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どどんとふ入門GM編:シナリオのチャットパレット登録

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だれでも歓迎! 編集

■どどんとふ入門GM編:シナリオのチャットパレット登録

ここでは、作成したシナリオをチャットパレットに登録する手順を説明します。

まず、シナリオをできるだけテキストファイルなどで作成します。
テキストファイルを作成するのには、メモ帳などでもいいですが、
サクラエディタのようなフリーの便利なテキストエディタがオススメです。

作成したテキストファイルから、チャットパレットにシナリオをコピーペーストします。
1番目のタブはGM発言用で、名前欄を空欄にしてあります。
2番目以降のタブはNPCや敵の発言用で、NPCの名前とセリフ、敵データ等を登録します。

実際にどのように登録するのか、サンプルのチャットパレットファイルを以下に置いておきますので、
ご自分のどどんとふで読み込んで確認してみてください。

サンプルチャットパレット(ZIP圧縮)

ZIP圧縮ファイルですので、解凍後、中に入っている拡張子.cpdファイルをチャットパレットの「ロード」ボタンから
読み込ませてください。

以下、冒険企画局のインセインというTRPGで使用したシナリオのテキストを掲載します。
ここまで作りこまなくてもいいですが、敵データ等はできるだけテキストに起こしておく事をオススメします。

 


■鬼胎屋敷の怪異(おにはらやしきのかいい)

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◆諸注意
・チャットセッションなので相手の反応がわかりづらいです。
かっこいいRPやいいプレイ、良いダイス目などには積極的に
おー!とか、かっこいー!とか相槌を打ちましょう。

・チャットの流れを止めないようにしましょう
タイプが遅かったり、長い文を打つときは、短めに文を区切ってタイプするといいです。

・名前を呼ばれたらまず返事。その後行動宣言。終了したら終了を宣言しましょう。

・あまり気負わず、タイプした文字を消しては書き消しては書きしないように。
多少の誤字やタイミングのずれは気にせずENTER押しちゃいましょう。

・インセインと今回のシナリオの特性で個別シーンが多くなるかもしれませんが、
登場していないキャラもPL発言でちゃちゃを入れてかまいません。
というか推奨です。雑談タブの使用は非推奨です。

ぜひ、ぎゃー!とか、げー!とか良いRPだね!とかちゃちゃを入れてください。

その時は、立ち絵が表示されないように、「PC名(未登場)」と
チャットパレットに名前を入力したタブを作って、そこから発言してください。
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▼共通ハンドアウト(今回予告)
静岡県御前崎市、険しい山道を越えたところにある岬の突端に建設された、
西洋風の大豪邸、鬼胎屋敷。

一ヶ月前、この屋敷で数十億の遺産を残し当主鬼胎泰三が首を切断され殺害された。

不可解な事にその死体と凶器と部屋の鍵は完全に密室である書斎の書庫室に取り残されていた。

メディアはこぞって大豪邸で起こった密室殺人を報道した。

そして3日前、泰三の遠縁にあたるPC達の下に泰三からの招待状が届く。


「この招待状を受け取った者に鬼胎の遺産を配分する。
九月×日に鬼胎屋敷に参集せよ。 鬼胎泰三」


不可思議な事に泰三の招待状の消印は泰三の死後三週間後のものであった。

君たちは様々な事情により、この招待を受ける事にした。

インセイン―シナリオ
「鬼胎屋敷の怪異」

惨劇の幕が今開かれる。

※)リミット(サイクル数最大数)は3を予定。ただし、展開によっては
2サイクル目途中でクライマックスに突入する可能性あり。
NPCを殺すときは早めにね!☆ミ

※)鬼胎屋敷は携帯が通じません。圏外です。外部との連絡手段は、応接室にある黒電話だけです。あらかじめご了承ください★ミ

▼ハンドアウト
●PC1:推奨職業:学生(性別指定:♂)
君は泰三とは遠縁であるが、数度、鬼胎屋敷を訪れている。
鬼胎屋敷に住むPC2とは面識があり仲が良い。
君は招待状を受け取り、謎と遺産を求めて再びこの屋敷にやってきた。
君の【使命】は泰三の死を解き明かし、できるだけ多くの遺産を手に入れる事である。

