『シザースの最期!?』
作者・大魔女グランディーヌ
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都内の某高級レストラン***
所轄小竹署の刑事である須藤雅史は、
ある日、新宿西警察署の署長であるの野上冴子に
食事へと招かれた。
須藤「それにしても光栄です。あの小沢澄子と並んで
警視庁きっての才媛と言われた貴女に、私のような者が
こうして食事に誘われるなんて…」
冴子「うふふ…以前から貴方にはいろいろと
興味があったのよ」
須藤「奇遇だなあ。実は僕もなんですよ。フフフ……」
円形のテーブルと上に並べられた料理を挟んで、
お互いに腹の探りあうかのように見つめ合っている二人。
そして冴子は適切なタイミングを見計らって、一枚の写真を
須藤の前に差し出した。その写真には、
巨大なハサミを持った黄色い異形の姿が2つ映っていた。
須藤「……何です、これは?」
冴子「さる筋からICPO経由で警視庁へと送られてきた証拠写真よ。
この黄色い怪物が東副総監を襲った犯人ね」
須藤「ほぉー。このような写真が撮られていたとは……。
しかしこれでは犯人らしき姿の詳しい素性まではわかりませんね」
冴子「それがね。この2体の怪物のうちの1体は、正体が貴方だって言う
確かな証人がいるの」
須藤「……!!」
冴子「須藤刑事、貴方は東副総監が襲われた晩、
どこで何をしていたのかしら?」
急に須藤の顔の表情が変わる。
須藤「…どういう意味でしょうか?」
冴子「貴方が過去に警察官にあるまじき違法行為を働いてきた事。
これまでの調査で全てお見通しよ。そろそろ聞かせてもらえないかしら?
貴方のこれまでの悪事の数々を揉み消すために力を貸してきた
黒幕の名前を…」
しかし須藤は動じるどころか突然笑い出した。
須藤「ハハハハハ!!」
冴子「…?」
須藤「さすがは野上署長。よくそこまで調べ上げましたね。
その通り。東副総監を襲ったのはこの私です」
冴子「あら、あっさり認めるのね。
自白と受け取ってもよろしいのかしら?」
須藤「だが貴女に私を逮捕することはできない。
…知ってるんですよ。貴女が裏であのシティーハンターと
繋がっていることぐらい」
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冴子「………」
須藤「言ったでしょう。僕も貴女のことには以前から興味があったと…。
こちらもいろいろと調べさせてもらいましたよ。貴女は警察の手に負えない
難事件を解決する際に、度々あのシティーハンターに協力を依頼していた
ようですね。いけませんねぇ…。警察官ともあろう者が
闇の世界のスィーパーと関係があるだなんて……」
冴子「………」
須藤「貴女も昔と違ってもうオバサンなんですから、
若い時みたいな無理はしないことですよ。フフフ……」
ところが、今度は冴子が笑い出す番だった。
冴子「うふふ…あはははは!!」
須藤「どうしたんですか!? 気でも触れましたか!?
……!!」
何かの気配に気づき、背後へと振り返る須藤。
冴子「リョウ、今の会話、しっかり録れた?」
???「ああ、この通りしっかり録れたぜ!」
須藤「誰だお前は!?」
???「フッ…お前が今話してたシティーハンターさ」
二人のテーブルの前に、ICレコーダーを片手に持った男が現れた。
裏の世界ではNo.1の凄腕のスィーパー。飄々と、それでいて鋭く、
法では裁けぬ悪を撃ち、その戦闘能力は、
本気になれば「東京さえ壊滅できる」ほどだが、
そのハードな稼業とは裏腹に「恐怖のもっこり男」の異名を持つ
比類なきスケベでもある冴羽撩その人の登場である。
須藤「くそぉーっ!! 罠だったのか!?」
逆上した須藤は懐から拳銃を抜こうとするが、
今度は撩とは別の方向から飛んできた弾丸が右手を掠める。
須藤「くっ…! 誰だ!?」
もう一人、拳銃を持った少女が須藤を牽制しつつ近づく。
香瑩「撩パーパ!」
撩「よくやった香瑩」
須藤「くそ、もう一人いたのか!」
冴子「覚えておきなさい。事件解決のためなら多少の
非合法捜査も辞さないのが今も昔も私のやり方よ。
それからもう一つ――」
冴子は屈んでいる須藤の胸座を掴み上げ、
腹にめがけて肘蹴りを食らわす!
須藤「――げほっ!?」
冴子「私はまだ若~い!!」
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須藤「な、なめやがって~!!」
須藤は一瞬の隙を突いて懐からカードデッキを取り出し、
Vバックルへと装填した。
須藤「――変身!!」
全身メタリックオレンジに包まれた異形の姿――
――仮面ライダーシザースへと姿が変わる。
冴子「とうとう正体を見せたわね」
シザース「こうなったら貴様ら全員生かしてはおかん!
