第19話 「シグフェル捕わる! 忍びの里の復讐鬼」 ティアラロイド

ブレイバーベース・柔剣道場***


ブリット「始め!!」

合図を聞いて、お互いが静かに立ち上がる。

ゼンガー「どうした? 来ないのか?」
シグフェル「……っ!」

じりじりとゼンガーがにじり寄ってくる。
シグフェルは迫力に押されて思わず後ずさりする。

ある用件があってブレイバーベースを訪れていた
ゼンガー・ゾンボルト少佐に剣の稽古を
つけてもらうことになった牧村光平。ゼンガーは光平に
シグフェルに変身してかかって来いという。
最初は「大丈夫か?」と思って慢心していたシグフェルだったが、
すぐにゼンガーの物凄い威圧感に圧倒される。

ゼンガー「チェストオオオッ!!!」

スパァァァァァァン!!!!

ゼンガーの凄まじく綺麗で力強い一本が
シグフェルの面を叩いていた。シグフェルは前のめりに崩れ落ちる。

ゼンガー「まだまだだな。しかし筋はいい。
 これからも日々の鍛錬を欠かさない事だ」
光平「ありがとうございました」

事もあろうに変身した状態で生身の人間相手に負けた事で
ショックを受けた光平だったが、すっかりゼンガーの強さに心服する。

ちょうどそこに、月影一族の里に伝わる伝承に、
シグフェルやイーバの由来にも関わるらしい
謎の言い伝えが残っているとの情報が入る。
シグフェルの身体の秘密を突き止めたい光平は、
ブリットの操縦するグルンガスト弐式に同乗する形で
月影一族の里まで送ってもらうことに。

光平「ブルックリンさん、よろしくお願いします」
ブリット「俺の事はブリットでいいよ」

杉谷悪之坊の陣屋***


シグフェル=牧村光平が月影一族の里に向かった。
この情報を入手したGショッカー・ブラックサタンの
謎の紳士タイタンは、杉谷悪之坊の忍者屋敷を訪れ、
協力を要請する。

悪之坊配下「貴様何者だ?」
タイタン「待て、早まるな。俺は杉谷悪之坊殿に
 所用があって来たのだ」
悪之坊配下「なに、お頭に? 参られい」

タイタンは悪之坊のところまで案内される。

悪之坊「客人、よう見えられた。楽になされい」
タイタン「さすがは甲州忍者にその人ありといわれた
 杉谷悪之坊殿。実はな…」

タイタンは悪之坊に話を持ちかける。


月影の里・錦織仁兵衛の家***


錦織佳代は17歳。月影一族のくノ一として修行中の身である少女だ。
若い時は凄腕の忍びとして名を馳せながら、今は山に生えている
各種薬草に通じた薬師として余生を送っている祖父・仁兵衛と
二人きりで穏やかに暮らしている。

佳代「おじいちゃん、薬草採って来たよ」
仁兵衛「おお、ご苦労だったな」

佳代が帰って来た時、仁兵衛は薬草を調合している
作業の最中だった。

佳代「それ、リシュウ先生の?」
仁兵衛「あれから半年、そろそろこの前ゼンガーに託した
 腰痛の薬も切れて来る頃合いだからな」
佳代「もしかすると今日あたり来るかもしれないね♪」
仁兵衛「ふふふっ…ゼンガーが来るのがそんなに楽しみか?」
佳代「そりゃあもちろんさ。あたいの剣のお師匠様だもん。
 厳しかったなあ、あの人の稽古。でもそのおかげで、
 もうおじいちゃんと技比べをしても負けないよ!」
仁兵衛「こいつが…!(^^)ニコ」

仁兵衛一家とゼンガー・ゾンボルトとは、
以前から家族ぐるみのつきあいである。
リシュウ・トウゴウが愛用している腰痛の薬も
仁兵衛が調合しており、それを半年おきに
ゼンガーが代わりに受け取りにやってくるのが
習慣になっていた。

