刃がゾンビに襲われ、リオンが降臨して―かれこれ2ヶ月が過ぎた。世界は依然としてゾンビの発生を続け、とどまることを知らない。神による『最後の審判』の準備は着々と進んでいるのであった。
世界各地ではゾンビの脅威にさらされ神を信仰するもの、神に対して不平不満を抱くものとの衝突が絶えない。もはや日本も平和な国としては存在しなかった。一歩家から外に出ればゾンビ対策のための武器を持つ者と、十字架を高々と掲げて神への信仰をあらわにする者とがいた。
刃は正直、あまり武器を持ちたくはなかった。だがリオンに促されて結局闇市で銃剣を購入した。大学に通学するのも、講義中も、大学から帰るのも―全てにゾンビ退治がつきまとう。
「…リオーン、疲れた。俺疲れた。もうムリ。千年王国つくっちゃわね?」
「…やーいーばー?前回までのやる気はどこに行ったんだよッ!このままじゃ俺ら確実に黄泉の国行きだよ?!俺だって辛いんだぞっ!?」
「つってもねぇ…俺はさぁ、男子校出身だったんだぞ。青春に恋に忙しい大学生活を期待してたの。それがなーんで、ゾンビどもと戦わなきゃいけねぇんだよ。大体大学も大学だよ。なんでこんな時に普通に大学やってんだよ」
「そりゃ刃が心力強いからー…。それにさァ、社会自体は普通に機能してんじゃん。ニンゲンって案外適応能力高いよな」
「…マジやってらんねぇ」
「…やーいーばー?前回までのやる気はどこに行ったんだよッ!このままじゃ俺ら確実に黄泉の国行きだよ?!俺だって辛いんだぞっ!?」
「つってもねぇ…俺はさぁ、男子校出身だったんだぞ。青春に恋に忙しい大学生活を期待してたの。それがなーんで、ゾンビどもと戦わなきゃいけねぇんだよ。大体大学も大学だよ。なんでこんな時に普通に大学やってんだよ」
「そりゃ刃が心力強いからー…。それにさァ、社会自体は普通に機能してんじゃん。ニンゲンって案外適応能力高いよな」
「…マジやってらんねぇ」
大学のキャンパス内を歩きながら刃は愚痴を零した。どうやらリオンは心力の強い人間以外には見えないらしく、大学についてきても特に問題がないので無駄な別行動を避けるためにもほとんどの時間、リオンは刃につきまとう。つまり、それは刃にとって仕事をサボるわけにはいかないということで…
「あっ、刃!ゾンビ発見!やっつけに行こうぜ~」
「ハイハイ…こっちは二日酔いだっつーのに……」
「ハイハイ…こっちは二日酔いだっつーのに……」
重いからだと重い銃剣をずるずる引きずられて刃はノロノロ動くゾンビの元へ切りかかった。が、銃剣は空を裂いただけで、手ごたえが全く感じられない。リオンが魔法をつかったわけでもなさそうだ。
「ふぇ…?」
間抜けな声を発する漆黒の天使。そして二日酔いの大学生。
視線の先には機械弓を持った少女が居た。
薄茶の長い髪を巻いて、ミニスカートにロングブーツ。いたって現代的な少女だ。
視線の先には機械弓を持った少女が居た。
薄茶の長い髪を巻いて、ミニスカートにロングブーツ。いたって現代的な少女だ。
「フン、口ほどにもねぇゾンビが」
「男前ッ!?刃!あの女、男前だ!ニンゲン怖い!」
「いや、俺も怖いよ」
「男前ッ!?刃!あの女、男前だ!ニンゲン怖い!」
「いや、俺も怖いよ」
リオンが刃の後ろに逃げようとするが、刃もリオンの後ろに逃げようとする。2人が言い争っているさなかに少女はずかずかと刃の元へ歩いてきた。そしてナイフを刃に突きつけて、鋭い瞳でにらみつける。
「…アンタ、何者なんだよ。その男、天使だよね」
「おいおいおい、とりあえず俺は神反対派!ナイフしまえよ!」
「騙されないぞ!大方スパイかなんかだろ、そうだろ?!そうなんだろ!?そうだと言えッ!」
「怖すぎっ!刃、この女強引だ!ニンゲン怖い!」
「いや、俺も怖いよ」
「天使が何ビビってんだよ。これから地獄よりも怖い目にあわせてやろーか、アァ!?」
「おいおいおい、とりあえず俺は神反対派!ナイフしまえよ!」
「騙されないぞ!大方スパイかなんかだろ、そうだろ?!そうなんだろ!?そうだと言えッ!」
「怖すぎっ!刃、この女強引だ!ニンゲン怖い!」
「いや、俺も怖いよ」
「天使が何ビビってんだよ。これから地獄よりも怖い目にあわせてやろーか、アァ!?」
少女はなおもまくしたてる。刃は恐る恐る説明を始めた。
「…俺は刃っつーんだ。こっちはリオン。たしかにこいつは天使なんだけどな…神のやろうとしてることに反対して、天界から落とされたんだ。で、神を倒すために俺を利用してるってわけ」
「利用って言い方やめろよな!協力してもらってるだけだ!…ていうかさぁ、お前俺のこと見えるんだね?びっくり」
