本編1302~1306

『シグフェルVSGショッカー』-1

 作者・ティアラロイド
1302

無幻城・ブレインルーム***


ハスラー「よくもまあオメオメと顔を出せたものだナ!
 コノ裏切り者ガッ!」
ゴメス「これは手厳しいご挨拶ですな」

ブレイン「………」

ここは無幻城の中枢部でもあるブレインルーム。
ブレイン党の支配者である超コンピューター、
巨人頭脳ブレインが鎮座する空間である。

一本のスプーンから宇宙船まで、
あらゆるものを作り出す超生産能力を持つ
コンピュータであるブレインは、
Gショッカー地球遠征軍の本部要塞・無幻城の心臓部と接続されており、
まさに無幻城の意思そのものとも言える存在であった。

ブレイン「ゴメス、今はスマートブレインの
 世話になっているそうだな…?」
ゴメス「お陰様をもちまして、客分の待遇を
 かたじけなくしております」
ハスラー「スマートブレインに頼まれて何を
 探りに来タッ!?」
ゴメス「何も頼まれたわけではない。
 ただGショッカー傘下の各組織間の親密な
 付き合いを深め、風通しを良くできれば、
 スマートブレインの村上社長の覚えも
 まためでたからんと愚考した次第」

ふとゴメスはハスラー教授の隣に立つ、
自分と同じナチス式の軍服に袖を通した青年に声をかける。
チーフキッド――かつてキャプテンゴメスの片腕だった男である。

ゴメス「どうだチーフ、過去の事は水に流そう。
 また私の下で働くつもりはないか?」
チーフ「いや、私は……」

以前にゴメスがブレインに対して反乱を企てた際、
その計画を事前に密告してゴメスを裏切った身である
チーフキッドは、随分とばつが悪そうに顔を背ける。

ゴメス「ではミスターブレイン、私はこれで…」

ゴメスは恭しく一礼した後、
ブレインルームから退室した。

ハスラー「誰か塩を撒いてオケ!」
ブレイン「………」
ハスラー「どうするノダ、ミスターブレインッ!!
 奴をこのまま放っておくノカ!?」
ブレイン「あのゴメスが再び動き出したという事は、
 何か考えがあるはず。まずはあの男のお手並み拝見と
 行こうではないか…」

1303

山本アナウンサー「――次のニュースです。
 明石暁氏を団長とするサージェス財団の
 外宇宙探索隊が、昨夜未明、無事に地球に
 帰還しました」

サージェスミュージアム・地下サロン***


ボイス「長旅ご苦労さんだったね。明石君」
明石「ご無沙汰しています、ミスターボイス」

ゴードム文明との最後の戦いの後、パチャカマック12世による妨害や、
ザンギャック地球侵攻に伴うレジェンド大戦勃発など、
度々の中断を余儀なくされたものの、
明石暁=ボウケンレッドと西堀さくら=ボウケンピンクの両名は
外宇宙プレシャス探査の旅を無事終え、日本へと帰国したのだった。

真墨「…で、これがその宇宙からの土産か?」
明石「エジンの星で発掘された物を、俺が星間評議会から
 預かって来た」

宇宙の仙人にして大予言者エジンの住んでいた"エジンの星"。
明石率いるサージェス外宇宙探査隊は、その星の住人である
ジャスピオンやアンリ、その他に銀河連邦政府や星間評議会から
派遣されてきた発掘隊と合同で、まだ発見されていない
残りの古代銀河バイブルの捜索に従事していたのだが、
その時に発掘されたのが、この一振りの剣の形をした化石である。

蒼太はアクセルラーのサーチモードで、この剣のハザードレベルを測定するが…。

蒼太「ハザードレベルは15ですか。それほど大きい訳でもありませんね」
明石「解読済みの古代銀河バイブルによれば"フレアセイバー"と呼ばれるものらしい。
 宇宙創世期の神々同士の戦いにおいて威力を発揮した炎の剣とされている」
牧野「ともかく、工房に持ち込んで調べてみましょう」
さくら「よろしくお願いします」


サージェスミュージアム・地上の一般展示スペース***


光平「………」

その日の朝、偶然「サージェス探査隊の地球帰還」のニュースを
目にした牧村光平は、何かに導かれるように無意識のうちに
一人でここサージェスミュージアムを訪れていた。

光平「…違う、これでもない。
 いったい何が俺を呼んでいるんだ…?」

ただ茫然と次から次へと展示物を見て回る光平。
しかし心当たりのある物は全く見つからない。

コウタ「コトミちゃん、こっちだよ!」
コトミ「待ってコウタくん…キャッ!?」
光平「…うわっ!?」

向こう側から走って来た小学生、星川コウタと月山コトミだったが、
よそ見をしていたコトミが偶然光平にぶつかった。

コウタ「コトミちゃん、大丈夫!?」
コトミ「うん、私は大丈夫よ。
 それよりもお兄さん、ごめんなさい」
光平「…いや、俺は大丈夫だよ。
 ところで君たちは何を見に来たんだい?」
コウタ「お兄さん、知らないの!?
 昨日ね、宇宙から探検隊が帰って来たんだよ。
 だから探検隊の人たちが持って帰って来た
 宝物を見せてもらうんだ!」

