな状態で連れ戻してもどうしようもないでしょう?
しばらくしたら戻ってくるでしょう。しっかりとこの充電期間の意味を理解してね。」
メルラン「なるほど、リリカはここでお菓子を食べるよりも外で音のことを忘れて遊ぶほうが充電になる、とそういうわけね~」
ルナサ「その通りよ。メルラン、そのバームクーヘン取って。ああいや、違う、そっちのチョコ味のほう。」
#充電期間
その2
【問題】
リリカは家を飛び出した。
しかし、その後、大きな後悔の念に駆られた。帰りたいとも思った。
だが、ある人物と出会ったため、その思いは消えた。
何故後悔の念に駆られたのか?
また、「ある人物」を答えよ。
ルール:ウミガメのスープ
【解説】
「・・・もう嫌。」
家を飛び出したはいいものの、
彼女はあまりにも行動が浅はか過ぎた。
「外の天気をしっかりと見計らってしびれをきらすべきだった・・・!」
大粒の雨、低くどす黒くたちこめる雨雲、低い気温。
だんだんと暗くなっていく服の赤色、雫の垂れる髪、湿度を増す靴の中。
すぐに家に戻りたいと思った。
しかし、今帰ってきてしまっては姉の失笑や嘲笑にあうだろう。
だからそれはできなかった。
でも周りには雨宿りできるようなものもない。
それに梅雨時だ。今すぐに止むようなことなどないし、次の日晴れる保証もないだろう。
彼女は服の赤色の明度を下げながら、湿気を含んでいき、ただ立ち尽くしていた。
服に広がっていく赤黒い染みを見つめつつ、これからどうしようと思っていると、
「ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ母さんが~夜なべ~して~手袋~編んでくれた~♪
片方足りな~い~それはお前だ~!うらめしや~!
ねぇ、驚いた?驚いた?」
驚かす気が全く無いような妖怪が来た。
狙ってるのだろうか、天然なのだろうか。
どうやら傘の妖怪のようだ。
今、彼女しかこの雨をしのげるような存在はいない。
やることは一つ。傘に入れてもらえるように頼んだ。
「うん、いいよー。」
あっさり承諾してくれた。
「いや、助かったわ。あんたがいなかったらどうなっていたことやら」
「いやいや、傘は雨露から身を防ぐもの。
濡れてる人がいれば我が身を呈して守るのよ。
しかし災難だったねー。家はやっぱりここから遠かったりするの?」
「いや、あの家」
「いやいやいや、近いじゃん。すぐそばじゃん。」
「いやあ、実は姉さんたちとかくかくしかじかで」
「いやはや、なんとまあ」
「いやになったわけよー」
名前を聞いてみたところ、多々良小傘と言うようだ。
姉さんたちのところに戻れるくらいにほとぼりが冷めるまで、しばらくはこの子の厄介になろう。
あわよくば、・・・友達になろうかなという野心も秘めて。
「そういうことだからさ、あなたの家でしばらく厄介になってもいいかな?」
「構わないけど、わちき、家無いよ。」
「えっ」
「この雨で流されたのよ。しくしく」
「えっ」
#梅雨
その3
【問題】
リリカ「家が流されたって、どうやって寝てたのさ」
小傘「それはね、ここを伸ばすとね・・・」
リリカ「おおー、これが寝床になるわけねー。」
小傘「でも、これのせいで追われる身になっちゃった・・・」
リリカ「そりゃまぁ、ねぇ・・・。」
小傘がどのようにして寝たか、
また、小傘はどんな理由で誰に追われることになったのか?
