本編849~852

『ゴジラVSギャオス 地対空大決戦』-1

 作者・凱聖クールギン
849

東京・内閣安全保障室***


桃太郎「ゴジラの行方は、まだ掴めないのかね」
土橋「現在、海上自衛隊の総力を挙げて捜索しておりますが…」

内閣安全保障室長の土橋竜三は、
剣桃太郎首相からの問いに渋面を作って答えた。
ゴジラが日本に迫っている…。
だが、広い深海を自在に泳ぎ回るゴジラの動きを捉えるのは難しく、
ゴジラの現在位置は特定できないでいた。

桃太郎「山根君、ラドンの方はどうかね?」
健吉「対馬沖の岩礁の上に降りたまま、動こうとしません」

阿蘇から東京へ戻った山根健吉が報告した。
宇和島から飛び去ったラドンは北へ逃れ、
洋上の小さな岩礁を見つけて止まったまま休息している。

桃太郎「朝鮮半島や中国にも近い位置だ。
 彼らを刺激する危険を考えれば、
 迂闊に自衛隊を送ってドンパチするわけにも行かんな」
土橋「怪獣に、どうしてそんな知恵が回るのか…」
健吉「ただの偶然だと思いますが、
 あそこが国境付近で政治的にも微妙な場所なのが、
 たまたまラドンに僥倖したんでしょうね」
土橋「いや、そんなことは、分かってるがね」

詮ない愚痴を真面目に返されて、
弱ったように白髪をかく土橋室長。

桃太郎「ラドンについてはしばし様子見だな。
 目下、優先して備えるべきなのはゴジラの方だ」
土橋「現在、首都圏を中心とした太平洋沿岸一帯に
 万全の防衛体制を敷いております。
 ゴジラがどこに現れようとも、すぐさま自衛隊が出動し迎撃します」
桃太郎「メカゴジラの修理も間もなく終わる。
 ジラースやラドンともあれだけやれたんだ。
 完全なコンディションとなったあの機体なら、
 きっとゴジラにも負けはせん…!」

850

大阪・梅田***


梅田のビル建設現場で事件が発生した。
建設中の地下駐車場で、地中から謎の卵が掘り出されたのだ。
急ぎ警察とGUYSへ通報されたが、
彼らが駆けつけるのを待たずして、建設作業員達がビル内で変死し始めた。
どうやら卵は既に孵化し、人を襲う恐るべき怪物が生まれてしまったらしい。
ただ怪物の目撃者はほとんどその場で殺され、ひどい時には喰われてしまっているため、
地下駐車場にいるのが一体どんなモンスターなのか、
情報は曖昧なものしか集まっていなかった。

風間「ったく…。何でこの私が大阪くんだりまで来て
 怪物退治を手伝わなきゃいけないんですか」
加賀美「まあ、そう言わないで。
 強力な怪物達に対抗できる戦力として、
 俺達仮面ライダーは地球連邦軍からも高く買ってもらってるんだから。
 ブレイバーズが創設されて組織体系が整えば、
 これからはこういう協力関係がもっともっと多くなりますよ」
ゴン「そうそう。文句言わない!」
風間「はいはい…。分かりましたっと」

たこ焼きをつまみながら笑顔で言うゴンに、
風間大介は頭が上がらないとばかりに自慢の長髪をかく。
加賀美新は事件現場のビルを睨み、自分に気合を入れていた。

ミズキ「元ZECTライダーズの協力に感謝します。
 頼りにしてますね」
風間「おお、お譲さん…。
 あなたのような美人に会えるなんて、
 私もわざわざ大阪まで来た甲斐があったというものです。
 今度よろしければ私のメイクアップを…」
コバ「こらこら、何ミズキ隊員をナンパしてんだよ」

DASHのコイシカワ・ミズキ隊員とコバ・ケンジロウ隊員は、
風間の軟派な態度に少したじろぎつつ、
GUYS JAPAN直属の主力メンバーとしてこちらも気合十分である。

ミズキ「さあ、行きましょう」
コバ「よ~し!」
加賀美「変身!」――Henshin!!
風間「変身!」――Henshin!!