【秘密】ショック:PC2
1月前、君は泰三に呼ばれ密かに屋敷を訪れた。
泰三は何故か君を殺そうと西洋剣を持って迫り、
止む無く書斎にあった西洋剣で泰三の首を刎ね、撃退した。
その後の記憶が混濁している。だが君は気づかれる事なく脱出し日常に戻ったはずだ。
君の【真の使命】は泰三が何故君を襲い、何を計画していたのかを突き止め、
その計画の遺産を手に入れる事だ。
PC2は君になぜか好意を持っている。利用できるだろう。

●PC2:推奨職業:学生(性別指定:♀)
君は泰三とその何回目かの妻、祥子との間の一人娘である。
本来ならば、祥子の次に遺産相続の権利を持っているはずである。
そんな君の元に泰三の招待状が届く。
祥子によれば、遺産は招待状を持っている者だけに与えられるという。
祥子は遺産を手に入れるため君に期待をかけている。
君の【使命】は泰三の直系として遺産をできるだけ多く手に入れる事、
親しい間柄のPC1にできるだけ協力する事である。

【秘密】ショック:PC1
2年前、君は屋敷を訪れたPC1に結婚を申し込まれた。
だが、PC1はそれを忘れているように見える。
君は彼の事を狂おしいほど愛しており、
彼と結ばれる為には手段を選ぶべきでは無いと思っている。
君の【真の使命】は、PC1と結ばれる事であり、
それを妨害する人物を全て殺害する事だ。
PC1に嫌われてはならない。
だがもし彼と結ばれる事ができないのならば、PC1を殺し、
自分の命を絶つ事で来世で結ばれる事だ。

●PC3:推奨職業:学者(性別指定:なし)
君は泰三の遠縁にあたるオカルトを研究する学者だ。泰三は生前、財産を傾けオカルトを研究していたという。そして君の元に「招待状」が届いた。君の【使命】は遺産をできるだけ多く手に入れ、そして泰三のオカルト研究の正体を明かす事だ。

【秘密】ショック:全員
君の正体は死んだ鬼胎泰三の魂が憑依した死体だ。
一皮向けば腐敗した肉の塊だ。
ただし、憑依の際に記憶の一部を失っている。
だが、君は「深淵に眠るもの」を復活させる為に必要な犠牲者を集めるために、
君は泰三の筆跡でPC1,2,4、そして自分にも招待状を出した。
君の【真の使命】は、PC4を除くPCとNPCを全員死亡させ、
「儀式の間」で生贄にささげ「深淵に眠るもの」を復活させる事だ。
その後はPC4は不要だろう。

●PC4:推奨職業:なし(性別指定:なし)
君は泰三の遠縁にあたる人物だ。つまらない犯罪を犯し、入獄していたが、今月になってやっと出所する事ができた。一文無しの君の下に一通の「招待状」が届く。これによれば、君は大富豪の遺産を相続する資格があるという。君の【使命】は遺産を出来るだけ多く手に入れる事である。

【秘密】ショック:全員
君は生まれついての殺人狂だ。
人を殺すことと富と力手に入れる事が最高の喜びである。
君はこの屋敷に大いなる存在「深淵に眠るもの」を復活させる手がかりがある事を知っている。
「深淵に眠るもの」が復活すれば、世界規模のカタストロフが発生し、
君は神にも匹敵する大殺戮者となるだろう。
君の真の目的はPC3と協力し、出来る限り人間を殺害した上で
「深淵に眠るもの」を復活させる事だ。その後はPC3は不要だろう。

▼登場人物
・鬼胎 泰三(おにはら・たいぞう)81歳♂ 故人
鬼胎屋敷の主人にして大富豪の老人。その遺産は数十億円に上るという。
故人。一月前に書斎で首を切断されて死亡している。
晩年はオカルトに深く傾倒しており、人を寄せ付けなかったという。
今回の事件は死んだはずの泰三からの遺産相続会議への招待状(消印は1週間前)を
受け取ったPC達が鬼胎屋敷に集合する所から始まる。