仁兵衛「なあ佳代、忍びの修行もいいが、
 闇の中で命がけで殺し合いをするより、
 忍びの業なんぞ忘れて、並みの男のところへ
 嫁に行った方がいいんじゃないか?
 それが女の幸せというものだ」
佳代「お生憎さま! あたいはまだ嫁になんか
 いかないよ!」

だが佳代の留守中に、杉谷悪之坊の一味によって
家の中に踏み込まれた仁兵衛は殺されてしまう。
帰って来て祖父の変わり果てた姿を見た佳代は愕然とする。

佳代「おじいちゃん!!…おじいちゃん!! そんな…!
 いったい誰がこんなことを!?」
悪之坊「お前の祖父を殺したのはゼンガー・ゾンボルトよ」
佳代「ゼンガーさんが!? そんな…嘘だ!」
悪之坊「嘘ではない。ゼンガーはDC戦争でコロニー統合軍側に加担した件を
 赦免してもらう代わりに、今や連邦の犬に成り下がったのだ」
佳代「………」
悪之坊「世間ではブレイバーズの事を"正義の味方"だの
 "世直し大明神"だなどと持ち上げておるが、その実態は、
 地球連邦の支配体制を揺るがしそうな芽を事前に摘んでまわる
 秘密警察組織にすぎん」

そして何も知らずに仁兵衛の家を訪れたゼンガーは、
いきなり佳代に襲われる。

ゼンガー「何をする!?」
佳代「おじいちゃんの仇! 死ね!!」
ゼンガー「俺が仁兵衛の敵だと!?
 いったいなんのことだ!!」
佳代「とぼけるなぁー!!」

ひとまずゼンガーは、辛くもその場を脱出する。
一方光平は、ブリットと共に月影の里に近づいていたが、
山中で何者かに襲われている女性を発見。
襲っている一味を追い払って、女性を救出するが…。

光平「もう大丈夫だ。安心して」
佳代「フフフッ…」
光平「な、何をするんだ!?」

実はこの女性は佳代の変装であり、
襲われているように見えたのは全て悪之坊一味の自作自演。
あっという間に光平は口に猿轡を噛まされ、林の中へと引きずり込まれ、
ブリットから引き離されてしまう。光平の声を声帯模写した佳代に
巧みに誘導されたブリットは罠にはまり、崖下へと転落する。

佳代(光平の声)「ブリットォッ! こっちだぁ!
 早く助けにきてくれぇぇ!!」
光平「……んんっ!!(違うッ! 俺はそっちじゃない!! )」

ブリット「うわああああッッ!!!」

口に猿轡をされ両手両足を縛られた光平は、
悪之坊の忍者屋敷に運び込まれてしまった。

悪之坊「よういたした。下がってよい」
佳代「悪之坊、コイツを捕まえれば
 仇を討たせてくれるっていう約束だよ!」
悪之坊「案ずるな。この小僧を助け出すために
 ゼンガーたちは必ずこの屋敷に乗り込んでくる
 であろう。その時に仇は討たせてやる」
佳代「………」

佳代は部屋から出て行った。
縛られている光平は縄を解こうと懸命にもがく。

悪之坊「無駄だ。そのロープの中には特殊な針金が
 編み込まれてある。もがけばもがくほど引き締まって
 苦しくなるだけだぞ」
光平「……んんっ!!」

佳代と入れ違いで、謎の紳士タイタンが
ブラックサタン戦闘員たちを引き連れて入って来た。

悪之坊「タイタン殿、この小僧に間違いないか?」
タイタン「確かに」

タイタンは床に寝転がされている光平を抱き起こして
その顔をニヤニヤと見つめる。

タイタン「フフフッ…シグフェル、とうとう我ら
 Gショッカーの手に落ちたな」
光平「………ッ!!」

光平はタイタンを気丈に精一杯睨み返す。

タイタン「ハハハ…悔しいか? だがこれまでだ。
 いずれ基地でお前の身体を解剖してじっくりと調べ上げ、
 それが済めばGショッカーの強力な兵士として洗脳してくれる。
 覚悟を決めるんだな。…では、この小僧は我々が。
 運び出せ!!」
戦闘員「ミューッ‼」