ルール:ウミガメのスープ
【解説】
「もう嫌になっちゃうよねぇー」
「待って、流されたって、どんな家なの!?」
「ダンボール箱にわちきの傘を立てたもの」
「捨て猫ライフじゃない・・・」
「しくしく」
「いつ流されたの?」
「二週間くらい前ー」
「そんな前から梅雨だったのね・・・
充電期間に入ってて気づかなかったなぁ・・・。
あれ、じゃあどうやって今まで寝てたりしてたの?」
「流された先に河童さんがいてね、
河童さんに頼んで傘の改造してもらったんだー。
ここを押すと傘の布が伸びてわちき一人が寝られるぐらいのスペースのテントに。
どう?驚いた?」
「傘がカッパに助けを請う図面が驚きね・・・。」
「でもこれのおかげで河童さんに付きまとわれる身に」
「傘がカッパに勢力を弱められる構図ねぇ。
・・・って、どうして?」
「改造してもらったはいいんだけど、その分の代金を払って無くてねぇ・・・。
毎日のように請求がやってくるのよー・・・」
「無一文だったならやっちゃだめだよ!」
「あの時は切羽詰ってて・・・
もうその日の寝床さえ確保できればそれでいいや的なノリでやっちゃったからねー・・・」
「追い込まれてるねー・・・」
「おかげさまで。しくしく」
どうにかしてやりたい。
気づいたらそう思っていた。
ただ、純粋な優しさなどそういうものではなく、
『今、何らかの形で助けてあげたら、
彼女は友達になってくれるのではないか』
という、見返りを求めたものであったが。
どちらにしろ、ここまで不遇な状況下にいるのを、黙って見過ごすわけにはいかない。
ひとまず一つ持ちかけてみよう。
「その傘テントのツケを払うお金を稼ぐ方法が一応はあるんだけれど、一緒にやる?」
「えっ?」
青と赤の鈍く澄んだ目が、暗い空の下できらきらと輝いていた。
その時、傘の端から落ちた一滴の雨粒が、私の後ろ髪に当たって重たく落ちていった。
#傘とテントとカッパ
その4
【問題】
小傘「わちきだよー。
今、リリカちゃんに連れられてちょっと狭い部屋にいるんだけれど、
一体どういう方法でわちきのツケを払うお金を稼ぐんだろう?
というわけで、わちきに質問や指示を送ってその方法を突き止めて欲しいのよ。お願い!」
ルール:亀夫君問題
【解説】
小傘「もう嫌・・・こんなたくさんのコード・・・
短時間で覚えきれないよー・・・」
リリカ「むー、やっぱり厳しかったかー。
仕方ない、私が遠隔操作で演奏するから適当に演奏するフリしておいて。」
小傘「ありがとう・・・。
で、後はこの台詞を覚えればいいの?」
リリカ「そうそう。流石にそこまではカバーできないから頑張ってね。」
小傘「えーと、シューティングでは空を飛んでいるのに格ゲーでは重力に縛られるのはなんでだろー・・・
ねぇ、何これ?」
リリカ「ライブ用の台詞よ」
小傘「MC?」
リリカ「違う違う。そんないつも私たちがやってるライブやったら姉さんたちの面目がなくなるじゃん。
充電期間と銘打ってるのにその期間にライブ、ましてや私だけがその期間を破ってやってみなさい?
信用はガタ落ち、どこぞの服屋のように閉店しない閉店セールの連続のような状態に。
そう、一言で言えば狼少年ね。」
小傘「ということはこれは・・・」
リリカ「そう、ライブはライブでもお笑いライブよ。」
小傘「お笑いライブはいいんだ・・・」
リリカ「オフシーズンのスポーツ選手が専門のスポーツ以外のスポーツをやるみたいなもんじゃん?」
小傘「ふーん・・・。
あれ、最後のこのad libって書いてあるのは?」
リリカ「ああ、それはあなたの歌よ。」
小傘「ひぇぇ!?わ、わ、わちきの?」
リリカ「そうよ。私と出会ったときのあの出鱈目な歌。
ちょっと手を加えたら凄く面白そうだったから、ついさっきアレンジしたのよ。
いい感じに面白おかしい曲になってるわよー。」
小傘「・・・結構真剣だったんだけどなー」
リリカ「結果として面白いからいいのー。
まぁ、歌はそっちがアドリブで歌ってもそれなりに対応するから。
じゃあ、台詞覚えておいてねー。私もアドリブに対応できるように何パターンか作曲しておくからー。」
小傘「ええーと、星蓮船で蓮子が出てこないのはなんでだろー。・・・蓮子って誰だろう?」
リリカ「覚えた?そろそろ本番よー」
小傘「!?もう?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リリカ「お疲れ様でしたー」
小傘「おつかれさまでしたー」
リリカ「うーん、やっぱりあまり稼げなかったわねえ。
普段のライブだとプリズムリバー楽団っていういわばブランドがあるから結構お金は来るんだけど・・・。
いつもの私の分の取り分より若干多いって位ね・・・。」
小傘「でもみんな笑ってくれてたなあ・・・。ほっこり・・・。」
リリカ「その気持ちも大切だけれど、今最も重要なのは今日の寝床じゃん?