・鬼胎 祥子(おにはら・しょうこ)34歳♀
泰三の何人か目の妻。現在の鬼胎家当主。
泰三の死後、自衛と称して常にショットガンを携行している。

・如月 花音(きさらぎ・かのん)17歳♀
鬼胎屋敷の住み込みのメイド。美音の双子の姉。温和でやさしい性格。

・如月 美音(きさらぎ・みおん)17歳♀
鬼胎屋敷の住み込みのメイド。花音の双子の妹。きつめで厳しい性格。

・要道 源吾(ようどう・げんご)72歳♂
鬼胎屋敷の執事。泰三の友人であった。厳格な性格でメイド達を躾けている。

■導入フェイズ

■鬼胎屋敷へ
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2013年9月x日
高級なベンツのサスペンションでも吸収しきれない揺れが、
車内の5人の人物を揺らしている。
ここは静岡市御前崎市の郊外、険しい切り立った崖に挟まれた山道である。
山道の左右には初秋の花、ヒメジョンの白と黄色の花が、咲き乱れている。

ハンドルを握るのは、鬼胎屋敷の執事、要道源吾である。
助手席と後部座席に分乗しているのは、鬼胎屋敷に招かれた、4人の遺産相続候補者。
つまり、君達だ。

源吾
「道が悪くて申し訳ありません。この山道はがけ崩れが多いのです」
「その為舗装を直してもすぐ痛んでしまいまして。」
「乗り心地が悪いのをお詫び致します。」

「もうすぐ、お屋敷に到着します。いましばらくのご辛抱を」

5分ほどすると、ベンツは開けた岬に建つ大豪邸の前へとたどり着く。

ベンツはゆったりと屋敷の前に止まると、源吾が車を降り、
ドアを開けて4人を屋敷の玄関へといざなう。

鬼胎屋敷は豪壮な洋風屋敷であり、源吾によれば、建築は50年前に遡るという。
一代で莫大な財産を築いた、前鬼胎家当主、鬼胎泰三がその財を投入して
建築させた、大豪邸である。

いつのまにか、2人の少女メイドが君達の荷物をトランクから運び出している。

花音
「メイドの花音でございます。遠路、お疲れ様です。お客様方、そして唯お嬢様」
美音
「美音です。お客さまのお荷物はお部屋に運んでおきます…」

2人のメイドは丁寧に礼をすると荷物を屋敷に運び入れる準備を始める。
その時、メイドのうち、おとなしそうな娘、花音は恭司と視線が合うと
頬を染めて、下を向いてしまう。

花音
「………。」

美音
「姉さん、どうしたの? 早く荷物を運ぼう」

花音
「…。うん。美音ちゃん。失礼しましたお客様…」

花音はそそくさと一礼して荷物と共に屋敷の中へと消えていく。
美音は冷たい視線を恭司に向けたあと、やはり屋敷の中へ姿を消す。

源吾
「応接室で奥様がお待ちです。皆さま」

そう言って、源吾は君達を鬼胎屋敷の中へと誘う。

明るい初秋の空に少しだけ冷たい風が吹いた。

ぽっかりと口を空けた豪奢だが暗い玄関は、
文字通り鬼の胎内のようであり、君達を飲み込むかのように感じられるのであった。
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■謁見
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君達は応接室に通された。

源吾がドアを開けると、赤い絨毯を敷き詰めた部屋に、一人の中年女性が立っていた。

祥子
「ようこそ鬼胎屋敷へ。『遺産相続資格者』の皆さん?」
「私は、鬼胎祥子。あなた達に遺産を横取りされる事になった哀れな女です」

祥子はめいいっぱいの皮肉をこめて、君達に慇懃無礼な挨拶をする。

祥子の年はまだ30代半ばだろう。美しいが刺々しい雰囲気の女だ。
そしてなにより目を引くのは、彼女が手にしている物々しい猟銃である。

君達が、驚いた表情をみせると、祥子は言い訳がましくまくし立てる。

「この家には殺人鬼が住んでいますの。」
「だから護身のためにこんな野蛮な物を持っているのですわ」

「私の愛する夫、鬼胎泰三はこの屋敷で、首を切断されて殺されました」

「この屋敷には殺人鬼が住んでいるのですわ…!」

そういって、祥子は脇にはべる源吾を睨みつける。

「何も信用できない。泰三も、使用人たちも」

「私が信用しているのは、唯、あなただけよ?」

祥子はすがるような目つきで泰三の直系の娘、鬼胎唯を見つめる。

「あと1時間で昼食になります。一度お部屋に行って荷物を解くと良いでしょう」

「会食の場で、泰三の遺言を発表します。皆さんに損なお話ではないはずです」

そう言いきると、祥子は疲れ果てたように椅子にへたり込む。

「(あの日からろくに眠れやしない…。私はどうすればいいの…)」

祥子は顎で源吾に合図をすると、4人を部屋から下がらせる。

源吾

「奥様はお疲れです。皆さんを客室にご案内いたしますのでしばらくお待ちください」

そう言って、源吾が君達を応接室の外へと誘った。
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■遺言状
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君達は鬼胎屋敷の客室に案内された。
客室は良く手入れされており、居心地が良さそうだった。