コウタは胸を張って答える。

光平「宇宙からの…宝物…」
コトミ「コウタくんの将来の夢は宇宙飛行士なんです♪」
コウタ「そしていつか、宇宙にいる友達に会いに行くんだ!」
光平「そうか…偉いんだね。それで、その
 宇宙の宝物はどこに行けば見れるのかな?」
コウタ「こっちだよ!」

1304

斗貴子「申し訳ないが、探査隊が外宇宙から持ち帰った物は
 一般客には公開していない」
コウタ「そんなぁ~!」

コウタたちが掛け合った案内係員の男女二人は、
見たところ光平と同じ年頃の高校生のようだった。
おそらく博物館が雇ったアルバイトなのだろう。

武藤カズキと津村斗貴子――二人とも銀成学園に在籍する高校二年生であり、
裏の顔は秘密組織「錬金戦団」に所属する戦士である。
明石暁と西堀さくらが宇宙へと旅立っていた間、
ピンチヒッターとしてサージェス財団に出向し、
ボウケンレッドとボウケンピンクの代役を引き受けていたが、
この度無事に明石たちが帰還したため、それもお役御免となったようで、
こうして今はアルバイトの形で引き続きサージェスミュージアムで働いているらしい。

カズキ「いいじゃないか斗貴子さん。せっかく博物館まで楽しみにして来たのに、
 何も見れないだなんてこの子たちが可哀想だよ!」
斗貴子「……(小声で)わかっているのかカズキ!
 プレシャスはそんじょそこらの展示物とはわけが違う!
 とても危険な代物なんだぞ!」
カズキ「それはそうだけどさぁー」

光平「……(プレシャス??)」

斗貴子は決して誰にも聞こえないように、
小さな声でそっとカズキの小耳に挟んだだけの
つもりだったのだが、光平のシグフェルとしての進化した聴力は
それをしっかりと聞き届けていた。

コウタ「ちぇっ、つまんないな。行こうコトミちゃん!」
コトミ「うん…」

残念そうな表情を浮かべながらも、
コウタとコトミは諦めて帰ろうとするが、
その時、突然地面が大きく揺れた!

カズキ「…な、なんだ!?」
斗貴子「地震か!?」

光平「――危ないッ!!」

コウタ「うわあっ!?」
コトミ「きゃあっ!!」

激しい揺れでコウタとコトミめがけて倒れて来た柱から、
間一髪で光平が飛び込んで二人を庇い、無事に危難から救い出した。

光平「怪我はないか!?」
コウタ「う、うん…」
コトミ「お兄さん、ありがとう」

カズキと斗貴子も心配して駆け寄ってくる。

カズキ「大丈夫ですか!?」
光平「俺なら大丈夫だ! それよりもこの子たちを頼む!」
斗貴子「待てキミッ! どこへ行くつもりだ!?
 今外へ出ると危ないぞ!!」

光平は斗貴子たちの制止も無視して
外を目指して駆け出していく。


1305

光平「――これは!!」

サージェスミュージアムの建物から外へと出た光平が目にしたのは、
文字通りの地獄絵図だった。Gショッカーの怪人たちが魑魅魍魎の如く
跳梁跋扈し、上空はザンギャック帝国の宇宙艦隊が所狭しと犇(ひし)めいている。
宇宙帝国ザンギャック並びに財団Xと手を結び、戦力再編を終えたGショッカーによる
東京奇襲攻撃が開始されたのだ。

キングダーク「聞け、人間ども! 我ら偉大なるGショッカーは、
 宇宙帝国ザンギャック及び財団Xと手を結び、ショッカー正規軍と
 ゴズマ軍はそれぞれ大ショッカー軍大ザンギャック軍に改編された。
 今こそ我らの真の力を思い知るがいい!!」

怪人軍の後方に陣取る、黒い鋼鉄の巨人キングダークが高らかに宣言する。
すでに辺り一面は火の海と化す勢いだ。崩壊していく建物、逃げ惑う人々…。
それを目の当たりにした光平の心の底から、深く眠っていた正義感が熱く燃えたぎる!

