『正義の旗の下に その名はブレイバーズ』-7
作者・ティアラロイド
839
地球と宇宙の政府間協議を無事に成功させ、
防衛組織
ブレイバーズの結成へと漕ぎつけた星間評議会の特使一行。
しかし彼女らの仕事はまだこれで終わりではなかった。
天空聖界マジトピア***
デンデ「――かくかくしかじか…というわけでして、
ブレイバーズの創設にあたり、皆さんのご協力を得たいのです」
バラン「……(ナメック星人が地球の神を務めているという噂は
聞いてはいたが、本当だったとはな)」
現在の地球の神を務めている若きナメック星人デンデに連れられる形で、
天空聖界マジトピアを表敬訪問に訪れたアルマナ・ティクヴァー主従。
そのアルマナたちを見下ろす巨体が3人――
――天空聖界の長である天空大聖者マジエル、
百獣の神である精霊王ガオゴッド、
そして光の園を治める慈愛に満ちた女王クィーンである。
マジエル「仔細は承った」
ガオゴッド「我らにも異存はない。出来うる限りの協力は
惜しまぬつもりだ」
アルマナ「ありがとうございます。天空大聖者様、精霊王様」
ガオゴッドもマジエルも、本来は下界での出来事には
滅多に干渉したがらない性格で知られていたので、
思いのほか予想外に仲介が好調に終わったことに
デンデは内心ホッとして胸をなでおろしていた。
天界の神々も、現在の全宇宙にもたらされている
大いなる混乱と災いに無関心ではいられないのだろう。
マジエル「デンデ坊や、それでは地上にいる聖域(サンクチュアリ)の
女神(アテナ)にもよしなに伝えておくれ」
デンデ「わかりました。そちらはお任せください」
マジエル「ところでクィーンよ、おぬしのところの
可愛い戦士たちはまだ動かないのかい?」
ガオゴッド「確かプリキュアとかいう……」
クィーン「今はまだその時ではないでしょう。
ですがいずれ必ず彼女たちの力も必要とする日が
やってきます。その時を待ちましょう」
840
パオズ山 孫悟飯邸***
サタンシティから1000キロ以上離れた東の439地区にあるパオズ山。
この自然豊かな山奥に、かつて地球と宇宙の平和を守りぬいた
伝説の超サイヤ人・孫悟空とその一家が暮らしていた実家があり、
そこに隣接する形で、悟空の息子悟飯の一家が暮らす家が建てられている。
その悟飯の家に久々に二人の訪問客が訪れていた。
一人は悟飯もよく知る、俗にZ戦士と呼ばれる戦友の一人であり、
地球上に名だたる大企業でもあるカプセルコーポレーションの
若社長であるトランクス。
そしてもう一人は、
国際刑事警察機構/ICPOの長官・金田正太郎である。
トランクス「……というわけで、うち(カプセルコーポレーション)も
資本提携と技術協力の形でブレイバーズに全面協力することになりました」
悟飯「ふうん、そうなんだ」
トランクスの話に悟飯は感心そうに頷く。
正太郎「孫悟飯先生、サタンシティのオレンジスター大学助教、
東の都総合大学準教授を経て、現在は地球連邦大学で教鞭をとられ、
その若さで学術分野でも多大な功績をお持ちだ」
悟飯「いや~それほどでもありません」
悟飯は照れくさそうに頭をかく。
正太郎「悟飯さん、この上は率直に申し上げます。
セルゲームの真実、そして貴方と貴方のお父上、そして
その仲間たちがこれまで地球の平和を幾度となく守ってきたこと…、
ここにいるトランクス社長とミスターサタン氏から全てお聞きしました」
ビーデル「ハパったら、喋っちゃったのね!」
悟飯「トランクス君、話しちゃったのかい?」
トランクス「いや…その…本当にすみません…」
傍で話を聞いていた悟飯の妻ビーデルは憤慨し、
悟飯も困ったような顔をしてトランクスを問い詰める。
もしかしてこのICPOの長官は、また自分たちにGショッカーのような
悪と戦えとでも言うつもりだろうか?