タイタンに命令された戦闘員たちが、捕らわれた光平を
担いで運び出そうとするが、それを止めたのは悪之坊だった。

悪之坊「待て! そうはいかん」
タイタン「な、なにっ!?」
悪之坊「我ら忍びはタダでは技は売らん。
 その小僧が欲しくば代価を払ってもらおうか?」
タイタン「それならば、シグフェル捕獲成功の暁には、
 貴殿を世紀王候補に取り立てるとの約束のはず!」
悪之坊「だがそれはまだ口約束にすぎん」
タイタン「悪之坊殿、貴殿は表裏六柱の至高邪神様の
 お言葉が信じられんというのか!!」
悪之坊「我ら忍びは己以外は何者も信じぬ習わしでな」
タイタン「ではどうすればよいのだ!?」
悪之坊「この小僧はわしが直接無幻城まで連れて行き、
 至高邪神様より直にお言葉を賜る。それまでは
 この小僧をおぬしに渡す訳にはいかん」
タイタン「うぐぐッ、おのれ……!!」

屋敷の牢に監禁された光平に、佳代が食事を運んでくる。
佳代は光平の猿轡を外す。

佳代「飯だよ。食べな…」
光平「ありがとう…」
佳代「ゼンガーをおびき出すまでの辛抱だ。
 無事に奴を仕留めたらお前は帰してやるよ」
光平「なんでゼンガー少佐を?」
佳代「アイツはおじいちゃんの仇だからさ!」

光平は佳代から事情を聞き出す。

光平「きっと何かの間違いだ!
 ゼンガー少佐はそんな人じゃない!」
佳代「うるさいね! 余計な口出しをするんじゃないよ!」

怒った佳代は再び光平の口に猿轡を嵌めて
牢屋から出て行ってしまう。

佳代「どうしてだろう。アイツの顔を見てると、
 なぜか胸がドキドキする…!」

一人になった佳代は家に戻る。そこで屋根裏に隠れていた
ゼンガーとレーツェルに捕まり、屋根裏に連れ込まれる。

佳代「おのれゼンガー!!」
ゼンガー「落ちつけ! 仁兵衛を殺ったのは俺ではない!!」
佳代「嘘をつけ!!」
レーツェル「嘘ではない!! ゼンガーはお前の祖父を
 殺してなどいない!!」
佳代「うるさい! 地球連邦のスパイの言う事なんか
 信じるもんか!」
レーツェル「それも違うな。我々は連邦のスパイなどではない!
 いったい誰にそんな事を吹き込まれた!?」
ゼンガー「さっきお前を手助けしていたのは甲州忍者だったな。
 杉谷悪之坊にそう言われたのか?」
佳代「………」
ゼンガー「やはりな…。佳代、これだけは信じてくれ!
 長年親戚以上の付き合いをしていた仁兵衛をどうして俺が!」

ゼンガーは懸命に説得を試みるが、佳代は頑なに
なかなか応じようとしない。

ゼンガー「佳代、お前がどうしても俺を仇だと
 思うなら仕方がない。そのくないで俺の心臓を突け!」
佳代「………」
ゼンガー「どうした、やらないのか?」
佳代「アタシは人の情けは受けない!
 やるなら忍びらしく正々堂々尋常な勝負をするよ!」
ゼンガー「そうか……」
佳代「せっかくだから教えてやるよ。アンタたちの仲間の
 光平って坊やは今、悪之坊の屋敷にいるよ」
レーツェル「なにっ!?」
佳代「アンタたちはアイツを助けるために悪之坊の屋敷に
 乗り込むんだろう。勝負はその時まで預けておくよ!」

