2.前操作期(2〜7歳)09.11.18


この時期は、記号化の機能(内面かした模倣の分化)によって、概念作用や思考が可能となる時期であり、一般化というシェマに加えて、概念化があらわれます。今まで感覚運動上で扱われていたものごとが、概念化上で扱われるものごとへと再構成されるのです。これは、まったく違う感覚で世界を感じ始めることだとピアジェは言っています。保存の観念、つまり遠くはなれた空間にあるものや、過去、未来といった時間のことも解るようになるのです。


表象:知覚したイメージを記憶に保ち、再び心のうちに表される作用
内面化:新しく仕入れた形式知を実際に試して体化し、自らの暗黙知としてストックすること(表象と内面化は同じか?)
分化:同一だったものが複雑化したり、異質化していくこと

記号化の機能として、ピアジェは5つあげている。それらは一斉に現れ始めるという。以下でその5つの機能を説明します。


1.延期模倣

感覚運動期には、真似をする対象の前で模倣行動が見られる。
そのうちに対象がなくても、数時間あとに模倣行動が表れるようになる。
これを延期模倣といい、表象の始まりとなる。
表象は記号化と言ってもいいかもしれない。
記号化とは「あるものが、別のあるものをさす」ことである

例)
赤ちゃんAは怒ってじたばたしていた。赤ちゃんBはそれを見ていて、数時間後に笑いながら赤ちゃんAのじたばたする行為を模範した。

赤ちゃんBは赤ちゃんAが怒ってじたばたしている行為を見て、それを記号化する。この時点では「じたばたが、怒っていることをさす」。しかし、延期模倣のときには赤ちゃんは笑って模倣していた。つまり、「じたばたが、怒っていることをさす」ではなくなっている。「記号表現が、記号内容をさす」ことがなくなり、分化が見られる。(こういう解釈でいいのかなぁ、読んで解るだろうか?)


2.象徴遊び(ごっこ遊び)

例えば寝ているふりだったり、犬や猫のものまねであったり。
これらは表象が伺える。
つまり、記号化した”寝たふり”、”犬”、”猫”などを記憶からひっぱりだし、それを分化して表現しているのである。


3.描画(線画)

描画の始まりは、遊びと心像との中間的なものだとピアジェは述べている。
2歳、2歳半以前に出現することはほとんどないらしい。


4.心像(イメージ)

この時点で、模倣はたんに延期模倣というだけでなく、内化された模倣として出現してくる。心像による表象は、活動の内的素描によって、外的行為から分離するものとなる。思考が生まれ始める時期である。
以上1〜4行為によって言語の習得が進む。


5.言語

例えば、赤ちゃんが猫のものまねで”にゃ〜”と鳴くとする。
この行為は、模倣に加え、言語的表象が生じている。
言語の習得は他人とのコミュニケーションを交え、自分のなかで単に模倣するだけよりも、難しいことであり、表象の性能を高める効果がある。


これら延期模倣などが行われることで、感覚運動の世界から抜け出します。ある行為がその行為が行われた状況から切り離される、つまり最初に説明した記号の機能化が行われようになり、心像として表象され、思考が発生しはじめるのです。記号的機能は思考の可能性を高めるが、逆に思考や表象的知能によって記号的機能も高められる。

記号的機能に支えられた思考とは?

言語を習得し始める1、2歳〜4歳にかけて、
(正確には習得を可能とする象徴的機能が表れるころから)
「象徴的思考」および「全概念的思考」が発展する。

4歳〜7、8歳ころまで「直感的思考」が作られる
直感的思考はだんだんと文節かし、操作にまでいたる。


象徴的思考のたかまり

小さい子供は、集団的記号体系を充分にもっていないし、それを理解する能力がまだ持てていない。そして、自己と世界を同化する働きがまだ強い。
象徴遊びや想像遊びを通して、自己中心性から象徴的思考へ、言語記号を習得していく。


前概念的思考




直感的思考



最終更新:2010年03月18日 22:14