皆殺しダァァ――!!」
シザースが左腕に装備されたハサミ型――シーザスバイザーの凶刃を
冴子たち3人めがけて振り下ろそうとした瞬間――、
高性能センサー内蔵マシンガン・トライショットの弾が
シザースめがけて炸裂した!!
シザース「ぐああああっっ!!!!」
シザースの前に立ちはだかったのは、
ビットスーツと呼ばれるグリーン、ブルー、グレー、
それぞれ3色の戦闘装甲服に身を包んだ3人の刑事――
――マーズビット、マーキュリービット、サターンビットであった。
冴子「ご苦労さん、サイバーコップのみんな!」
マーズ「野上署長、お怪我は!?」
冴子「私たちは大丈夫。それよりも早く須藤を!」
マーキュリー「了解!」
サターン「今まで気づかれないよう密かに内定調査を続けていたが、
とうとう尻尾を見せたな。この警察官の面汚し野郎め!
神妙にしろいっ!!」
シザース「くそ~! こんなところで捕まってたまるかぁ~!!」
多勢に無勢と見たのか、その場から逃げ出すシザース。
マーズ「待て須藤刑事! 往生際が悪いぞ!」
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***レストラン正面入口***
変身を解除し、他の通行中の客や従業員を押しのけて、
建物の外へと走り出る須藤。
???「乗れっ!」
シザース「……!?」
レストランの玄関に停めてあったサイドカーの男(ヘルメットで顔は見えない)は、
須藤を助手席に乗せると猛スピードでその場から走り去った。
マーズ「しまった、逃げられたか…」
冴子「あのサイドカーの男、一体何者……??」
都内・郊外の某廃工場跡***
須藤「助かりましたよ、草加さん」
草加「………」
窮地の須藤を救ったのは、やはりあの草加雅人であった。
須藤「とにかく、これから私はティターンズを頼って海外に高飛びしますよ。
南さんにはよろしくお伝えください」
草加「ククククッ……」
須藤「何がおかしいんですか?」
草加「悪いんだけど、もうこれ以上アンタにこの世でうろちょろ
されても困るんだよなぁ……」
須藤「何っ!?」
草加「…変身!!」
Complete!!
須藤「何をするっ!? うわあああ~!!」
カイザに変身した草加にいきなり吹っ飛ばされる須藤。
訳もわからぬまま、彼も慌ててシザースに変身して応戦する。
だが先ほど香瑩から撃たれた右手を負傷しているため、思うように戦えない。
シザース「くっ…!! 貴様ああ~っ! 何の真似だぁっ!?」
ボルキャンサーを召喚するシザース。
カイザ「ふんっ!!」
シザースの問いにも答えず、カイザはミッションメモリーを
カイザブレイガンに装填し、カイザフォンのENTERキーを押す。
Exeed Charge!!
ガンモードでシザースを捕縛状態にした後、ブレードモードで切り裂き、
哀れ最後には「Χ」の紋様が浮かび、一瞬でシザースは灰化してしまった。
シザース「そ…そんなっ、ぎゃああああ~~!!!」
ボルキャンサー「グオオオオ…!!」
遅ればせながら、主を失って咆哮するボルキャンサー、
カイザめがけて突進してくるが、すぐさまカイザはサイドバッシャーに乗り込み、
バトルモードに変形させてエグザップバスターを発射して
ボルキャンサーにミサイルの雨をお見舞いした。
轟音の後、暫し沈黙が流れる……。
カイザ「フン、くたばったか……」
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都内某所・対オルフェノク地下研究所***
アジトに帰り、雇い主である南雅彦に事の次第を報告する草加。
南「ご苦労だった草加君。これで東副総監襲撃の件の真相は、
永久に闇の中へと葬り去られるだろう。白河先生もお喜びだ」
草加「……ああ。それで、いずれは俺のことも須藤刑事のように
冷酷に切り捨てるつもりなのかなぁ~?」
南「フハハハハ…何を馬鹿な……」
草加「俺は他の連中とは違う。そう簡単に蜥蜴の尻尾にはならないぜ。
くれぐれも俺に対してだけは妙な考えを起こすなよ」
南「……覚えておこう。それよりも須藤の始末を終えた直後で悪いが、
もう一仕事してもらえないかね?」
そういうと南は草加に4枚の顔写真を手渡した。
草加「こいつらは?」
南「元
GUYS JAPANの隊員たちだ。その内2枚に映っている
女二人が、かつての上官であったサコミズの無実を証明しようと、
いろいろと嗅ぎまわっている」
写真を一枚ずつまじまじと見つめる草加。
草加「驚いたな。スペインリーグのイカルガ・ジョージまで
いるじゃないか」
南「イカルガ・ジョージともう一人の男の方は今日本にはいない。
それよりも現在日本国内にいる女二人の方を早急に片付けろ。
これは白河先生からのご指示でもある」
草加「フン…女の始末か。俺の仕事じゃないな。
確かアンチショッカー同盟とか言う連中がいただろう。
そいつらにやらせたらどうだ?」
南「仮にも元は
GUYSの隊員だった人間を始末しろなどといったら、
さすがの奴らも私に疑念を抱く。それにもう既に人間一人を始末したんだ。
多少始末する人間が増えたところでどうという事はないだろう?」
草加「須藤はミラーワールドに魂を売った時点で
もう人間じゃない」
南「断るのか? ……確か園田真理とか言ったか。
彼女の身に何事か起こらなければいいがね」
南がさりげなく真理の名を口にした途端、草加の形相が一変した。
突然南の胸座を掴み上げ、激しい口調で詰め寄る。
草加「きさまあああっっ!! もしも真理に万一の事があってみろ!