光平「おのれっ、許さん…!!」

◇  ◇  ◇

タイガーネロ「これでいよいよ日本もGショッカーの物だ!」
トカゲバイキング「噂のブレイバーズとやらも大したことはない」

今回の作戦の主戦力であるGOD悪人怪人の面々は、
スクランブル発進した自衛隊や在日米軍の戦闘機、
さらには地球連邦軍のNS部隊も次々とあっけなく撃ち落とされていく
様子を満足げに眺めている。

タイガーネロ「よしっ、このまま一気に永田町、霞が関の
 日本政府中枢を攻め落とすのだ!」
アリカポネ「了解した」

怪人たちが居場所を移そうとしていたその時、
背後の方向に、一人の紅蓮の翼と装甲をもった異形の戦士が降り立った。
気配を感じて一斉に振り返る怪人たち。

タイガーネロ「なんだお前は?」

シグフェル「お前たちを止めに来た!」


1306

○山本アナウンサー→サージェス外宇宙探査隊の地球帰還を報道。
○明石暁→外宇宙探査から地球に帰還。フレアセイバーを持ち帰る。
○伊能真墨→地球に帰還した明石暁たちを出迎える。
○最上蒼太→地球に帰還した明石暁たちを出迎える。
○西堀さくら→外宇宙探査から地球に帰還。フレアセイバーを持ち帰る。
○ミスターボイス→地球に帰還した明石暁たちを出迎える。
○星川コウタ→外宇宙探査隊が地球に持ち帰った物見たさに、サージェスミュージアムを訪れる。
○月山コトミ→外宇宙探査隊が地球に持ち帰った物見たさに、サージェスミュージアムを訪れる。
○武藤カズキ→サージェスミュージアムの案内係員のアルバイトをしている。
○津村斗貴子→サージェスミュージアムの案内係員のアルバイトをしている。
●キャプテンゴメス→ブレインルームを訪問する。
●巨人頭脳ブレイン→キャプテンゴメスの訪問を受ける。
●ハスラー教授→キャプテンゴメスの訪問を受ける。
●チーフキッド→キャプテンゴメスの訪問を受ける。
●タイガーネロ→東京奇襲作戦に参加。シグフェルと対峙。
●アリカポネ→東京奇襲作戦に参加。シグフェルと対峙。
●トカゲバイキング→東京奇襲作戦に参加。シグフェルと対峙。

○シグフェル/牧村光平→サージェムミュージアムを訪れた先で、GOD悪人怪人軍団と対峙。

【今回の新規登場】
○明石暁=ボウケンレッド(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーのチーフ。かつては「不滅の牙」と呼ばれた伝説のトレジャーハンターだった。
 普段は冷静沈着だが、探究心を忘れない一面を持ち、何でも冒険に結びつける。
 最終決戦後は宇宙のプレシャスを探しに旅立ち、伊能真墨にチーフの座を譲った。

○西堀さくら=ボウケンピンク(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーのサブチーフ。世界有数の資産家である西堀財閥の一人娘で、元陸上自衛隊員。
 主に分析や作戦を担当し、緊急時の冷静な判断力は明石からも評されているが、やや生真面目すぎる面もある。
 チーフの明石暁を深く尊敬し、好意を抱いている。が、明石は鈍感なため全く気付いていない。

○月山コトミ(勇者エクスカイザー)
 朝日台小学校3年B組に在籍する、星川コウタの同級生。クラスのアイドル的存在。

●巨人頭脳ブレイン(大鉄人17)
 ブレイン党の首領。一本のスプーンから宇宙船まで、あらゆるものを作り出す超生産能力を持つコンピュータ。
 爆破されても自らを急速に修復して復活する恐るべき能力を持つ。部下たちに自分のことを「ミスターブレイン」と呼ばせている。また、年に一度オーバーホールする必要がある。

 地球のためには人類を抹殺すべしという結論を出し、次々と侵略ロボットを作り出す。更に自分の周囲に電磁波を張り巡らし「ブレインエリア」を形成し、エリア内の全てのコンピュータを自分の制御下に置くことができる。

●ハスラー教授(大鉄人17)
 佐原博士と共にブレインを開発したスタッフの一員で、ブレインを盗み出した張本人。
 ブレインを自分の野望に利用しようとしていたが、逆に自我に目覚めたブレインによって
 服従を強要され手下にされてしまう。侵略ロボットの指揮を担当している。

●チーフキッド(大鉄人17)
 キャプテンゴメスの片腕で、ブレイン党の現場指揮官。
 ゴメスがブレインに反旗を翻した際には裏切り、
 新大幹部ブラックタイガーに鞍替えするしたたかさを持つ。
 だが後にそのブラックタイガーに結果的に粛清されてしまう。

●タイガーネロ(仮面ライダーX)
 古代ローマ帝国の暴君ネロの血をひくGOD悪人怪人軍団の切り札。
 自慢の刀とタイガー竜巻地獄で戦う。RS装置を完成させた功労者でもある。

●アリカポネ(仮面ライダーX)
 アメリカ禁酒法時代の大物マフィア、アル・カポネと蟻を合成したGOD悪人怪人。
 武器は仕込み刀のステッキ。人間に変装時も愛用している葉巻は吹き矢にもなる。
 巨大アリを操る。

●トカゲバイキング(仮面ライダーX)
 蜥蜴と北欧の伝説にある海賊を合成したGOD悪人怪人。
 卑怯が取り柄。武器は斧。

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最終更新:2020年11月26日 10:13