「……その話、本当?なんか怪しいな」
「本当だって!頼むからナイフしまえ!いや、しまわなくてもいいから突きつけるな!」
「…まぁ、いっか。天使のほうはともかくこんなザコはすぐ殺れるし」
「利用って言い方やめろよな!協力してもらってるだけだ!…ていうかさぁ、お前俺のこと見えるんだね?びっくり」
「……その話、本当?なんか怪しいな」
「本当だって!頼むからナイフしまえ!いや、しまわなくてもいいから突きつけるな!」
「…まぁ、いっか。天使のほうはともかくこんなザコはすぐ殺れるし」
言って、少女はくるりとナイフを回すと、鞘へおさめた。弓も背に背負っているので無防備な状態だ。それだけ自信があるのだろう。刃とリオンはようやく肩の力を抜けた。
「刃、ナメられてる」
「うるせぇ、俺だって結構強いんだぞ」
「…疑って悪かったな、っていうかまだ疑ってんだけど―私は伊織 玲於奈。看護科にいるんだけど…お前もこの大学の奴だよな?」
「…玲於奈って、あの有名な看護科のトルネードのレオ?」
「トルネードっていうな!ヤクザじゃないんだから!…で?お前どこよ?」
「あぁ、文学科。ていうかさぁ、合コンで会わなかったっけ?」
「会ったっけ?もしかして、一気飲みガンガンやってたアレ?」
「うるせぇ、俺だって結構強いんだぞ」
「…疑って悪かったな、っていうかまだ疑ってんだけど―私は伊織 玲於奈。看護科にいるんだけど…お前もこの大学の奴だよな?」
「…玲於奈って、あの有名な看護科のトルネードのレオ?」
「トルネードっていうな!ヤクザじゃないんだから!…で?お前どこよ?」
「あぁ、文学科。ていうかさぁ、合コンで会わなかったっけ?」
「会ったっけ?もしかして、一気飲みガンガンやってたアレ?」
完全に内輪ネタに入りだした2人にリオンはなんとなく疎外感を感じながらため息をついた。そして空を見上げる。灰色の雲が青空を隠し、どんよりと湿った空気が立ち込めていた。
―…遠いなぁ
思った気持ちは声に出ただろうか?刃がリオンに振り返った。
「おい、リオン?」
「ん、何?」
「…なーにしてんだ?」
「なんでもないよ」
「ねーリオン。私も神退治協力してやるよっ?だからさぁ」
「何?」
「ん、何?」
「…なーにしてんだ?」
「なんでもないよ」
「ねーリオン。私も神退治協力してやるよっ?だからさぁ」
「何?」
玲於奈がにっと笑ってリオンに近づいてきた。なんとなく、リオンは一歩その場からひいた。
「私と付き合ってよ」
「はぁ!?」
「あぁ!?」
「はぁ!?」
「あぁ!?」
さらに一歩退くリオン。余裕げな笑みでにっこりと話す玲於奈に、刃は驚きとなんとなく悔しい気持ちとがこみ上げて、ヘンな表情をしていた。
「や、やだよッ!お前なんか刃で十分だよ、こいつ彼女居ない暦―」
「言うな言うな言うなーーッ!おい、玲於奈!なんでリオン!?話の流れとかから言って普通俺に言うだろうがッ!」
「何、言って欲しいの?言わないけど。いや、主人公に行くってのはちょっとありきたり―っていうかリオンのほうがカッコイイし?好みだしねーっ」
「言うな言うな言うなーーッ!おい、玲於奈!なんでリオン!?話の流れとかから言って普通俺に言うだろうがッ!」
「何、言って欲しいの?言わないけど。いや、主人公に行くってのはちょっとありきたり―っていうかリオンのほうがカッコイイし?好みだしねーっ」
先ほどまでの雄雄しい戦闘能力とは裏腹にこういうところは女々しい。だが、それでも威圧感があるのはその強さゆえか。
「とにかくそんなの俺はやだからな!」
「そっか…」
「そっか…」
玲於奈の瞳がふせられる。一瞬、ほんの一瞬ではあるがリオンに多少の罪悪感が沸いてきた。
「じゃあ死ね」
「いやいやいや、どういう思考回路?!」
「えっ、つきあってくれんの?!」
「…考えときます」
「リオン、なんか政治家みたいな誤魔化しだな」
「うぅ…刃ー助けてよー」
「いやいやいや、どういう思考回路?!」
「えっ、つきあってくれんの?!」
「…考えときます」
「リオン、なんか政治家みたいな誤魔化しだな」
「うぅ…刃ー助けてよー」
リオンの心の叫びを完全無視しながら刃は銃剣を担ぎなおした。二日酔いでまだ辛い頭でぼんやりと面倒なことになったなと考えながら歩き出す。
「とりあえず帰るぞー」
「おう、即効で帰るーっ!ぱっと逃げ!」
「あッ!待てーッ!ちゃんと考えておいてよー!?」
「おう、即効で帰るーっ!ぱっと逃げ!」
「あッ!待てーッ!ちゃんと考えておいてよー!?」