そして、1時間後、花音のノックに呼び出され食堂へと集まる事になる。

食堂は大きな西洋風のシャンデリアが飾られた広々とした部屋であり、大豪邸である鬼胎屋敷の名に恥じないものであった。

テーブルの最も上座は空席になっている。恐らく泰三の席であったのだろう。
その脇に祥子が座り、目の前に猟銃と一通の封筒が置かれている。

下座に君達4人が着席すると、花音と美音が食事を運んでくる。
フレンチを中心とした高級料理である。

祥子
「では、お客様。いいえ『遺産相続権利者』の皆さま。お食事をどうぞ」

祥子は返事も待たず、食事に手をつけることもなく窓の外を見つめはじめる。

窓の外は先ほどの秋晴れが嘘のように、暗雲が立ち込めてきており、
突風が庭の花々を風に散らしていた。

食事が始まって10分程。
激しくなりつつある風雨がガタガタと屋敷を揺らす。

祥子がいきなり立ち上がり、こう告げる。

「では、宴もたけなわな事ですし、鬼胎家当主の遺言を発表しますわ」

祥子は封筒の封を震える手に持ったペーパーナイフでもたもたと切ると、
一枚の便箋を取り出す。

「…。」

「妻、祥子には遺産相続の権利は無い」

「我が死後の遺産に群がるゴミ虫どもよ」

「我が遺産を与えるに相応しい資格を示せ」

「我が娘、鬼胎唯。遠縁にあたる、須藤恭介、伊集院蒼、菊島沙焚。この四名だけが我が遺産を受け取る資格をもつものである」

「死は平等に誰にでも訪れる」

「上記四人のうち、死の試練を乗り越えた者だけに我が遺産と大いなる力を授けよう」

「平成25年8月21日 鬼胎泰三」



「…」

「以上です。これだけしか書いてないわ」

「ああ、当主様は何を考えておられたのか…」

震える手で便箋を握り締めた祥子は椅子に倒れこむ。

源吾
「奥様、お気を確かに」

脇にはべっていた源吾が祥子の下に駆けつける。

「薬を。いつもの薬を持ってきて頂戴。源吾」

源吾
「申し訳ありません。あの薬は切らしておりまして」

祥子
「何をしているの!当主の妻が心痛で苦しんでいるのよ!」

ばしっ!
祥子が源吾に張り手を見舞う。

祥子
「今すぐ町に出てあの薬を買い求めて来なさい!これは命令よ!」

源吾
「はっ。今すぐに」

そういって唖然とする君達を残し、源吾は食堂を後にする。

祥子はもはや君達の事が目に入っていないようだ。

二人のメイドは冷め切った食事のお代わりを沈痛な表情で配膳している。

こうして、泰三の遺言は発表された。
食事会は気まずいまま終り、君達客人は客室に戻る事になる。
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■惨劇の始まり
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午後6時半。
君達はそれぞれの客室に閉じ込められたままである。
嵐はさらに激しくなり、屋敷を打ちつけ、時折凄まじい雷鳴の轟音が屋敷を揺らす。

花音の話によれば、午後6時に夕食が振舞われるという事であったが、
一向に呼び出しがかかる気配は無い。

その時、絹を裂くような悲鳴が屋敷中に響き渡った。

花音
「きゃああああああああ!」

どうやら悲鳴は食堂からのもののようだ
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食堂に駆けつけると、入り口に花音が顔を涙でぐしゃぐしゃにして、へたり込んでいる。
花音
「お、奥様・・・奥様がっ!」

