第5回
ギリシア・ローマ3
 ここからはローマの話に移ります。ローマについては、ギリシア以上に時代が下るまで同時代の文献資料がありません。そのため、ローマの始まりは伝説に依拠しています。ここではそうした伝説の時代に位置づけられる王政時代が終わり共和政が始まる前509年から話を始めたいと思います。
 とはいえ、共和政初期についても同時代資料は決定的に不足しています。後代やギリシアの歴史家の記述もまた一つの解釈であることに変わりはありません。そうした中で描かれているのは、共和政初期の貴族(パトリキ)と平民(プレブス)の抗争です。イタリア半島の中心部に位置するローマは、このころ、異民族の侵入に悩まされているわけですが、そうした状態も手伝って、貴族は平民に譲歩せざるを得なくなります。こうした中で設置されたのが平民の代表である護民官です。また貴族の勝手な法の運用を防ぐため、十二表法が制定され、ローマ法の基礎となりました。
最終更新:2011年11月28日 15:04