この世に生まれてきた事を後悔するほどズタズタに引き裂いてやるっ!」
南「なら黙って引き受ける事だな。すでに君も我々と同じ
ロゴスの一員だ。
君も私も後に引けないところまで来ているのだよ」
草加「………」
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○野上冴子、冴羽撩、香瑩、サイバーコップ→東副総監襲撃の実行犯が
須藤雅史である事を突き止めて追いつめるが、逃げられてしまう。
須藤から黒幕の名を聞きだすことは出来ず。
●須藤雅史、ボルキャンサー→草加雅人に助けられて脱出するが、
直後に口封じのため殺されてしまう。
●南雅彦→草加雅人から須藤雅史を始末したとの報告を受ける。
さりげなく園田真理の名を持ち出し、草加にカザマ・マリナと
アマガイ・コノミ二人の始末を強要する。
△草加雅人→南雅彦の指示で、須藤雅史の口を封じる。
同時に南雅彦に対し、自分を捨て駒扱いしないように牽制するが、
南からカザマ・マリナとアマガイ・コノミの始末を強要される。
【今回の新規登場】
○冴羽撩(シティーハンター/エンジェル・ハート)
シティーハンターと呼ばれる、裏の世界ではNo.1のプロのスィーパー。
香瑩の養父。新宿駅東口の伝言板に「後が無い」という意味を込めた
「XYZ」という暗号を書いて依頼してくる様々な人々を助け、
法で裁けぬ悪を撃つ。ハードな稼業とは裏腹に、「新宿の種馬」、
「恐怖のもっこり男」の異名を持つ比類なきスケベでもあり、
若い女性に手を出すたびに香及び香瑩から100tハンマーの
天誅を食らっている。
○香瑩=グラスハート(エンジェル・ハート)
台湾の黒社会組織「正道会」に殺人兵器として養成された少女。
自殺を図ったが、交通事故死した槇村香の心臓を移植され、組織を脱走。
新宿で冴羽撩と出会い、彼の養女となり行動を共にする。
実は「正道会」のボス李堅強の実の娘だが、本人はその事は知らない。
香と同じく100tハンマーの使い手。
○北条明=マーズビット(電脳警察サイバーコップ)
警察学校ではトップ成績だったZACのエリート刑事。実は天才的な少年ハッカーであった
過去を持ち、自分を補導し、「正しい正義」に導いてくれた織田キャップを父親
のように信頼している。武田真也=ジュピタービットのことを「トーシロ」と呼び、
事あるごとに反発しあうが、戦いを共にするうちに仲間として、そして友人として
認めるようになる。ビーストマスター・ルナと愛し合うようになったが、
彼女の悲劇的な最期を看取った。
○西園寺治=マーキュリービット(電脳警察サイバーコップ)
自分の方が先輩なのに何故か武田のことを「先輩!!」と呼ぶ、ZACの一員。
やはり警察官であった兄を超えるために自分も警察官の道を選んだ。
幼い頃、母親にプレゼントされたリカちゃん人形を大切に持っている。
○毛利亮一=サターンビット(電脳警察サイバーコップ)
ZAC一のお調子者でギャグメーカー。ドジも多いが何故か憎めないキャラクターで、
武田と北条のいつもの喧嘩の仲介役になることも多い。
趣味は音楽と、そしてナンパだが、けっしていい加減な性格でもなく、
ちゃんと他人のことを考えていたりする。基本的に貧乏。
いつも田舎に残してきた妹たちのことを心配している。
最終更新:2020年10月29日 11:03