「奥様が! 恭司様っ!うわあああああああああああああああああ!」

恭司の姿を見つけた花音はすがりつくように恭司に抱きつく。
そして、少し落ち着くと食堂を指差す。

花音が指差した先には…。

テーブルは真っ赤な鮮血に染まっていた。

泰三の席であったと思われる上座に、祥子が座っている。

祥子は手にした猟銃の銃口を口に咥え、そのまま引き金を引いたように見える。

頭部を貫通した銃弾が祥子の脳髄を食堂の奥の壁に裂く鮮血の花を作り出したようだ。

祥子は明らかに死んでいた。

後から駆けつけた源吾と美音も絶句して、言葉が出ないようだ。

こうして惨劇の幕は上がった…。

いや、1月前の泰三の死の時点で、惨劇は始まっていたのかもしれない。
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源吾の提案により、君達は一度応接室に集まる事になった。

源吾は青ざめた、しかし落ち着いた表情で語る。

源吾
「奥方様は脳天を自ら打ち抜かれ、恐らく即死されておりました」

「まずい事に、私が奥方様のお薬を買い、車で戻ってきた時に土砂崩れが起きたのです」
「山道は通行が出来ない状態です」

「そして、その影響だと思われますが、電話が通じません」

「外界にこの屋敷の事が伝わるまで数日はかかるでしょう…」

「奥方様をあのような状態で放置しておくわけには参りません」

「とりあえずという形ではありますが、私が地下室に安置してまいります」

「皆さまは、どうか心をしっかりと持たれて、客室にお戻りになってお待ちくださいませ」

そう言って源吾は応接室を後にする。
泣きはらした花音と、冷静を努めて装っている美音が君達を客室に案内する。

惨劇の第一日目はこうして幕を閉じる。
その夜は、皆、眠れぬ夜を過ごすこととなる。
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■マスターシーン:夜忍び寄る
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君は眠れぬ夜を過ごしていた。
雷鳴が轟き、豪雨が屋敷に叩きつける。
しかし疲れていたのか、君は気がつくと眠っていたようだ。

任意の知覚特技で判定

失敗:
君は特に気づかず朝になる。

成功:
君はふと目を覚まし、客室の壁を見る。
透明な泡がぶつぶつと壁に浮き出てくる。

泡は段々と量を増やし黒い色のついた長いつめの生えた腕のような形を形成し始める。
そして君の方へと腕が伸びてくる。

怪異:暗黒で恐怖判定をする事。

気がつくと、黒い腕は消えており、壁にはその跡もない。
君はまた深く沈むような眠りに落ちていく…。
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■第一サイクル:惨劇第二日目
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調査項目

・泰三の死について
鬼胎泰三は1月前に死んでいる。
密室で首を撥ねられており、他殺であると思われる。

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【秘密】:ショック:なし:拡散情報:泰三の死について:泰三は書斎で首を撥ねられ殺害されたと思われる。
警察の検証と源吾達使用人の目撃情報によれば、書斎に大量の血痕が残っていたためである。
しかし、泰三の死体は書斎の中にある小部屋、書庫の中に凶器と思われる西洋剣二本と、屋敷に一つしかない書庫の鍵と共に転がっていた。
屋敷を調査に来た警察はこう語ったと言う。『まるで首を撥ねられた死体が歩いて鍵をかけて閉じこもったようだ』と。
泰三の死体は、警察の検証のあと、屋敷の地下にある地下墳墓に葬られたという。

調査項目:屋敷の地下墳墓への入り方が調査可能になる。
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・祥子の死について
祥子は惨劇1日目の午後6時~6時半の間に死亡したと思われる。
祥子は遺産が自らの手に入らない事を国しており、
情緒不安定になっていた。発作的に手にした猟銃で自ら命を絶ったように見える。
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【秘密】:ショック:なし:拡散情報:祥子の死について:祥子は君達が目撃したとおりの死に方をしている。遺体は腐敗を防ぐ為、温度の低い屋敷の地下にある墳墓に安置されている。

