あの事件から2年が経過し、ある程度の落着きが戻っている。
でも、兄の友人や僕の友達にも『女性化』している人がいる事に変わりは無い。
そして、研究が進んで発症する条件が浮かび上がってきた。
1.童貞である事
2.年齢が満15~17歳以内である事
3.上記年齢の誕生日前後1ヵ月で発病する事
その他にも多数の未確認条件があるみたいだけど、有力なのはこの3つ。
ボクはもう3以外は当てはまってる…それに誕生日もあと1ヶ月と少しで来てしまう。
「はぁ…どうなっちゃうんだろ」
ベットの上で一人呟く。それは部屋の中で反響し、そして消える。
暗い気持ちの上に一人でいるには寂しすぎるし、なんだか泣いてしまいそうになる。そんな時、
「おーい、飯できたぞ、め…って、ゆう坊、なーにそんなに暗い顔してんだよ?」
「な、なんでもないよ」
「ふーん、まぁいいや。冷める前に食おうぜ」
「うん」
優しい声と笑顔でボクを呼んでくれる兄、「浩之」。ちっちゃい頃から「ヒロにぃ」って呼んでる。
「ゆう坊」というのはボクのあだ名。名前が「悠馬」なのでそう呼ばれてる。
250 名前:ゾンビ ◆yQMcmEpmw6[] 投稿日:2008/01/10(木) 21:24:54 ID:xWWfIBuU
両親は共に健在だけど、仕事の都合上家にいない事が多いので、ヒロにぃとボクで家事を分担してやっている。
今週はヒロにぃがご飯当番で、掃除・洗濯がボクの当番。
得意料理はボクが和・洋、ヒロにぃは中華。レパートリーが違うので飽きは来ないけど、ヒロにぃの中華はその辺の
お店の物より美味しい。ボクは逆にまずくは無いけど、飛び抜けて美味しい訳でもないっていう極々平凡な感じ。
「ほれ、今日は青椒肉絲と炒飯だ」
「わぁい」
「明日は何がいい?」
「んーとね…酢豚!」
「お、いいねぇ。まかせろ」
「お願いね?」
「はいはい。そんじゃま、食うか」
「うん、頂きます」
見た目通り、凄く美味しかった。…うん、これも今度またリクエストしようっと。
夕飯を食べ終わった後、二人でお笑い番組を見て、お風呂に入って、おやすみを言って、そのまま布団の中へ…
嬉しさと、明日への希望を胸に秘め、そのまま眠りについた。それが最後の夜だとは知らずに…。
ただ…ボクは今になって思う。辛い事もあったけど、本当に良かったと…。
251 名前:ゾンビ ◆yQMcmEpmw6[] 投稿日:2008/01/10(木) 21:25:46 ID:xWWfIBuU
『 次 回 予 告 ! 』
誕生日まであと『1ヶ月と少し』。二人の運命の輪は静かに廻りだした…
ひっそりと、だが確実に物語は時を刻んで行く…
次回、『これって兄妹(きょうだい)?』
第2話 ボク…女の子になっちゃった!?
「ど…どうしよう!?ヒロにぃ!!」
「さて、どーしたもんか」
最終更新:2008年09月22日 21:58