一話 「メシェーラミエーモ憑依」
テプト=ロビラがルタ、29歳。
メシェーラナル抗争で妻子を失った、しがないサラリーマンである。
メシェーラナルは古代ユーゲにおけるいわばニンジャである。
しかし、ネステール・アルパーにてその存在は消えたはずであった。
「はっはっは、ぐはっ!?」
道路に転がり込むしかしまだヤツは追い駆けてくる。
「くっ、くそっ!?」
漆黒の布にその身を纏い空中を飛ぶ姿は、そうヤツ―メシェーラナル―に決まっている。
奴は俺の妻の命も子供の命も奪っていった。ネオアラナスの裏を操り、そいつらの殺人は正当化され外部に出ることは無い。しかし、人殺しは罪だ。偉大なるあのアチェミルにも乗っている。しかし、無慈悲にメシェーラナルは俺を狙い小刀を下げようとする。その瞬間、光が見えた。
―私が。
―私が力を与えよう。
―……の子孫の力を。
その声を聞いてからもう30年になる。
メシェーラナルによる殺人は減っていった。俺がイミルチェクセルになったからだ。メシェーラナルは人を殺す者、偉大なるあのアチェミルにも乗っている。人殺しは確かにダメだ。しかし、奴等が何故ハタ人を狙うのか、奴等の正体は何なのか。調べる必要があるかもしれない。
朝食には、コーヒーと小さいライ麦パンで済ませる。全く、数年前とは違って
ユエスレオネの風習がよくもこれほど輸入されたものだ。
ウェールフープなんてもう普通の存在と化してしまった。それでも尚、
トイター教は力を持ち続ける。コーヒーとライ麦パンを平らげたロビラガルタは、黒きマントと帽子を被り、外に出た。
「さぁ、次の敵はどいつだ?」
二話 「」
最終更新:2015年04月22日 20:52