調査項目:屋敷の地下墳墓への入り方が調査可能になる。
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・源吾について
源吾は数十年に渡ってこの屋敷に仕える老執事だ。
態度は慇懃にして厳格であり、名執事であると言える。
祥子の死を目の当たりにした源吾は動揺を抑えつつ、
その死体を処理した。
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【秘密】:ショック:なし:拡散情報:源吾はどこか不可思議な雰囲気を纏っている。
どこか浮世離れした存在である。
それは源吾が泰三に拾われた経験が元になっているのかもしれない。
68年前、中国戦線で泰三に命を救われた源吾はそのまま泰三に仕えるようになったのだと言う。
それほど長い付き合いではある源吾にも泰三は書斎の書庫の鍵は渡していなかった。
その他の部屋のマスターキーは源吾だけが所持している。
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・花音と美音について
17歳の美しい双子のメイド。屋敷を襲う惨劇を恐れているように見える。
花音は優しい性格で、恭司を慕っているように見える。
美音は厳しい性格で、恭司を憎んでいるように見える。
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【秘密】:ショック:全員:彼女達は自分達を「素材人形」であると言う。
素材人形とは、何か。
それは泰三のオカルト研究によって生み出された、擬似生命。
つまり、ホムンクルスである。
花音は素材人形の身を嘆いており、人を愛する事を覚えた。
恭司を狂おしいほど愛している。
美音は自分の存在に諦めを抱いており、
姉花音の心を奪った恭司を激しく憎んでいる。

マスターシーン:花音の告白が発生する
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・遺産について
数十億に及ぶという鬼胎家の遺産。手に入れたらヒャッハー!
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【秘密】:ショック:なし:泰三は遺産を屋敷のどこかに金の延べ棒として隠したらしい。
だが、驚くべき事に泰三の遺産はそれだけではない。
泰三の晩年のライフワークであったオカルト研究の産物。
それは数十億の金の延べ棒よりもはるかに価値があり、力を持つモノであるらしい。
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・屋敷の地下墳墓への入り方
鬼胎屋敷には大きな地下室があり、そこは源吾の話によれば地下墳墓になっているという。
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【秘密】:ショック:なし:地下墳墓の入り口は、薔薇園となっている中庭にある。
厳重な鉄の扉で封印されており、地下墳墓の鍵を持つ者しか立ち入る事は出来ない。
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■マスターシーン:花音の告白
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雨の降りしきる鬼胎屋敷の庭。
そこに恭司が花音からの手紙で呼び出される所からシーンは始まる。

他PCも登場可能。ただし花音に見つかれば、花音は話をやめてしまうかもしれない。
(庭には隠れる場所が多数あり、他PCは話を立ち聞きする事ができる)

花音
「恭司様。私は罪を犯しました」

「素材人形の身でありながら、恋をしてしまったのです」

「このお屋敷は私にとって鳥かごでした」

「旦那様は杖で私を打ちました。」

「奥様は私の仕事のミスを冷たい言葉で罵られました」

「ごく稀に屋敷を訪れてくださる恭司様だけが私の心のよすがでした」

花音は気がつくと雨の中でもはっきりと分かるほど涙を流していた。

「恭司様。私を抱きしめてはくれませんかっ?!」

「お願いです。それだけが私のたった一つの望みです…!」

そういって、花音は恭司の胸に飛び込んでくる。雨はざあざあと降りしきる。

「ああ、暖かい。恭司様の胸はこんなにも温かいのですね」

「優しい香りがします…」

気がつくと泣きはらした顔で花音は目を閉じ、恭司に顔を向けている。

■キスする

短い接吻の後、花音はほぅとため息をつくと、

「私はもうすぐ死ぬでしょう。でも、もう何も怖くありません」

「私は幸せ者です。素材人形の身で貴方の様な素敵な方に愛して頂いたのですから…」

■キスしない
「す、すみません!申しわけありません! 私のような素材人形が出すぎた真似を!」

「ありがとうございました。恭司様の胸の温かさを知っただけで私は幸せです」

■その後
花音と恭司が立ちさたった後、美音が草陰から現れる。
美音
「ねえさんのバカ。あんな下衆な男に心を奪われるなんて…」

そうつぶやいて美音も屋敷の中へと消えていく…。
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■第一サイクルの夜:惨劇第二日目の夜
以下の行動が可能。GMに秘話で行動を宣言する事。殺害を行う場合は簡単に手口も。
・NPCを殺害する
(他PCに気づかれる事はない。他PCには自室待機しているように見える。
条件によって殺害が失敗する事もある。
またこの方法で殺害した場合、NPCの秘密は入手できない)
・他PCと感情を結ぶ
(他PCの客室を訪れ、感情判定を行う事ができる。
他PCにも様子がわかるRPシーンとして扱う。プレイ時間が短いので手短に!)
・何もしない(自室で待機する)