それだけ言うと、佳代は家から飛び出して行った。

レーツェル「あの少年が悪之坊の手に…。
 ゼンガー、これはマズイなことになったな」
ゼンガー「ああ。ブリットの奴がついていながら、
 アイツいったいどうしたというんだ!!」

ゼンガーとレーツェルはブレイバーベースに連絡を取り応援を要請する。
本来ならジライヤスーツを受け継いだ天城闘真が行く所だが、別任務に出ていた事、
杉谷悪之坊が関わっているということで、「忍者の名誉を守る会」の会長となっていた
山地闘破が再び磁雷矢となり姫忍・恵美破、山地学の山地三兄弟で援軍に駆けつける。
崖下に転落していたブリットも、独自にブラックサタンの動きを追っていた仮面ライダーストロンガーに助け出されていた。
捕らわれた光平救出のため、ゼンガーたちは悪之坊の屋敷近くに集結した。

レーツェル「見たところ何の備えもないようだが?」
磁雷矢「それが奴らの手です。下手に乗り込んだら
 どんな罠が待ち構えているかわかりません」
恵美破「ここはしばらく様子を見ましょう」
ブリット「しかしこうしている間にも、
 光平の身に万一の事があったら…」
磁雷矢「いや、焦りは禁物だ。
 忍びとは耐え忍ぶこと。根競べに負けたら
 命はなくなるぞ!」
ゼンガー「ブリット、"餅は餅屋"と言うぞ。
 ここは磁雷矢たちの意見に従おう」
ブリット「はい!」

やがてゼンガーたちは隙を見て悪之坊の屋敷内に突入する。
そのどさくさに紛れてタイタンたちは密かに光平を連れ出して
ずらかろうと画策するが…。

佳代「待ちな! そいつは事が済んだら解放してやる
 約束だった筈だよ!」
タイタン「解放だと? バカを言え。この小僧は大事な獲物。
 このままGショッカーの基地まで連れて行くのだ!」
佳代「なんだって!?」
タイタン「そこをどけ! さもないと貴様も仁兵衛と
 同様地獄に送ってやるぞ!!」
佳代「それじゃあおじいちゃんを殺したのは…!?」
タイタン「ハハハッ…今頃気づきおったか!
 犯人は悪之坊よ。お前を使ってゼンガー・ゾンボルトを
 殺させるためにな!」
佳代「おのれ~!!」

佳代はタイタンに立ち向かうが、百目タイタンに変身した
タイタンに生身の少女が敵うはずもない。しかし窮地に陥った
佳代を救ったのは仮面ライダーストロンガーだった。

ストロンガー「腹黒い貴様の事だ。折を見てこんなことを
 するんじゃないかと見張っていたら案の定だったな!」
百目タイタン「おのれストロンガー!!」
ストロンガー「光平、大丈夫か!?」
光平「ストロンガー!」

ストロンガーは光平を縄の戒めから解放する。

百目タイタン「喰らえッ!!」
佳代「――ッ!?」
光平「危ないッ!!」

百目タイタンが放った銃弾から佳代を庇った光平は、
左肩に被弾して流血する。

光平「うわあッ!!」
佳代「アンタ……アタシのために!?」
光平「…大した怪我じゃない」

追い詰められる杉谷悪之坊。

ゼンガー「逃げられはせんぞ!」
磁雷矢「悪之坊、もはやこれまでだ!
 潔く佳代さんに討たれてやれ!」
悪之坊「おのれ~~!!」

ゼンガーと幾度か斬り結んだ後、
磁雷矢によって組み伏せられる悪之坊。

磁雷矢「今だ佳代さん!」
ゼンガー「仁兵衛の仇を討て!」
佳代「…はい! 杉谷悪之坊、おじいちゃんの仇! 覚悟ォッ!!」
悪之坊「うぎゃああああ!!! む、無念…!!」