悟飯「金田長官、せっかくですが、僕はすでに戦いの場からは
一線を退いています。申し訳ありませんがそういうお話でしたら…」
正太郎「いえ、確かにサイヤ人の血を引くあなた方に戦列に加わっていただければ
鬼に金棒だが、今日はその件でお伺いしたのではありません」
悟飯「…と、言いますと?」
トランクス「悟飯さん、実はドラゴンボールが復活したんです」
悟飯「…なんだって!?」
トランクスの言葉に悟飯は絶句する。
7つ集めて合言葉を唱えると、空が急に暗くなり神龍が現れ、
どんな願いも一つだけ叶えてくれる秘宝―ドラゴンボール。
しかしそれは数年前の邪悪龍との戦いを最後に消滅し、
もう二度と使うことは出来ないはずではなかったか。
トランクス「これを見てください。実は数日前から
ドラゴンレーダーにまた反応が現れるようになったんです」
トランクスが差し出したドラゴンレーダーには、
確かにドラゴンボールのものと思しき反応が映っていた。
正太郎「7つ集めるとどんな願いでもたちどころに叶えてしまう
ドラゴンボール。もしそんなものがGショッカーのような悪の手に
渡ったら大変です。なんとしてもその前に我々の手で7つ全てを回収し、
厳重に保管しておきたい。そのためにもドラゴンボールに詳しい
あなた方にも是非とも協力をお願いしたいのです」
ビーデル「あなた…」
悟飯「わかりました。ドラゴンボールが今なぜ復活したのかは
わかりませんが、そういうことであれば、僕たちも協力させて頂きます」
だが、時すでに遅しか、7つのドラゴンボールの内の一つが、
邪悪な願いを叶えようとする者の手に落ちようとしていることに、
まだこの時、悟飯たちは気づいていなかった。
841
北エリア ユンザビット高地・某洞窟***
ゼノビア「これがドラゴンボールか?」
ビルギス「はい、ゼノビア様」
ツンドラ地方に良く似た環境で、地表は土に覆われ草木が生えにくい環境の関係で
生き物が生息するには、あまりに適さない高原地帯。そこにある洞窟の奥深くで、
7本の尻尾を生やした奇怪な姿の女が、7つのドラゴンボールの一つ、
四星球(スーシンチュウ)を手にした。
ゼノビア「どんな願いも叶えてくれるというドラゴンボール。
ナメック星人がまさかこんなものを地球上に作ってくれておいていたとは。
これで生きたまま十本に尻尾を増やすことも夢ではなくなった!」
ビルギス「ゼノビア様が白骨化せずに十本尻尾におなりになれば、
ゼノビア様を盟主と仰ぐ旧貴族勢力を糾合し、メギド帝王を倒すのも目前です」
ゼノビア「…メギド…帝王…?」
ビルギス「…!?…申し訳ございません! メギド"王子"でございました」
ゼノビアに蛇の如く一睨みされ、それに仕える侍女ビルギスは
慌てて「帝王」を「王子」に訂正して言い直す。
ゼノビア「…ふん、メギドか。解放者の名君を気取っているようだが、
すぐに"尻尾の数が世の中の全てではない"などという世迷言は
二度と言えないようにしてくれようぞ」
桃白白「ドラゴンボールは一つだけでは何の意味もありませんぞ。
7つ集めてようやく願いが叶うのです」
髪の毛は長い三つ編みで、前に大きく「殺」の字が刺繍された
ピンク色の中国風道着に身を包んだ、己の肉体を半分機械化した
サイボーグ風の中年男がゼノビアに語りかける。
ゼノビア「それがどうした。Gショッカーの科学力を持ってすれば、
残り6つを短期間で見つけ出すことくらい造作もないわ」
桃白白「ゼノビア様が天下を取られた暁には、
わが鶴仙流をGショッカー次期創世王の武術指南役に
お取立てになる約束、きちっと果たしてもらいますぞ」
ゼノビア「わかっている。心配するでない」
ビルギス「ゼノビア様が十本尻尾の力を得られさえすれば、
瞬く間にGショッカーでのバトルファイトの頂点を極められる
であろうことは疑いがありません」
桃白白「…では、それを信じて朗報をお待ちしておりましょう」
桃白白は洞窟の外へと出ると、そこらへんに転がっていた大きな丸太を
上空へと放り投げ、それに飛び乗ってあっという間にその場から去ってしまった。
それを見送るゼノビアたち。
ビルギス「ゼノビア様、あの桃白白という男、信用できるのでしょうか?」
ゼノビア「知らぬわ。どのみち尻尾を持たぬ地上人など
用が済めば御用済みになる運命よ。それよりもビルギス、
今は残りのドラゴンボールの捜索を急ぐのだ!