★源吾は部屋におらず、殺害する事ができない。


■マスターシーン:夜忍び寄る
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君は眠れぬ夜を過ごしていた。
雷鳴が轟き、豪雨が屋敷に叩きつける。
しかし疲れていたのか、君は気がつくと眠っていたようだ。

任意の知覚特技で判定

失敗:
君は特に気づかず朝になる。

成功:
君はふと目を覚まし、客室の壁を見る。
透明な泡がぶつぶつと壁に浮き出てくる。

泡は段々と量を増やし黒い色のついた長いつめの生えた腕のような形を形成し始める。
そして君の方へと腕が伸びてくる。

怪異:暗黒で恐怖判定をする事。

気がつくと、黒い腕は消えており、壁にはその跡もない。
君はまた深く沈むような眠りに落ちていく…。
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■第二サイクル:惨劇第三日目
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雨はより激しさを増す。
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★NPC殺害が起こった場合、その詳細をPCに伝える。

この日からPCの秘密を調査できるようになる。

また、二日目に追加される調査項目は以下の通り。

・泰三のオカルト研究
泰三は晩年財産を傾けてまでオカルト研究に没頭していた。
その内容を調べる。
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【秘密】:ショック:全員:泰三の研究は人口生命を生み出し、新たな世界を作り上げる事であった。
その実験はある程度成功している。花音と美音は泰三の実験によって作り上げられたホムンクルス、人造人間である。
しかし、この研究の途中、泰三はある狂気に取り付かれた。
大いなる存在と交信し、それはこの歪んだ世界を破壊し、全てを滅却することである。
源吾もその為の実験台になったようだ。

源吾の正体が調査可能になる
■マスターシーン:美音の襲撃が発生する
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・源吾の正体
源吾は厳格な執事に見える。だが、何かがおかしい。
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【秘密】:ショック:全員:源吾は泰三がオカルトで交信していた大いなる存在によって変異している。
源吾の燕尾服に隠された体にはまるで魚の鱗のような模様が浮かんでいる。
源吾は泰三の意志を継ぎ、儀式の素材を集める為に祥子を自殺に見せかけて殺した。

なお、変異は源吾だけでなく、泰三にも及んでいた模様だ。
泰三の不可解な密室での死は、首を撥ねられてなお、凶器その他を運んで密室まで歩いて移動した泰三の人間離れした生命力、あるいは死霊の力がその原因である。

儀式は、惨劇四日目に地下墳墓で行われる。

地下墳墓の鍵は源吾が所持している。

■マスターシーン:源吾の覚醒が発生する

■マスターシーン:美音の襲撃
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美音がランダムにPCを襲撃する。
素材人形である自分の使命を果たすためであると彼女は言う。

「素材が。生贄が必要だ! 死ね!」
美音はPCを人間とは思えぬ素早さで短剣を使って切りつける。
選ばれたPCは生命力に1点のダメージを受け、《刺す》で恐怖判定をする。

PCを殺せなかったことに気がつくと、美音はその喉を突いて果てる。
事件を見たPCは全員、《死》で恐怖判定をする。
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■マスターシーン:源吾の覚醒
源吾がPC達を襲撃する。
遭遇時、PCは怪異:深海で恐怖判定をする事。
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「深淵に眠るもの」と呼ばれる邪神に仕える魚人。人と交配して仲間を増やす。その子は幼少期は人と変わりが無いが、成長するにつれ魚人へと変貌していく。

深きもの:源吾の成れの果て
脅威度2
属性:怪異
生命力:7
好奇心:知覚
特技:《刺す》、《手触り》、《深海》
アビリティ:基本攻撃:《刺す》:目標一人を選んで命中判定を行う。命中判定が成功し、目標が回避判定に失敗すると1D6点ダメージ。
アビリティ:かばう:《手触り》:自分がプラスの【感情】を持っているキャラクターがダメージを受けたときに使用できる。ただしこの効果によってダメージを0以下にすることはできない

プライズ:地下墳墓の鍵
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■クライマックスシーン
PCの誰かが地下墳墓の鍵を開け、中に侵入するとクライマックスシーンが開始される。
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階段を下りると、暗い、深々とした暗黒が待ち受けていた。
君の目は何も捉えることができない。