できるだけその幸せな気持ちを抱いて寝たいでしょ?」
小傘「うん」
リリカ「この分だとまだ返せる分だけのお金はないから、
また別のもっと稼げる方法を探さなければならないのよね~。」
小傘「ほへ~」
リリカ「だけれどこの取り分だと、今日からの寝床は保障できるわよ。上手くいけば簡素な家も。」
小傘「!!!」
#色も同じ
その5
【問題】
リリカ「というわけで、小傘を住まわせてください」
A「無理です。こちらはあなたたちだけの問題ではないのです。」
リリカ「これに住まわせます」
A「それならなんとか・・・」
リリカは小傘に何を家として購入した?
また、一度Aが拒否した理由は?
ルール:ウミガメのスープ
【解説】
一輪「もう、嫌だって言ってるでしょう」
リリカ「むー、何故に?」
一輪「ですから、いくら種族を問わず受け入れる体制の命蓮寺といえど、受け入れられないことくらいあるんです。
その子一人許容してみなさい。この幻想郷で路頭に迷っている人妖が一挙にここに押し寄せますよ。
当然、断ることなんて出来ません。しかし全員を養ったり面倒を見るだけの余裕なんてこちらは無いんです。
そういうことなので、彼女・・・小傘と言いましたっけ、をここ命蓮寺に住まわせるわけにはいきません」
リリカ「なるほどそういうことね」
一輪「分かっていただけましたか」
リリカ「ええ、住まわせてもらっていると言うことが分からなければいいんだね。
じゃあ問題ない。小傘を住まわせてもらうよ。」
一輪「・・・、一体どういうつもり?」
リリカ「ついさっき購入したゴミ収集庫を小傘の家として命蓮寺の隣に置いてもらうわ。
これなら中に人が住んでるなんて思われないでしょ?」
一輪「・・・難しいところねぇ・・・。姐さんー?どうなの?アリかしらこれって?」
白蓮「うーん・・・うわさでも立つと結局一緒だし、
かといって本当にゴミ収集庫と思われてゴミを入れられてしまっちゃ駄目でしょ?
そうねぇ・・・ぬえー?ぬえー?」
ぬえ「ぬゅっ?」
白蓮「このゴミ収集庫、あなたの部屋に置けないかしら?」
ぬえ「なんで?」
白蓮「それがまぁあれがこうしてかくしかじか等々でね」
ぬえ「ふーん。なんで私の部屋じゃなきゃだめなの?村紗のとこじゃ駄目なの?」
白蓮「あなたの部屋にあっても絶大な違和感が逆に違和感無いから・・・というのは冗談で。
あなたの方がもしバレそうになってもうまく誤魔化せるでしょう?」
ぬえ「まーね。一応自負してるよん」
白蓮「じゃあ、お願いね」
ぬえ「よろしくね。えっと・・・小傘。時折その中に入らせてもらっていい?」
小傘「よろしくー。いいよー中に入っても。」
ぬえ(どうにも別人とは思えないなぁーこの子・・・)
リリカ「ともかく、住んでいいってことね?」
一輪「仕方が無いけど、ね。」
小傘「ありがとうー!あ、やっぱり住むからには庭の掃除とか・・・」
白蓮「特に義務は押し付けませんが、その心意気は評価に値します。
自分が善いと思ったやるべきことは進んでやって下さい。ただし、あまり働きすぎないよう。」
小傘「はーい。」
リリカ「さて、明日は今度こそ河童のツケを返せるほど稼ぐよー!
