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羽根あり道化師
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羽根あり道化師

踊れ踊れ!Dance Night

最終更新:

vice2rain

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月が映るダンスホール
麗しい貴女が佇んでおられるなら
どうして手を出さずにいられましょう?

さぁどうぞその御手を私に

ダンスは一人では踊れないでしょうから



踊れ踊れ!Dance Night



「はぁ~?正装だァ?オイオイ修道士に正装もクソもあるかっつーの」

豪華な家具に囲まれた王宮の一室でヴァイスは訝しげな顔で黒い燕尾の服を見ていた。その隣で使用人が困り果てている。

「いや、しかしヴァイス様ッ!これは王族の開くパーティですから!どうかお願いします!」
「う~ん、それなら俺参加しなくてもいい…」

ヴァイスが言いかけたそのときだった。ドアがノックされ、扉が開くと髪をシニョンに結い上げ、ドレスに着替えたプリアラが現れた。落ち着いた青を基調にしているゆるやかなドレスはまるで彼女のために作られたようにぴったりと合っている。

「そうよ、ヴァイスわがまま言わないで今日くらいはきちんとした格好しなさいよ。たまにはいいじゃない?」
「あ、プリアラ似合ってるんじゃねーか。ククッ、レオンのやつまた顔真っ赤にすんだろうな。」
「馬鹿なこと言っていないでさっさと着替えなさい。夕方から始まるんでしょう?」
「・・・へーへーわかったよ・・・だけど俺は食うだけ食ったら退散すっからな・・・」
「それでいいのよ。」

プリアラのどこか黒い気を纏う笑みに圧倒されたのか、ヴァイスもついには折れ、黒燕尾に腕を通すのだった。


今宵はミルディアン国王の即位式、つまりレオンが王となるパーティが開かれるのだ。無論、彼の旅に同伴したプリアラとヴァイスも招かれ、ミルディアンへ久しぶりに足を踏み入れたのである。プリアラへの招待状には赤い薔薇が一本添えてあり、少なからずレオンの心のうちを反映していたようにも思えるのだが・・・。

辺りが夕闇に溶け始め、貴族たちや他国の王族たちが城へ続々と現れる。黒い闇の中に煌びやかなドレスが舞い始めると美しい旋律を奏でる音楽が響き渡り始めた。

どこか浮かない表情でヴァイスはプリアラにつれられてダンスホールへと足を運ぶ。彼の普段着の色調を思わせる黒い燕尾に、とかしておろした長い髪。ただでさえエルフの血を引いている少年なのだ、多少のワイルドさはあれども、はたから見ればどこかの貴族の少年、王子にすら見える。

「ちょっと、ヴァイス暗いわよ。あなたいつもの元気さはどうしたのよ!」
「・・・俺こーゆー雰囲気嫌いなんだよ。なんか・・・つらい。」
「何よ、きちんとした社交辞令ができないのかしら?ヴァイスさんは。」

プリアラは挑戦的な笑みを浮かべ、ヴァイスに言い放つとドレスを軽くつまんでお辞儀をする。
ちぇっ、というような表情を一瞬ヴァイスは浮かべると深々とお辞儀をし、紳士的な笑みを作り上げて―至極穏やかな口調で彼女に話しかけた。

「失礼だが、今宵は遠慮させていただきましょう。可憐なあなたを僕が独り占めするわけにもいきますまい。美しい姫君は、凛々しい王子の傍にいるべきですから―」
「あ、プリアラ、ヴァイス~!お久しぶりです!」
「…レオンッ!てめぇーなー!少し空気読めェェェ!今俺がノーブルにキメた所をオォォォ!」
「そうね、大爆笑モノだったわ。意外に紳士ねヴァイス君。」
「あー、もうその嘲笑まるだしの笑みをやーめーろぉぉぉぉ!」
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