こうしてブレイバーズの協力で、佳代は見事祖父の仇を討ち果たし、
杉谷悪之坊の一味は全滅したのだった。

恵美破「闘破、よかったの?
 悪之坊は闘破の実の両親の仇でも
 あったんでしょ」
磁雷矢「ああ、別に構わないさ。
 俺はすでに一度、悪之坊をこの手で
 倒しているからな」


月影一族頭領の館***


頭領「佳代よ、よく考えても見よ。ゼンガー・ゾンボルトほどの者が、
 そう易々と自分が犯人であるという証拠を迂闊に残していくであろうか?
 この程度の子供だましの姦計に嵌められるとは、その方も忍びとしては
 まだまだ未熟じゃ!」
佳代「はい……」

事件が解決した後、佳代は一族の頭からお説教を受けていた。

佳代「ゼンガーさん、光平さん、この度は本当にごめんなさい…。
 騙されていたとはいえ悪の一味に加担したんだ。アタシを警察に
 突き出すなり、煮るなり焼くなり好きにしておくれ」
ゼンガー「そのような事をしても仁兵衛は喜ぶまい…」
佳代「でも、それじゃアタシの忍びとしてのけじめがつかないよ」
光平「いいじゃないか、そんなこと。悪いのは全部杉谷悪之坊と
 Gショッカーなんだ」
佳代「アンタにはあんなにひどいことをしたのに、
 アタシが憎くないのかい?」
光平「"罪を憎んで人を憎まず"。これは俺の父さんが
 昔よく俺に言っていたことなんだ。それから
 俺の事を呼ぶ時は、さんづけなんかせずに"光平"でいいよ」
佳代「………(///)」

この瞬間、錦織佳代は牧村光平に完全にデレたのであった。

佳代「…じゃ、じゃあさ、あたいのことも佳代って呼んでよ」
光平「…?? それじゃあ、佳代…ちゃん」
佳代「ムッ…!!(怒」

これで全て一件落着かと思われていたのだが、
数日経ったある日…。

海防大学付属高校***


朱音「今日は転校生を紹介します」
佳代「三重県の高校から転校して来ました錦織佳代です!
 どうか皆さんよろしくお願いします♪」
光平「――佳代ちゃん!?」

いきなり転校生として自分たちのクラスに現れた佳代に、
光平はびっくり仰天する。

佳代「えへへっ…来ちゃった。よろしくね光平♪」
光平「えっ? あ、ああ…」
優香「ねえ光平くん、誰なのあの娘?」
慎哉「随分と光平に馴れ馴れしいよな…」
光平「な、なんて説明したらいいのか…(汗」

昼の休憩時間、一緒にお弁当を食べようと光平のいる
校舎の屋上へとやって来た沢渡優香は、同じくお弁当を
持って来た佳代と鉢合わせる。

優香「ちょっと待ってよ! アナタいったい光平くんの何なの!」
佳代「そーゆーアンタこそ光平の何なのさ!」
光平「ちょっと二人とも、喧嘩しないで…(汗」
優香「ねえ光平くん、食べるのは私の手作りのお弁当よね?」
佳代「いいや、もちろんアタシの手作りのお弁当だよな?」
光平「いや…その…(汗」
優香「どっちなの!!」
佳代「ハッキリして!!」

こうして光平は思いがけぬ修羅場に巻き込まれ、ほとほと困り果てるのであった。
…が、その一方で転入生・錦織佳代と、クラス担任・千坂朱音は
お互いが忍びの世界の人間であると見抜いていた。
怪しいと思った佳代は、放課後に学校から退勤して帰宅の途に就く
朱音を密かに尾行するが、途中で見失ってしまう。