朝迎えに行くからねー!・・・と思ったけど私も家出中だったのでそこで寝かしてください。」
小傘「ふふ、うん、いいよー」
村紗「一段落したー?
みんなー、ご飯できたよっ。今日のカレーはシーフードカレーだよー」
リリカ「今日『の』ということは・・・」
白蓮「ええ、毎日晩御飯は村紗のカレーよ。」
リリカ「なん・・・だと・・・」
その6
【問題】
ぬえ「私も小傘のツケ返しに協力する羽目になったんだけどもね、
あの赤い子、相当急いでたのか、何するの?って聞く前に、
私に何も説明せずに『Aを呼びにいってくる!』って言ったのよねえ。
一応、何するかって言うのを決める為のメモがあったけれども・・・」
『暗くして一部だけ明るくする→絶対に当たらないようにする→金来る→計画通り』
ぬえ「・・・なんとまあ、自分専用のメモほど正体不明なものはないねえ・・・」
小傘「何するんだろうねー。」
リリカはどのようにしてお金を稼ごうとしている?
ルール:ウミガメのスープ
【解説】
小傘「もう嫌ぁー!!」
ぬえ「ぬぇええぇ!?だ、大丈夫!?」
小傘「う、うん・・・大丈夫・・・。いつも寝起きはこうだから・・・
まだ妖怪になる前の忘れ傘時代をまだ夢に見るんだ・・・」
ぬえ「そ、そうなんだ・・・心底驚いたねぇ・・・。」
小傘「本当?毎日寝起きの時だけはちょっと満たされた感じだったのはそういうことだったのかあ・・・」
ぬえ「まぁ、ともあれ今日から私たちであなたのツケを返すことになったようよ」
小傘「ほぇ?ぬえちゃんも?」
ぬえ「そうそう。赤い子曰く、どうやら今日のビジネスは私ともう一人必要なようでねー」
<この辺に問題文のシーン>
小傘「どおりでリリカちゃんがいないと思ったら・・・、
もしかしてそのもう一人を連れてくるために外に?」
ぬえ「そそ。しばらく私の部屋で待機してろってさぁ。」
小傘「へぇー。それにしても面白い部屋だねえ。
食品サンプルがいっぱいあったり、ミニチュアの仏像があったり、ハイパーヨーヨーが何種もあったり・・・
わちきの家が全く違和感ないやー。」
ぬえ「ただ単に片付けるのが面倒なだけなんだけれどもねぇ」
小傘「あ、これは?」
ぬえ「ああ、それは村紗の服。」
小傘「何でここに?」
ぬえ「ちょっとした悪戯心ねー。」
小傘「ふーん(何に使ってるんだろう・・・)」
~~~~~~~~~~~~~~
リリカ「というわけで連れてきたよー!」
アリス「まぁ、話は聞いたわ。それにしてもあくどい事考えるわねえ。」
小傘・ぬえ「?」
アリス「あなた、もしかしてこの子達にまだこのこと教えてない?」
リリカ「あー、そうかもしれない」
アリス「・・・全く。説明してあげなさいよ。」
リリカ「はーい。要約すると絶対に勝てるギャンブルね。
・・・影絵ってあるでしょ?それを利用するのよ。
ある影を映して、それが一体何を示しているかを答えさせるの。
そこでちょっと観客に賭け事をしてもらってね、その影が何を示すかに一定以上の額を賭けさせるの。
ぬえの正体不明の種をつければ人によっていろんな見え方になるんでしょ?それを利用するのよ。」
ぬえ「つまり、一部の人を除き、大抵の人はみんな間違った影に見える。
だけれどそれが紛うことなく正解だと思い込むから自信満々で賭ける。
そして答えを出す時に正体不明の種を除いて正解を出し、お金をもらう・・・と、そういうことね?」
リリカ「そそそ。で、アリスを呼んだのは、人形劇の一環としてその影絵をやってもらう為よ。
いきなり影絵で賭け事をやってもみんな怪しんで手を出さないからね。
それに、影を作るための環境なんてそうすぐに私達は用意できないし。」
アリス「全く。バレたら知らないわよ?」
リリカ「大丈夫大丈夫。バレた時はからくり人形ってことにすればみんな合点がいくでしょ?」
アリス「苦しいわね・・・。」
小傘「あれ?わちきの出番は?」
リリカ「ああ、その傘の内側にお金を入れてもらうから。折角皮が伸びて容量も増えたしね。がっぽり入るよきっと!