他のGショッカー世紀王候補たちにくれぐれも勘付かれぬようにな」
ビルギス「ハッ」
842
○デンデ→アルマナ主従を天空聖界マジトピアへ連れて行き、仲介の労をとる。
○天空大聖者マジエル→星間評議会の特使アルマナ・ティクヴァーを引見。
○ガオゴッド→星間評議会の特使アルマナ・ティクヴァーを引見。
○クィーン→星間評議会の特使アルマナ・ティクヴァーを引見。
○アルマナ・ティクヴァー→天空聖界マジトピアを表敬訪問。
○バラン・ドバン→アルマナに付き従い、天空聖界マジトピアを表敬訪問。
○孫悟飯→金田正太郎の訪問を受ける。
○ビーデル→金田正太郎の訪問を受ける。
○トランクス→金田正太郎と共に孫悟飯邸を訪問。
○金田正太郎→トランクスと共に孫悟飯邸を訪問。悟飯にドラゴンボール復活を告げ、
その捜索への協力を要請する。
●女将軍ゼノビア→ドラゴンボールの一つ、四星球(スーシンチュウ)を手に入れる。
●侍女ビルギス→ゼノビアに付き従っている。
●桃白白→ゼノビアにドラゴンボールの存在を教え、手を組んでいる。
【今回の新規登場】
○デンデ(ドラゴンボールシリーズ)
ムーリ長老の村で暮らしていたナメック星人の少年。
フリーザ一味に村を襲われて殺されそうになっていたところを
孫悟飯とクリリンに助けられ、その縁で先代から引き継いで
地球の新たな神となった。
○天空大聖者マジエル(魔法戦隊マジレンジャー)
天空聖界マジトピアの女王で、見上げる程の巨大な姿を持つ。中立を保つ考えの持ち主で、
魔法を授ける以上の地上の戦いには干渉しない主義だが、深い思慮と慈悲の持ち主である。
それと同時に意外にお茶目な性格。終盤の決戦ではマジトピアに攻めてきた絶対神ン・マと一戦を交えた。
○風太郎=ガオゴッド(百獣戦隊ガオレンジャー)
百獣の神にして1000年前の聖霊王。ガオレオン・ガオコンドル・ガオソーシャーク・
ガオバッファロー・ガオジャガーが「神獣合体」することで地上に降臨する。
他のパワーアニマルと違って人の言葉を喋る。テトムからは「荒神様」、
ガオシルバーからは「千年の友」と呼ばれる。普段の地上では風太郎という少年に姿を変えている。
○クィーン(ふたりはプリキュア/同Max Heart)
光の園を治める、慈愛に満ちた女王。右肘を手摺に乗せて頬杖をついて玉座に座り、
左手にハート型のリングを持ち、そして玉座の後ろには後光のようなレリーフがある
金色の巨人のような姿をしている。光の意志が具現化した存在で、常に奥ゆかしい物腰をしており、
いつも暖かい目で全てを見守る。通常は玉座から立つことはないが、ジャアクキングが
光の園に侵攻してきた際には自ら立ち上がり戦った。
○トランクス(ドラゴンボールシリーズ)
ベジータとブルマの息子であり、サイヤ人と地球人の混血。
現在は会長の座に退いた母ブルマに代わって、カプセルコーポレーションの
社長を若くして務めている。超サイヤ人の一人だが、平和になった現在では
修行は怠りがち。尚、過去に未来からやって来たトランクスは、彼とは
パラレルワールドの別人である。
●女将軍ゼノビア(科学戦隊ダイナマン)
有尾人一族ジャシンカ帝国の7本尻尾の女将軍。妖魔力の使い手。
狡猾で奸智に長けた野心家であり、過去に帝王アトンに対して謀反を起こして失敗、
千年洞窟に投獄されていたが自力で脱獄し、アトンに恭順を装いつつも
ジャシンカの帝王の座を狙っていた。レトロ遺伝子の存在を知り、
ダークナイトと手を組み、アトンより先に10本尻尾になろうとしたが、
そのダークナイト(=メギド王子)に裏切られ、レトロ遺伝子を浴びて
念願の10本尻尾となった途端に白骨化して絶命する。
●侍女ビルギス(科学戦隊ダイナマン)
ゼノビアの侍女として仕える上級の女性シッポ兵。人間に化けることもできる。
●桃白白(ドラゴンボールシリーズ)
世界一を自称する殺し屋で、鶴仙人の実弟。料金は1人殺害につき1億ゼニー。
指や舌でも人を殺すことができるほどの凄腕の暗殺術を心得ており、剣術にも長ける。
必殺技はどどん波。性格は冷酷で残虐非道。しかし、もう超サイヤ人にまで成長した
Z戦士たちの敵ではなく、(あくまでも)彼らから見ればもはや大した実力ではない。
最終更新:2020年11月19日 07:38