佳代「アイツ…どこ行った!?」

街路樹の上から佳代のうろたえている様子を
じっと観察している朱音。

朱音「……(フフッ、その歳で私を尾行しようだなんて
 10年は早いわよ。お嬢さん)」

佳代の尾行を撒いた朱音は、状況報告のため、
公園のベンチで上司である天童忍軍の組頭と落ち合う。
ちなみに組頭は、どこにでもいる隠居風の老人を装っている。

組頭「それで、その後のブレイバーズの動きは?」
朱音「特に変わった事はございません。ただ…」
組頭「ただ、何だ?」
朱音「今日、学校の方に月影一族のくノ一の娘が
 転校してまいりました」
組頭「なに、月影のくノ一が?」
朱音「どうもブレイバーズの動きとは特に関わりは
 ないと見受けられますが…」
組頭「月影一族はスーパー戦隊の一つであるバトルフィーバー隊とも
 関わりが深い。その娘からも片時たりとも目を離すな」
朱音「心得ました」

組頭はベンチから立ち上がる。

組頭「朱音、つけられたな…」
朱音「お頭…?」

去り際にそれだけ言い残して、組頭はその場から立ち去る。
驚いた朱音が振り返ると、なんとそこには
尾行を撒いたはずだった佳代がいたのだった。

佳代「………」
朱音「……(こいつ、いつの間に!?)」
佳代「随分と探しまわったよ。
 舐めないでもらえるかい!」
朱音「こんなところで何をしているの錦織さん。
 もう空も暗くなってきたから早く家に帰りなさい」
佳代「天童の忍びがブレイバーズを見張っているって
 噂を聞いた事があるけど、それって先生のこと?」
朱音「…天童?? いったいなんのことかしら」
佳代「とぼけるんならそれでもいいよ。
 でも、もし光平たちに手出しをしたら、
 その時はアタシが容赦しないからね!」
朱音「言っている意味がよくわからないけど、
 まあ、気をつけておくわ。フフッ…」
佳代「………」

こうしてまた牧村光平の周辺は、水面下も含めて
一段と騒がしくなりそうな気配である…。

江田島邸***

その後、錦織佳代は江田島平八邸に呼び出された。
江田島のところに月影一族の頭領から紹介状の手紙が届いたのだという。

江田島「月影の長老からの手紙によるとな、そちらにはねっかえりの
 じゃじゃ馬が行ったと思うので、どうかご面倒をおかけするが
 よろしくお願いしたい――とある」
佳代「……お頭ったら、余計なことをっ!」
富樫「実は塾長も天童との対抗上、忍び働きをする人手を欲して
 おられてな。どうだ、塾長のもとで隠密として働くつもりはないか?」
江田島「海防大付属と言えば天下に聞こえし名門校よ。
 その歳で学費を稼ぐのは大変であろう。報酬なら弾むぞ」
佳代「…Σ(゚д゚;) ハッ!? もしかして、このアタシの若くて美しい肉体が
 目当てで、力尽くで手篭めにしようと!?」
富樫「ハァ…??」

今の佳代の言葉を聞いて、江田島も富樫も大笑いする。

江田島「ガハハハハ!!」
佳代「何がおかしいのさ!?」
富樫「生憎だったなお嬢ちゃん。塾長の夜のお相手なら
 あと50年くらい経ったら改めて来てくれ」
佳代「……(50年!? そんなに年月が経ったらアタシは
 もうお婆さんになってるじゃないか! 日本の首領(ドン)だか
 何だか知らないけど、どーゆー趣味してんだこのジジイ??)」
江田島「…で、話を受け入れる気になったか?
 貴様にとっても決して悪い話ではあるまいと思うが」
佳代「いいよ。確かに都会生活の中でお金は必要だしね。
 その話乗った!」
江田島「よし、決まった!」