ガタックゼクターとドレイクゼクターをそれぞれセットし、
加賀美はガタックに、風間はドレイクに変身する。

851

ビルは地下1階と2階が駐車場となる予定で、
既に1階はほぼ完成、2階が工事中の状態だった。
卵は地下2階で発見されたが、地下1階でも人が襲われ死亡している。

ガタック「俺達が先に行きます」
コバ「ああ、頼む」

防御力に優れたマスクドライダーシステムを装着したガタックが、
突入の先陣を買って出る。
その次にドレイク、それからコバ。
ミズキは生体探知機と駐車場の図面を見比べながら一番後ろからついて行く。
地下1階は塗装も完了していて、
壁に書かれた駐車スペースのナンバーから数字で場所を言い表すことが可能である。

ミズキ「右端…A-23の付近に生体反応あり!」
ガタック「了解。キャストオフ!」――Cast off!!
ドレイク「キャストオフ!」――Cast off!!

マスクドフォームの装甲を発破し、
二人のライダーはライダーフォームにチェンジする。

ガタック「クロックアップ!」――Clock up!!

時間流を遅滞させるクロックアップを使えば、
ガタックから見て敵はほぼ停止状態となり、
例え死角に気付かず接近したとしても奇襲を受けることはない。

ガタック「こいつか…。喰らえ!」

ミズキが特定した場所へクロックアップで移動したガタックは、
柱の陰に隠れた状態のまま動かない怪物に一撃を浴びせ、
殴り飛ばして皆の前に姿を露出させた。

ギャオス「キォォォ――!!」

禍々しい怪鳥のような化け物が、甲高い咆哮を地下駐車場に響かせた。
超音波怪獣ギャオスである。

ドレイク「現れましたね。気色悪い怪物め」

ドレイクがドレイクゼクターを連射。
コバとミズキもダッシュライザーで攻撃し、
体長3mほどのギャオスの幼体はたまらず絶命した。

ミズキ「まだいるわ! D-16!」
コバ「危ない!」
ガタック「うわっ!」

別の柱の陰から放たれた超音波メスがガタックを直撃!
ボディから煙を噴いてガタックは倒れた。
続けざまに照射された恐ろしく鋭利な超音波の刃物は、
倒された一匹目のギャオスの死体を床のアスファルトごと真っ二つに切り裂く。

ドレイク「ライダーシューティング!」――Rider shooting!!

ドレイクの必殺技・ライダーシューティングが発射され、
隠れている二匹目のギャオスを鉄筋の柱ごと爆砕した。

コバ「やった!」
ミズキ「この階にはもういないわ。
 後は一番下の、地下2階ね」
ドレイク「化け物どもの根城ってところですね」
ガタック「ようし…。行こう」

自動車用のスロープを下りて、
一同は最難関と思われる建設中の地下2階へ向かった。

852

○剣桃太郎→ゴジラ・ラドン対策の指揮を取る。
○土橋竜三→ゴジラの行方を追っている。
○山根健吉→ラドンの動向を監視している。
○加賀美新&風間大介→大阪でDASHのギャオス殲滅作戦に協力。
○ゴン→風間大介について大阪へ来ている。
○コイシカワ・ミズキ&コバ・ケンジロウ→大阪でギャオス殲滅作戦を行なう。
●ギャオス→大阪・梅田で建設中の地下駐車場で卵が孵化。
        仮面ライダーガタックとドレイクに攻撃され幼体二体が倒される。

【今回の新規登場】
○風間大介=仮面ライダードレイク(仮面ライダーカブト)
 ドレイクゼクターの資格者。トンボをモチーフにした銃撃戦主体の仮面ライダーで、
 必殺技はライダーシューティング。
 職業はメイクアップアーティストで、メイク道具をギターケースに入れていつも持ち歩いている。
 女性に目がないフェミニスト。記憶喪失の少女ゴンを連れ歩き、保護者として守っている。
 飄々とした自由気ままな性格。

○ゴン(仮面ライダーカブト)
 風間大介と行動を共にしている少女。過去にワームに襲われて母・順子とはぐれ、
記憶喪失になったところを大介に保護された。

「ゴン」は名前を忘れた彼女に大介がつけた名で、本名は高山百合子。

●超音波怪獣ギャオス(大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス/ガメラ 大怪獣空中決戦)
 フォッサマグナ付近の地下空洞で眠っていた翼を持つ怪獣。
 武器は超音波メス。肉食で人間を常食とする。超古代文明の遺伝子工学によって生み出され、
 その目的は増え過ぎた人口を減らすためとも言われる。性転換と単為生殖が可能。夜行性で
 光や炎を嫌い、胸から黄色い煙を出して炎を鎮火する。

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最終更新:2020年11月19日 07:40