あ、ついでに司会もやってみる?」
小傘「え!?できるかなあ・・・。」
ぬえ「いやあ、こういう悪戯するのも久しぶりねぇ。目一杯協力させてもらうよ、赤さん」
リリカ「リリカよ。」
~~~~~~~~~~~~~~
小傘「お、重い・・・」
ぬえ「重いのほか・・・じゃなくて思いのほか盛り上がったねぇ。
久々にこういう背徳感あふれる遊びをやったよー
で、どうなの?収穫は。」
リリカ「・・・よし!参加人数が多かったことが幸いしたわ!この分だとツケが返せそうよ。」
小傘「やったー!これから安心して過ごせそう・・・」
アリス「お疲れ様。しかしあなた、他人のためによくそこまで働けるわねぇ。」
リリカ「いやあ・・・困ってる人を見ると放っておけないタチなもんで。」
アリス「それだけじゃあないでしょ?」
リリカ「・・・」
アリス「一応、言いはしないけれど、大体分かるわ。あなたが求めてるものが。
私も同じような願望を持ってたときがあったから。まぁ、精一杯やりなさい。」
リリカ「・・・うん。」
その7
【問題】
リリカは小傘の胸のうちで号泣した。
何故?
- 日付が変わるまでに解くことが出来ればEX問題(ウミガメのスープ)ができます。
- もし日付が変わった場合、この問の解説にEX問題の解説も含まれます。
ルール:20の扉
【解説】
「もう嫌というほど待ったよー。毎度ありー。」
そう言って河童は満面の営業スマイルでツケを受け取った。
とりあえず、一段落である。
隣の小傘も安堵の表情を浮かべている。
一仕事した後の程よい脱力感に身を任せていると、
「そういえば、リリカちゃんは家には帰らないの?」
すっかり忘れていた。
最近この子の暮らしを安定させることばかり考えていて、
自分や音楽のことはおろか、家のことなんて考えたことも無かった。
だが不思議と楽しかった。
音楽活動から離れて他の活動をするのもなかなか乙なものだと思った。
そうか、改めて考え直すと、充電期間とはそのためのものだったんだな、と。
音楽には直接結びつかないけれども、様々な経験を積むことが目的だったんだなぁ、と。
結局その経験が音楽にも少なからず影響していくのだな、と。
姉さんたちに会って謝らなければならない。
しかし丸二日も家出してしまったのだ。
姉さんたちは許してくれるだろうか。
あれこれ考えてしまって。怖くて。怖くて。
「うーん、まだ帰らないよー。私はまだ姉さんたちのやったことを認めていないしねー。」
嘘をついた。
「そっかー。。あ、そうだ、ここまでしてくれたのもリリカちゃんのおかげだし、
わちきにできることなら・・・って言ってもあまり無いけれど・・・何でもしてあげるよ?」
この重く、暗く立ち込めた雨雲と、激しい大雨に全く不釣合いな、満面の笑みで、明るい声で小傘は言った。
そうだ、もとよりこういうのを待ってたんだ。
そう、この子のためというよりも、そう、まさにこの時のため。
背徳感は少しあるが、この時を待っていたのだ。躊躇することはない。
「うーん・・・じゃあ、私と友達になってくれる?」
言った。
「えー、それは出来ないよ。」
頭を鈍器のようなもので大きく打たれた感じがした。
視界がモノクロトーンに変色した。顔に嫌な熱さを感じる。
さらに小傘が口を開くと、
「だって、わちき、リリカちゃんと最初に会ったときからもう友達だと思ってたもん。」
今度は、逆に真綿で体全体を圧迫されるような気分になった。