こうして錦織佳代は江田島平八と雇用関係を結び、
江田島のことを「江田島の御前」と呼んで、忍びとして仕える事になるのであった。

〇ゼンガー・ゾンボルト→ブレイバーベースで光平に特訓を付ける。杉谷悪之坊の策略で
 錦織仁兵衛を殺害した汚名を着せられ佳代に襲われるが、汚名を晴らして和解する。
〇レーツェル・ファインシュメッカー→ゼンガーや磁雷矢達と共に杉谷悪之坊と戦う。
〇ブルックリン・ラックフィールド→光平を月影一族の里へ送るが罠に嵌る。
 ストロンガーに助け出された後、杉谷悪之坊と戦う。
〇城茂→ブラックサタンの動きを追って月影の里に辿り着く。ブリットや佳代を助け、
 タイタンと戦う。
〇山地闘破→杉谷悪之坊が復活した事を聞きつけ、磁雷矢となり月影の里で杉谷悪之坊と戦う。
〇山地ケイ→杉谷悪之坊が復活した事を聞きつけ、姫忍・恵美破となり月影の里で杉谷悪之坊と戦う。
〇山地学→杉谷悪之坊が復活した事を聞きつけ、月影の里で杉谷悪之坊と戦う。
〇江田島平八→錦織佳代を忍びとして雇う。
〇富樫源次→錦織佳代が忍びとして江田島平八に雇われる場に居合わせる。
●杉谷悪之坊→タイタンと組んでシグフェルを手に入れるべく、錦織仁兵衛を殺害。錦織佳代を
 騙して手駒にするが、佳代に討たれる。
●百目タイタン→杉谷悪之坊と手を組みシグフェルを手に入れようとする。宿敵ストロンガーと戦う。

〇牧村光平→シグフェルの事を調べる為、月影の里へ行くがGショッカーの策略で錦織佳代に掴まる。
 その後佳代と御互い誤解が解け、海防大付属高校で再会する。
〇錦織佳代→杉谷悪之坊により祖父・仁兵衛が殺され、ゼンガーが殺したと騙されて
 Gショッカーに協力。その後誤解が解けて和解。光平に惹かれ、事件後海防大付属高校に転校し、
 光平と再会。月影の里の長により江田島平八に忍びとして雇われる。
〇錦織仁兵衛→杉谷悪之坊に殺される。
〇沢渡優香→転校してきた錦織佳代に対してヤキモチを焼く。
〇朝倉慎哉→転校してきた錦織佳代と出会う。
△千坂朱音→組頭に錦織佳代が転校してきた事を報告する。

【今回の新登場】
〇ゼンガー・ゾンボルト(スーパーロボット大戦シリーズ)
 元地球連邦軍特殊戦技教導隊のメンバーでATXチームの初代隊長。29歳のドイツ人。
 示現流と呼ばれる剣術の達人で、剣の師匠の影響で日本の文化を良く知っている。
 見た目に反してかなりの下戸。「PXZ」では霊式斬艦刀に変化した刀を振るって生身で戦った。
 乗機はダイゼンガー。

〇ブルックリン・ラックフィールド(スーパーロボット大戦シリーズ)
 ATXチームのメンバー。愛称はブリット。18歳のアメリカ人。
 クスハ・ミズハのパートナーで念動力者。
 真面目で正義感が強い。乗機はグルンガスト参式及び虎王機。

〇レーツェル・ファインシュメッカー(スーパーロボット大戦シリーズ)
 「謎の食通」を名乗る金髪にゴーグルを掛けた人物。その正体はライの兄エルザム・Ⅴ・ブランシュタイン。
 ゼンガー・ゾンボルトの親友で元コロニー統合軍のエースパイロット。
 エルピス事件において妻カトライアを失くしている。特技は料理。
 クロガネの艦長である他、乗機はアウセンザイター。なお彼の乗機はいずれも「トロンベ」と呼ぶ。