しかし、臭いが。そう圧倒的な血の臭いと死臭がそこには充満していた。

(なんらかの方法で光源を用意する)

血に塗れた魔法陣にうずたかく積み上げられた人間の腕、足、手、胴、首。
バラバラに切断された人間の死体が積み上げられている。

いや、しかし、その中には人間のものとは思えない奇怪にねじくれた奇形の死体のパーツも含まれている。

ああ、あの服は祥子のものだろうか。胴体だけしか、確認できない。
ああ、あの髪型は恐らく花音のものだ。彼女の生首はどんな表情をしているのだろうか。あまりにも多くの死、むごたらしい殺戮の現場を見て、
君達は湧き上がる吐き気を堪える事が出来ない。

怪異:死で恐怖判定

少し落ち着いて、周囲を見回すと、祭壇の周囲には壁になるほどの黄金の延べ棒が積み上げられている。これがどうやら鬼胎の遺産であるらしい。

そして、魔法陣には祭壇があり、そこには一冊のノートがある。

どうやら筆跡は泰三のものであるようだ。

「死を捧げよ。死をささげよ。」
「深淵に眠るものを呼び起こせ」
「それは全てを飲み込み、全てを無に帰す」
「世界を憎み、己を憎め。愛するものを生贄に捧げよ」

「深淵なる物の真の名を叫べ。」

「『クトゥルフ』と」

ノートはそこで途切れている。
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PVP開始

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クトゥルフが復活する条件
・生き残りPCが2人になる
魔法陣が光を放ち始め、途轍もない轟音が遥か遠くから聞こえてくる。

・生き残りPCが1人になるまたはPC1,PC2だけになる。
クトゥルフが復活する。
魔法陣の光は消える。鳴動はより激しくなる。

地下墳墓を出ると、屋敷のラジオが何故かスイッチが入っており、
『緊急津波警報』を流している。

「ピコン!ピコン!緊急津波警報。緊急津波警報」
「全世界規模の超大型津波が太平洋で発生。静岡県西部には数百メートル規模の津波が押し寄せる可能性があります。」
「ただちに高台に避難し、安全を確保してください」
「ただちに高台に避難し、安全を確保してください」
「これは訓練ではありません」

見れば、屋敷の裏側、岬の先に白く途轍もなく巨大な津波が見える。
そして、君達は確かに見た。
津波の背後に立ち上がる、数百メートルに及ぶ宇宙的存在、目覚めた深淵なる物の姿を。
恐らく津波が屋敷を襲うまで1分程度しかないだろう。

怪異:深海で判定に成功すれば、生き残る事ができる。
また、自分が成功した場合、自分を犠牲にしてもう一人の生存者を助ける事ができる。
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■エンディングロール

インセイン―シナリオ
「鬼胎屋敷の怪異」

■リザルト■

▼鬼胎 泰三(おにはら・たいぞう)81歳 死亡
惨劇の一ヶ月前に鬼胎屋敷書斎書庫室にて首を切断される。

▼鬼胎 祥子(おにはら・しょうこ)34歳 死亡
惨劇の第一日目、自ら猟銃で頭を打ち抜いて死亡。

▼如月 花音(きさらぎ・かのん)17歳 死亡
惨劇の第二日目、死亡。

▼如月 美音(きさらぎ・みおん)17歳 死亡
惨劇の第三日目、死亡。

▼要道 源吾(ようどう・げんご)72歳 死亡
惨劇の第三日目、死亡。

▼霧島 沙焚(きりしま・しゃたく)32歳

▼伊集院 蒼(いじゅういん・あおい)25歳

▼鬼胎 唯(おにはら・ゆい)19歳

▼須藤 恭司(すどう・きょうじ)19歳


死と狂気、疑心暗鬼と恐怖のゲームは終わった。

鬼胎屋敷は深淵に眠る者の大津波にのみこまれ、深海へと消えた。

全世界規模の大災害をもたらした事件は発端でしかない。
眠りを覚ました深淵に眠るものは世界を滅亡へと導く事になる。

津波の去った、ガレキだらけの岬の突端に小さなリボンが落ちていた。
それは、花音の身に着けていた愛用のリボンである。

それは人として生まれる事を得ず、人でありたいと願った少女の生きた証であった。

インセイン:「鬼胎屋敷の怪異」 終幕

 




 

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