私がこの子に意図的にしてあげられたこと、この子が私に無意識にしていたこととが、
釣り合うことなんて初めからなかったんだ。とんでもないことをしてしまったのだろうか。
綿が水を含んでいくように、背徳感が大きくなって、罪悪感が募って、自己嫌悪感が伴って、、もう立っていられなくて。
でも、その水は柔らかく、暖かくて、どことなく幸せで。
いろんな感情が混ざり合って、マーブル状になって。
限界だった。
私は小傘の胸のうちで泣いていた。
後から後から溢れて出て行く大雨を、小傘はしっかりと彼女の布で受け止めていた。
泣いている最中、頭の上から能天気な声が聞こえた。
「えー、本日の天気は曇り時々大雨、翌日は地固まるでしょうー。」
ふと、ぐちゃぐちゃになった私の頭の中を、一つの旋律が流れた。
#もう既に友達だと思ってた
その8
【問題】
その日の夜、
小傘「船長!リリカちゃんはどうにも家へ帰りたいけれど帰れない心情であるようなのですが、
一体どうすればいいでしょうか!」
村紗「多々良水兵!ならばこうしろ!健闘を祈る!Good Luck!」
小傘「こんなので大丈夫でありますか!船長!」
村紗「案ずるな!昔、ぬえがまだ今以上に天邪鬼だった頃にこうしたら、
非常にかわいらしい反応をしてなんだかんだで言うことを聞いてくれたのだ!」
小傘「なんと!」
村紗が小傘にアドバイスした内容を答えよ。
ルール:ウミガメのスープ
【解説】
小傘「もう嫌になるほど部屋にこもってるけど、大丈夫かな、リリカちゃん。そろそろ昼だよ・・・。」
ぬえ「聖の書斎に篭った朝からずっと何か書いてるねー。
行動が突飛で私でさえも行動が正体不明だと感じちゃうよ。」
小傘「あ、出来たみたい。」
ぬえ「見たところ、五線譜っぽいねぇ。」
小傘「じゃあ、新曲かな?
ねぇ、リリカちゃん、それは・・・」
リリカ「うわあ!?ああ、いや、なんでもないよ。」
小傘「新曲でしょ?」
リリカ「・・・うん。」
小傘「次のライブでやるんでしょ?広告が命蓮寺にも届いてたよー。」
リリカ「・・・え?」
ぬえ「『充電期間を経て一新されたプリズムリバー楽団の最初のライブ!
長女ルナサによるヴァイオリン弾き語り、次女メルランによる曲芸的トランペット演奏、
そして三女リリカによる新感覚の新曲をお楽しみに!』だってさ。」
小傘「姉さんたちは許してくれているようだよ?
戻ってあげたら?」
リリカ「いや・・・でも・・・私は・・・。」
小傘「私、リリカちゃんがステージの上で演奏しているところ、見たいなあー。」
ぬえ「そうそう。私たち命蓮寺はついこの前まで地底にいたから、
あんたたちがライブやってるって言われてもいまいちピンとこなかったのよねぇ。
できれば聞いてみたいわ。」
リリカ「うーん、でも・・・。」
小傘「ね、お願い。友達のよしみで。」
ぬえ「そそ。友達のよしみで。(なんかデジャヴ・・・)」
リリカ「もう・・・しょうがないなあ・・・。」
小傘・ぬえ「わーい」
リリカ「じゃあ、姉さんたちの所に戻るねー。」
小傘「命蓮寺のみんなと一緒にライブ、見に行くねー!」
その日は珍しく、晴れていた。
どうやら梅雨は明けたようだ。
程よく残留した湿気が心地よい。
家に帰ろうと水溜りを跳ねながら走るリリカの脇に挟まれた何枚かの五線譜。
走っていくたびに紙の束は乱れていき、そこに一行の文字列が、ちらりと見えた。
『#万年置き傘にご注意を』