〇山地闘破/磁雷矢(世界忍者戦ジライヤ/手裏剣戦隊ニンニンジャー)
 山地家に養子として引き取られ、長男として育てられた戸隠流正統忍者。秘宝パコを妖魔一族から守るため、山地家に代々伝わる特殊忍者服ジライヤスーツを装着し、
 レーザー刀・磁空真空剣で悪しき闇を斬る! 実は2300年前にパコを地球に運んで来た宇宙人の子孫である。母親のいない山地家では家事全般をこなし、修行の合間には
 家計を助けるアルバイトまでこなす努力家。明るい好青年だ。現在は「忍者の名誉を守る会」の会長を務めている。

〇山地ケイ/姫忍・恵美破(世界忍者戦ジライヤ)
 山地哲山の実娘。忍法初段の腕前を持つ女子高校生。家事一切が苦手で義兄に押し付けるため闘破曰く「性格ブス」だが
 心の底では闘破を深く想っている。他人そっくりに化ける忍法“顔うつし”と敵を眠らせる忍法“花吹雪の術”が大得意。
 白い忍者スーツを装着してくノ一、姫忍・恵美破として戦う。

〇山地学(世界忍者戦ジライヤ/機動刑事ジバン)
 山地家の末っ子で生意気盛りの小学三年生。忍法三級の腕前。まだまだ忍者としては半人前だがそう見られるのが
 本人は面白くない。義兄の闘破を本当の兄のように慕い、とても誇りに思っている。バイオロンと戦う機動刑事ジバンの
 助っ人に行ったことも。

〇江田島平八(男塾シリーズ/天より高く)
 日本の首領(ドン)。元帝国海軍少将。創立300年を誇る私塾・男塾の塾長であり、自身が元塾生。
 若い頃は数々の拳法・格闘技を学ぶ為世界を放浪、短期間で極めた。帝国大学を首席で卒業している。
 第二次世界大戦時、かのマッカーサーをも恐れさせた。

〇富樫源次(男塾シリーズ/天より高く)
 江田島平八の秘書。男塾OBのまとめ役兼斬りこみ隊長。「根性」を絵にしたような男。
 拳法等の心得はないがケンカ殺法を得意とする。幼い頃両親を亡くし、中学まで兄と二人暮しであったが
 「大威震八連制覇」で兄が死亡。天涯孤独となる。驚邏大四凶殺、七牙冥界闘において二回死の淵から蘇る。

●杉谷悪之坊(世界忍者戦ジライヤ)
 邪悪忍法の使い手で、十字鎌槍の達人。17年前、闘破の本当の両親である半蔵と千代を殺した犯人である。
 手下と共に戸隠連峰に長年潜んでいたが、ボードを狙って戸隠村を襲撃し、磁雷矢に瀕死の重傷を負わせる。
 最終的には磁雷矢に討たれた。

●謎の紳士タイタン/一つ目(百目)タイタン(仮面ライダーストロンガー)
 ブラックサタン日本支部の初代大幹部。実は地底王国の領主でマグマの能力を秘めた「改造火の玉人間」
 普段は謎の紳士「Mrタイタン」として行動し、前線で戦闘員や奇っ械人を指揮する。冷徹な合理主義者で
 任務遂行の為なら仲間の犠牲を厭わない非情さを持つ。ストロンガーとの戦いで一度命を落とすが、百目タイタンとして復活した。

〇錦織佳代(闘争の系統オリジナル)
 月影一族の若きくノ一。祖父の仁兵衛と二人暮らしだったが、杉谷悪之坊に祖父を殺され、
 ゼンガー・ゾンボルトが殺したと騙されてGショッカーの作戦に協力してシグフェルを捕まえた。
 騙されていた事を知ってからは光平に協力し、杉谷悪之坊を討つ。事件後、海防大付属高校の
 光平のクラスに転校し、江田島平八の下で忍びとなる。光平に好意を寄せている。

〇錦織仁兵衛(闘争の系統オリジナル)
 錦織佳代の祖父。月影の里で佳代と2人暮らしをしていたが、杉谷悪之坊に殺される。

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最終更新:2023年06月07日 14:20